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□ 静留×なつき □

手をつなごう1

続きものです。
また捏造キャラ出て来ます(笑)



「なーつきっ」
 名を呼ばれると同時に無防備に揺れていたなつきの右腕が、まるで一昔前に流行った人形がしていたようにぎゅっとつかまれた。
「し、静留?おまっ、また・・・!?」
「なつき~会いたかったどす」
 ぎゅーっとそれまでよりもずっと力を込めて腕をつかんだかと思うと、すりすりと愛おしそうに頬ずりする。
「いいかげんいしろ!人前だ!離れろ!」
 バッと思いっきり振り払う。
 全くコイツは人前だろうと何だろうとお構いなしかっ。
 大体毎日遊びに来ておいて、久しぶりに会うような言い方をするなんてどうかしてるぞ。
 振り払った相手にチラリと視線を向けると、チラリと寂しそうな瞳で見つめ返される。
 ドクンっとフラッシュバックが起こる。
 あの時の・・・静留の手を・・・静留が差し伸べた手を拒絶してしまった時の・・・。
 だが、当の静留はというと
「う~ん、イケズやわぁ」
 小さくため息をつきながらも、いつものように少し拗ねたように頬に指を添えて笑うだけだった。
「まったくぅ・・・」
  そんな静留の態度に、なつきの肩からガクンと力が抜けた。
 あぁぁぁぁっもう!学校で静留にこんなことされると目立ってしょうがないのにな。
 どうせまたそこらへんで取巻きたちが目を光らせているに決まってる。
 はぁ~と今度はなつきがため息をつく番だった。
「とにかくっ!・・・もう午後の講義始まるんじゃないのか?」
「あ、せやねぇ、ほなうち行きますわ」
「あぁ、またな」
「ん」
 嬉しそうにひらひらと手を振ると、踵を返して歩き出す静留の背中をぼんやりと見つめた。

  ☆

「なつきーーーー!」
 珍しく最後まで授業を受けたなつきは、少々グッタリしていた。
 ゆっくり振り返ろうとした瞬間、なつきの腕が柔らかいものに押し付けられた。
「ん?おわっ、な、舞衣?」
 いつもの感触とは違うものに妙に気恥ずかしさを覚えて、なつきの頬がうっすらと染まる。
「あたし今日バイト休みなんだー、どっか行かない?」
「あぁ?・・・別にいいけど・・・命はどうしたんだ?」
 いつも鬱陶しいくらい舞衣のそばにくっついている命の姿が、珍しく見えない。
「あぁ、何か奈緒ちゃんと遊ぶんだって行っちゃった」
「ふーん、で?どこ行くんだ?」
「そうねぇ~ランジェリーショップでも行こうか?」
「別にいいけど」
「あ、静留さん大丈夫?約束とかしてない?」
「あぁ、別に約束はしてない」
「そか」
 言ってそのまま並んで駅に向かう二人の後姿を見つめる視線に、なつきは気づかなかった。
「なつき・・・」

  ☆

 数日後の昼休み、なつきは舞衣と共に中庭で舞衣の弁当を命と一緒につついていた。
 なつきの好物が並んだ弁当を前にしても、なつきはどうにも箸が進まなかった。
 いつものメンバーで、いつものように弁当を囲んでいるだけなのに、妙に落ち着かない。
 そわそわと体を揺らすなつきを見かねて舞衣が話を振った。
「今日は来ないね、静留さん」
「え?あ、ん、そう・・・だな」
「昨日も・・・一昨日もよね」
「あぁ」
「忙しいのかな?やっぱり大学生ともなるとねぇ色々あるんだろうねぇ」
「い、色々?」
「風華じゃないとこから入学してきてる人には静留さんがどんな人だかわかんないから挑戦してくる人とかいそうじゃない?お願いしまっすとか行って手ぇ差し出したりして」
 うんうんと自分でもちょっと説得力あるかも、とうなづく舞衣。
「挑戦ってお前・・・」
「だって静留さん綺麗じゃない?外の人はホントの静留さん(の怖さ)も、なつきの存在も知らないだろうしさ」
「う・・・む」
「それになつき結構態度冷たいしねぇ~静留さんにはさ」
「そ、そ、そんなことは・・・!」
「ないって言える?」
「ん・・・それは・・・」
 自分が取ってきた態度がぐるぐると脳裏を駆け巡る。
「人の想いの上に胡坐かいてると、足元掬われちゃうよ?」
「舞衣・・・」
「たまには自分から会いに行ってくれば?」
「あぁ・・・そうだな」
 なつきはほとんど使用しなかった箸を置くと立ち上がり、くるりと踵を返した。
「いってらっしゃーい」
「なつきの分食べていいか?舞衣!」
 それまで一心不乱に舞衣の弁当を貪っていた命が、目を輝かせて見上げる。
「はいはい、いいわよ。きっと帰って来るころにはなつき、お腹いっぱいだろうしね~」
 ナデナデとまるで我が子をあやすように頭を撫でる。
「舞衣」
「ん?」
「行って来る」
「ん!」
 満足げに笑うと舞衣はひらひらと手を振った。



 静留が大学に上がってすぐに一度来たっきりだった構内に足を踏み入れる。
 すぐそばにありながら自ら出向くことなどなかった。
 いつも静留が会いに来てくれることが当たり前のようになっていた証拠だろう。
 少し緊張しながら静留の行方を捜そうとするが、実際どこから捜していいのか見当もつかないくらい広い構内を見渡して呆然と立ち尽くす。
 大学生に静留以外の知り合いなど・・・。
「やぁ!玖我さん、こんなところでどうしたんだい?」
 いなかったハズなのにいきなり名を呼ばれて驚いた。
「へ?あ・・・」
 かつて、静留と共に生徒会を運営していた影の立役者、神崎黎人だった。
「静留さんに会いに来たのかな?そういえば最近珍しくお昼に学食で見かけたな」
「学食?」
「いつもはふっとどこかに消えちゃうんだけどね、お昼になると」
 ニッコリと何でも知っているよ、というような満面の笑顔でそう言うと、勘のいい黎人は、どうやらなつきがここにいる理由を察したようだ。
「あ、ちなみに学食はあっちの校舎を入ったところだよ」
「べ、別に・・・静留なんか・・・」
「そうなのかい?じゃあ何か伝言でもあったら伝えようか?」
「いや・・・いい」
「そっか、じゃあ気をつけて」
「子供じゃない、わかってる」
 素直にありがとうと言えない。
 だがそんななつきを見ても、黎人はただニコニコと笑っているだけだった。
「ふんっ、だが・・・礼を言う」
「ほら、早く行かないとお昼終わっちゃうよ」
 なつきは黎人の指した方向に慌てて走り出した。
「あいかわらずだなぁ」

  ☆

 ひょいっと学食を覗き込む。
「げっ」
 高等部よりも広くて騒がしいし、こんなに人が多いと見つけるのも一苦労じゃないか・・・。
 しかも制服じゃないから余計に捜しにくいぞ。
 かつて、生徒会長のみに与えられる白い制服を身に纏っていた静留は、ただでさえ目立つ存在なのにいっそう視界に入って来る率が増えた。
 どこにいても見つけられる自信はあった。
 だが、この人間の多さに加えて、みんな似たような私服で歩かれると、見つかるものも見つからないような気がしてきた。
 げんなりと肩を落とすとなつきは、それでも力のない視線を泳がせる。
 その時だ
「静留!」
「え?」
 なつきではない誰かが静留の名を呼ぶ声に驚いて振り返る。
 そのなつきより少しだけ背の高い彼女は、その声に反応して思わず振り返ってしまったなつきに一瞬チラリと視線を落とすが、別段気にする風でもなくすぐに視線を戻すと、大きく手を振りながら通り過ぎる。


「静留!ここにいたんだ」
「えぇ、今日はどれどすか??」
「や、ははっ、お見通しって?まぁまぁ!そんな話は後にして、昼一緒にしようよ」
「ほしたらこちらどうぞ」
 なぜかこの混雑の中、静留の両隣と正面だけが空いていた、その左隣の席を促す。
「さーんきゅ♪」
 カタンと何の物怖じもせずアッサリとその席に座る彼女を、なつきは見たことも聞いたこともなかった。


 くそっここからじゃ会話が聞き取れないじゃないか!
 二人が楽しそうに会話している姿を見せ付けられるのがもどかしくてイライラする。
 ギュっと拳を握り締め、大きく一つ深呼吸をして自分を落ち着かせると
 なつきはくるりと楽しそうに笑う二人に背を向けた。



「そういえば今入り口のところですっごい美少女見かけたんだけど・・・誰か捜してたのかな?」
「へぇ、どないなべっぴんさんどすか?」
「ん、長い黒髪の、少しキツそうな目をしてて・・・そうそう、オレンジの制服着てたよ、一瞬見惚れちゃった♪」
 冗談交じりに彼女が笑うのとほぼ同時に静留は入り口を振り返った。
「どうしたの?静留」
「なつき・・・?」
 だがしかしすでにその姿はなく、ただ視線を泳がせるだけだった。
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Date:2008/08/25
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