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□ 静留×なつき □

手をつなごう3

ちょっとチエ・ハラードちっくと言われた人です(笑)




 静留のマンションのいつもの場所にバイクを止めて降りると、いつものようにエレベーターに乗り、いつものように部屋の前に立った。
 すーっはーっと緊張気味の自分を落ち着かせようと一つ大きく深呼吸をすると、イザっとインターフォンに手を伸ばした、その時だ。
 ガチャガチャ
「へ?」
 びくっと手を引っ込めると同時にドアが開いた。
「じゃね、サンキュー静留」
「へぇ、ほなまた」
「ん・・・ん?うわっ」
 目の前に突然現れたなつきに驚いてのけぞる。
「あっ?」
 なつきもてっきり出てくるのは静留だとばかり思っていただけに目が点になった。
「なつき?」
 まさかこんな場面をなつきに見られようとは夢にも思ってなかった静留も、少なからず動揺していた。
 三者三様の反応で、全員が立ち尽くした。
 一番初めに我に帰ったのは彼女だった。
「あっ、こないだ大学に来てた美少女じゃん」
「え?あ、は、はい」
 あんな一瞬のことなのに自分のことを覚えていた彼女に驚きを隠せず、思わず返事をしてしまう。
 やっぱり、というようになつきに視線を移す静留はすでにいつもの静留に戻っていた。
「どないしはったん?なつきがうちに来るやなんて珍しいやないの」
 嬉しそうにはんなりと微笑む。
「あ、いや、その・・・静留、こちらは?」
「大学の友人どすぇ」
「そうか」
 そんなこととっくに知っている・・・とも言えず、ただうなづくだけだった。
 何度も小さく「そうか」とその意味をかみしめるように呟く。
「なつき?」
「あ、いや、ご、ごめん、邪魔したな。また来る」
 きゅっと唇を噛んでそれだけ言うと、くるりと踵を返して走り去ろうとする。
 ぐいっ
 勢いよく逃げ出そうとした瞬間、なつきの手首が何かに思いっきり引っ張られた。
「え?うわったっっ」
 勢いあまったなつきは体勢を崩して転びそうになるのを、抜群のバランス感覚で何とか堪えた。
「ちょっと!逃げることないじゃん!静留の後輩?」
「え?あの・・・」
 引っ張っているのが静留ではなく彼女だと気づいて動揺する・・・と同時に少しがっかりもした。
 だがすかさず静留の釘が刺さった。
「玖我なつき・・・うちの大事な人ですさかい手ぇ出したらあきまへん」
「へぇ~静留いい趣味してるね」
「そうどすやろ?」
 楽しそうに自分をネタに笑いあう二人に、どう介入していいものかなつきは戸惑った。
「ふむ・・・」
 彼女はなつきをじっと見つめた。
 そして手をぱっと離すと、おもむろに今度は静留に向き直ったかと思うといきなり正面からガバっと抱きついた。
「え?」
「ちょっ、おいっ!」
 驚いてされるがままになる静留の背中を、よしよしと優しくあやす彼女にそれまで我慢していたなつきの苛立ちが爆発した。
「おい!お前何してるんだ!?」
「愛の抱擁」
「愛の・・・ってふざけるな!」
 さらっと口にされた言葉になつきは妙に照れながらも怒りは収まらない。
「ふざけてないよ♪うーん、静留愛してる♪」
 すりすりと愛おしそうに顔を静留の髪に埋める。
「離せ!」
 噛み付きそうな勢いで怒鳴るなつきに、シレっと彼女は問うた。
「どうして?静留は玖我さんのものなわけ?」
「うっ!そ、それは・・・」
 なつきがどう答えてくれるのか、じっと訴えるような視線を送りつつ見守る静留の気持ちとはうらはらにもごもごと口の中で何か言っているがどうにもはっきりしてくれないなつきに少々苛立ってしまう。
 そんななつきに彼女はニヤリといじわるそうに笑った。
「じゃああたしにも権利あるよねぇ~」
「うっ・・・お前に・・・お前に何がわかる!静留のことなんか何も知らないクセに!」
 やれやれというように肩を竦める。
「確かにあたしは大学になってからの付き合いだし?せいぜいわかってる事って言ったら・・・品行方正で、学力優秀で、華道・茶道・なぎなたは師範クラス。家事もこなせて、人当たりもいい完璧人間、に見えて実は結構弱い・・・っと」
 トンっと人差指で静留の胸元を指した。
 時々見せる静留の“弱さ”を見抜いているかのような発言に、なつきの顔が悔しそうに歪む。きゅっと真一文字に唇を噛むと、黙って俯いた。
 言葉で勝てそうになくなると黙って拗ねるのはなつきのクセだ。
「違った?」
「もう堪忍したって」
 なつきが口を開こうとしないのを見かねた静留が横槍を入れる。
 だがそれを無視して続ける。
「ここ2~3日の静留の落ち込みようは、玖我さんのせいだよね?」
「・・・え?」
「ぼんやりしていつもため息をついてた。昼になったらいつもウキウキしていなくなんのに、ここんとこ毎日学食にいたよ。でもそのわりにはほとんど食べてないしね」
「静留?」
 なつきは彼女の後ろにいる静留に視線を向けた。
 確かに少し痩せた気がする。
 なつきの眉が心配そうに歪む。
「声かけたのは最近だけど、こっちは入学式で一目惚れしてんだっての!有名人だから噂も聞こえて来るしね。玖我さんの噂も聞いてたよ・・・でもだから何?」
 キッパリと過ごした時間の長さの大切さを否定する彼女に、なつきは動揺した。
「でも・・・違うんだ・・・」
「何が?」
「お前にはわからん話だ!帰る!」
 くるりと背中を向けると、なつきは黙って歩き出した。
「あっ、なつき・・・!」
 静留の声すらも無視してなつきはエレベーターに向かった。
「あーあ、帰っちゃった」
「はぁ~へそ曲げたなつきをあやすの大変なんどすぇ」
 小さくため息をつく。
「そうなんだ?」
「まぁ・・・そんなところもかいらしんですがなぁ」
「そんなもん?・・・あたしに乗り換えたら?あたしお買い得だよ?」
 ちょんちょんと自分の鼻の頭をつついてアピールするが、にっこり笑って静留はきっぱりと告げた。
「堪忍な。それにな・・・」
「それに?」
「うちこう見えても結構怒ってますんぇ?」
 それまで黙って見ていた静留が初めて怒りを表したようにジロリと睨む。
「え?」
「なつきをいじめるモンは、誰やろうと許しまへん」
「あらら、地雷踏んじゃったか・・・ま、いっか、先は長いしね」
 ははっと気にしない気にしないっという風に笑うと、彼女は改めてひらひらっと手を振ると帰っていった。


「さて・・・どないしましょ」
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Date:2008/08/25
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