Planetarium SS置き場

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□ 静留×なつき □

G

この頃ちょうど家にゴキが出やがったんやなぁ~確か。



 ガサっ
「・・・ん?」
 ゴロリとソファに横になって雑誌を読みふけっていたなつきは、その物音に反応してふと顔を上げた。
 ガサガサっ
「・・・?」
 よぉく目を凝らしてその音のした方を睨む。
 チラリと目の前を横切るソレの正体を見極めた瞬間、なつきの顔面から一瞬にして血の気が引いた。
「やぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
 ソファから飛び起きると、バイクの鍵とサイフと携帯をひっつかみ、バタバタバタっと玄関に向かって走り出した。

  ☆

 ぴんぽんぴんぽんぴんぽーーーーん!
「え?」
 静留はそろそろ床につこうかと浴衣に着替えたところだった。
 そんな矢先の騒がしい訪問客に、レポートをやっと終えて疲れていた静留はため息をつく。
「えらいこないな遅い時間に誰やろ?」
 呟きながらもこんな乱暴な鳴らし方をするのは彼女以外にはいないだろうと思い、迎えに出る為に上着を羽織った。
「はいはい、そない乱暴に鳴らさんでもわかりますぇ」
 言いながらチェーンを外し、鍵を回した瞬間だった。
 グイっと思いっきりドアを引っ張られ、まだノブに手を置いたままだった静留の体は前のめりにバランスを崩した。
「あらっ?」
「静留!!!」
 もう静留がなつきの胸に飛び込んだのか、なつきが飛び込んできたのかもわからないように、二人の体はしっかりと抱き合っていた。
「静留ぅ~」
「ちょ、え?なつきどないしたん?」
「た、助けて!」
「え?」
 やっと体勢を整えた静留は、しっかりと抱き止めたなつきの背中を優しくさすりながら玄関に入れる。
「なつき?どないしたん?こない体震わせてからに」
「出た・・・」
「え?何が?」
「ヤツが・・・」
「だから誰が?」
 ゆっくりと静留を見上げるなつきの瞳が涙で潤んでいた。
 今にも泣き出しそうな表情のなつきに静留の心臓が跳ね上がる。
 ちょ、え?な、これ何?なんでなつき泣いてんの?
 こないななつきもえらいかわいらしいやないの!
「・・・ブリ」
「はい?」
 なつきのかわいさに眩暈を起こしそうになっていた静留は、一瞬なつきが何を言ったのか聞き逃してしまった。
「だから!ゴキブリが出たんだ!」
 そう叫ぶと再び静留の胸に顔を埋めて、なつきはプルプルと体を震わせた。
「なつき・・・あかんの?」
 コクリ
「殺虫剤とか持ってへんのん?」
「そ、そんなもん向けて、飛んで来たらどうするんだ!」
 ガバっと半泣きの顔を上げるとなつきはグラグラと静留の胸倉を掴む。
「でもなつき、そのまんまやったら家帰れまへんやろ?」
 コクリ
「・・・泊めてくれ」
「それは全然えぇんやけど・・・」
 静留はここ3日ほど大学のレポート作成のため、なつきの部屋に行かなかったことを後悔していた。
 なつきのことだ、3日もあれば充分だろう。
 なつきの部屋の惨状を想像しただけでため息が出る。
「明日一緒に帰りまひょな」
「ん」
「ほな部屋入り、もう寝よう思ってたさかいなつきもシャワー浴びて寝巻きに着替えといで」
 なつきのお泊り用パジャマを取りに行って戻って来ると、なつきが一人浴室の前に佇んでいた。
「どないしたんなつき?入らへんのん?」
「・・・一人にするなよ、静留」
「え?」
「一緒に入れ」
 誘ってるにしては乱暴なモノの言い方だ。
「どないしたんなつき?一人で怖いん?」
 ふっと我に返ってなつきは自分の言葉が、静留の心に火をつけそうになっていることに気づき、言い直した。
「せめてそこにいろ!絶対どこにも行くなよ!」
「はいはい、でもなつき、ゆーときますけどうちには出ませんぇ、清潔にしてますさかいにね」
「わ、わ、わかってる!」
 図星を指され、バツが悪かったのか顔を赤くして俯いた。
「くすくす、一緒に入りましょうか、なつき」
「うっ・・・いい、すぐ出るから待ってろ」
「はいはい」
「絶対そこにいろよ!」

  ☆

 浴室に飛び込んだなつきをニコニコと見送ると、ドアにもたれかかってなつきの出てくるのを待った。

 カラスの行水と呼ぶにふさわしいほどの時間でお風呂から出てくると
 なつきは少し落ち着きを見せてソファにドサっと腰を落とした。
「すまなかったな静留」
「どうにか落ち着いたみたいですな?」
 くすくすっと楽しそうに笑うと静留はお茶を差し出した。
「笑うな!」
 受け取ったお茶をズズっと飲み干すと、はぁ~っと大きなため息をついた。
「せやけどなつきがゴキブリ苦手やって知らんかったわ」
「うっ・・・言うな」
「かいらしとこあるんやねぇ」
「だからっ・・・うっ・・・」
 また一つ静留に弱みを見せてしまったことが、今更ながら恥ずかしくなったのかなつきは顔を伏せてしまった。
「お前は大丈夫なのか?」
「それは出来れば会いとぉないもんですけど、なつきほどやありまへんぇ。少なくとも殺虫剤で応戦くらいは出来ます」
「すごいな静留は」
 疲れきった顔を見せながらも尊敬の眼差しで静留を見上げる。
「それほどやおまへん」
 なつきに褒められたことが嬉しかった静留は、ニコニコと笑み、なつきの頭をなでなでと撫でる。
「もう遅くなりましたな、寝ましょうか」
「すまなかったな、レポートやってたんだよな」
「丁度終わったとこやったんよ」
「そっか」
「ほら、明日の戦闘に備えて今日はもう寝ましょ」
「うっ・・・ん・・・」

  ☆

「うぅっ・・・あ・・・ん!」
「なつき?」
 なつきのうめき声に目を覚ました静留は体を起こすとなつきを見下ろす。
「んんっ・・・」
 苦しそうに額に汗を浮かべ、Tシャツの胸元をギュっと掴んでいる。
「なつき?どないしたん?」
 ゆさゆさと体を揺する。
「うわぁぁぁっ!・・・あぁ静留・・・びっくりした・・・」
 ガバっと布団を跳ね上げるように勢いよく体を起こすと、全身で荒い呼吸を繰り返す。
 全身から噴出す汗が、夢見の悪さを物語っている。
 静留はゆっくりなつきの背中をさすってやった。
「あぁ、すまない、もう大丈夫だから・・・」
「なつきえらい汗かいてますぇ、着替えた方がよろしいね」
「ん・・・夢の中で・・・アイツが襲って来るんだ」
「大丈夫、ここにはそないなもんおらしまへん、来たかてうちがやっつけますからなつきは安心して寝ぇ」
 言いながらなつきのびっしょり濡れたTシャツに手をかける。
「ん・・・」
 されるがままのなつきは、Tシャツを脱がされた瞬間パタンとベッドに倒れこんだ。
「ふふっ、ほらなつき、こっちおいで」
 着替えさせるのを諦めた静留は、よしよしと頭を抱いた。
「ん」
 ごそごそと静留の元へ体をぴったり寄せる。
「くすぐったいわぁなつき」
「あの・・・な静留」
「ん?」
「何でもするから・・・明日、一緒に・・・」
「わかってます。ほら、えぇ夢見れるようにずっと抱きしめとってあげるから寝ぇ」
「うん、おやすみ」

  ☆

「そしたらなつき、行きましょか」
「う、うん」
 静留の腰に、へっぴり腰のなつきがしがみついていた。
「大丈夫やから鍵開けますぇ」
「うん」
 静留が自分の合鍵でなつきの部屋の鍵を開けると、そっとドアを引いた。
「・・・いるか?」
「なつき・・・」
「い、いたのか?」
 ビクンっとなつきの体が硬直するのを静留の腰が感じ取る・・・が、目の前の光景の方が強烈過ぎて呆然と佇むしかなかった。
「これは・・・探すのも一苦労ですぇ?」
 はぁ~っとため息をつく。
 瞬間、どこからともなく気配を感じた。
 カサっ
「ぎゃーーーーっわーーーっ静留ぅぅぅ」
 一瞬でその気配を断ち切るような悲鳴が聞こえた。
「え?」
「そこっ、そこにいる!」
 なつきの指さした方には、食べた後のカップラーメンの器が転がっていた。
 その下を黒い影が蠢いているのを静留も見つけた。
 持参した殺虫剤をサっとそれに向けると、シューっと吹き付けた。
 逃げ出そうともがくそれに、静留はしつこく吹き続けた。
 いつの間にか静留の腰を離れ、部屋を飛び出していたなつきは音が止んだのを聞きつけるとそっと覗き込む。
「し・・・静留?」
「もう大丈夫どすぇ、なつき」
「それ・・・どうするんだ?」
 目を背けたまま問う。
「流しましょうか」
 静留は洗面所に向かうと、何重かに巻いたペーパーを手に戻ってきた。
「うちかてそない得意やないんどすがなぁ、なつきの為や、気張りましょうか」
 えいっと息絶えたそれをペーパー越しに捕まえた静留は、そのまま流しにトイレに向かう。ジャーっと水を流す音が聞こえ、戻ってきた。
「はい、なつき、もう大丈夫ですぇ」
「ほ、ホントか?」
「ん、せやけどなつき、いくら何でもこれはあきまへん」
「え?」
「こない食べたモンとかそのまま散らかすさかいあんなもんが出るんどす」
 先ほどソレがうろついていた辺りを指差す静留の声が僅かに震える。
「あうっ」
「なんぼうちがおらへんからゆーたかて、これはあきまへん」
「す、すまない・・・」
「片付けよし!」
「は、はいぃぃっ!」
「終わったらいっぺんバ○サン焚きましょ、これ何匹出てくるかわからしまへんぇ」
「いやだぁぁぁっ」
 逃げ出そうとするなつきの服を引っ張り、それを阻止する。
「逃がしまへん」
 一人でゴキブリもやっつけられないなつきと、そんななつきを放っておけない静留が一緒に暮らす日も近い・・・かもしれない。
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Date:2008/08/25
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