Planetarium SS置き場

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□ 静留×なつき □

これは・・・そんなに気に入ってない、リアルすぎて(笑)



「なつき、おるん?」
 いつものように夕食を作りに寄ったなつきのマンション。
 だが、いつものような反応がないのを不信に思い、声をかけてみる。
「ん」
 奥の部屋から短い返事が返ってきたが、顔を見せる気配はなかった。
「ご飯すぐ作りますさかい、ちょお待っててな」
 両手に提げた買い物袋をドサっとテーブルの上に置く。
「ん?何やのんコレ?」
 テーブルの上に白い角封筒と書類が放置されていた。
 それを手に取ると、ザっと目を通す。
「戸籍・・・謄本?なつきの?」
 その時、のそりとなつきが姿を現した。
「あぁ、ちょっと必要だったんでな」
「そうなん」
 ガサガサと書類を折りたたんで、ボロボロになった封筒にしまう。
「あぁ」
 抑揚のない口調。
 ドサっと力なくイスに落ちるように座ると、背もたれにだらしなく腕をひっかける。
 静留はなつきの目が少し腫れていることに気づいていたが、あえて理由は聞かずに買い物袋から食材を取り出しはじめた。
「すぐ作るわな」
「・・・うん」

  ☆

 満腹になったせいか、少しだけ表情が柔らかくなったなつきはソファでくつろいでいた。
「はい、お茶」
「あ?あぁ、ありがとう」
 受け取ると、ズズっと一口すする。
 それを見た静留も、なつきの隣に腰をかけた。
「なつき?」
「ん?」
「おいで」
 そっとなつきの頭を抱き寄せる。
「ちょ、おい、静留?アチっ!」
 ジタバタと湯飲みを持ったまま腕の中でもがく。
「堪忍な」
 そっと解放されると、なつきはとりあえず湯飲みを置いた。
「危ないだろっ全くぅ」
 眉を吊り上げて静留を睨もうとした瞬間、静留はもう一度なつきの頭を抱き寄せた。
「お、おい、静留?」
 不可解な静留の行動に動揺するなつきだったが、それを意にも介さず静留は
「よしよし」
 とナデナデと頭を優しく撫でる。
「え?」
「なつきにはうちがおるさかいに」
「あっ・・・うん・・・わかってる」
 そっと静留の胸元に顔を押し付ける。
「見たんだよな?アレ・・・私は別に気にしてないんだ・・・アイツが誰と再婚してようが関係ない・・・しな」
「ん」
「別にソイツが私の母親になるわけじゃないし」
「うん」
「私の母は玖我・・・紗江子、唯一人なんだ」
「せやねぇ」
「あいつは・・・仕方がないからわたしの面倒を見てるんだ・・・母さんがいないから仕方なく・・・きっと母さんが生きてたらわたしのことなんかとっくに捨ててるだろう・・・そんなヤツだ」
 悔しそうに言葉を吐き出すなつきの言葉を黙って聞きながら、長くてキレイな髪をゆっくり何度も梳いてやる。
「早く大人になりたい・・・静留」
「ん?」
「あんなヤツに頼らなくても生きていけるようになりたい・・・」
 グスンっと鼻をすする。
「せやね、気張らんとあかんねぇ」
 なつきの、うっすらと涙の浮かんだ目元にそっと唇を寄せる。
「こないかいらしぃなつきをほったらかしにしはるお父はんなんか気にせんときよし、なつきはなつきやねんから・・・玖我紗江子の娘の玖我なつきやねんから」
 静留は再び封筒から謄本を取り出すと、なつきの母の欄を指差す。
「ちゃぁんと書いてるやろ?玖我なつき(母・玖我紗江子)って」
「うん」
「アンタのお母さんは見たこともないような女の人やあらへんから安心しよし、な?」
 静留はなつきを抱きしめていた腕の力を緩めると、コツンとなつきの額に自分の額で触れた。
「それにななつき、世の中にはこんな紙きれよりも大事なもんがあると思うんよ?」
「え?」
 なつきはきょとんと静留の目を見つめる。
「絆・・・」
「きず・・・な?」
「そうどす、書類上親子かもしれへんけどなつきんとこは親子ゆぅには程遠い関係やわね?
逆に両親が離婚しはった子ぉかて、苗字変わっても親子の絆は変わらへんとこもある。うちかてなつきとはこの先もずっと戸籍が一緒になることあらへんで?せやけど何よりも誰よりもうちはなつきが好きや・・・なつきのことが誰よりも大事やねんよ?うちとなつきにはあの祭りを乗り越えた絆がある・・・ってうちはそう思っとります。親子とか兄妹とか配偶者とかそない大事な人との絆、こないな紙きれ一枚に縛られとぅないわ」
 ひらりと持っていた謄本を手放す静留。
 パサリと足元に舞い落ちる。
「静留・・・」
「なつきはそれでもこないな紙きれ気にするん?」
「・・・だから気にしてないって」
 図星を言い当てられてぷくっと頬を膨らませるなつき。
 くすくすと口に手を当てて笑う静留。
「なつき知ってる?」
「何が?」
「これはホンマに最終手段をして覚えとったらえぇと思うねんけどな、戸籍って分籍できるねんよ」
「ぶんせき?」
 再びきょとんと静留を見上げるなつきの瞳。
「お父さんの戸籍から出て、自分だけの戸籍になるんよ。名前は変わることないけど戸籍だけが独立すんねんよ。まぁそこまでする必要はあらへんやろうけど、気になるんやったらそういう手ぇもありますゆぅだけの話どすけどな」
「そんなことが出来るんだ」
「もうちょいなつきが大人になったら・・・な」
 ちょんっとなつきの鼻の頭を指で突くと笑う。
 つられてなつきにも笑顔が戻る。
「あんまりアセらんときよし、ゆっくりでえぇから一緒に大人になって行けばえぇ。なつきが大人になってどないな選択しよっても、うちはずっとアンタのそばにおるさかいに、な?」
「ありがとう静留」
「ん」
 ふわりと微笑む静留の唇に、なつきはそっと自分の唇を重ねた。
 ずっと静留のそばにいようと・・・静留との絆を壊さないようにと、そう誓うかのように優しく・・・。
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Date:2008/08/24
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