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□ 静留×なつき □

友情・同情・愛情

続き









 ガチャリとドアが開く。
「しんっじらんない、鍵開けっ放しとか!」
 簡単に開いたドアを呆然と見つめるのは奈緒だった。
 田舎じゃないんだからさ!とぶつくさ文句を言いながら声をかけた。
「玖我?いるの?」
 さすがに鍵を開けっ放しで出かけることは考えられないから多分いるのだろうと思い、足を踏み入れた。
 玄関にはローファーが一足と、バイクのブーツとスニーカーがそれぞれ並んでいた。
「玖我?」
 遠慮なく上がり込むと、一つずつドアを開けて行く。これじゃまるで不法侵入者じゃん、と思いつつ二つめの部屋に行く。
「あ、いた」
 ベッドでうとうととまどろんでいるなつきを発見した。
「うわっ、何このシワ」
 苦しそうに眠るなつきの眉間のシワを呆れたように突つくと、苦しそうに眉が歪む。
「ん・・・んんっ」
「うわぁ・・・」
 面白そうにつんつん突つく指を阻止するように、なつきの手が奈緒の手首を掴んだ。
「へ?」
 あっという間に抱きすくめられた奈緒は、そのままなつきの上に乗せられた。
「ちょ、ば、玖我!!寝ぼけんな!」
 力いっぱい暴れるが、重たいバイクを動かすだけあって、なつきの力に叶うはずもなく。
 しかも寝ぼけて無意識だけに力の加減も出来てない。
「痛っばか!」
 必死で暴れる奈緒。
 その時だ。
「ん・・・んもう・・・うるさいなぁ静留」
 むにゃむにゃと目をこすりながらなつきは、自分が抱きしめている相手に視線を泳がせる。
「起きろ!ばか!あんた今アイツ帰って来たら殺されるよ!ってかあたしが殺されるから!」
「ん?・・・奈緒?何で?」
 やっと少し力を抜くなつきの腕から素早く逃げ出した奈緒は、寝ぼけたなつきを見下ろしてキレた。
「あんた寝ぼけんのも大概にしなよね!大体あんたらいっつもあんなことしてんの?やらしーわね!」
「う、うるさいなぁ」
 やっとのことで目を覚ましたなつきは、自分がしたことが改めて恥ずかしく思えて、頬を染めた。
 ぷいっとそっぽを向いてごまかすが、バレバレだった。
「それはそうと何でお前がここにいるんだ?鍵は?」
「開けっ放しになってたわよ!物騒ね」
「悪かったな。それで?何か用だったのか?」
「あ・・・べ、別に何でもないわよ!さっきはちょっと・・・悪いこと言ったかなって・・・」
 同じように奈緒もらしくない事を言ってる自分が恥ずかしくなったのか、真っ赤になってぷいっと横を向いた。
「心配するだけ損だったみたいだけどね!」
「いや、そうか・・・ありがとう」
 奈緒は一瞬耳を疑った。なつきの口からまさかそんな言葉が出るとは思ってなかった。
 実際、祀りが終わって、藤乃と一緒にいるようになってコイツは変わった。トゲが随分なくなった気がする。
「何よ、気持ち悪いわね」
「そうか?」
「らしくない」
「でも本音だ」
「何があったのよ?ってか誰あのオヤジ?」
「静留のお父さんかもな・・・今日見合いらしいから・・・」
 その言葉をそれ以上口にしたくないかのように言葉を濁す。
「あぁ、あいつんち名家らしいもんね、そんな話あってもおかしくないわ」
「うん、わかってる、あいつはまだ大学生だけど、わたしより全然大人だからな」
「そうね」
 なつきから見て藤乃が大人に見えるんなら、奈緒から見たら相当雲の上のハズだが、客観的に見ると藤乃がそんなに大人だとは思えない。
 ってかただのムカつく女だ。
 そりゃ普通の大学生よりも優秀だしイイ女だとは思うし、だから多分コイツが勝手にプレッシャー感じてるだけだろう。
 身近にいすぎるとそんなもんだろうか?
「あいつはさ、家事も完璧だしいつでも嫁に行けるだけの能力はあるんだ。でも何故かあいつはわたしを選んだんだよな。わたしに出会わなければあいつはちゃんと嫁いで、幸せに暮らせてたかもしれない。あいつの親だってきっとそれを望んでる」
 奈緒は黙って聞いていた。
「ホントにわたしでいいのかな?」
 縋るように奈緒を見上げる瞳は今にも泣きそうだ。
「ちょ、玖我?」
「わたしは・・・あいつに何もしてやれない」
「バカね」
「え?」
「あいつはあんたの為に命かけて、あんたにちょっかい出すヤツには容赦なく排除しようとして、自分が壊れるようなヤツじゃない?」
「あぁ、それもすまなかったと思ってるんだ・・・お前も巻き込んでしまってすまなかったと思ってる」
「うわっ!何か超ムカつくわ!それが余計なお世話なんじゃない?あいつはやりたくてやったんだし、そんなこと悔やむようなヤツじゃないわよ。あいつが悔やむとしたら、自分のせいであんたが傷つくことよ?あいつはただのエゴイストなんだから」
「奈緒・・・お前の方が静留のことよくわかってるよな」
「あんたがわからなさすぎなのよ」
「そっか・・・情けないな」
「そうね」
 もう見てるのが鬱陶しくなってくる。とっとと藤乃帰って来ないかな。
 イラっとして爪を噛みながら我慢できなくなった奈緒は
「・・・帰るわ」
 と、くるりと踵を返した、その時だ。
 きゅっと奈緒の袖が引っ張られる。
「え?」
「もう少しいてくれないか?」
「やだ」
 キッパリ断る。
「奈緒・・・」
 見上げる目が情けなくも潤んでいる。
「げっ・・・?」
「一人だと色々考えてしまって」
「あんたバカ?」
「え?」
 奈緒はおもむろに携帯を取り出した。
 一度もかけたことのない電話番号を呼び出す。
 ちょっと勇気がいるが、思い切って発信ボタンを押すとプップップという音の後に呼び出し音が鳴ると、3度ほどコールしたところで相手が出た。
「結城はん?」
 あたしだってわかったってことは、あたしの名前がちゃんと登録されてるんだ、とかくだらないことを一瞬思った。
「ちょっとあんた!どこで何してんのよ?さっさと帰ってきなさいよ!」
「え?どういうことどすか?」
「玖我が鬱陶しいんだっつーの!あたしこんなヤツの面倒見たくないんだからね!」
「なつき?なつきの家におるんどすか?」
「そうよ!さっさと帰って来い!」
 言うなりブチっと電話を切ってやった。
 手を離すことも忘れて、なつきはその様子を呆然と見上げていた。
「おい、奈緒?」
「ってことであたし帰るわ」
 掴まれていたなつきの手を振り払い、くるりと再び踵を返すとひらひらと手を振った。







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Date:2009/08/13
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