Planetarium SS置き場

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□ 静留×なつき □

看病

風邪引いて苦しんだ時に思いついた、タダでは転ばなかったSS(笑)



RRR RRR

「おっかしーなぁ静留のヤツ一体どこに行ってるんだ?」
 何度も何度も耳元でむなしく鳴り続ける電話の呼び出し音は、静留の不在を告げていた。
 一度電話を切るともう一度ピポパとアドレスを呼び出す。

RRR RRR

やはり同じように鳴り続けるだけだった。
「携帯も?・・・何かあったのか?」
 実を言うとなつきは昨日から何度か静留に電話をかけていた。
 だが、一度も静留は電話に出なかった。
 携帯電話にさえも・・・だ。
「別に約束してるわけじゃないけど・・・うん、別に、きっと実家に帰るとかそんなんだろう!うん!」
 それならば当然なつきに一言言って行くハズだということは、なつきの頭の中からすっかり抜けていた。
「し、心配とかそんなんじゃない・・ぞ、うん!」
 等と独り言をブツブツ呟きながらなつきはジャンパーを羽織り、ヘルメットを掴んでいた。

  ☆

 ぴんぽーん
 なつきは15分後には静留の部屋の前にいた。
 だが、インターフォンを何度押しても誰もなつきを出迎える気配はなかった。
 ごそごそとポケットを探ると何本かの鍵がぶら下がっているキーチェーンを取り出し、そこに合うであろう鍵を差し込んだ。
 ガチャリ
「静留?いない・・・のか?」
 小声で呼んでみるが出迎えたのはシーンと張り詰めた空気だけだった。
「靴はあるじゃないか?」
 玄関に見覚えのある靴を発見すると、なつきも靴を脱いで上がりこんだ。
 まっすぐ静留の部屋に向かうと、そっとドアを細めに開けた。
 ベッドに人型の膨らみを発見したなつきは
「何だ、いるんじゃないか」
 と、ドアを開けて中に踏み込んだ。
「静留、おい、し~ず~るっ珍しいなこんな昼間っから昼寝とは!」
 がばっと布団をめくると、確かにそこには静留がいた。
 だが・・・。
「静留?」
 なつきの声に静留はピクリとも反応しなかった。
 横向きになって苦しそうな呼吸を繰り返すばかりだ。
 そのたびに汗の浮かぶ眉間にしわが寄る。
 あきらかに尋常でない様子に、なつきは一瞬固まった。
「し、静留?」
 ゆさっと腰の辺りを揺する。
「・・・え?」
 その体から発せられている体温の高さが、静留の身体の異常を訴えていた。
 ぐらりと傾くと静留の体は上向きに転がった。
 視線が定まらないのか、空ろな瞳が泳ぐ。
「な・・・つき?」
 やっとのことでなつきを認識したのか、少しだけ微笑む。
「どないしたん?なつき・・・そないな顔して・・・」
「どないしたん?それはこっちのセリフだ!このバカ!!!」
 なつきは静留の額に手を当てると、眉間にしわを寄せて怒鳴る。
「そない怖い顔せんといて・・・かいらし顔が台無しやで」
 なつきの両頬に触れようと、そっと手を伸ばす。
「バカ!どうして電話しないんだ?もしかして昨日からか?」
 昨日から電話に出なかった理由がこれだとしたら・・・。
「寝てたら治る思いましてんけどなぁ~今回の風邪はえろうしつこいですわぁ。
 堪忍なぁ・・・何回も・・・電話・・・くれはりましたやろ」
 荒い呼吸の合間にそう言いながら体を起こそうとする静留の肩をそのままどんっと押し返す。
 再びベッドに帰すとなつきは無言で部屋を出た。
「なつき?」
 少し不安気な瞳で背中を見送る静留。

  ☆

 数分すると、なつきが戻ってきた。
 手には静留のタンスを探って来たのだろう、パジャマの替えとタオルと洗面器を抱えていた。
「お前着替えてないだろう?汗ビッショリだぞ?ちゃんと汗の処理はしないと」
 かつて風邪をこじらせた時に舞衣にされたことを思い出しながらタオルをきつく絞る。
「服脱げ」
「・・・え?」
「いいからそれを脱げと言ってるんだ!」
 なぜか顔を真っ赤にしたなつきが、静留の体を抱き起こすとパジャマのボタンに手をかけた。
「汗拭くから」
「あぁ・・・」
 やっとなつきの意図を察したのか、なつきのされるがままに任せた。
 ボタンを外し終わったところで、残りの動作はゆっくりと自分が引き継いだ。
「後ろ向け」
「ん」
 脱いだ服を胸の前に抱えると、横座りのままなつきに背を向けた。
 はらりと静留の長い髪が肩から前に落ちていく。
 露わになったうなじに、なつきの視線が奪われる。
 しばしぼんやりと見つめてしまったなつきは
「なつき?」
 という静留の声で我に返った。
「あ?あぁ」
 白く透き通るような綺麗な肌に、そっとタオルを当てる。
 所々玉になった汗をぺたぺたと吸い取る。
「なぁ静留?」
 手を動かしながらふっと問う。
「・・・ん?」
「私は・・・そんなに頼りないか?」
「え?」
「どうして私に電話しなかったんだ?」
「・・・」
「やっぱり私じゃ・・・ダメなのか?」
「ちゃいます」
「じゃぁ・・・」
「ふふっ、なつきに心配かけたなかっただけどす」
「あのなぁ、電話に出ない方が心配するだろうが!」
「せやね、堪忍なぁ」
 力無く笑う静留に、なつきは大きなため息をつく。
「ばか・・・私にくらい甘えろ・・・そりゃぁ私は料理もロクに出来ないし、かえって静留の迷惑になるかもしれないけど、それでもこうして体くらい拭いてやれるしだなぁ、薬だって買ってきてやるのに・・・」
 自分の不甲斐なさを悔やむようにそう言うと、なつきは手を止めた。
 静留はゆっくりと体ごと振り返ると、両手でなつきの頬を包み込む。
「おおきに、うちかてホンマはなつきに会いとぉて会いとぉてしゃーなかったんよ、せやから来てくれて嬉しかった・・・ホンマどす・・・ホンマにちょお電話できる状態やなかったんどす・・・堪忍なぁ」
 熱のせいか、瞳を潤ませて笑う静留になつきはこくんとうなづいた。
「わかった、もういい」
 頬を包んでいた手がそっとなつきの首に回ると、ぎゅっと引き寄せられた。
 何もつけていない肌の感触に、こんな非常時だとわかっていてもなつきの心拍数は上昇する。
「し、静留?」
「心配してくれておおきにね」
「うっ・・・そりゃまぁ?何度も電話かけても携帯にも出ない、メールも返ってこないじゃなぁ?」
 ポンポンと汗の引いた背中をあやすようになでる。
「ほら、服着ないとまぁた熱あがるぞ?」
「ん」
 なつきが背中からかけてくれた着替えに袖を通すと、嬉しそうにベッドに転がる。
「何か食べたのか?」
 首を横に振る静留に、なつきは突如無謀な発言をした。
「おかゆでも作ってやる」
「え?」
「え?って何だ?え?って」
 憮然とふくれっつらをすると、なつきは腰に手を当てて仁王立ちになるとキッパリと言ってのけた。
「私だっておかゆくらい作れるぞ!」
 多分・・・という言葉は飲み込んだ。
 つっこまれる前になつきはとっとと台所に向かった。

  ☆

 しばらくの間、横になったまま天井をぼんやり見つめていると、何やら台所の方からドタンバタンと何と格闘しているのかすごい物音が聞こえてきた。
 これは風邪が治ったあとの片づけが大変かも、とぼんやりと覚悟を決めた。
 数十分後、なつきはお盆に乗せたおかゆを運んできた。
「出来たぞ」
 ほかほかと湯気を立てるフライパンに入ったおかゆ。
「フ、フライパン?」
「他に何使えばいいのかわからなかったんだ」
 フライパンから茶碗につぐと、スプーンと一緒に差し出した。
「ほら、食え」
「え?あ、おおきに」
 受け取ろうと手を出す静留から、何を思ったのかひょいっと突然その手をなつきはかわす。
「え?」
「食わせてやる、今日だけな」
 顔を真っ赤に染めたなつきは、少しだけスプーンに掬い取ると静留の口元に持っていった。
 小さく口を開けると、なつきの手作りのおかゆに不安を覚えつつも口に含んだ。
ぱくっ
「・・・おいしい」
「ホントか?」
「ホンマ」
 本当にそれはおいしかった。
 少し塩が効いてるかな?というくらいで、静留的には何の問題もないくらいそれはおいしかった。
 実は静留も驚いていた。
 たかがおかゆとはいえ、なつきがここまでやれるとは・・・正直思ってなかったのだ。
「そっか、ならもっと食え、食って早く治せ」
 褒められたことが嬉しかったのか、もう一口掬うと再び静留の口元に運んだ。
 何だかままごとをする子供のように、ニコニコとその動作を繰り返す。
 そしてそれはフライパンが空になるまで続けられた。

  ☆

「ごちそうさまでした」
「うむ、じゃぁ薬を飲んで寝ろ」
「えぇ、おおきに」
 水と薬を受け取ると、こくりと飲み込んだ。
「ほら、これでおでこ冷やせ」
 アイスノンを静留の額に置く。
「気持ちえぇわぁ」
「熱があるからだ」
「なつき?わがままゆーてもえぇ?」
「何だ?」
「・・・うちのそばにおって?うちが寝てまうまででえぇから」
 手を伸ばす静留。
「ばか、いいから寝ろ」
 その手をぎゅっと握り返すと、ベッドの脇に膝立ちになって覗き込む。
 その力強い手に静留は安心したのか、そっと目を閉じたと思うとものの数分経たないうちにすぅっと寝息を立て始めた。
「ずっとそばにいるさ」
 ちゅっと静留の唇にキスをする。
「風邪、移るかな」
 まぁそれならそれでいいかっとなつきはのんきなことを思い、もう一度キスをするとおやすみと呟いた。

  ☆

「ん」
 目を覚ました静留は、闇の中を目が慣れるまで天井を見つめていた。
 ふと自分の手にぬくもりがあることを認識すると、そっと手を持ち上げた。
 くっついてきたのはなつきの手。
「なつき?」
 体を起こすと、静留の手を握ったままベッドの淵に頭を乗せて眠るなつきの姿があった。
 「まさかずっと?もうこないな時間やのに?」
 時計は夜中の3時を示していた。
「うちが眠るまででえぇゆーたのに、なつき・・・」
 空いた方の手でそっとなつきの頭をなでると、静留は心底なつきのことが愛しいんだなと改めて感じた。
「ホンマ・・・優しい子ぉやね、なつきは」
 でもこのままだと看病に来たなつきが風邪を引いてしまう。
 なつきの耳元で囁いた。
「なつき、ちゃんと布団で寝―へんと風邪引きますぇ。布団敷きますからそっちで寝ぇ、な?」
 予備の布団を出しに立とうと、名残惜しいがなつきの手を離そうとする。
 が、なつきの手が離れようとしてくれなかった。
「ん・・・」
「なつき?」
「静・・・留?」
「布団敷きますさかい・・・な?」
「・・・いらん」
「でもこんままやったら、なつきが風邪ひきます」
「なら・・・ここで寝る」
 言うなりごそごそと静留の横に潜り込もうとするなつきの行動に驚く。
「ちょ、なつき?うちなんかと寝たら絶対移りますって!」
 さすがにそれはどうかと思われたが、気づいた時にはなつきは隣で寝息を立て始めていた。
「寝ぼけてるん?」
 こうなってしまうと今更なつきを追い出すわけにも行かず、静留はぱたんとなつきの横に寝転ぶ。
「なつきが風邪引いてしもたらちゃんとうちが看病しますさかいに・・・ね」
 返事をするかのようにごそごそとなつきが静留の胸に甘えるようにすり寄って来る。
「こないかいらしなつきに手ぇ出せへんのはちょぉつらいどすわ」
 言いながらも静留はなつきの体を抱きしめるとゆっくり目を閉じた。
 そのまま意識が落ちるまでそう時間はかからなかった。

  ☆

 翌日、すっかり熱の引いた静留が台所の惨状を目にして呆然と立ちすくんだのは言うまでもなかった・・・。
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Date:2008/08/23
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