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□ 静留×なつき □

束縛

ひっさびさの静なつです!
何か暗いです。
けど最後はまぁ・・・ね。











「静留!今日は何時に帰る?」
「え?」
 夏休み、静留はなつきの家に泊まり込んでいた。
 静留にはまだ授業が残っているが、なつきが夏休みに入ったから、少しでも一緒にいたくて。少しずつなつきの部屋に静留の私物が増えて行った。もういっそのこと一緒に暮らしたいと思わないでもないが、自分からそれを言い出すことも出来ず、相変わらず通っていた。
 その日も泊まっていた静留が、大学に行く準備をしていた時だった。
「何時に帰るんだ?」
「どないしたん?なつき」
「いや、別に」
「うちがおらんと寂しいん?」
「そ、そんなんじゃない!聞いてみただけだ」
 プイっとそっぽを向いてテレビの電源を入れる。
 それが照れ隠しだということくらいとっくにお見通しの静留は、背後から近づくとぎゅっとなつきに抱きついて頬に触れるだけのキスをする。
「こ、こらっ静留?」
「かわいいなぁなつきは」
「ばか言うな」
「今日は夕方、そうやねぇ5時には帰れますさかいに、えぇ子にして待っててな」
「・・・わかった」

  ☆

 なつきはごろごろしていた。
 暑い夏に外に出るのもイヤだし、わざわざ誰かに連絡を取ってまで遊ぶのも面倒だし、結局クーラーの効いてる部屋でゲーム三昧だった。ご飯も食べず、かろうじて水分だけを補給しながらただ静留を待っていた。
 ゲームも一区切りついた時だ、ふと窓の外に目を向けた。
 空がうっすら朱に染まってきているのを見て初めて時計に目を向けた。
「もう5時過ぎてるじゃないか!」
 静留のヤツ、5時に帰るって言ったのに一体何してるんだ?
 そっと自分のお腹に手を当てると、きゅるるるっと今日初めて空腹を訴えてきた。
 それまでほったらかしにしていた携帯を開いて見るが、着信はない。
「あいつ・・・何やってるんだ!」
 少し機嫌悪そうに吐き捨てると携帯を乱暴に閉じて立ち上がり、タンクトップに短パンからTシャツとGパン姿に着替えると、チャリっと鍵束を手にして家を出た。
 バイクにまたがると、静留の帰って来そうな道を逆に辿って走るが、静留に出会わないまま結局大学まで着いてしまった。
「あいつ、どこにいるんだ?」
 もう一度携帯を確認するがやはり着信もメールもなかった。
 バイク置き場に止めて、なつきは構内を歩きながら電話をかけた。
 コール音が空しく鳴り続ける。
 何度かのコールの後、留守電に切り替わるとなつきはメッセージも残さず切り、メールに切り替えた。

“どこにいる?”

 一言だけ送ると返信を待つことなく静留がいそうな方向に見当をつけて歩き出した。
 ただの勘だ。
 しかしその勘もバカにしたもんではなく、ほどなくして前方から見覚えのある集団が歩いて来た。最も見覚えのあるのはあくまでその中心人物であって、囲んでるメンバーは違うのかもしれない。興味がないからいちいち覚えてなんかいない。
 でも興味がなくてもその光景を目にするとやはりイラっとする。
「静留!!!」
 その中心人物に向かって大声でその名を呼ぶ。
「え?なつ・・・き?」
 なつきが迎えに来たのがよっぽど意外だったのか、驚いて立ち止まる。
「静留!何時だと思ってるんだ?」
「え?何時って」
 腕時計に視線を落とす。
「あっ・・・5時・・・半?」
「お前5時に帰るって言っただろ?」
「あ、うん、せやったかな」
「言った!帰るぞ!」
 集団から奪うように手首を掴むとのっしのっしと掻き分けてその場を離れた。

 それが始まりだった。

 やたらと何かにつけ約束を要求するようになったのだ。少しでも帰宅予定時間より遅れたりすると機嫌が悪くなる。そんななつきの機嫌を損ねないように、静留はきっちりと約束を守った。
 なつきの為ならば何を犠牲にしてでも帰って来るようになった。飲み会にも出ず、授業後に集まって来る女の子たちもうまく躱して帰る。なつきとの約束は、静留がなつきのそばにいてもいいという証でもあるから。
 寧ろそれは嬉しかった。
 そんなある日、どうしても時間通りに帰れなかった上に連絡も出来なかった静留は、どうしようかドアの前で悩んだが敢えて明るく謝ろうとドアを開けた。
「堪忍なぁ、なつき遅なってしもて」
 がさごそと夕飯の買い物袋をキッチンのテーブルに置くと、テレビ画面に向かって一心不乱にゲームをしているなつきに声をかけた。
 が、振り向かない。
 やはり怒っているのかと、少しドキドキする。
「なつき?」
 なつきは無言でゲームの電源を切って立上がる。
「今夕飯作りますさかいに、ちょお待ってて・・・な???んんっ」
 ドンっとリビングの壁に身体を押し付けられたかと思うと、いきなり唇を塞がれる。無理矢理舌をねじ込まれる強引なキスにさすがの静留も動揺を隠せなかった。
 鼓動と呼吸が乱される。
 なつきの視線に捕われる。
 どこか見覚えのあるうつろな目。
 これは・・・あの頃のうちやないやろか。
 なつきを自分のモノにしたくて、傍若無人に振る舞ったあの頃の自分。
 それを認めた静留は、自分の頭が妙に冷えていくのを感じた。
 強引ななつきのキスについて行けるようになった静留は、舌を絡めながら記憶を手繰った。
 あの頃のなつきもこんな想いをしたんだろうか?
 いつも優しかった相手からこんな風に無理矢理されたと知ったら驚くだろうし、何よりも怖かっただろう。
 なつきの怯えたように自分を見つめる目。
 そして静留の手を振り払い、上げる小さな悲鳴。
 忌まわしい記憶に、思わずカリっとなつきの唇を噛んでしまった。
 「痛っ」
 一瞬離れたなつきの唇が、切れて血を流していた。
「あ・・・堪忍な」
 泣きそうになった。
 ぺろりと舌を出して血を舐めると、身動きが取れずにただされるがままになっていた静留の唇を再び塞ぐ。
 ・・・血の味がする。
「んんっ・・・」
 強引に服を剥ぎ取られ、なつきは有無を言わせず蹂躙した。
 なつきに抱かれるのはイヤじゃない、ただ優しく抱いて欲しいだけだ。
 それを求めるのはいけないことだろうか?
 自分の罪はそれすらも許してもらえないのだろうか。
 イヤな記憶を振り払うように、静留はなつきの動きに集中した。
 なつきの好きなようにさせよう。
 それでも愛しているから。

  ☆

 静留がイったところで気が済んだのか、なつきが黙って離れると気まずそうに視線を伏せ、踵を返す。
 静留はゆっくりとした動作で脱ぎ散らかされた服を拾い、浴室に向かった。
 心にぽっかり開いた穴に染み込ませるように熱いシャワーを浴びる。
 シャワーのお湯が涙も一緒に流してくれる。自分があんな風に扱われたことが悲しいんじゃない。
 自分がなつきに対してあんな目をしていたのかと思うとショックだった。
 どれくらいそうしていただろう。
 そろそろなつきの晩ご飯の準備をしなきゃいけないっと我に返った、その時だ。
 ガラっといきなり浴室の戸が開いた。
 ビクっ
 全裸のなつきが黙って入って来る。思わず身構えてしまった。
 だが、そんな静留を見上げたなつきの顔は今にも泣き出しそうで。
 さっきとは違う意味で動揺した。
「な・・・つき?どないしたん?」
 そっと手を伸ばすと頬を優しく撫でた。
「ごめん」
「え?」
「ごめん静留」
 俯いたままぎゅっと拳を握りしめるなつきにの顔を、静留はあたふたと覗き込んだ。
「ちょ、どないしたん?なつき、うちは大丈夫やから、な?泣かんといて?」
 静留の最大の弱点は良くも悪くもやはりなつきだ。自分がされたことも吹き飛ぶくらいの衝撃を受けた静留は、そっとなつきの震える身体を抱き寄せる。
「なつき・・・どないしたん?」
 今日だけじゃなく、ここのところのなつきの様子を含めてもう一度聞く。
「ごめん・・・大学と高校が違うのはわかってるし、友人との付き合いだってあるのもわかってる。でも・・・」
 ぎゅっと唇を噛む。
「静留が帰って来なかったらって思ったら悔しくて・・・」
「悔しい?」
「静留が一番好きなのはわたし・・・だよな?」
「そうや」
「でも大学はたくさん人がいるし、そのうちわたしより大事なモノが出来るんじゃないかって思ったら無性に不安になって・・・」
「そないなことあるわけないのに」
「わかってるんだけど不安で・・・」
 優しく髪を撫でる。
 なつきはこんなに弱かっただろうか?
 ずっと一人で暮らしてきたなつき。
 一人で戦ってきたなつき。
 うちはなつきの何を見てたんやろ?
 腕に抱いたなつきの唇にそっと親指で触れる。
「まだ血ぃついてる・・・痛かったやろ?なつき、堪忍な」
「え?」
「大丈夫やでなつき、うちはずっとそばにおるさかいに」
 微笑んでその唇に、自分のそれで触れた。
「んんっ」
 身じろぎをするなつきをすぐに解放する。
「わかって・・・るんだ・・・」
「なつき?」
「静留は優しい。わたしを何よりも最優先してくれるのが嬉しい。でもわたしはそれに甘えている」
「ん」
「もっと自由にさせなきゃいけないと思ってるんだ」
「そないなことあらへんよ?うちはなつきがうちを求めてくれるのは嬉しいんやさかいに」
「でも・・・!」
「大丈夫、うちはどんななつきでも全部受け止めるさかいに安心して甘え」
「え?」
「なつきがうちを受け入れてくれたように、な」
 きゅっと自分の胸になつきを抱きしめる。
「むっ、うーっ」
 息苦しさにジタバタと暴れるなつきを楽しそうに見る。
「なつき」
 ぷはぁっとやっとのことで逃げ出すと、恥ずかしそうに頬を染めて見あげる。
「な、何するんだっ」
「うち、ココに来たらあかん?」
「はぁ?」
「一緒に、暮らしたらあかん?」
「え?」
「うちはホンマにいつでもなつきのそばにおりたいんよ?なつきが望む限りうちはずっとそばにいたいと思ってます」
「ん・・・」
「あかん?」
「いや・・・引越先、探さなきゃなって」
「え?」
「ここじゃ少し狭いだろ?だから、さ」
 ふわりと、優しい笑顔で見あげてくる。
「そしたら・・・」
「明日、物件見に行こう」
「ん」
「へへっ・・・っくしゅん」
「なつき?」
「風邪引くからさっさとあったまって出よう」
「はい」
 泣きそうになった。
 なつきがこんなに想ってくれたことも、受け入れてくれたことも。
 なつきの為なら何でもしよう。
 寂しい想いをさせないようにしよう。

「なつき」
「ん?」
「後で抱いてもえぇ?」
「ば、ばかっ明日忙しいんだからなっ」
「なつきのいけず~」







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Date:2010/07/01

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