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□ 夏実×美幸 □

命の洗濯

風呂はいいよ!風呂は!
何かこう・・・自分に向き合えるよね(笑)
温泉行きたい・・・。


てことで美幸×夏実かも。





「あー疲れた!」
 帰るなりそう愚痴りながら自室に戻る夏実。
 先に帰っていた美幸は夕食の準備をしていたキッチンから顔を出す。
「夏実?」
 美幸が顔を出した時にはちょうど夏実の部屋のドアが閉まったところだった。
 コンロの火を止め、パタパタと夏実の部屋の前に行き、軽くノックをした。
「夏実?ご飯もうすぐ出来るわよ」
「いらなーい」
「え?どうしたの?調子悪いの?」
「食欲なーい」
 あの墨東署イチの大食漢の夏実が食欲ないなど、前代未聞と言っていいかもしれない。
「夏実?」
 ガチャリとドアを開けると、着替えもせずにベッドにごろりと横になっている夏実の姿が目に入った。
「どうかした?」
「んーん」
「少しでも食べなきゃダメよ?」
「ん」
 両腕を顔の前でクロスさせるように持ち上げ、表情を読み取られたくないのか覆い隠す。
 ベッド脇に座る美幸。シーンと静まり返る部屋。どれくらい時間が経ったのか、夏実がポツリと呟いた。
「疲れた」
「ん」
「ちょっと一人にして」
「わかった」
 今、夏実にとって自分は必要じゃないのだと判断した美幸は素直に従った。
「寝るなら着替えちゃんとしてね」
「ん」
 久しぶりに墨東署に戻ってコンビが復活したと思うと、すぐに夏実は本庁に呼ばれ、美幸は残された。一時的な招集とはいえ事件が片付く目処が立たない今、二人の時間がすれ違うのはどうしようもないことだった。
 こうして美幸が起きている時間に夏実が帰って来ること事態奇跡だった。

 一人での寂しい食事を終え、浴槽にお湯を張る。
 夏実の部屋に視線を送るが、物音がしないところを見ると寝入ってしまったのか。

  ☆

 ちゃぷんと少し熱めのお湯に浸かる。
「ふぅ~」
 夏実ったらまた無茶してるのかしら。あんなに疲れてるなんて・・・。
 パシャンと両手でお湯を掬う。
「ばか」
 ガチャっ
 瞬間、それに返事をするかのように、いきなり浴室のドアが開いた。
「え?」
「あれ?」
 キョトンと一瞬時間が止まった。
「な、何?夏実?」
「ごめん、美幸入ってたんだ!何かぼーっとしてた」
 どこか視線が定まっていないような夏実の目が、あきらかに疲労を物語っていた。
「夏実?」
 ドアを閉めて去ろうとする夏実を呼び止めた。呼び止めてどうするわけでもないのだが、思わず呼んでしまった。
「ん?」
「一緒に・・・入る?」
 とんでもない言葉が飛び出したことに、口に出した本人も、出された方も目を丸くした。
「へ?」
「あ、ご、ごめんなさい」
「や、美幸がいいってんなら入るけど?」
「でも・・・」
 浴室は二人入っても問題のない広さだが、流石に浴槽に二人で浸かると密着はする。
 そんな空間に招き入れるなんて、自分で言い出しておいて迷いを見せる美幸。
 その迷いを打ち消させるように、夏実は浴室に入り自分の背後でドアを閉めた。
「夏実?」
「ちょっと寄って?」
 美幸の身体を少し寄せると、空いた隙間に夏実は身体を滑り込ませた。
 二人分の身体が浸かった浴槽のお湯の量が一気に溢れ出す。
 ふぅ~っと大きな溜息をつくと、抱き寄せた美幸の身体を自分の足の間に滑り込ませる。
「あぁ~風呂は命の洗濯ね」
「夏実?大丈夫?」
 少しだけ首をひねって振り向こうとするが、夏実の腕に抱きすくめられ、素直に諦めた。
「戻りたいな」
「え?」
「墨東署に・・・美幸の隣に・・・」
 美幸の長い髪に顔を埋めるようにして呟く。
「大変そうね」
「大変っていうか・・・うん・・・でも美幸が一緒だったらな・・・とか考えちゃう自分がヤなんだ」
「そう・・・」
 そっと夏実の腕に触れる。
「2年も離れてて、美幸がいない生活にも慣れてるハズなのにね」
 自己嫌悪に陥る夏実を見てていたたまれなくなる。
「ねぇ夏実?」
「ん?」
「あたしも毎日夏実が早く帰って来ないかなって思ってるのよ」
「?」
「頼子や葵ちゃんには悪いけど、やっぱり隣が夏実じゃないと落ち着かないもの」
 ちゃぷっとお湯の音が揺れ、身体の向きを変えて真っ直ぐ夏実の目を見つめる。
「やっぱり疲れてるのよ夏実は」
「ん?」
「顔色よくないもの」
 両頬を包み込むように撫でると、そっと親指で唇に触れた。
「心配だわ、ご飯も食べたくないなんて」
「ごめん、ここんとこ美幸と全く時間合わなくて顔も合わせなくて、それが続くと何か段々美幸の顔見たら甘えちゃいそうだって思えて来て・・・だから今日も会わないように・・・美幸の帰りがこんなに早いと思ってなくて・・・」
 一生懸命いい訳を探しながら自分のキモチを吐き出す。
「ばかね」
 チュっと夏実の唇に触れるだけのキスを送ると笑う。
「夏実らしくないわ」
「かな?」
「そうよ、バカなんだから」
「ごめん」
「そもそもホントに風呂場に間違えて入ってきたの?」
 クスクス笑う。
「そ、それはホントだって!」
「無意識にあたしに会いたくて入って来たんでしょ」
 からかうように言ってきゅっと首に腕を回す。
「み、美幸?」
 美幸の胸が直に触れ、今更ながらドキドキする。
「まぁどっちでもいいわね、こうして夏実の顔見られたし」
「うっ・・・」
「ん?」
「無理、限界」
 顔を真っ赤に染めた夏実がザバっといきなり立ち上がると、浴槽から飛び出した。
「え?」
「熱い!」
 バタバタとそれだけ言って浴室を飛び出した。
「熱いって・・・?」
 いつもの夏実なら、江戸っ子は熱い風呂が好きなのよ!とか言ってガンガン熱くするくらいだ。
 そんな夏実がこれくらいの温度で熱がるのはおかしい。
「ばかね」
 残された美幸は、少しぬるめのお湯を掬って呟いた。

  ☆

「夏実?食欲わいた?」
 リビングのソファに寝そべってグダグダする夏実に声をかける。
「ご飯よりも・・・」
「ん?」
「美幸がいいな」
「え?」
「ダメ?」
「ダーメ、明日も仕事なんでしょ?」
 ちょんっと夏実の額を人差し指で突ついた。
「ちぇ~っ」
 ぷくっと膨らませた頬に、美幸の唇がそっと触れた。
「一段落したら温泉でも行きましょ」
「ホント?」
「ホント」
「二人で?」
「みんな呼ぶ?」
「ヤダ!」
「ん」
 その答えに満足したのか、美幸は嬉しそうに笑った。





 朝起きた時にはすでに夏実の姿はなく、リビングのテーブルには走り書きのメモが残されていた。




『もうちょっと頑張ってくるから!』


 さて、どこの温泉がいいかしらね。

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Date:2009/02/27
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