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□ 静留×なつき □

アカルイミライ

イタイんだか何だか・・・(汗)
ごめん
お互いキレイゴトゆってて
そのくせお互い死ぬほど相手を求めてて
でも素直じゃなくて
傷つけあって、傷を舐め合って
それでも一緒にいたい
そんな二人を書きたかった
書けてるかどうかはともかく(笑)






 蝕の祀りが終わり、もうすぐ静留たち3年が卒業を迎えようとしていた頃だった。
 卒業と同時に寮を出るという静留の部屋の片付けを手伝いになつきは狩り出されていた。
 役に立てることなど何もないと思うくらい、すっかりキチンと整頓されている部屋を見回していると、ふと机の上に視線が止まった。
 写真立てだけがぽつんと置かれた机。
 少し前、千絵が持って来た使い捨てカメラで、みんなでわいわい騒ぎながら写真の撮りあいっこをしていた時に撮られた写真だった。
 なつきの腕に無邪気に自分の腕を絡めて笑っている静留との2ショット写真。
 なつきも同じものを焼き増ししてもらっていた。
「これ・・・」
「あ、それ・・・原田さんがくれはったんよ。なつきと二人で写ってる写真なんかそれしかあらへんよって、うちの宝物どす」
「そっか」
 そっと写真立てを手にするとじっと眺める。
「なぁ静留・・・わたしは何がしたかったんだろう」
「なつき?」
「わたしは母さんの復讐することばかり考えて生きてきたんだ。それが生きる糧だった。そうすることで自分が救われる気がしてた。それが命をかけて守ってくれた母さんのためだと思ってた」
「・・・」
「そう思っていたんだ。その先のことなど何も考えずに」
「先?」
「そう、復讐を果たした後のこと・・・何も考えずにただ毎日を荒んだ気持ちで過ごして心をさらけ出せる友人も作らず、親友だった静留にさえも一線を引いていた。そんな風に生きて来たわたしにその後の未来など想像出来なかったんだ。救われているハズだった自分の未来が見えていなかったんだ」
「なつき・・・どないしたん?急に」
 フフっと渇いた笑いを浮かべると、なつきはコトンと写真立てを置いた。
「でも結局わたしは何も出来なかった・・・復讐すらこの手で果たすことは出来なかった」
 静留の封印しようとしていた記憶が瞬時に蘇り、心が痛んだ。
 静留の表情が暗くなったのに気づき、自分の失言に気づいたなつきは慌ててフォローする。
「あ、違うんだ、誤解しないでくれ静留。わたしこそ謝らなければいけないとずっと思っていた。わたしが復讐なんて考えなければ・・・わたしの為とはいえお前の手を血で染めてしまった」
 そっと静留の両手を自分の両手の中に包み込む。
「すまなかった・・・」
「違っ・・・」
「お前をあんな風にしたのはわたしだ・・・だから・・・ちゃんとこれからはお前のそばにいなきゃいけないと思ってる」
 血の気の引いたように顔色を蒼白にすると、静留は苦しそうに服の胸の辺りをきゅっと握りしめる。
「なつき・・・うち・・・うちはそんな言葉聞きたくてやったんちゃいます。ただあんたを手に入れたくて・・・あんたの心も身体も全部欲しくて、そんだけやって・・・うちはうちの欲の為にやったんどす」
「静留?」
「罪滅ぼしとか同情とか、そんなん思ってるんやったらお門違いどす・・・」
「え?」
「もう帰ってくれへん?うちは・・・京都に帰る準備せんとあきまへんさかいに」
「え?ちょ、それって・・・」
 なつきは隅に積まれた段ボールの上に貼ってある宅配便の送り状に目を止めた。
 送り先が京都になっていた。
 静留の実家だろう。
「うちのせいでなつきを・・・なつきの未来をこれ以上縛ることは出来へん。あの事でなつきを苦しませるくらいやったらうちは・・・」
 包まれていた手を自ら解くと、トンっとなつきの胸を両手で小さく突き放した。
「え?」
「堪忍な」
 今にも泣きそうな顔で笑う静留。
 その笑顔は完全になつきを拒否していた。
「違っ、静留っ」
「帰って・・・」
「え?」
「堪忍、ちょお一人にしとくれやす」
 涙を隠すように俯いたまま何度も謝る静留を残してなつきは部屋を出ることしか出来なかった。
 なつきが去った部屋で一人、静留は壁に背中を預け、そのままずるずるっと床に崩れ落ちた。溢れる涙を止めることが出来なかった。

  ☆

 行くあてもなくなつきはフラっと街を彷徨い歩いた。
 どこをどう歩いているのかもわからなかった。
 静留の泣きそうな顔が忘れられない。
 フラリと暗い路地に踏み込もうとした瞬間
「ちょっと玖我?」
「?」
 ぐいっと腕を引っ張られた。
 うつろな瞳でその相手を見ると、そこには中等部の制服を着た赤い髪の少女が立っていた。
「奈・・・緒?」
 うつろな瞳が奈緒を捉える。
「げ、何その顔?」
「なんでもない」
「なんでもなくてそんな今にも死にそうな顔する馬鹿はいないわよ」
「奈緒・・・わたしは・・・どうしたらいい?」
「はぁ?意味わかんないっつーの」
「静留が・・・いなくなる」
「え?どういうこと?」
「京都に戻るって・・・」
「え?あいつ風華受かってんでしょ?何で?」
「わからん!!!」
 なつきのイライラがとうとう爆発した。
 ドンっと壁に怒りをぶつけるように何度も拳を打ち付ける。
「ちょ、何やってんのよ!ばか!」
 血まみれになった手を奈緒はしがみついて無理矢理押さえつけて止めようとするが、なつきのイライラは収まらない。
「わたしは静留を傷つけた。静留が手を血で汚したのもわたしのせいだ。わたしがあの時ちゃんとあいつの気持ちを受け入れていればあんなことには・・・もう終わったことだとわかってはいるけどでも・・・その事実は消えないんだ。だから・・・一緒にいようって決めたのに・・・一緒に背負って行こうって・・・」 
 目に涙を溜めて必死で自分の気持ちを吐露するなつきを、奈緒はただ黙って見ていた。
「玖我」
「・・・」
「あんた何サマ?」
「?」
「被害に遭った当事者のあたしだから言うけど、あいつはそんなこと何とも思っちゃいないよ。ただアンタを手に入れたいっていうエゴだけでやったことでしょ?アンタの為だと勝手に思い込んで暴走した結果じゃん。あんたにちょっとちょっかいかけただけで殺されかけたんだからねあたし!あいつは・・・ただのエゴイストだよ」
「でも!!!」
「だからってあんたがそんな気もないのに受け入れたフリをするって・・・藤乃にとっちゃ残酷じゃない?」
「え?」
「いくらそばにいるだけでいいっつっても、あんたが将来誰かとくっついて幸せになったりするところを、親友の立場で見届けなきゃいけないってキツイんじゃないの?」
「・・・」
「あいつはそんな強くない気がするけど?」
 奈緒の言葉がなつきの胸にグサリと刺さった。

  ☆

 どれくらいそうしていただろうか。
 窓の外が薄暗くなっている。
「用意せんと・・・」
 頭が真っ白な状態で、鉛のように重い身体を引きずるように立ち上がると、静留はのろのろと少しだけ残った荷物を段ボールに詰めて行く作業にかかった。

 何も考えたくない。

 何も聞きたくない。

 何も見たくない。

 目も耳も・・・うちの全部がなくなってしまえばえぇのに。
 なつきがおらん世界なんか生きててもしょうがない。
 でもなつきにうちの罪を背負わせるわけにはいかへん。
 うちの罪はうちが背負わなあかん。
 あの子はうちとは違うんやから・・・。
 ふと荷物を詰めている手に窓から差し込んだ夕日が当たり、真っ赤に染まった。
 まるで血のような紅。
 再び脳裏に蘇るあの映像。
「いや!!!」
 思わず手にしていた食器を放り投げてしまった。
 血に染まった両手。
 静留が傷つけた人たちの流した血で汚れた両手。
 そんな自分の手でなつきに触れていいわけがない。
 散らばった食器の破片でざっくり切れた指先から血が滴る。
「このままなくなってしまえばえぇのに・・・うちの血」
 ポタポタと絨毯に広がる血の染みをぼんやりと見つめていた。
 その時だ。
 いきなりガチャリと乱暴にドアが開いた。
「静留?」
 力のない声で名を呼ぶのは、再び戻って来たなつきだった。
 そしてなつきが目にしたものは、部屋にただ一人座り込んでジっと絨毯の一点を見つめている静留の姿だった。
「?」
 静留の視線を追う。
 その正体に気づいたなつきはギョっとした。
「おい!静留!何やってんだ!」
 靴を脱ぐのももどかしいように慌てて駆け寄る。
「なつ・・・き?」
「お前何してるんだ!どうしてこんな血・・・」
「いいんどす」
「いいわけあるか!ばか!」
「うちの血なんかなくなったらえぇ」
 うつろな目を彷徨わせてそう呟く。
「静留!しっかりしろ!」
「うちの汚れた血なんかなくなってしもたらえぇんや・・・」
 もう一度そう呟くと、自虐的な笑みを浮かべる。
「ばかっ」
 パシンと渇いた音が部屋に響く。
 呆然とうつろな瞳で一点を見つめる静留の頬が赤く腫れた。
 悔しそうに唇を噛むなつきの目に涙が溜まっている。
 だが、今自分がしっかりしなきゃいけないと奮い立たせ、ゴシっと目元を拭った。
 悔しくて、哀しくて、それ以上声を発する事も出来ず黙々と止血を始めた。
 静留をここまで追いつめた自分に腹が立ってしょうがない。 
「何しに来たん?」
「お前を止めに来た」
「何で?」
「わからん!わからないけど、でも・・・お前を行かせちゃいけないと思ったから・・・」
「もう聞きたぁない」
「違う!・・・違うんだ・・・うまく言えないけど、お前がいなくなってダメになるのはわたしの方なんだ・・・」
「?」
「ごめん静留・・・わたしは・・・自分の気持ちをごまかしてばかりだった。逃げてばかりだった。今までみたいに親友のままでいられるんじゃないかって都合のいいことばかり考えていた。お前がどんな想いでわたしのそばにいようとしていたのか考えもしてなかった」
 止血を終えた手を、傷口が開かないようにそっと握る。
「うちはただなつきのそばにおれたらよかっただけやから・・・」
「もういい、今更そんなキレイごと聞いても仕方が無い」
「・・・」
「お前はわたしを望んだ。わたしの心も身体も」
「堪忍・・・」
 キュっと唇を噛む。
「謝ることじゃない。それはきっと誰にでもある感情だろうから」
「そないなことあらへん・・うちはやっぱり・・・汚い」
 なつきの手から再び逃れようと、空いたもう片方の手でそっと拘束を解く。
「もう逃げなくていい」
「でも・・・」
 まだ踏み切れない。
 怖い。
 あの時のなつきの拒否の声が頭の中で何度もこだまする。
 このままなつきの手を取っていいのか。
 そんな静留の不安を取り除くかのようになつきは優しく微笑むと
「大丈夫だ、静留」
「?」
「もうお前を突き放したりしないから」
 そう言ってそっと静留の身体を抱き寄せた。
「でも・・・やっぱりうちの好きとなつきの好きは・・・」
「同じだ」
「え?」
「何も違わない。わたしはお前が好きだ」

  ☆

「奈緒に言われたんだ」
「奈緒はん?」
 やっと落ち着いたのか、二人は正座をしたまま向かい合う。
「静留がそばにいるのに、わたしがもしも違う相手を選んでしまった時、そんな姿を一番近くで見なきゃいけない静留は辛いんじゃないかって」
 一言一言を噛み締めるように言葉を紡ぐ。
「それで考えた・・・もしも逆だったら・・・もしも静留がいつかわたしじゃない他の人間を選んだ時、わたしは一番近くにいてそれに耐えられるかって・・・笑って祝福出来るかって」
 真っ直ぐに静留の瞳を捉える。
「無理だ」
「え?」
「お前を誰かに取られるなんて考えただけで嫌だ!誰かの手に抱かれてキス・・・されたり・・・とかその、色々想像しただけで・・・」
 眉をハの字に寄せて泣きそうな顔でなつきは続けた。
「わたしは静留を誰にも渡したくない」
「でも・・・」
「わたしのただのわがままな欲だ。お前のそれと何も変わらない、ただのエゴイストだ」
「な、なつき?」
「一緒にいよう・・・お前が罪悪感を感じているならそれを一緒に背負って行こう・・・いや、背負わせてくれ。お前だけのせいじゃないんだから」
「ええの?」
「あぁ」
「ホンマに?」
「しつこいな」
 くすっと笑う。
「さっき写真を見た時に思ったんだ。復讐だけを思っていた頃には考えられなかった・・・あんなに楽しそう笑っている自分の姿が。母さんには悪いけどわたしは大事なものを手に入れた気がする」
「大事なもの?」
「未来・・・」
「未来?」
「静留と一緒に笑って暮らせる未来・・・小さな幸せかもしれないけどな」
「うち・・・おってええの?なつきのそばにずっとおってもええの?」
「さっきからそう言ってるし、一緒にいてくれと頼んでいるのはわたしの方だ」
 頬を真っ赤に染め上げてプイっとそっぽを向く。
「おおきに・・・なつき」
 嬉しくて嬉しくて溢れる涙を見られないように俯くと、そっと涙を拭う。
「この送り状はもういらないよな?」
 立ち上がり、隅に集めた段ボールに歩み寄ると、ビリっと箱から剥がし、破り捨てようと手にかけたそれを静留が止めた。
「・・・いります」
「え?でも・・・」
「それはもういらん荷物やから実家に送ろうと思ってただけやし」
 泣きながら笑う静留。
 それが本当の話なのか今作った嘘なのかはわからないが、静留がもうなつきのそばを離れる気がないことはわかった。
「なつきは早トチリやなぁ」
「え?」
「うちは何もゆーてまへん、ただ京都に帰るゆーただけどす。ずーっと帰るなんて一言もゆーてまへんぇ」
 コロコロと笑う静留はもうすっかりいつもの静留だった。
「な、だ、騙したなぁ~???」
 正面から小さくチョップを繰り出すなつきの顔にもすっかり笑顔が戻っていた。
「静留」
「ん?」
「ゆっくりやって行こう・・・二人で」
「ん」



 罪は半分。

 幸せは2乗。

 分け合って生きて行こう。

 明るい未来を信じて・・・。
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Date:2008/08/26
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