Planetarium SS置き場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


* 「スポンサー広告」目次へ戻る
*    *    *

Information

□ 静留×なつき □

心の糸3

あぁ・・・静留さん・・・



 素直になつきに送られて寮に戻った静留。
 泊まるというなつきを丁重に帰して一人になると、やはり体調がおもわしくないことを実感する。
 食べようにも食欲が全くわかないし、やはり眠れるとも思えない。
 一人で眠るのは怖いが、なつきがそばにいてくれたところで蛇の生殺しなだけでやはり眠れるとは思えない。
 ベッドに腰かけてぼんやりと天井を見つめる。
 大きなため息が出る。
 最近こんなんばっかりや。
 欲求不満なんやろか、うち。
 かといってもう他の子でお茶を濁すなんてことも出来へん。
 大体そんなことをしても、自分にメリットがあるとは思えない。
 良い気持ちになるのは相手だけだ。
 もううちの体はなつきにしか反応せぇへん。
 目を閉じるとなつきの肢体が脳裏に浮かぶ。
 制服の上からでもわかる細い腰、華奢な肩。
 先ほど抱きしめた感触を思い出す。
 雑念を追い払おうと頭を振る。
 長い髪がバサっと揺れ、乱れた。
「なつき・・・好きやなつき・・・うっ・・・く」
 声が洩れないように口を押さえ、嗚咽を洩らす。
 一人部屋でよかったと心底思う。
 こんなとこ他人に見せられへん。

  ☆

 コンコン
 意識のずっと遠くで聞こえる音。
 ・・・誰やろ?
 コンコン
「お姉さま?いらっしゃいますか?」
 現実か。
「誰どすか?」
「巴です、雛菊巴」
「あぁ」
 取巻きのコやな。
 どうもうちのこと本気で好いとるみたいや。
 仕方なくのんびりとした動作で起き上がると鍵を開けに行った。
 かちゃり
「どないしたん?巴」
 いつものようにはんなり微笑んで迎える。
 もちろん本気で笑ろてるわけやあらへん。
「お姉さまが倒れられたって聞いて、いてもたってもいられなくて・・・」
 モジモジと恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「おおきに、心配させてしもて堪忍な」
 そっと髪を撫でる。
 これもいつもの・・・今までは誰にでもしてきた仕草。
「入りよし」
「いいんですか?」
 満面の笑顔でそう答える。
 元々あわよくば・・・って思って来たんやろう。
 まぁええわ。
「おいで」
 入りやすいように体を避けると招き入れた。
 ベッドに座って静留は部屋の中央で立ち尽くしている巴を見上げる。
「座らへんのん?」
「え?あ、でも」
 きょろきょろと部屋を見渡すが、今座れる場所と言えば・・・。
 静留と目が合う。
「隣座ったらえぇ」
 少し体をずらすと一人分のスペースをあけて座るように促す。
 緊張しながらも巴はおずおずと隣に、それでも遠慮しているのか少しだけ間隔をあけて腰かけた。
「わざわざおおきにな」
 と、巴が抱えたままの花束からスっと一本の百合の花を抜き取った。
「あ、す、すいませんこれ!お見舞いに・・・」
 それで初めて渡すのを忘れていたことを思い出した巴は、再び立ち上がるとガバっと深々と頭を下げて花束を押し付けるように差し出した。
「ふふふっおおきに、そこ置いといて」
 抜き取った百合の花を元に戻すとキッチンの方を指差した。
「活けておきますね」
 テキパキと花瓶に水を入れると花を挿していく。
「なぁ巴?」
「はい?何でしょうお姉さま」
 名前を呼ばれたことがそんなに嬉しかったのか、頬を赤らめて振り返る。
「あんた、うちのこと好いとるんどすか?」
「え?あ、そ、それは・・・」
 返事の替わりにコクンと小さくうなづく。
「その好きっていうのはどういう意味やの?」
「え?どういう意味・・・?」
「憧れの意味の好きなんか、尊敬の意味の好きなんかそれとも・・・」
 静留は立ち上がるとキッチンに立ち尽くしている巴に近づいた。
「こうされたいゆぅ意味なんか・・・」
 そっと腰を抱き寄せた。
 憧れの静留に抱き寄せられるなんて夢のようなのか巴の頬は紅潮し、意識はすでにどこか遠くの方に飛びかけていた。
「あ、あ、あの!し、静留お姉さま?」
「どないなん?」
 誘うようなとても高校生とは思えない色気を漂わせた静留の声と視線に撃沈して、クタっと胸の中に倒れこんだ巴の顎をクイっと持ち上げると、静留はそっと唇を重ねた。
 嬉しそうに気持ち良さそうに目を閉じて受け入れる巴を、冷静に観察するようにじっと見ながらも繰り返されるキス。
 気持ちなんてまるで入ってはいない、なのにそれでも幸せそうな巴が哀れに思えてくる。
 だが申し訳ないとは思わない。
 望むようにしてやっているだけだ。
 ただ無機質に繰り返されるだけの行為。
「お姉さま・・・幸せです」
「そうどすか」
 更に求めてこようとする巴をするりとかわし、キスに飽きた静留はふいっと離れると再びベッドに腰かける。
「巴、ちょぉ疲れましたさかい一人にしてくれまへんか?」
「あ、は、はい!すいません、また来ます!」
 慌てて荷物を胸に抱え、真っ赤な顔で俯き、ガバっと大きく頭を下げる。
「ん」
 どちらでもでもかまわない。
 彼女に興味はない。
 出て行く彼女の背中をぼんやりと見送った。
 結局、彼女の好きの意味も聞けずじまいだったことに気づいたが、もうそんなことはどうでもよくなっていた。
 穢れたものを拭うかのようにきゅっと唇に親指を押し付けた。
「・・・血」
スポンサーサイト

* 「静留×なつき」目次へ戻る
*    *    *

Information

Date:2008/08/25
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://moetetsu7.blog59.fc2.com/tb.php/60-8f4f49ea
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

+
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。