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□ 静留×なつき □

笑顔1

設定捏造しまくりの一品(笑)
続きます




「ホラなつき、ほっぺたにごはんつぶついてますえ」
 ちょんっと頬についたご飯粒をつまむと、ひょいっと自分の口に放り込む。
「う、あぁ、すまん」
「ふふっ子供みたいやねぇ、なつきは」
 子供みたいだと言われ、恥ずかしさから上気する頬。
 その様があまりにもかわいらしくて静留の顔に笑みが広がる。
 自分の器からひょいっと肉じゃがのじゃがいもを箸でつまんで持ち上げると
 そのまま本来行くべき口元へは行かずに目の前の口元に向かう。
「あーん」
「え?」
「あーんしなはれ」
「うっ・・・あー・・・ん」
 渋々というように口を小さく開けると、ぱくっとじゃがいもをくわえた。
 なつきは真っ赤だった頬を更に染めてもぐもぐと口を動かす。
 その様子を満足そうに微笑んで見守る静留。
「全くお前は・・・母親みたいなことするな」
 「そうどすか?何やなつき見とったら母性本能くすぐられるんどすわ」
 なつきの世話を焼くのが楽しいらしい静留のおかげで、部屋がキレイになって食生活も満たされているので文句は言えないのだが。
「そういえば静留、お前の母親ってどんな人なんだ?」
 今更のように疑問を持ったなつきは、何となくという風にサラダをつつきながら尋ねた。
 自分の母親の事はあの事件の時に静留にも知られているが、よく考えたら静留の家族のことは聞いたことがなかった。
「うちのお母はんですか?せやねぇもうちっさい頃に亡くなってますさかいにそないに記憶はないんやけど、優しい人どしたなぁ」
 瞬間、なつきはポロリと箸を転がす。
 初めて聞いた話に衝撃を受けたなつきは、しばし口がきけずに呆然としていた。
「ん?どないしたん?」
「え?だってお前・・・え?」
 あたふたと冷や汗を噴き出すなつき。
「あら?ゆぅてまへんでしたか?うちは今父一人娘一人なんよ」
 てっきりなつきが知っているものだとばかり思っていた静留は、今更ながら現在の家族構成を説明した。
「そ、そうなのか、すまないことを聞いてしまったな」
 しょんぼりと自分の失言を反省するように肩を落とすなつきがかわいくて、そんなところも愛しいなと目を細めて微笑む。
「別にえぇよ、お母はんはうちが子供の頃に病気で亡くなりましてん。せやね、なつきんとことおんなし頃かもしれへんねぇ」

  ☆

 なつきが母親を亡くした頃、なつきはまだ幼い子供だった。
 その事故が原因で一年留年してしまった程の傷を、身体と精神に負った。
 静留はなつきのように酷な亡くし方をしたわけではない。
 それになつきと違うところは、父親が静留に愛情を注いでくれたところだ。
 溺愛といってもいいくらい静留をかわいがってくれていた。
 それはありがたいと静留も感謝はしていた。
 ただその愛情が母親が亡くなった後、少し過剰になりはじめた。
 静留が母親の面影を濃く継いでいるせいか、父親の母への愛が歪んだ形で静留に注がれるようになってしまった。
 もちろん静留のことも愛してくれてはいたが・・・。
 そんな父親の愛情に答えるように、期待に背かない優等生を演じてきたのも事実だ。
 だが、それがいつしか重荷に感じはじめていたのもまた・・・事実。
 風華学園に来て寮に入ったのも、少し父親から離れたい、お互いのためにも離れなきゃいけないと思ったからだ。
 親の目から離れたからと言ってハメを外すような静留ではなかったが、それでも一緒に暮らすよりは楽かもしれないと思ってのことだった。
 案の定大反対はされたが、結局は静留が押し切る形になってしまったのだ。

  ☆

「そうなのか・・・」
「ん、静ちゃん静ちゃんゆぅてよぉ頭なでてもらいましたわ、それがまた心地よぉて・・褒められたぁて色々お手伝いしたりしてなぁ」
 幼い頃を思い出すように一瞬遠くを見つめるが、すぐになつきに視線を戻してにっこり笑う。
「なつきもせやろ?お母はんに褒められるの嬉しかったやろ?」
「う、うん」
「よしよし」
 静留はなつきの頭をやさしくなでてやると、気持ちよさそうに目を閉じて甘んじるなつきの顔を見ながら昔のことを思い出していた。

  ☆

「静ちゃん、お手伝いしてくれはんの?おおきに、えぇ子ぉやねぇ」
 よしよしと頭をくしゃくしゃに撫でられるのが嬉しくて、静留はよく母親の後ろについてまわった。
 元々頭の良い静留は、幼いながらも周りの空気を読むことに長けていた。
 洗濯物をたたみ始めた母親の横にちょこんと座ると、一緒に洗濯物をたたみ始めた。
 小さな手で母親の真似をして一枚一枚丁寧に畳んでいく。
「お母はんの真似」
 屈託なく笑って見上げる。
「静ちゃんはえぇお嫁さんなるわ」
 母親はよしよしと静留の頭を撫でると嬉しそうに笑う。
「ホンマに?」
「えぇ、ホンマどす」
 そう言われたのが嬉しくて、思わず畳みかけの洗濯物を放り出して静留はきゅっと母親の腰にしがみついた。
「あらあら、せっかく畳んだ洗濯物がくしゃくしゃやねぇ」
「あっ」
 照れたようにそっと腕を離すと、静留は自分が放り出した洗濯物をもう一度丁寧に畳みなおす。
 そんな静留を見守る母親の瞳は優しさに満ちていた。
 静留は無条件に注がれる愛情を一心に受けて育っていた。
 まさかその母親が自分の前からいなくなるなど、この頃は考えたこともなかった。

  ☆

「お母はん?」
 ベッドに横たわる母親を静留は無表情で見つめる。
 ベッド脇から顔を覗き込もうと、少しだけ背伸びをする。
 眠っているような穏やかな表情。
 病に侵されていたことをおくびにも出さず、毎日ベッドの上で微笑んでいた母親。
 ぴくりとも動かなくなったその肩にそっと触れる。
 冷たい体。
 静留にはわかっていた。
 二度と自分に笑いかけてはくれないのだろうということが・・・。
「静留」
「お父はん?」
 無言で首を振る父親に、静留は全てを理解した。
 母親との永遠の別れが来てしまったということを。

  ☆

 静留は父親と二人、慎ましく静かに日々の生活を送っていた。
 母親と同じように茶道や華道をたしなみ、本来の器用さか才能かめきめき腕を上げていく。
 それに逆らうように静留の顔からは子供らしい笑顔が消えて行った。
 大人になったからではない。
 まだ十分子供と言うにふさわしい年齢なのに、だ。
 ただ心の底から楽しいとか嬉しい等という感情が消えていった。
 静留が微笑むと周りがなごむ。
 静留が微笑むことでモメ事は解決する。
 静留は自分の笑顔の効能を、幼いながらによくわかっていた。
 頭の良い静留は嬉しくなくとも、楽しくなくとも微笑みを絶やすことはなかった。
 そうすることで穏やかな生活を送れたから。
 ただそれだけだ。
 別に誰かに心を開きたいとも思わないし、誰に頼らなくても結構一人で何でもこなせたから困りもしなかった。
 寂しいとも感じなかった。
 それに、静留がどれだけ一人になりたいと望んでも周りがそれを許さないのだから、それならば問題なく穏やかに暮らす方が得策だと思っていた。
 そんな静留だから 父親から離れるために単身風華学園の寮に入っても滞りなく暮らせていた。
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Date:2008/08/23
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