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□ 静留×なつき □

想い

なつきのバカチンが!って思うくらい鈍感さん



「あの・・・藤乃先輩」
「え?」
「ちょっと・・・いいですか?」
 この子は確かなつきとおんなしクラスの子ぉやったような・・・。
 あんまり興味あらへんからハッキリ覚えてへんなぁ。
 ・・・男の子やし。
「何ぞ用事ですか?」
 連れてこられたのは中庭だった。
 何かイヤな予感がする。
 やっぱりついて来ん方がよかったかもしれへんなぁ・・・せやけどここまで来て帰るわけにもいかへんやろしねぇ・・・。
「藤乃先輩は神崎先輩と付き合ってるって本当ですか?」
 やっぱり。
「そないな話どっから聞いてきたん?」
 ため息と共にそう答える。
「噂・・・だから」
 顔を赤くして俯きがちに、少し言いにくそうにそう言葉を濁す。
 答えになってない、と思ったが別にツッコむほどでもないだろう。
 ウブな子ぉやこと。
「そうどすか、せやったらどないなんどすか?」
 いつものように顔に笑みは浮かべてはいるが、内心は不快感でいっぱいだった。
 イライラする。
 何が言いたいんやろ、この子。
 うちに何をゆーて欲しいんやろ。
「ハッキリ言いよし」
「あの・・・好きです藤乃さん!」
 あぁ、まだおったんやなぁこんな子。
 予想していた言葉とはいえ、静留の口から洩れたのは大きなため息だけだった。
 「堪忍なぁ、お気持ちだけいただいときます」
 ニッコリ微笑むとキッパリそう一言告げ、くるりと踵を返す。
「え、ちょ、ふ、藤乃さん?」
 追ってくる言葉に耳を塞ぎたくなる衝動に駆られるが、そんな素振りも見せずスタスタと歩き続けた。
 呆然と佇んで見送る彼をその場に残して・・・。

  ☆

「なぁ静留?」
「何?なつき」
 生徒会室を訪ねてきたなつきに席を譲ると、パソコンをイジり出したなつきの為にお茶を入れようと立ち上がった静留の手が止まる。
「お前はその・・・カレシとか・・・そーゆーのは作らないのか?」
 ドクンっ
「何やの急に?」
 動揺を悟られまいと、いつものように仮面をかぶったまま問い返す。
「いや、お前はわたしが知っているだけでもかなりの人数に告白とかされたりしてるだろう?」
「そうでもないですぇ?」
「いや、お前ほどのデキた女、放っておくヤツいないだろう?」
「なつきもやん」
「わたしは・・・お前ほど人当たりもよくないし、人と触れ合うのも苦手だからな」
「それでもうちのまわり、なつきのこと気にしとる人よぉさんいますぇ?」
「そんなことないさ、そいつは本当のわたしを知らないだけだ」
「ホンマの・・・なつき」
 ホンマのうち・・・。
 そんなんわかったら、そない気楽なこと言うてられへんようなりますわ。
 うちに近づいてくる男も女もおらへんようなるやろね。
 ・・・なつきですら・・・うちの前から消えてまうかもしれへん。
 そんなんイヤや!
「昨日お前に告白していた相手は、わたしのクラスのヤツだろう?年下は興味ないのか?」
「そんなわけちゃいますけど、ただあの子に興味あらへんだけどす」
「そうか」
「見てたん?」
「たまたまだぞ!偶然わたしが通りかかった時に見てしまったんだ!ぐ、偶然だぞ、うん」
 ゴニョゴニョと言い訳がましく言葉を濁す。
「そうどすか」
「ア、アイツ、あれでも結構人気あるみたいだぞ」
「へぇそうどすか・・・なつきも興味あるん?」
「バカ言うな!わたしはそんな!・・・恋愛とかそんなことに現を抜かしてるほどヒマじゃないんだ!」
 なつきは一体何が言いたいんやろ?
 顔真っ赤にしはってからに。
 まさかホンマにあの子に興味あるんやろか・・・。
 でも、それが普通の感情なんかもしれへんけど・・・な。
「実際静留はどんなヤツが好みなんだ?静留は何でも出来るし、そんじょそこらのヤツだとつりあわないよな」
 話を逸らそうとしてまた引き戻すなつき。
 ・・・キツイなぁ。
 うちのホンマの気持ち知ったらどないな反応しよんねやろこの子は。
「それこそやっぱり神崎辺りとなら似合う・・・」
「もうやめよ」
 もう聞きたない、なつきの口からこれ以上くだらん話聞くのはイヤや。
 スパっと鋭い言葉で話を遮る静留に目を丸くするなつき。
「え?」
「もうええわ、これ以上こないな話したないし」
「あ、う、うん、すまない」
 抑揚のない、感情のかけらも見当たらない声が洩れる。
 なつきの額に冷や汗が流れ、慌てたように立ち上がると、そそくさと部屋を出て行こうとするなつきを思わず呼び止めてしまう。
 発する言葉も見つからないのに・・・。
「なつき!」
「え?」
「・・・なんでもあらへん、堪忍」
 いつものようにふわりと微笑んでいたつもりだが、果たして実践できているのか・・・。
「あ、いや、わたしの方こそすまなかったな」
 素直に自分の非礼を詫びようと頭を下げ、顔を上げた時にはもういつものなつきの顔になっていた。
 ドクンっと脈打つ心臓。



 うちの好きな顔。

 うちの好きな声。

 うちの好きな瞳。

 うちの好きな長い



 うちの好きな・・・なつき。

 なつき・・・うちが好きなんはアンタだけや。
 興味あんのはあんたのことだけや。
 なつきはツッパッとるけどホンマは寂しがり屋やってことも、動物にはえらい優しい顔しよるとか、成績はエェけど家庭科はアカンとか・・・生い立ちとか、今なつきが関わってる事・・・HiMEの事とか、アンタはうちが何にも知らんと思ってるんやろうけど、な。
 それに・・・まさかうちの体にも同じモンがついてるとは夢にも思ってへんやろね。

  ☆

 いつの間にか一人になった生徒会室でボンヤリ佇む静留。
 窓から見える、どんどん小さくなっていくなつきの後姿。
 振り向きもせず颯爽と歩く姿に見惚れる。
 ポタリ・・・と握り締めた手に水滴が滴る。
「なつき・・・」
 愛しい相手の名を呟き、想い焦がれ、零れる涙。
 決して叶うことのないであろう恋心を抑えることの苦しさなど、産まれてこの方味わったことはなかった。
 気になる子ぉかて、優しぃしたったらすぐうちの手に落ちよるからすぐに飽きてもぉた。
 欲しいモンは何でも手に入ったし、大概のことはすぐにこなせた。
 何でも出来る優等生を演じることなどたやすいことや。
 せやから大丈夫、「親友」くらい演じられるハズ。
 何度もそう言い聞かせてきた。
 なのに日を追うごとに・・・なつきと過ごす時間が増えていくと共に膨らむ想いに、静留はいい加減潰されそうになっていた。
 洩れる泣き声を、口を塞いで押さえる。

 ――好きや、好きや、好きや、なつき――

 溢れる感情を抑えるように大きく深呼吸を繰り返す。
 大丈夫、大丈夫や、うちには出来る・・・もうちょっとやから、もう・・・
 何もかもこの手で・・・。
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Date:2008/08/25
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