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□ 美奈×レイ □

意地っ張り

美奈レイです
小松と北川があたしの中でお暴れしてた時期の(笑)





「全く!どうしてあなたはいつもいつも急に来るわけ?あたしがいなかったらどうするつもりなのよ?」
「そりゃ帰るわよ?でもこんな時間にいないことないじゃない、レイはそんな"不良"じゃないでしょう?」
 ニヤリと唇の端を少し上げて笑いながら、彼女はチラリと壁の柱時計に目を向ける。
 すでに針は夜の11時を指していた。
 確かによほどの用事でもない限り中学生が出歩く時間ではないのかもしれないが…。
 で、ここにいるのはその特殊事情の持ち主だったりするのだが…。
「うっ…」
 アタシはブツブツ文句を言いながらもいつものように彼女のお気に入りの煎茶を淹れる。
「まさか寝てたってことはないでしょう?」
「起きてたけど…」
 アタシはついさっきまで読んでいた雑誌を、パタンと閉じてベッドの上に放り投げる。
「いいじゃない、ここんところ忙しくて会えなかったんだから…実は会いたいとか思ってたでしょぉ?レイ」
 ドクンっと跳ねあがる心臓。
「べ、別に!そんなこと…」
「だってソレ…」
 放り投げられた雑誌を指差す彼女に、あたしの鼓動が速くなる。
「あたし確かそれに載ってたよね?随分前にインタビュー受けた記憶あるわ」
「ち、違うわよ!たまたま!…そう、たまたま読みたかっただけよこの雑誌を!」
「ふーん、たまたま…ねぇ?」
 彼女はベッドにコロンと寝転ぶと放り投げられた雑誌をパラパラとめくる。
 ページをめくる音だけが部屋に響く。
 アタシはただ黙って煎茶をすすりながらそんな彼女を見つめていた。
「ん?」
 ふっと、彼女の視線が枕元のスタンドのそばに置いてあるものに注がれる。
「めがね?」
 紅色の細いフレームのめがねがキチンと折りたたまれて置かれていた。
 最近アタシが寝る前の読書時に少しだけかけているめがねだった。
「あぁ、うん」
「レイ、目悪かったっけ?」
 それを手に取ると、マジマジと観察し、"度"の有無を確認したいのか自分でかけてみたりとイジリ倒している。
「ちょっとだけね」
「ふーん、ね、かけてみてかけてみて!」
「どうしてよ!?」
「いや、新鮮だから。亜美ちゃんがかけるのはわかるんだけど、あなたがかけてるのって想像できないなぁっと思って、ね、ほらほら!」
 彼女は一瞬にしてめくっていた雑誌に興味を失うと、とっとと放り投げてめがねを片手にアタシににじり寄る。
「う…ヤダ」
 ガタンっとイスから立ちあがると、イヤな予感をひしひしと感じたアタシはジリジリと後ずさる。
 ドンっ
 ふっと気がつくと、アタシは壁を背中に感じる所まで追い込まれていた。
 何なのよ!この威圧感は?
 彼女の顔がふふふふふっとさながらアタシを解剖でもしようとする『悪の研究者』のような不気味な笑いを浮かべる。
「レイ!覚悟しなさいよ!」
「何よ!何の覚悟よ?」
「あぁ言えばこう言う!大人しく言うこと聞きなさいよ!」
「だからどうして?」
「もう!いいじゃないめがねくらい!」
「ヤダ!ぜぇったいヤダ!」
「もう、わけわかんない」
「わかんないのはあなたでしょう?」
 ここまで来たら何だかもう絶対彼女の前でめがねをかけた姿を見せたくなかった。
 すでに2人とも、意地の張り合いになっていた…。
 ダンっっと左腕を壁にあてると、彼女がアタシを逃がさないように”通せんぼ”をする。
 チラリとその腕に目をやり、そして反対側に視線を送り、そっちから逃げ出そうとするアタシを今度は右腕で阻止する。
 ちょっと…ピンチかも…。
 アタシの背中に流れる冷たい汗が、今の状況がとてつもなく危険だということを物語っている。
「ちょっ…もう!美奈?」
「ふっふっふ、逃がさないもんね」
 超至近距離に近づく彼女の唇の端が、ニヤリと少し上がる。
 いつものクセでアタシは思わずギュっと固く目を閉じてしまう。
 すぐそこで彼女の息遣いを感じた…瞬間。
 ふっと耳とこめかみに感じる冷たい違和感。
「へぇぇぇぇぇっ似合うじゃない!」
「え?」
 おそるおそる目を開けたアタシの目に飛び込んできたのは、一歩離れてアタシを上から下まで穴が開くんじゃないかというほどジっと見つめている彼女の姿だった。
 さっきまで少しだけぼやけていた世界が、今はキッチリとピントが合っていた。
「っていうか…新鮮ねぇ、すっごいそそるわ!美人女教師ってカンジ?」
「…?」
 呆然と見つめ返すアタシを尻目に、彼女はニヤニヤと笑いながら何やらゴソゴソとかばんを探っていた。
 出てきたのはコンパクトなデジタルカメラだった。
「な?」
「じゃかじゃん!へっへーはい、じっとしててよー」
「ば、ちょ、な、えぇ?」
「はい、行くわよ」
 カシャっと切れる電子シャッターの音と、ストロボの光に一瞬目がくらむ。
「うん、よく撮れてるわ」
 画像を確認するなり、満足そうにうなずく彼女。
「ちょ、ちょーーーっと待ったぁ!」
「ん?何?」
「そ、ソレどうする気よ?」
「え?コレ?」
 彼女はフリフリとデジカメを振ると、ニッコリと天使とも悪魔とも言えないような笑顔で微笑む。
「みんなにメールで送っちゃおうかな、それともパソコンの壁紙にしようかしら」
「…!?」
「そしたらずっとレイのこと見てられるしぃ」
 もう一度画面を再生させると、ニヤリと「見る?」とデジカメの画面を目の前に突きつける。
 アタシはそれを取り上げようと手を伸ばすが、ひょいっとよけられる。
「ふっふーん、やっぱりもったいないからあたしだけの秘密にしよーっと」
 振り上げたあたしの腕をくぐったかと思うと、彼女の笑顔が超至近距離に近づく。
 近づいたかと思うと、一瞬にしてその距離がゼロになる。
 ゼロになったかと思うと、唇が少し冷たくて柔らかい感触を感じる。
 くっきりと目の前に見えるのは、アタシの唇を奪う彼女の長い睫毛。
 なぜか目を閉じることが出来ないまま、じっと彼女に魅入ってしまう。
「ちょっとぉ?」
 目を開けてふっと離れた彼女の唇から不満そうな声が洩れる。
「?」
「キスしてるんだからさぁ、目ぐらい閉じなさいよ」
「ば、ば、ばか!何するのよ?」
 ボンっと一気に上昇するアタシの体温
「何って?いつものことじゃない」
「い、い、いつものことでも…!」
「わけわかんないわねぇ、全く」
 ブツブツ文句を言う彼女が、そっとあたしの顔からめがねを外す。
「んもう、そんなにイヤなの?似合うのに…こんな教師がいたら、男子生徒なんてイチコロ(死語)よねぇ?あたしだったら押し倒してるわ、絶対」
 彼女がアタシから取り上げためがねを自分でかけながらキッパリと言い切る。
「似合う?」
「似合わない!」
「ちょうだい?」
「あげない!」
 ばっっとアタシは彼女からめがねを奪い返すと、キチンとたたんで握り締める。
「はぁいはい、わかったわよ!もうしない!」
「ホントに?」
「うん、もう帰らなきゃだし」 
ふっと壁の時計を見上げると、すでに時間は12時近くを指していた。
「あ…うん」
「何よ?寂しいの?」
「べっつに!」
「くすくすっ素直じゃないわね」
 カバンを手にすると、背を向けてまた来るわっとひらひらっと手をふる。
「あ、…の」
「ん?何か言った?」
 顔だけで振り向く彼女の目が、キョトンとアタシを見つめる。
「あ、べ、別に…何でもナイ」
「くすっ、レイ?」
 ススっと近寄って来たかと思うと、少し腰を落としてアタシの顔をのぞき込む。
「え?」
「おやすみ」
 チュっと触れるだけのキス。
 いつものあいさつ。
 帰るという合図…また来るわの合図。
 今度は目を閉じて応じる。
 最後は結局彼女にしてやられるアタシ。
 やっぱり…意地の張り合いは今日もアタシの負け。
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Date:2008/08/22
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