Planetarium SS置き場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


* 「スポンサー広告」目次へ戻る
*    *    *

Information

□ 静留×なつき □

父娘

続きです
もうわけわからん(笑)









 思った以上に眠れなかったなつきは、朝ご飯も食べずにぼんやりとベッドに転がっていた。
 携帯に朝、静留からいってきますのメールが入り、それで起こされたのだが、それっきり目が覚めてしまったのだ。
 突如、なつきの泥沼から意識を引き戻すかのように、サイドテーブルに放り投げていた携帯の着信音が、その存在を思い出させるかのように鳴り響いた。
「奈緒?」
 背面に表示される名前が珍しい相手だったことに少し驚き、通話ボタンを押した。
「何だ」
「玖我?」
「あぁ」
「何よ無愛想ね」
「ほっといてくれ」
「藤乃でしょ?原因」
「・・・」
 ズバリ核心をつかれ、黙り込む。
「さっきオトコと会ってるの見かけたけど」
「うるさい」
「ひょっとして捨てられた?」
 あははっと笑いながら一番言われたくない事を言われ、カチンと来たなつきは
「うるさい!バカ!!」
 と、今度は受話器に向かって叫ぶと、ブチっと通話を切り、ついでに電源も切ってしまった。
 ごろりと転がり、盛大な溜息をつく。
「くだらない」
 さっきまで自分自身に言い聞かせてた言葉が一瞬にして消え去り、不安だけが残った。

  ☆

「お父はん」
 座敷に通された静留は、先に来ていた父に声をかけた。随分久しぶりに会う気がする。
「静留、久しぶりやな」
 静留の着物姿を見て、眩しそうに目を細めて笑う。
「しばらく見ぃへん間にキレイになったなぁ、お母はんによぉ似てきたわ」
「ホンマ?おおきに」
 言って隣に腰掛ける。それほど鮮明ではない母の記憶が蘇る。
「それで?今日のお相手はどちらさんですの?」
「おらん」
「え?」
「いや、見合い頼まれたんはホンマやけどな」
「断りはったん?」
「まぁな、静留に会わせる前に電話してから一回会うたんやけど、あんなヤツに静留を嫁にやるのなんかもったいのぅて出来へんかったんや」
「お父はん・・・」
「まぁせっかくやから久しぶりに娘の顔でも見よかなと思てな」
 嬉しそうにニコニコと笑顔で親バカぶりを発揮する。
「おおきに、断る手間はぶけましたわ」
「やっぱりな」
「ん?」
「お前は絶対断りよると思てたさかいに」
「何で?」
「何でって、お前好いとる人おんのやろ?」
「え?」
 そんなこと一度も言うたことなかったのに。
「見たらわかるわ、これでも一応父親なんやから」
「お父はん・・・」
「さっきも言うたやろ?キレイになったって」
「ん」
「幸せそうに笑いよるしな、そんな笑顔見せられたら京都帰って来いとか言われへんし、ましてや親の決めた相手と一緒になれとか言うたらバチ当たりそうや」
「驚きましたわ」
 父の洞察力と、思った以上に自分を理解してくれていたことに驚きを隠せなかった。
「そうか?」
「えぇ、さすがうちのお父はんやわ」
 父の御猪口に酒を注ぐ。
 そういう仕草もサマになっている。
「うち・・・こないに人のこと好きになったん初めてなんどす」
「そうか」
 クイっと一口で飲み干した。
「うちの最初で最後のワガママやと思てください」
 少しだけすまなさそうに笑うと、おかわりを注いだ。
「せやな、静留はちーちゃい頃からずっとえぇ子にしてたからな、わがままも言わへんし、こっちが申し訳なかったくらいや」
「・・・」
「どんな子ぉや?」
「え?」
「相手」
「あぁ、ん・・・年下なんどす。無愛想やけどホンマは優しい子で、ちょっとワガママやし、好き嫌いは多いし、すぐ無茶するし、片付け出来へんけどいざという時には頼りになる、バイクとゲームが好きな、かいらしい子ぉなんどす」
「年下か」
 そんな面倒な相手とは想像もしてなかったらしく、目を丸くする。
「ん、うちの一目惚れなんどす」
 ほんのりと頬を染める、そんな静留を見て更に驚いた。
 静留が惚れられるならわかるが、静留自らがハマるなど想像も出来なかったらしい。
「安心したわ」
 ふっと小さく微笑む。
「え?」
「静留は表面取り繕うの上手い子になってしもたから心配しとったんやけど、その様子やったら静留のえぇトコも悪いトコもよぉわかってつきおーてくれてるんやろ?」
「えぇ・・・うちの醜いとこもうちの罪も、何もかも全部許してくれてます」
「罪・・・か・・・」
 静留が犯した罪が一体何なのか、そこまでの想像は出来ない様子の父親が少しだけ怪訝な顔を見せるが、すぐに
「えぇ子なんやな」
 と、微笑んだ。
 その笑顔に、静留は救われた。
「はい」
 幸せそうに笑う静留を、同じように笑って父親は見つめていた。







スポンサーサイト

* 「静留×なつき」目次へ戻る
*    *    *

Information

Date:2009/08/13
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://moetetsu7.blog59.fc2.com/tb.php/231-8d582681
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

+
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。