Planetarium SS置き場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


* 「スポンサー広告」目次へ戻る
*    *    *

Information

□ 静留×なつき □

心の糸1

続きモノです




「静留、お前最近働きすぎじゃないか?顔色悪いぞ」
「そうどすか?」
 さりげなくするりと静留の頬を撫でると、ひょこんと覗き込む。
「ん、真っ青だぞ」
「あっ・・・」
 滅多に動揺を見せない冷静な静留の頬に紅がさし、ビクンと肩を震わせ、思わず目を閉じてしまっていた。
 ただ頬を撫でられただけなのに、それがなつきの手だというだけで静留の全身に電流が走る。

 ――バレてまう!

「おい静留?」
「え?あ、はい?」
 ふと我に返り、冷静に返す。
「本当に大丈夫なのか?神崎や菊川にでも任せて今日は帰ったらどうだ?送るから」
「嬉しいお誘いですが、こればっかりは会長のうちがやらんとあきませんねんよ」
 ニッコリと微笑み、平気だからと再び書類の束に視線を落とす。
 ホンマはなつきと一緒におりたい。
 なつきのバイクに乗せてもぉて一緒に帰りたい。
 なつきの背中の温もりを感じたい。
 ずっとこのコのこと見てたい。
 見つめてたい。
 せやけど・・・。
「おおきにね」
「あぁ、そうか」
 流れる沈黙。
 なつきはふっと窓から見える夕日に視線を向けた。
 部活を終えた生徒達もぼちぼち帰宅し始める時間だ。
 だが、なつきが帰る様子はない。
 ただひたすらぼんやりと窓の外を見ていた。
「あの・・・なつき?」
「ん?あぁ、何だ?」
「もう大丈夫やから・・・」
「あ、すまない、仕事の邪魔か?」
 ぴょんっと腰かけていた机から飛び降りると、申し訳なさそうに眉をハの字に寄せる。
「え?あ、ううん、そんなんやないけど・・・」
「邪魔ならば帰るが?」
「邪魔なんかやありまへん!!」
 思わず椅子を蹴り上げて、語気を荒立ててしまう。
「え?あ、し、静留?どうしたんだ一体?」
 ビクっと静留の剣幕に少したじろぐなつきを見て、しまったと後悔しても遅かったことを悟った。
「あ、堪忍な」
 カタンと椅子を戻すと再び腰を下ろすと笑顔で謝る。
 自分が感情を一瞬とはいえ表してしまったことを悔いながら。
「あんまりなつきの帰り、遅ぉなったらあかん思って」
「わたしのことを心配してくれる奇特なヤツなんて、お前と迫水くらいさ」
「迫水・・センセ?」
「あ、いや、うん、担任だからな」
 何かをごまかすようにそう言い繕う。
「あぁ、そうどすなぁ、あんまりセンセ泣かすようなことしたらあきまへんぇ?」
「うっ・・・わかってる!」
「うちはナンボでもなつきの世話焼きますけどなぁ」
 両肘を突いて指を組み、その上に顎を乗せるとニッコリ笑う。
「え?」
「なつきはうちのかわいいかわいい後輩ですからなぁ」
 そう言われ、顔を真っ赤にして俯き、もじもじと照れくさそうになつきは背中を向けた。
「ば、ば、ばかっわたしは一人でも大丈夫だっ、心配しなくていい!」
 強がりを言うなつきもやはりかわいいと思う。
 いや・・・愛おしい。
 抱きしめたい・・・。
 なつきの無防備な背中を見て何度そう思ったかしれへん。
 他人の前ではいっつも気ぃ張ってぴりぴりしとるクセに、たまにこうやってうち相手に無防備になる。
 今一番隙見せたらあかん相手やってゆーこと、なつきはわかってへん。
 ・・・なつきを想って眠られへん夜を何遍過ごしたか知れん。
 触れとぉて、抱きしめとぉて、想いが募るほど苦しさも増すだけやった。
 なつきが欲しい・・・いつの頃からかそう自覚するようになって、益々自己嫌悪の波に飲み込まれていく。
 夢の中で何度なつきを・・・なつきの体を蹂躙したかわからへん。
 何度も何度も・・・そんな自分が汚いと自覚してはいるものの、それでも想いは止まらない。
 いつかこの想いが暴れ出しそうで怖い。
 そないな自分を止める自信はあらへん。
 そうなれば最後、どうしてもなつきを傷つけてしまうやろう。
 この手でなつきを苦しめるくらいやったら死んだ方がマシやとは思う。
 今まで自分にそないな感情があるやなんて思ってもみぃへんかった。
 他人にこないに心乱されることがあるやなんて考えたこともなかった。
 冷静で狡猾で賢く生きてきたつもりや。
 誰にも自分の心を覗かれへんように、常にフィルターをかけて笑っていた。
 誰に言い寄られてもうまくかわしていたし、時にはうまく付き合ってもきた。
 だが、このコだけは・・・なつきだけはアカン。
 このコに近づいたらあかんってわかってたのに、いつの間にかうちの一番近いとこにおった。
 うちの心にするりと入り込んできたかと思ったら、一瞬でうちの心を占めてしもた。
 もううちはアンタのことしか考えられへん。
「なつき」
 ん?と夕日で赤く染まった顔で振り返る。
「好きどす」
「はぁ?」
「なつきが好きどす」
「ば、ばか、な、何を!?」
「好きどす」
「静留?」
「あんたはかわいいかわいいうちの・・・後輩やから・・・心配くらいさせてくれてもええやろ?」
「あ、あぁ」
 そういうことかと、静留の真剣な言葉を勘違いしたのを恥じて俯く。
「その・・・ありがとう」
「ん」
 はんなりと笑顔でその答えを満足そうに受け止める。
 あかん・・・限界かもしれへん・・・。
 静留は立ち上がり、ゆっくりとなつきのそばに歩み寄る。
「しず・・・る?」
 足音が目の前で止まった瞬間、顔を上げようとしたなつきを静止するように、ふわりと両腕でなつきの体を包み込んだ。
「おい・・・?」
「なつき・・・」
「静留?」
 静留の腕の中でみじろぎをする。
「もっと甘えてえぇんやからね」
「それは・・・お前の方だろう?」
「え?」
「お前がもっと甘えていいんだぞ」
「なつき?」
 トンっと体を少しだけ離すと、少しだけ高いところにある静留の目を見上げる。
「わたしじゃ頼りないか?」
 眉をハの字に寄せて、頼ってくれないのは自分の頼りなさのせいだと思っているのか、寂しそうに尋ねる。
「そ・・・んなこと・・・」
 言葉に詰まる。
 まさかそないな答えが返ってくるとは思ってへんかった。
 動揺する。
「わたしはそりゃ問題ばかり起こすし、お前にはかばってもらってばかりだし、生徒会の人間でもないから仕事も手伝えない、だがそれでもお前の力になりたいとは思う」
「なつき・・・」
「何が出来るかわからないけどでも・・・」
 よしよしと静留の頭を優しく撫でた。
「たまには頭くらい撫でてやるさ」
 ふわりとなつきの笑顔が広がる。
 泣きそうになるくらい嬉しい笑顔。
「なつ・・・き・・・おおきに・・・」
 その瞬間、グラリと静留の視界が揺れた。
 地に足がつかない。
 静留の名前を呼ぶ声が遠ざかる。


 ――暗転。
スポンサーサイト

* 「静留×なつき」目次へ戻る
*    *    *

Information

Date:2008/08/25
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://moetetsu7.blog59.fc2.com/tb.php/58-d821ba02
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

+
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。