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□ 静留×なつき □

言葉

言葉って大事ですよねぇ。
原文のみに戻しました。




「ん・・・んんっはぁっ」
「な・・・つき・・・好きや、なつき」
「ん」
 きゅっと天井を見上げたまま静留の首を抱き寄せると、なつきは自分の右肩に静留の額を
乗せさせた。
「静・・・留」
「うん?」
「・・・なんでもない」
 なるべく体重をかけないように気を使い、体を起こそうとする静留を再び自分の方に引き寄せる。なつきは力の入らない手でぽむぽむっと静留の後頭部を優しくあやす。
 いつものことながら静留には参る。
 貪欲にわたしを・・・わたしの全てを求めようとする静留の欲。そのくせに最中でも終わってからでも妙に気を使うことを忘れない。
 だがそれがイヤなのかと問われると・・・そうではない。静留に触れられるのは決してイヤじゃない。
 何度も何度もわたしの名前を呼び、繰り返し想いを告げる静留の言葉がわたしの心に染み渡る。
 心地よい声。
 だがわたしは・・・。
 ぼんやりとなつきは天井を見上げていた。

  ☆

「なつき~そろそろ起きんと学校遅刻しますぇ」
「ん・・・今日は休み・・・」
 ころんとすでに静留が起きてしまって広くなったベッドで寝返りを打つと、静留が使っていた枕を力いっぱい抱きしめる。
「嘘ゆわんと早く起きぃ」
 うぅん~っと更に布団にもぐるなつきの口から出た言葉。
「創立記念日ぃ」
 ため息が出る。
「なつき・・・うちを誰やと思てますのん?コレでも去年まで生徒会長やってたんよ?
創立記念日くらいちゃぁんと覚えてます。ほら起きぃ」
「・・・ちっ」
 渋々体を起こすと、枕を抱きしめたままぼんやりとなつきは天井を見つめた。
 体にイマイチ力が入らない。
 部屋を出てキッチンに向かおうとする静留の背中になつきは声をかけた。
「しずるぅ~」
「何やのん?」
「おやすみ・・・」
「ちょ、なつき?」
 静留はパタンと再びベッドに倒れこむなつきを止めることは出来なかった。少々自分にも非があると思うとあまり文句も言えないのだった・・・。
 そないに疲れるもんやろか?
 と、なつきのグッタリっぷりが少し羨ましくもあった。

  ☆

「なぁなつき?」
「はん?何だ?」
「なつきはうちのことどない思ってますん?」
 それは夕食後、TVを見てくつろいでいる最中に静留の口から唐突に発せられた。
「どない?どないとは?」
「好き?」
「ばっっ・・な、何をイキナリ!?」
 ぼむっと瞬間湯沸かし器のように一瞬で沸騰する頭。
 動揺しまくりななつきを見て我に帰った静留は
「・・・堪忍な、変なこと聞いてしもて」
 と、自分が口に出してしまったことをニコリと笑って謝った。
「うむ・・・」
 クッションを抱えて唸るなつきに静留は
「ごめんなぁ」
 と、もう一度謝るとお茶を入れなおすべくキッチンに立った。
「静留のヤツ・・・何なんだ?」
 なつきの脳裏に昨夜の静留との行為がまざまざと蘇った。
「バカ静留・・・」
 ばふっと真っ赤に染まった顔を見られないように、なつきはクッションに顔を埋めた。

  ☆

「ほな今日は帰りますわ」
「え?」
 思いもかけない静留の言葉になつきは驚いて振り返る。
「帰るのか?」
「えぇ、あかんの?」
「あかん・・・くないけど・・・」
 てっきり今晩も泊まって行くのかと思っていたなつきは、少しばかり動揺した。
「なつき?あ、もしかして・・・うちがおらんよぅなったら寂しい?」
 ふふっとちょっぴりいじわるな顔で小首をかしげる。
「さっ?・・・みしくなんか・・・その・・ないぞ・・・うん」
 ぶつぶつとフェードアウトしていく言葉に静留は苦笑した。
「なぁなつき?」
 静留はソファの上で胡坐をかくなつきの前にしゃがんで膝で立つと、同じ位置に目線を合わせる。
「な、何だ?」
「うちはなつきが好きや」
「・・・」
「なつきがおったら他には何もいらへん思てます」
「う・・・む」
「・・・堪忍、なつき。うちやっぱり帰るわね」
 反応の薄いなつきに少し肩を落として小さなため息をつくと、静留はゆっくり立ち上がってカバンを肩にかけた。
「あのっ・・・静留!」
「何?」
 振り返るとなつきの瞳が静留を捕らえる。
 お互いに動けずに、ただ見つめあうばかりだ。
「悪い・・・な」
「何がやのん?」
 ぷいっと顔を赤くしてそっぽを向いてしまうなつきに静留は問う。
 ふと手元を見ると、静留の袖口をきゅっと握って離しそうにないなつきの指があった。
「えと、その・・・言葉が足りなくて・・・すまない」
「なつき?」
「帰るなよ・・・」
「ん?」
「泊まっていけ」
「せやけど・・・」
 困惑した表情で静留は袖をつかむなつきを見下ろすと、はぁっと一つ大きく息をついた。
「ほな、寂しがりやさんのなつきの為にもう一泊しましょか」
 そっと手を取るとなつきの隣に座り、頭を抱き寄せてくれる静留の優しい手になつきは心中でホっと胸をなでおろした。

  ☆

「なぁなつき?」
「何だ?」
 仲良く並んでベッドにもぐりこむと静留はなつきの頭の下に腕を入れて抱き寄せた。されるがままになつきはゴソゴソと静留の方に寝返りを打つ。
「うち時々不安なります」
「・・・?」
「なつき、ホンマにうちのこと好きなんかなて」
「・・・ばか」
「せやかて・・・」
 きゅっと抱く腕に力を込めて訴えると、静留はぽつりと
「たまにはちゃんと言葉にして欲しいんどす」
「静留」
「わかってます、うちのワガママやて・・・うちはなつきがそばにおってくれたらええって・・・それだけでえぇって思ってます、それはホンマどす」
「うん?」
「あかんねぇうち、欲張りになってしもてるわ」
「欲張り?」
「なつきはうちの気持ちに答えてくれた、うちの欲も受け入れてくれた、そしたらどんどん
欲張りなってしもて、なつきの全部が欲しくて・・・なつきの言葉が、想いが欲しくなってしもて・・・堪忍なぁなつきがそんなん簡単にゆぅてくれる子ちゃうのはわかってるんどすけどなぁ」
「静留、お前は簡単に言っているのか?わたしに・・・その、好き・・・とか」
「うちはいっつも真剣どす」
 まっすぐ、迷いのない瞳でなつきを見つめる静留の言葉に嘘はない。なつきにだってそれくらいわかる。そっと静留の腕を解くと、ギシっとスプリングを軋ませる。片腕で自分の体を支えると、上から静留を見下ろす。いつもは天井ばかり見ているなつきの視界がいつもと異なることに少し違和感を感じるが、こうして違う位置から静留を見下ろすと何だか言葉にならない感情が湧き上がってくる。
 突然のことに静留の不安そうな瞳がなつきを捕らえて離さない。
 なつきは静留の前髪をそっとかきあげると、額に唇を寄せた。
 ちゅっと触れる音。
「なつき?」
「不安にさせたな」
「え?」
「静留」
「ん?」
「静留・・・」
「なつき?」
「私はいつも私の名前を呼んでくれる静留の声が好きだ」
「ん」
「すごく心地いいんだ、静留の声を聞いていると落ち着く」
「ん」
「好きだと囁かれるとくすぐったいが、やっぱり嬉しいんだ」
「・・・」
「でもどうしても静留のようにすんなり言葉が出てこないんだ・・・思っててもつい素直に言えなくて・・・」
 カクンと腕を折ると、なつきは静留の首筋に顔を埋めて囁く。
「すまない」
「・・・えぇよもう」
「ん?」
「もう十分や、なつき」
「え?」
「伝わりました、なつきの気持ち」
 なつきは顔だけを起こすと静留をジっと見つめ、そして逸らす。
「えと・・・その・・・今言ったら次はいつになるかわからないぞ!」
「ん?」
「お前が好きだ、静留・・・って、はうっっ」
 ギューっと子供が甘えるかのようになつきを力一杯抱きしめる静留の上に、なつきの
体がのしかかった。
「わっ、し、静留?い、痛いって」
「・・・」
「静留?」
「死にそうや」
「へ?」
「嬉しぃて・・・」
 なつきを見上げる潤んだ瞳を見て、なつきは少し後悔した。
 こんなにその・・・かわいい静留を見られるのなら・・・今までもう少し言ってあげても
よかったかもしれない、と。
 そんな静留を何となく見つめ続けるのが照れくさく、再び目を逸らしてしまう。
 そしてその心とは裏腹になつきの口から出た言葉。
「ばか言うな」
「堪忍な」

  ☆

 翌日、静留は念願のいつものなつきのグッタリっぷりと、そのせいで大学をサボるという
行為までをも体験するハメになったのだった。 
 チョンっと隣でスヤスヤ眠るなつきの鼻の頭をつつく。
「うちもあんまり強ぉ言えへんなってしまいましたなぁ」






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Date:2008/08/23
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