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□ 静留×なつき □

未来

ちょっと切ないけどある意味リアルな話
この後嵩乃さんが自身のサイトでなつきのタキシード姿と静留のウェディングドレス姿を描いてくれはったんだよなぁ。




――カラーン、カラーン――

 郊外にツーリングに来ていたなつきと静留は、バイクを下りて公園に散歩にきていた。
「ん?何の音だ?」
「あぁ、結婚式ですわ」
「結婚式?」
「あれ」
 静留が指差した方に視線を向ける。
 森の中にある教会から新婦と新郎が歓声とフラワーシャワーを浴びながら出てきたところだった。
「へぇ~こんな所に教会なんかあったんだな」
「そうどすなぁ。幸せそうやね二人とも」
「うん」
 二人は黙って幸せに満ちた表情の二人を見つめていた。
「静留」
「なつき」
 ほぼ同時に二人はお互いの名前を呼んだ。
「どないしたん?」
「静留こそ何だ?」
「ん?なつきもあんなん憧れるんかなて思って」
 親兄弟・親類・知人・友人・・・いろんな人からの祝福の言葉を浴びて微笑む二人を指差す。
「なっ?そ、そんなことっ」
「そうかしら?なつき似合うと思うんやけどねぇ、ウェディングドレス」
 うっとりと何を想像しているのか意識を飛ばす。
「お、お前こそ・・・どうなんだ?」
 静留の意識を呼び戻すように声をかける。
「うち?うちはそら・・・まぁうちかて女やさかいねぇ」
 ふふっと口元に手を当てるところころ笑う。
「そう・・・だよな、でも静留はあの、着物?も似合うだろうな」
「着物?あぁ内掛けのことどすな?」
「そう言うのか?」
「ん、せやねぇそれもえぇねぇ」
 二人の中で想像は膨らむが、どこか気持ちは冷めていた。
 自分がこれを着ることはないだろうということを、心のどこかでお互いわかっていたから・・・。

  ☆

「さて、帰るか静留」
「えぇ、そうどすな」
 二人は幸せの鐘の音を背に再び歩き出した。
 触れるか触れないかの位置で揺れるお互いの手。
 コツンっと指同士が触れた。
 それが合図だったかのようにお互いがお互いの指を求め、絡ませ合った。
 ただ無言で歩き続ける。
「・・・なつき?」
「ん?」
「どないしたん?」
「何が?」
「さっきから黙ってしもて」
「あぁ・・・」
 ふっと足を止めて俯くなつきに、静留は怪訝な顔で覗き込んだ。
「わたしは別に・・・憧れたりしてないからいいんだ」
「え?」
「でも・・・静留には着せてやりたい」
「・・・さっきのん?」
「うん、お前はわたしを好きになったばっかりにその・・・あぁいうの着るチャンスを逃してるんじゃないか?」
「そないなこと気にしてたん?」
「そりゃぁその・・・やっぱり・・・だな」
 言葉が続かず、なつきはぎゅっと力一杯静留の手を握った。
 そのなつきの手を包み込むようにして静留が手を重ねる。
「うちがなつきを好きになったんはうちの責任やし、もしも万が一なつきに出会ぅてなかったとしても・・・きっとうちがあれを着ることはなかっと思いますぇ」
「どうして?」
「うちがそういう人間なんどす。それに・・・なつきの方こそうちなんかに好かれてしもたばっかりに、普通の幸せを奪われたって思ってないん?なつきがうちの気持ちに答えてくれて好きやってゆぅてくれたんはホンマに嬉しいんよ。せやけどそのせいでうちはなつきの未来を奪ったんかもしれへん。普通に結婚して普通に子供産んで・・・そんな普通の未来を」
 眉を寄せて少し悲しそうに微笑むと静留は「堪忍な」となつきの頬をなでる。
「ばか言うなっ!わ、わたしだって自分の言葉に責任くらい持つぞ!わたしはお前が好きなんだ・・・後悔なんかするもんか!」
 なつきはキッパリそう言い切って静留の瞳を見ようと顔を上げるが、なぜか静留の顔が滲んではっきり見えない。
「泣かんといて、なつき」
「え?」
 なつきの目元を親指でそっと拭うと、静留は優しく微笑む。
「ばか・・・泣いてないぞ・・・お前がくだらないこと言うから・・・」
「そうどすか」
「ん・・・」
 ぐすっと鼻をすするとなつきはゴシゴシっと袖で目元を拭った。
「帰るぞ静留」
「え?」
「一緒に帰ろう」
「えぇ」
 伸ばされた手を静留はしっかりと握り締める。 
「いつか・・・」
「ん?」
「その、いつかわたしが着せてやるから・・・あんなの」
「えぇんよ、気にせんでも」
「わたしがその・・・見てみたいんだ」
 顔をこれ以上ないってくらいに真っ赤に染めたなつきは、ぷいっとそっぽを向いて言い訳のようにそう呟くと、静留の手を引っ張って歩き出した。
「うちも見てみたいわ、なつきのドレス姿」
「・・・ヤダ」
「いけずなんやからぁ」
「なんとでも言え」
「でもなつき・・・おおきに」



「お前と一緒に過ごす未来がわたしの当たり前の未来で、幸せな未来なんだ・・・静留」
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Date:2008/08/23
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