Planetarium SS置き場

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□ 静留×なつき □

心の糸2

静留さんがイタイなぁ



 なつき・・・なつき・・・行かんといてなつき!
 背を向けて立ち去ろうとするなつきを追って静留は手を伸ばす。
「いやや!」
 自分の声に驚いて目を覚ました、そこはいつもと違う、見慣れぬ天井だった。
「気がついた?」
「あぁ、うち・・・」
 夢だったことに安堵の息を洩らし、そして不安になる。
「うち、何か言うてました?」
「・・・いいえ、何も。玖我さんが血相変えて飛び込んできた時は驚いたわ」
 どうやら保健室にいるらしい。
 なつきが運んでくれたんやろか、それとも。
「もう大丈夫よ、でも今日はもう帰りなさい、出来れば明日も休むのよ」
 保健医の陽子先生が白衣のポケットに手を突っ込んだままそう告げる。
「とりあえずよく寝て、ちゃんと食べて、ゆっくり休むこと、いいわね?」
「はい」
「藤乃さん?」
「はい?」
「あなたもまだ18歳のただの高校生なんだからね・・・お大事に」
「・・・おおきに、すいまへんでした」
 脱がされていた生徒会長の証である制服の上着を羽織ると、礼儀正しくお辞儀をしてドアを開けた。
「あ・・・」
 目の前に入ろうかどうしようか悩んでいたのか、ウロウロと熊のように歩き回っているなつきがいた。
「なつき?」
「大丈夫か?静留」
 飛んでくるなつきの顔が、不安そうに見つめる。
 そない泣きそうな顔せんといて・・・。
「ん、堪忍な、えらい心配させてしもて、ここんとこよぉ眠れんかったさかいにちょっと・・・な」
「送る」
「え?」
「送るから帰ろう、もう無理するな」
「でも」
「イヤなんだ、もう大事な人がいなくなるのはイヤだ」
 大事な・・・人。
 何度も何度も心の中でその言葉を反芻する。
 そして自分の想いとは違う意味であることを思い知らされる。
 なつきの生い立ちは知っている。
 大事な者を失う辛さは誰よりも経験してきているのだろう。
 うちもそのなつきの大事な人の一人になれたんや・・・。
 けどな、なつき・・・うちのホンマの姿見たらそうも言うてられへんようなるんよ。
 えぇ先輩、えぇ親友、そう思ってた相手が実はあんたのことを・・・。
 なつきを傷つけてしまうやろうなぁ。
 益々人間不信にさせてまうかもしれん。
「わかりました、お言葉に甘えます」
 結局こうするしかない。
 今まで通りに過ごすしか、なつきのそばにおる方法が見当たらへん。
 なつきを傷つけんようにそばにおるにはこうするしかあらへん。
 手を伸ばしたらそこにおる、その距離を保つには・・・。
 ・・・そうして静留はまた一つ、自分に傷をつけた。
 心に傷を負った。
「なつきに送ってもらえるやなんて嬉しいわぁ」
 笑顔が痛かった。
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Date:2008/08/25
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