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□ 静留×なつき □

桜舞う

当時桜シリーズとして書いたものですな
まこ亜美と美奈レイと一緒に。




「何だ?今日は帰るのか?静留」
「えぇ、さすがにこの格好ではね」
 お茶の指導に行った帰りだという静留は、藤色の着物を纏っていた。
「そうか、そうだよな、大変そうだもんなソレ」
 なつきは脱いだり着付けをしたりする姿を思い浮かべてげんなりする。
「そうでもないんどすけどね、なつきも着てみますか?」
「そんな窮屈なものいらん」
 普段着ているライダースーツも十分窮屈だと静留は思うがあえて言わないことにした。
「似合いそうやのになぁ」
 ふふっと微笑むと静留は帰り支度を続けた。
 もう時計は夜中に近い時間を指していた。
「なぁ静留、こんな夜中に危ないぞ?やっぱり泊まって・・・」
「そうどすかなぁ?なつきがそないゆぅんやったら・・・あ、でも明日学校に行かなあかんのに用意置いてきてしまいましたわ」
 引きとめようとしてくれるなつきの言葉に満面の笑顔で答えようとした静留は、自分のウカツさに心底残念そうに大きなため息をついた。
「そ、そうか、なら仕方ないな。送る」
「えぇのにそんなん」
「バカっこんな夜中にそんな格好で・・・何かあったらどうするんだ?清姫はもういないんだぞ!」
 いつも静留のそばにいて静留を守っていた、静留の想いの象徴・・・チャイルドの名を上げる。
 チャイルドのいない、エレメントを持たない静留など、ただの女にすぎない・・・こともないような気はするが、やはり心配だ。
 なつきはさっさと身支度を済ませ静留の手を引く。
 さすがに着物姿の静留をバイクに乗せるわけにはいかない。
「歩いて行くん?」
「そうだ」
「帰りどないすんの?なつきが危ないやないの」
「私は大丈夫だ」
 ふんぞり返ってそう答えるなつきに静留はため息をついた。
「なつき、アンタ自分がどんだけかいらし子ぉなんかわかってませんやろ?」
「な、何だイキナリ!」
 突然何を言い出すのかと、なつきの頬がうっすらと染まる。
「アンタかて一人でふらふら歩いとったら危ないゆーことです」
「うっ・・・」
 静留に戒められて思わずなつきは一歩退いてしまう。
 うーんと考えた末になつきは一つの提案をした。
「そ、それじゃぁこうしよう・・・このまま私は静留の家に泊まる。それなら夜中に帰らなくて済むから」
「あぁ、それはえぇね、ほな行きましょか」
 えぇ案やわと静留は拍手を一つ打つと、ニッコリと微笑んで今度は静留がなつきの手を取った。

  ☆

「おぉ、桜がキレイだな」
「せやねぇ、もうそないな季節なんやねぇ」
 二人はシンと静まり返った公園のそばを通りかかる。
 満開の桜並木も、夜中になればさすがに花見客もいなくなっていた。
「桜・・・か」
 なつきはふっといきなり方向転換すると無人の公園に足を踏み入れた。
「なつき?」
 静留も後を追う。
 月明かりで薄ピンクに見える花びらも、街頭に照らされた部分だけが白っぽく見える。
「この桜もすぐに散ってしまうんだな」
「せやね」
「そういえば中庭に咲いてる花を握りつぶそうとしてたのを静留に怒られたよな、昔」
 当時の幼かった自分を思い出し、なつきは笑う。
「怒ったわけやないんですけどな」
「うん・・・」
 出会った頃を思い出しながら、くるりと後ろを歩く静留を振り返る。

 ――瞬間――

 ザァァァーーー
 吹き抜ける風に桜の花びらが舞い散る。
 なつきは長い髪が流されるのを片手で押さえる。
 ふと視線を上げると、花吹雪の中を悠然と佇み、微笑み、まっすぐになつきを見つめる静留の瞳。
 いつもそばで優しく見守ってくれている瞳。
 そんな静留の瞳に吸い込まれるかのように、なつきは流される髪も忘れて呆然と立ち尽くした。
 どれくらいの時間そうしていたのだろう?
 一瞬だったのか、数秒だったのかわからない。
 ただすごく長い時間に感じた。
 自分と静留の時間が止まったのかと思うほどに。
 ――静留に・・・見惚れていた。
「どないしたん?なつき」
 名前を呼ばれ我に返る。
「え?あ、いや、すまん」
「ん?」
「えと、その・・・見惚れてしまった」
 素直に白状すると、なつきはそっと静留のそばに歩み寄る。
「うちに?」
 きゅっとなつきは静留の着物の袖を親指と人差し指だけでつまんだ。
 俯く。
「なつき?」
「キレイだ」
「桜が?」
「ばかっ」
「ふふっおおきに、なつき。うち嬉しいわ」
 俯きっぱなしのなつきの頬がピンク色に染まっているのは、桜の花びらが映えているせいだけではないだろう。
「行くぞ」
 そう告げると背中を向けたなつきの指が袖から離れ、そっと静留の全ての指を絡め取った。
 離れないように、離さないようにとキュっと込められる力。
 その想いに答えるように握り返すと、静留はなつきの横に並ぶ。
「もう離しませんぇ」
「い、家までだからなっ」
「おおきに」
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Date:2008/08/23
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