Planetarium SS置き場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


* 「スポンサー広告」目次へ戻る
*    *    *

Information

□ 静留×なつき □

灯り

久々の静なつでっす
こんななつきもたまにはいいかと思いまして。
静留視点です





「ん・・・静留・・・ちょ・・・スタンド・・・つけていいか?」
「え?」
 驚いた。
 何に驚いたって、コトに及んでる最中は恥ずかしいからって電気をつけることを絶対イヤがっていたなつきが、自ら電気をつけようなどと言うとは夢にも思わなかったからだ。
 それとも今日は気が乗らないからやめようということだろうか?
「えぇけど・・・どないしたん?」
 言って恐る恐るベッドの脇のサイドテーブルに手を伸ばした。カチっと音がしてほのかな灯りが部屋を薄暗く照らす。小さな灯りがお互いの裸体をわずかに照らし、それがまた妙に艶かしかった。こんな状態でおあずけされたらたまったもんじゃない。
 それでも張りつめていた緊張感から解き放たれたように、小さな溜息をつくなつきを目の当たりにすると、そんな事を考えている自分がケダモノだなぁと自己嫌悪に陥る。
「大丈夫どすか?今日はやめときます?」
 突如中断されたせいで、次のタイミングを逃した静留は慎重に様子を見ながら額や頬へのキスを繰り返した。
「いや・・・」
 答えずにただなつきは静留の背中に腕を回し、縋るようにきゅっと力をこめた。
「なつき?」
 それをOKと取った静留は、そのままなつきの胸に顔を埋めた。

  ☆

「なつきは何でうちがおれへん時、電気つけっぱなしで寝てまうの?」
 呆れたように腰に手を当てて静留は大きな溜息をついた。
 たった2~3日顔を出さなかったと思うとすぐに散らかってしまう部屋を見回せば溜息の一つも出るというものだ。
 そしてなぜか電気がつけっぱなしになっている。電気どころかテレビやゲームがつけっぱなしになっていることもあった。
 それも最近は随分少なくなったと思っていたのだが・・・。
「そ、それは・・・」
 言葉を濁す。
「電気代ももったいないし、エコやありまへんやろ?」
 ベッドの上できゅっと枕を抱くと、拗ねたように顔を埋めたままなつきは呟いた。
「わたしが払っている・・・電気代だ」
「そんな問題やありまへん」
 ビクっとなつきの肩が震える。
 静留はベッドに近づくと端の方に腰を下ろした。ギシっとパイプのきしむ音が響く。
「堪忍な、怒ってるわけやないんよ?ただ最近のなつきちょぉ変やないですか?」
「え?」
 目だけが探るように静留を見上げた。
「それともうち、無理させてますか?なつきはやっぱりこういう生活の方がえぇん?」
「ちがっ、そうじゃなくて・・・」
「うん?」
「こないだエレベーターで・・・」
 その言葉で静留は先日、なつきと一緒に買い物に出た先でのことを思い出した。

  ☆

「静留、次はどこに寄るんだ?」
 いくつかの紙袋を両手に持ち、もう自分は買うものがないなつきは手ぶらに近い静留の行き先を尋ねる。
「ちょお参考書買いたいんどす、あと今晩のおかずもついでに買いますわ。なつきの好きなもん何でも作りますぇ」
「一番上と一番下じゃないか」
「堪忍ぇ」
 と、まずエスカレーターで2階上に上がり、参考書を買い終えたら今度は地下に向かう為エレベーターに乗った。
 二人っきりの密室の箱が動き出し、3階ほど降りたところでそのエレベーターが突然ガタンっと音を立てて大きく一度揺れ、そのまま止まってしまった。
 そして電気が消えた。
「うわっ」
「アラっ」
 静留のアラっにはエレベーターが突然止まった驚きと、静留の腕に触れるなつきの胸の感触に対するものだった。
「お・・・い?これ・・・」
「どないしたんやろねぇ」
 腕にしっかりしがみついたまま離れないなつきの腕を残念そうにゆっくり解くと、非常用のボタンを押しに入口の横に向かった。
 が、何度かコール音が聞こえるが一向に応答がない。
「困りましたなぁ」
 暗闇の中、なつきのいるはずの方を振り返る。全く視界がきかない中、居場所を確認するように声をかけた。
「なつき?」
「え?」
 座り込んでいるのか下の方から声がする。
「大丈夫どすか?」
「ん」
「ホンマに?」
 と、近寄ろうと動き出した瞬間パっと灯りがつき、ガタンとエレベーターが動き始めた。
「動きましたなぁ」
 呑気に微笑みながら見下ろすと、そこに座り込んでいたハズのなつきの姿はすでになく、入口の前でしっかりと自分の荷物を抱え直して不安そうに減って行く数字版を見上げていた。
 チンっと音がしてドアが開いた瞬間、なつきは転がるように密室から飛び出した。
「帰るぞ静留!」
「え?あ、はい」
 なつきの勢いに押され、結局そこでは何も買えずにいつもの近所のスーパーで買い物をして帰った。

  ☆

「エレベーター?こないだの?」
 コクリと頷く。
「なつき、暗いとこあかんかった?」
 今までそんなそぶりがあっただろうか?と何度思い出してみても、今までのなつきにそんな様子は見受けられなかったように思う。
 だが、ガバっと上げたなつきの顔が恥ずかしそうに真っ赤に染まっていたことが、図星だと物語っていた。
 驚いた―――。
 どうして気づかなかったのだろう?いつからだろう?
 静留の頭が軽く混乱状態に陥った。
「あの時」
 話始めたなつきの声で我に返った静留は、落ち着いて続きを待った。
「真っ暗な中で静留がわたしから離れて行っただろ?」
「えぇ、非常ボタン押しに行きました」
「あの時・・・急にすごく怖くなったんだ・・・何か置いて行かれたみたいに感じて・・・色々思い出してしまって・・・」
「あっ・・・」
 かつて母親の死と共に去って行ったというなつきの父親の話を思い出した。
 捨てられてからのなつきの心は荒み、人を信用することもなく復讐の為に一人で必死に生きて来たと。そんななつきがやっと心を開いてくれたというのに・・・自分の愚かさに腹が立つ。
「静留がいる時は静留が温かいから・・・ちょっとくらい暗くても大丈夫なんだ、一人じゃないって思えるから」
 あの時・・・なつきを抱いた時、縋るように抱き返して来たなつきを思い出す。
「でも、またエレベーターの時みたいに離れていったらと思うと怖くて、電気をつけて確認しないと怖くて」
 勢いよくそこまでじゃべると一度息を切って、今度は絞り出すように声を出した。
「でも静留には静留の生活があるからずっと一緒にいろなんて言えなくて、だからせめて電気つけてたら寝れるかなって・・・面倒かけてすまない」
 しょんぼりと肩を落とすなつき。
「堪忍」
 それだけ言うと静留は枕ごとなつきの身体を抱きしめ、そのままの勢いでベッドに押し倒した。
「し、静留?く、苦しい・・・」
 自分たちの間を隔てる、なつきが抱きしめて離さない枕を取り上げる。
 お互いの体温を感じ、二人の間を隔てるものは最早着ているものだけだった。
 それすら邪魔に感じる。
「堪忍なぁ、うち気づかへんでキツイこと言うてしもて」
「いいんだ」
「せやけどあん時うちがなつきの手を離さへんかったら・・・うちのせいや」
「違うって!」
 ごろりと転がってこんどはなつきが静留を組み敷く形に持って行く。
「お前のせいじゃないから・・・気にしないでくれ」
「気にします!」
「じゃあそばにいろ!」
「え?」
 真っ直ぐな瞳で訴えられ、一瞬たじろいだ。
「置いて行かないでくれ」
「なつ・・・き?」
「静留がいれば、静留に触れていられたら寂しくも怖くもないから・・・」
 首筋になつきの吐息を感じる。
 きゅっとその頭を抱く。
 愛おしいと、心からそう思う。
 誰が何と言おうとなつきを守れるようにそばにいよう。
 なつきにとってそれが、たとえどれだけ小さな灯りであろうとも、いつでも照らしてあげられるくらいそばにいよう。
「うちは絶対、死んでもなつきを裏切りまへん」
「え?」
「なつきの家の電気代も下げてみせます」
「ぷっ・・・あはは、何だそれ」
「切実ですやろ?」
「まぁな」
 笑ってなつきは静留の胸に飛び込んできた。
 ぽんぽんとなつきの頭を撫でながら静留は言った。
「とりあえず・・・いらん電気消しまひょか」




 窓からは朝陽が燦々と差し込んでいた。





スポンサーサイト

* 「静留×なつき」目次へ戻る
*    *    *

Information

Date:2009/07/02
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://moetetsu7.blog59.fc2.com/tb.php/226-a9005428
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

+
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。