Planetarium SS置き場

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□ 夏実×美幸 □

喧嘩

相変わらず逮捕ブームです〜
基本夏実視点です。








「もう!そんなんだったら優し〜い中嶋くんのとこでも行けばいいじゃない!」
 
 つい口から出てしまった言葉だった。
 そんなこと言われるとは思ってもいなかったのか、両手の拳をふるわせて目に涙を浮かべた美幸があたしにクッションを投げつけた。
 ぼふっ
「痛っ」
「夏実のばかっ!もう知らない!」
「待ちなさいよ!ちょ、美幸?」
 一歩遅れて美幸の後を追うが、玄関に置いてあった鍵を片手に飛び出して行ったあとだった。
 バタンと無情にも閉じられた扉に向かって伸びる手は美幸には届かなかった。
「ばかっ!もう知らない!」
 ボスンっと腹立ちまぎれにクッションを投げつけた。

 テレビを見ても、本を読んでも、筋トレをしていても、どうも気が晴れない。美幸の涙を浮かべた顔がずっとチラついている。
「はぁーーーーっ」
 ドサっと背中からベッドに倒れ込んだ。
 ギシっとベッドが軋む音の後、シーンと静まり返る部屋。
 自分の呼吸の音しか聞こえない。
「この家・・・こんな静かだっけ?」
 美幸・・・どこ行ったんだろ?
 時計に目を向けると、もう夜の11時を回ったところだった。
 いくら何でも遅すぎない?いやでも子供じゃないんだから!
 いやいやいや子供じゃないから危ないんじゃない?
 まさか泊まってくる気?どこに?頼子たちは今日夜勤でしょ?
 どっかホテルに泊まるにしても財布持って行ったっけ?免許証は?車の鍵は?
 ぐるぐるぐるぐると嫌な考えが次から次へと脳裏を駆け巡る。
「もーーーーー我慢できない!探しに行こう!」
 ガバっと起き上がるとGパンとジャケットを羽織り、ヘルメットを手にすると部屋を飛び出した。

  ☆

 夏実のばか!何もあんなこと言わなくてもいいじゃない!
 鍵を片手に飛び出し、ヨタハチに乗り込んだあたしはエンジンもかけずにハンドルに突っ伏する。
 頼子や葵ちゃんは夜勤で留守だし・・・いたとしても頼子んところなんて言ったら何を噂されるかわかんないし、葵ちゃんは・・・あれでも一応男だし。
 中嶋くん・・・か。
 「ホントに中嶋くんのところに言っちゃうわよ?」
 呟いてみるけど、でもどうしてもキーを捻ることが出来なかった。
 もしかしたら夏実が追いかけてくるかもしれない・・・。

  ☆

 バイクで流しながらキョロキョロと視線を泳がせる。
 あまりよそ見をすると事故になりかねないので気をつけながら、美幸と一緒によくでかけたところ、美幸が行きそうなところを中心に流した。
 でも見つからない。
 車で出かけてるとしたら見つからないかもしれない。
 でも目立つよね、あの車だと。
 あれ?車、ガレージにあったっけ?しまったー見て来たらよかったなー。
 結局見つけられないまま、さすがのあたしも体力の限界が近づいていた。
 諦めモードで天を仰ぐ。
 いつの間にか空が明るくなってきていた。
 夜明けだ。
「もうすぐ出勤時間だ・・・帰らなきゃ」
 結局一睡もしないままタイムオーバーだ。
 出勤しよう。

  ☆

 いつもの起床時間に合わせたままだった携帯のアラームが鳴った。
 結局ウトウトしただけでほとんど眠れなかった。
 結局夏実は迎えには来なかった。
「はぁ〜」
 どこか期待していた自分の馬鹿さ加減に大きくため息をつく。
 私服で出て来てよかった、このまま出勤してしまおう。
 でも・・・結局職場で顔を合わせることになるのよね。
 まぁみんないるし・・・仕事は仕事として切り替えるしかない。
 ヨタハチのエンジンをかけた。
 あたしの気分が通じているのかな?心無しか機嫌の悪い音がする。
 
 夏実・・・ちゃんと起きたのかしら?
 遅刻しなきゃいいけど・・・ってこんな時まで夏実の心配しちゃうなんて習慣なのね。
 
  ☆

「おふぁよぉ〜」
「何よ夏実、大きな欠伸!また二日酔いなの?」
 何も知らない頼子が呆れながら駆け寄って来た。
「ちーがうわよ〜ちょっとねぇ」
「また美幸に置いて来られたの?」
 人の不幸をおもしろがるように笑う。
「え?・・・今なんて?」
「だからーまた美幸に・・・」
 最後まで言う前に頼子の両肩を掴み、ガックガックと大きく揺らした。
「美幸来てるの???」
「うわぁぁぁっちょ、夏実ぃぃぃぃっ?やぁめぇてぇぇ!!」
 叫びながら頼子の指は交通課を指差す。
 あたしは頼子を放り投げて部屋に向かった。
「はらほろひれ〜」
「美幸!!いるの??」
 バタン!っと勢いよくドアを開けると、驚いた面々が一瞬シーンっとなる。
「・・・ってあれ?美幸は?」
「あの・・・ガレージに・・・」
 あたしの剣幕に驚いた葵ちゃんが、おそるおそる窓の外を指差した。
 その場を飛び出したあたしは、ダッシュでガレージに向かった。


 ガレージに着いたはいいが、さすがにいつものように声をかけることを躊躇われ、とりあえずそーっとを覗き込んでみた。
 ドクンっと心臓が跳ねる。
 そこにいたのは美幸だけじゃなかった。
「中嶋くん?」
 声を殺してもう一度こっそり覗く。
 何を喋っているのか聞こえなくてもどかしい。
 1人で悶々と悩んでいた時だ、目の前でとんでもない光景が繰り広げられた。
 美幸が中嶋くんの腕の中に飛び込んだのだ。
「ちょっ!!!」
 美幸の身体を受けとめた中嶋くんが、驚きつつもしっかり美幸の肩を抱きしめていたというショッキングな光景に、あたしは思わずその場から逃げ出してしまった。


「はぁ〜」
 課に戻ったあたしは席につくと頬杖をついて大きなため息をついた。
「どうしたの?夏実、美幸いた?」
「あぁ」
「ふーん、で?何でそんなため息ついてんのよ?」
「べっつにぃ〜」
 もう一度ため息をついた時だ。
 葵ちゃんがお茶と和菓子を持って来てくれた。
「夏実さん、いただきものなんですけどどうぞ」
「え?あ、うんありがと・・・でもごめん葵ちゃん、今食欲なくて」 
 頭を下げた時だ。
『えぇぇぇぇぇぇっっっ???』
 交通課中がどよめいた。
「ちょ、夏実大丈夫?体調悪いの?」
「夏実さん!悩みがあるならお聞きしますよ!」
「辻本が食欲ないとか天変地異の前触れか?」
 励ましの言葉に混じって何気に失礼なことも言われているが、今は言い返す気力もない。
「辻本、顔色が悪いぞ?今日はもういいから帰って寝なさい」
 課長の心配そうな顔。
 ってゆーかあたしが食欲ないっていうのはそんなに大層なことなのか?
「まぁいっか」
 呟くと立ち上がり、ぺこりとお辞儀をする。
「お言葉に甘えます、失礼します」
 今美幸の顔、まっすぐ見られる自信がないからありがたかった。

  ☆

「ただいまー」
 ガレージから戻ると何だか交通課が騒がしかった。
「どうかしたの?」
「どうかしたのじゃないわよ美幸!」
「え?」
「夏実と何かあったの?」
 突然夏実の名前を出されてあたしは動揺を隠せなかった。
 頼子の突然の尋問をフォローするように、横から葵ちゃんが詳しく説明してくれた。
「さきほど夏実さんが出勤されたんですけど、何だか元気がなかったんですよ。わたしが出したお茶菓子も食欲がないからと・・・心配された課長が早退するようにとおっしゃってさきほど帰られたんです」
「夏美が・・・?」
「夏美ホントに元気なかったよ?喧嘩でもした?」
「・・・別に」
「早く仲直りしなよ?みんな心配してるから」
 ふと周りを見渡すと確かに微妙な空気が流れていた。
 中嶋くんも心配そうにこっちを見ていた。
「頼子!今日は夏美の代わりに隣に乗ってよね!」
「え〜あたし足ブレーキとか出来ないからね〜」

  ☆

 家に帰り着いたあたしはベッドにダイブした。
 さっきの光景がぐるぐると脳裏を巡り、段々気分が悪くなってきた。
「吐きそう」
 美幸のヤツ・・・まさか本当に中嶋くんのところに?
 いやでもあの部屋だよ?ないでしょ!ないよね!
 ないわ〜・・・・美幸ぃ・・・嘘だって言ってよぉ。
「美幸のばかぁ」
 枕に顔を埋めたあたしは、そのまま気を失うように眠りに落ちていた。

 昨日の睡眠不足もあってか、結局一度も目覚めないまま気がついたら窓の外はすっかり陽が落ちていた。
 美幸が作ってくれた目覚まし時計に目を向ける。
 勤務、もう終わってるよね?
 だが家に自分以外の気配は感じられない。
 美幸、今日は帰って来るのかな?
 あたしはベッドの上で膝を抱えた。
 何でこんなことになったんだっけ?
 いやあたしがあんなこと言っちゃったのが悪いんだけど・・・。
 あたし・・・どうしたらいいのさ?
 ノロノロと起こした身体が妙に重い。
 そういえば結局昨日の夜から何も食べてない。
 でもどうしてもお腹が空かない。
 胃がきりきりする。
 それでもあたしはヘルメットを片手に玄関に向かった。
 ブーツを履き、鍵を手にしてドアを開けようとしたその時だ。
 外側から鍵を突っ込まれ、ガチャリと鍵が回った。
「え?」
「え?」
 目の前にいたのは、ずっとずっと望んでいた人だった。
「み・・・ゆき?」
「夏実?」
 時が止まったようにただ互いをジっと見つめ合った。
 どれくらいそうしていただろう。
 沈黙を先に破ったのは美幸だった。
「夏実・・・どこか出かけるの?」
「え?あ、いや、あの・・・」
 突然のことに言葉が出て来ない。
「もしかして・・・あたしを探しに?」
「あ、うん」
「そっか」
 再び訪れる沈黙。
 美幸は黙って玄関に入ると靴を脱ぐ。
「あのっ・・・」
「夏実」
「え?あ、はい!」
「お腹、空いてない?」
 手にしていたスーパーの袋を持ち上げてキッチンに入って行く。
「え?」
「昨日、一晩中あたしのこと探してくれたのよね?で、徹夜して寝不足で食欲不振なのを心配されて早退させられたんでしょ?」
 さすが美幸・・・でも半分正解だ。
 ホントの理由はやっぱりあの光景だ。
「ごめん、夏実、あたし大人げなかったわ」
「え?あ、いや、ってゆーかあたしの方こそごめん!」
 玄関で立ち尽くしたままのあたしを見かねて美幸が戻って来る。
「ねぇ、いつまでそこにいるの?」
 ボーっとしているあたしのヘルメットに手を添えるとにっこり微笑んだ。
「ん」
 その笑顔の意味を汲み取れずに、微妙な気分のままあたしは部屋に戻った。

  キッチンでいそいそと働く美幸は何となく機嫌がいいように見える。
 昨日の今日で?何で?何かいいことあったの?
 その姿を見ていると、今日の昼間の光景がまざまざと蘇ってくる。
 悪夢を振り払うようにぷるぷると首を振った。
「どうしたの?夏実」
「え?うわ!」
 いつの間にか目の前にいた美幸があたしの行為を不思議そうに覗き込んでいた。
「何よ失礼ね」
 ぷくっと膨れるが、すぐに
「ごはん出来たわよ」
 と料理が並べられたテーブルに戻った。
「あ、ありがと」

 せっかく美幸が作ってくれた料理なのに・・・ずっと食べてないからお腹が空いてるはずなのに、中々箸が進まない。
 さすがに美幸も不振がった。
「夏実?大丈夫?」
「え?あ・・・ん・・・ごめん」
「まだ・・・怒ってる?」
「違う!」
「それじゃあどうして?」
「それはその・・・」
 困惑するあたしを見て眉をひそめる。
「何かあるなら言って?」
 あたしはこのまま悶々としているのも辛いので、意を決して聞いた。
「昨日、どこにいたの?」
「あぁ」
「ずっと探してた。頼子も葵ちゃんも夜勤だし、どっか泊まるにもお金持ってなかったみたいだし・・・」
「ん」
「もしかしたらその・・・ホントに中嶋くんのところに行ったのかな・・・とか」
 言葉を濁し、言ってて凹んだあたしは美幸の目を見るのが怖くて俯いた。
「夏実はどこらへんを探してくれたの?」
「え?そりゃ美幸と一緒にでかけたところとか、行きそうなところとか思いつく限りのところをバイクで流して・・・」
「残念でした〜灯台下暗しよ」
「え?」
「あたしはずっとヨタハチの中にいたもの」
「・・・へ?」
「おかげでさすがにあまり眠れなくて今日は一日辛かったのよねー誰かさんはさっさと帰っちゃうし、相方が頼子だとイマイチ張り合いないし」
 呆然としているあたしの鼻の頭をちょんちょんと突かれた。
 あ、そういえばガレージ見るの忘れてたっけ・・・ばかだぁ〜あたし!
「あの、じゃあ今日のあれは・・・?」
「あれ?あれって何?」
「あたし見ちゃったんだ、ガレージで美幸が中嶋くんに抱きついてたの」
「え?」
 今度は美幸がキョトンと目を丸くしてあたしを見つめる。
「中嶋くんに肩なんか抱かれちゃって・・・だからあたし」
「ショックだった?」
「そりゃ!!!・・・そりゃそうだよ・・・美幸、あたしに呆れちゃったのかなとか、嫌われちゃったかなとか、すごく色々考えちゃって」
「そっか」
 言うと美幸は突然くすくすと笑い出した。
「ひどーい!何で笑うのー?」
「そりゃそうよ、もう少しそこにいたらその後どうなったかわかったのに」
「そんなこと言われても・・・」
 見てられるわけないじゃん!
 美幸はおもむろに立ち上がるとあたしの隣に座った。
「さっきも言ったけど、ヨタハチの中で一晩中過ごしてたから寝れなかったの。で、ガレージでメンテしてた時に中嶋くんが来たから立ち上がったら立ちくらみでふらついちゃってね」
「はい?」
「中嶋くんに支えてもらったのよ、それだけ」
「えーーーーー???」
「夏実、すごいタイミングで見ちゃったんだ」
「そんなぁ〜」
 全身の力が抜けた。
 ずるずるずるっと椅子から半分ずり落ちる。
「ちょ、夏実?」
「ははっ・・・あはははっ!!ばっかみたーいあたしってば」
「ふふっ早とちりね」
 安心して椅子の上に座りなおした瞬間だ、突然ぐーーーーーーーっっと盛大な音を立ててお腹が空腹を訴えた。
「すごい音ね」
 そりゃ丸一日分だしね!
「安心したらお腹すいた!!」
「はいはい」
 お箸を握りなおすと、美幸が作ってくれた晩ご飯をすごい勢いで平らげにかかった。
「夏実、急にそんなに食べて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!あたし昨日から何も食べてないんだもん!おかわり!」
 笑って美幸はご飯をついでくれた。
「美味しい!あーもう幸せ!」

 食後のコーヒーまで淹れてもらったあたしはソファでくつろいでいた。
「あ〜落ち着いた」
「よく食べたわねぇ」
「まぁね」
 美幸があたしの肩にもたれかかってきた。
「ごめんね?夏実」
「ううん、あたしこそごめん、勝手なことばかり言って」
「ん・・・でもショックだった。もう中嶋くんのとこに行っちゃえって言われて」
「ホントにごめん!全然そんなこと思ってなかったのに・・・」
「うん、そんなことわかってた・・・なのにあたしも頭に血が上っちゃって」
 美幸の肩を抱くと、美幸の指先があたしのTシャツの裾をツンっと引っ張る。
 拗ねた時の美幸の癖だ。
「ホントに中嶋くんのところに行っちゃおうかなって思ったんだから・・・ね」
「うそっ!?」
「嘘だと思う?」
 上目遣いで訴えるように見つめてくる。
「それは・・・」
「まぁ嘘だけどさ」
「あのね〜」
 安堵の息をつくと、がっくりと頭を垂れた。
 ふふっっと小さく笑う美幸。
「どこに行こうか悩んだんだけどね、何となくあそこにいれば夏実が探しに来るかなって・・・来なかったけど」
「うっ・・・ごめん」
「ううん、でも一晩中探してくれたし、無理させてあたしこそごめん」
「いいって。ね、もうやめよ?さっきからあたしたち謝ってばっかじゃん」
「それもそうね、じゃあ・・・」
「ん?」
 美幸が黙って目を閉じる。
 その唇に吸い寄せられるようにあたしの人差し指が触れ、一撫でするとそのまま口づけた。
 触れるだけのキスからお互いを求めるようなキスになるまで時間はかからなかった。
「何だか随分離れてた気がする・・・たった一日なのにね」
「うん、そうだね・・・美幸がいないだけでこの家すっごい静かだしすっごい広かったよ」
「その方がよかったんじゃない?」
「んなわけないっしょ?落ち着かないよ!」
「ホントにー?」
「このあたしがみんなに心配されるくらい食べらんなかったんだよ?わかるでしょ?」
「ふふっ、そうね。みんな天変地異の前触れだって騒いでた」
「あいつら失礼だなー全く!」
「でも・・・それくらい想ってくれたんだ?」
「うっ・・・そう・・・ですよーだ悪い?」
 図星を突かれ、あたしは開き直った。
 クスクス笑う美幸が腕を絡ませ、再び頭を肩に寄せて来た。
「悪くないわね」
「ちぇーーーっ」


 それでも嬉しそうに笑う美幸を見ているのはやっぱり幸せで。
 あたしたちはきっとこれから何度でも喧嘩をするだろう。
 それでもやっぱりずっと一緒にいたいと想うのは美幸一人だ。
 中嶋くんには絶対負けない!























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Date:2014/04/24

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