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まえがきと御礼


nickさんより頂きました・・・というよりムリヤリ頂いたと言いますか(笑)
ありがとね。ちなみに補足説明・・・。みちる×レイと見せかけて美奈×レイです!
どうやら彼女はみちるがお気に入りらしいです。あたしも彼女の書く外部戦士ネタが好きです。
公開できてよかった うふ♪(* ̄ー ̄)v




『雫』



                                                            nick


 あの人は、私じゃない人とでも、きっと恋に落ちることが出来る人だから。
 私のように、生涯でただ一人なんて決めなくても、自由気ままに恋を楽しむような人だから。
 私は縛ることが出来ない。この想いで、あなたを繋ぎとめておくことが出来ない。
 きっとあなたは、その全てを、私だけに捧げるような人じゃないから。だから・・・

  ☆

「好きなんだけど」
「・・・けど?」
「・・・別に・・・やっぱりいいわ」
 酔いが回ってきたレイは、ぐでーんと肘掛に頭を乗せる。
「初々しいも、ここまでだと鬱陶しいに変わるわね」
「何が言いたいのよぉ?」
「この、酔っ払い」
 ネプチューン・グリーン色の髪を1つに束ねた彼女は、そう言うと立ち上がった。
 人間一人分の重みがなくなったソファーは軽く揺れて、レイのお尻に振動を与える。
 ワイングラスに残った透明な雫。もそりと起き上がって、レイはグラスを逆さまにして置いた。
「おねーさーん。足りない・・・」
「閉店よ。うちはシンデレラが帰る時間までしか、営業していないの」
「ケチ。海王財閥が聞いて呆れるわ」
「政治家の娘のあなたに言われたくないわよ。お上品になさい」
 空になったワインボトルを片付けて、ついでにグラスも持っていかれる。
「久しぶりに飲もうって誘ったのは、みちるさんじゃないの?」
「そうよ。でも、潰れるまで酔う理由は、私にはないもの」
「私にはあるわよ」
今度はソファーにうつぶせて寝転がった。酔いが回りすぎて、少し気持ち悪くなってくる。
「あなた、この4月でいくつになるの?」
「みちるさんと同じ年」
「22でしょ。いい加減、男の1人や2人作りなさい」
 レモン水の入った水をテーブルに置く。ガラスで出来たテーブルに雫のあと。
 レイは指を伸ばして、それをなぞってぺろりと舐めた。
「・・・そういう自分は?」
「何?」
「男の1人や2人で、満足?」
「失礼ね。忙しくてそれどころじゃないわ」
 数々のコンクールの名の入ったトロフィーが、ずらっと並べられた棚に、自然と2人の視線が向いてしまう。
「そうやって、何かに必死になれるあなたになりたいわよ」
「これしかないって言うのは、それなりに辛いものよ」
「だと思うから、やっぱりあなたにはなりたくない」
 鉛になった体を無理やり起こして、レモン水を一気に飲んだ。
「うっ・・・」
「バスルームはあっち。あのね、あなたの体質じゃぁ、酔っても気持ち悪くなるだけなのよ?いい加減にしなさいね」
 口元を押さえながら、フラフラ消えてゆくレイの背中を見送り、みちるは額に手を当てて溜息を漏らした。
 テーブルに、グラスから零れた雫。みちるは綺麗にタオルで拭った。
 レイはこの春からTAの大学4回生。何を血迷ったのか、芸術学部になんて進んだから。
 変わり者の多い学部に入ったせいで、彼女自身もちょっと変わり者になりつつある。
 それでも、可愛らしいものだ。思いのほか上手く絵を描くから。
「生きてる?」
「・・・ワインなんて物を作り出した人間に、敬意を表したいわね」
 白菜色したレイの腕を取って、しかたなくベッドへ連れて行った。
「美奈子、呼んであげましょうか?」
「よしてよ・・・・。冗談じゃないわよ」
 暗闇の中でバツの悪そうな表情を見せるレイに、みちるはキスをした。触れた唇に雫。
「・・・はるかさん、今頃レースで必死だというのに」
「そうねぇ。でも、アフリカなんてめったにいけないから楽しんでいるわよ、きっと」
 だから、今は楽しみましょう。そう言ってまた塞がれる唇。指先に雫。
 頬を撫でたときに触れたその感触を、みちるは気付かなかったことにする。
『好きなんだけど』
 そのあとに続く言葉の意味を、正しく理解しているのは、その言葉を口にした彼女自身じゃない。
 大人になりきれない恋心を、もう何年も持ち続けているレイが、切なくてかわいそうで。
「相思相愛っていう言葉の意味、あなた知っている?」
「ん?・・・」
 月に雫。カーテンから漏れる月の光だけじゃ、彼女の表情なんてわからない。
 それでもみちるの腕の中にいるレイが、じっと顔を覗きこんでくるのがわかった。
「どうして、好きの一言が出ないの?」
「・・・仕方ないじゃない」
「臆病者」
「そうよ。でも、もう手遅れなのよ」
 抱きついてくる彼女の体温は低い。もうすぐ春になると言うのに。
「今でも、あなたが好きだといえば、彼女はたぶん喜んであなたの差し伸べた手を取るはずだわ」
 愛されるという方法を知らないレイが、何を血迷って芸術を学ぼうとしたのか、わからなくもないけれど。
 恋は芸術のように美しいものじゃないというのに。想いだけでは、何も形にならないのに。
「耳元でしゃべらないでよ。気分悪いのよ」
「はいはい」
 学生服を着ていた頃より短くした髪を撫でる。すがりつくように抱きついてくる彼女に、優しく体温を分ける。
 少なくなった髪の長さは、恋をしている年月と同じくらいだろうか。
「お休み、レイ」

月の雫に

この想い

封じ込め

抱いていこうと。そう誓った。
この行為を、ただ見守ってくれる抱擁の戦士。
「お休み、みちるさん」
「永遠の片想いなんて、うらやましいわ」
フラれることも、叶うこともない。これは永遠の片想い。
「・・・・そうね」
「大馬鹿者」
彼女の言葉はどんなお酒よりも、心を不快にさせてくれた。月の雫が頬を伝う。
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Date:2008/08/22
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