Planetarium SS置き場

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湯たんぽ

まえがき
何と!MOON CHILDの瑞穂さんからHP開設のお祝い♪ってなことで、『まこ亜美大甘SSを!』 
という私のリクエストにキッチリ答えたステキSSを頂きましたO(≧▽≦)O ワーイ♪ 
これを読んだときの私の頬の緩みっぷりは、みなさんご想像していただけることでしょう 
みなさんもニヤけて下さい!さぁ(/*⌒-⌒)o レッツゴー♪

 



 夕刻から舞い始めた粉雪は、日付を超えると音も無く地を白く染め上げた。 
 ストーブで暖められた部屋の窓に結露が付き、薄い膜が張られる。 
 外を鈍らす硝子に映るテーブルの中央には並ぶ二つのマグカップ。 
 湯気がほんわり温かみを立ち昇らせる。 
 その影を掻き消すようにまことは大きな欠伸をした。 
 ノートに向かう瞳がしばしば瞬きを繰り返す。 
「亜美ちゃん…そろそろ寝ない?」 
 真向かいで数式を認める亜美に限界が近いまことは提案する。 
「あ…」 
 言われて、時間を忘れていた事に亜美は気づいた。 
 壁の時計は、まもなく1の数字を回ろうとしている。 
「そうね。そろそろ寝ましょうか」 
 言って、ノートを閉じる亜美に、ごろりとまことは絨毯に転がった。 
 長時間机に向かう事など、亜美がいなければ滅多に無い。 
 腕を思いっきり上げ、力一杯体の筋肉を解す。 
 ふぅと息を吐くまことの全身を、勉強から解放された血が駆け巡る。 
 瞳を閉じ、時の音に耳を澄ます。 
 一定のリズムを保つ静かな音程。 
 鼓動に近しい音は何とも心地良い。 
 うつらと睡魔が訪れる。 
 頭脳戦の後もあってか、このまま微睡みに身を委ねたいとまことは思う。 
「まこちゃん風邪ひくわよ」 
 くすりと笑う亜美に、まことは瞳を開けた。 
 失いかけた意識がかろうじて戻される。 
「ん…そうだね…」 
 大きな欠伸がまことの口に浮かんだ。 
「ほら、ちゃんとお布団で寝なきゃ」 
 鈍い動作で立ち上がるまことに、ストーブのスイッチを亜美は切った。 
 急激に部屋が暖気を失う。 
 微睡んだせいもあってか、寒さを直にまことは感じる。 
「ストーブ切るとやっぱ寒いね」 
「そうね」 
 頷いて、亜美はカーテンを少し開けた。 
 窓の曇りを軽く手で拭い空を覗く。 
 舞い踊る粉のようだった雪が、何時の間にか柔らかい綿毛のような様相をしている。 
 雪の花びらの絨毯も厚さを深めている。 
「まだ降ってる?」 
 ベッドの隣に用意した布団を整えながら、まことは亜美に聞いた。 
「ええ。明日まで降り続けそうよ」 
「じゃあ今日は暖かくして寝ないと本当に風邪ひいちゃうね」 
「そうね」 
 頷いて、カーテンを締める亜美にぽむとまことは枕を叩く。 
「…そっか。明日も寒いのか…」 
 ぽむぽむ空気を含ませた枕を膝に乗せて、まことは天井を見上げた。 
 ぼうっと視線を上げたままのまことの隣に亜美は座る。 
「どうしたのまこちゃん?」 
「んー。寒いんだなぁと思ってさ」 
「え、ええ…そうね…」 
 言って、亜美は首を傾げた。 
 冬生まれのまことは寒さに弱くない。 
 少なくとも亜美は自分よりも強いと思っている。 
 その上、まことの性格を考慮すれば雪を喜びはすれど、嫌がるとは考えられない。 
 どうしたのだろうと亜美は不思議に思う。 
「亜美ちゃん」 
 くるりとまことが亜美に向き直った。 
 急に呼ばれた亜美の瞳が微かに丸まる。 
「湯たんぽいらない?」 
「ゆ、湯たんぽ?」 
「そう。湯たんぽ」 
 物は知れど、この歳まで使用した事の無い、暖房器具に亜美の瞳が完全に丸まった。 
「今夜は寒いんだろ?ストーブ着けっぱなしは危ないけど、湯たんぽならその心配も無いしさ」 
「それは、そうだけど…」 
 口元に手を当て、亜美は素朴な疑問をまことに投げる。 
「まこちゃん湯たんぽなんて持ってるの?」 
「一つだけ特製のを、ね」 
 へらりと破顔した笑みが特製を指折り数える。 
「一定温度を保っていて冷めない。おまけに24時間使える」 
「そんな湯たんぽ…あるの?」 
「だから特製なんだよ」 
 寒々としてきた部屋に亜美は迷う。 
 布団に包まってしまえば寒さの問題は無い。 
 家と同環境に近しい状況なのだから、湯たんぽが無くても風邪はひかないだろう。 
 だが、未だ未知数の湯たんぽには興味が引かれる。 
 その上、まことお奨めというのが更に亜美の興味を膨らませた。 
「じ、じゃあ使ってみようかしら…」 
「んじゃ、布団入ってて」 
「え、ええ…」 
 言われた通り整えられた布団に亜美が潜る。 
 顔だけ出して、まことの動向を追うと、電気が消えた。 
 不意の暗闇に亜美の視界が完全に遮られる。 
 もそりと布団が動いた。 
 体が温もりに包まれる。 
 暖かいと思うより先に亜美は強く抱き締められた。 
「え?」 
 ぼぅっと瞳が闇に慣れ、隣に人影が浮かぶ。 
「へへ」 
「まこちゃん!?」 
 笑んで、まことは亜美を引き寄せる。 
「…ま、まこちゃん湯たんぽは…?」 
「ん。だから湯たんぽ」 
 言って、亜美の頭にまことは鼻を擦り付ける。 
「何時でも人肌に暖かくて、24時間冷めない湯たんぽ」 
 そこで、ようやっと亜美はまことの意図に気づいた。 
「まこちゃん…」 
 少し困ったような溜め息がまことの胸元に落ちる。 
「おまけに亜美ちゃん専用」 
 耳元で囁かれ亜美の体が一瞬震えた。 
 よいしょと小さく声を掛け、まことは亜美の頭の下に腕を敷く。 
「ね?暖かいだろ?」 
 高い体温が亜美と一緒に布団までも温める。 
 全身くまなく温められた亜美の顔は茹だるように熱い。 
 もう何も言えなくて、布団の隙間に亜美が顔を隠す。 
 くすりとまことが笑んだ。 
「おやすみ…」 
 ちゅっと音を立たせ、まことは亜美の額に口付ける。 
 残る唇の感触に、囁くように亜美が返す。  
「…おやすみなさい」  
 今日最後の挨拶を口にしたものの、眠りにつく自信は亜美にはまるで無かった。 
  
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Date:2008/08/22
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