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□ 夏実×美幸 □

朝の風景

いただきました!
水迷宮の長谷みどり様からまたまた!

前回のわたしの作品

「痕」

の、美幸の記憶がちゃんとあるバージョンです。
美幸の内面が丁寧に書かれてていいです!
美幸かわいーです!
ではどうぞ




 不意に意識が浮上して、隣にあった筈の体温が消えている事に気付が付いた。
「なつみ…?」
 半ば、寝惚けた頭で大切なヒトの気配を探し、ケットの中から室を見回すが、然し、探し人の姿は見えなくて。
 カーテンの隙間から入り込む光は、本日の心地良さげな天候と共に、何時もの起床時間を大分過ぎている事を知らせている。
 が、意識がはっきりして来るに従って、ずきずきと頭が痛み出し、美幸は起き上がる事も出来ない侭、再び瞼を閉じてシーツに懐いていた。

────二日酔い、かな…

 でも、こんなに成る程、飲んだっけ?
 脳内でがんがんと金物を叩かれているような、そんな不快さを味わいつつ、昨夜の事を思い出そうとする。
 覚えているのは夏実に誘われて同行した、彼女の元同僚達との飲み会。卒配後、互いに幾つかの署に配属されて来たが、彼女の元同僚と逢うのは、実はこれが初めてで。
 余り耳にする事の無かった彼女の過去のエピソードを聞くのは、それはそれでは楽しくはあったが、しかし、流石に口を挟む事は出来ず、聞き役に徹する事になった。
 話を聞いていて解ったのは、夏実が今でも彼女達の間で伝説のように語られる暴走を幾つもしてきた事、にも拘らず、全く嫌われていないらしい事。
 特に後輩には絶大な人気があるようで、夏実が来ると言った途端、今回の飲み会の参加率がぐんと上がったのだという。
 夏実の方といえば、最初は知り合いのいない美幸を気にして隣に居たが、それなりに巧く溶け込んだ事に安心してか、時折美幸の方を気にしてはいたが、元同僚達との会話を大分楽しんでいたようだった。
 表面上は、何の問題もなくとも、それは当たり障りの無い人間関係である故で、中々気の置けない相手を作る事の出来ない美幸には、前の職場を去ってそれなりに時間が経っているにも拘らず、これだけ皆に好かれている夏実が羨ましくあり、そして同時にこんな自分が夏実の横にいて良いのだろうかとふと思った。
 けれど、自分にはもう、彼女を手放す事等、考えられなくて。
 だからだろうか、皆に囲まれている姿に、彼女は自分のモノなんだから、と叫びだしたい気持ちを随分と押さえ込む事になり、若しかするとそれも、酒量を増やした一端を担っていたのかもしれなかった。
 そして。
 摂り過ぎてしまったアルコールは、簡単に理性を食い荒らし、タガの外れた自分は、感情の侭に夏実に甘え倒して。
 流石に全てではないが、それなりに記憶は残っている。普段なら決して面に出さない、嫉妬や独占欲といった気持ちがセーブできず、さりとて、そんな状態でも言葉としては口に出せなくて、結果、抱き着く腕に力を込めるしかなかった。
 そして、そんな自分のもどかしさを見て取ったのだろう。噛んで含めるように、その手の感情を抱く事は、決して悪い事ではないのだと、優しく諭してくれた彼女は、それは権利なんだよ、と明るく笑った。
 そういう関係にある自分達の間柄で、自分は美幸が独占したいと思ってくれれば嬉しいし、美幸もそうなのだと言うのなら、一体何が問題なのかと。
 自分の中の負の気持ちを曝け出すのには、勇気が要った。
 けれど、それを受け止めてくれた彼女は、衒いの無い真っ直ぐな気持ちを告げてくれて。
 これだけ独占欲を煽られた上、たっぷりと回ったアルコールが、そもそも彼女との行為に否やの無い自分の、普段なら利き過ぎる程良く利く理性を景気良く開放してしまったお陰で、続く行為に雪崩れ込んだ際も、拒もうという気持は露とも起こらず、理性の飛んだ自分は、何時もよりもかなり積極的に、詰まりは本音の侭に自身から彼女に手を伸ばした。
 それはもう、思い出しただけで赤面してしまう程度には、非常に素直に。

────何で、こんな時に限って、私より早く夏実が起きてるのよ

 理不尽と知りつつ、此の場に居ない想い人に対して、不満を心の中でぶつける。
 ベッドで二人一緒に目覚めたのならば、済崩しの分、此処迄恥ずかしい事を思い出さない内に、顔を合わせる事が出来ただろう。
 だが、昨夜の事を思い出してしまった今、一体どんな顔をして会えば良いのか。
 二重の意味で頭が痛くなり、それを言い訳に頭からケットに潜り込む。シーツに頬を擦り付けると、何時もと違う感触に、何時の間にか替えてある事に気付いた。
 パイル地のそれは、確かに気持ちが良かったけれど、同時に昨夜の記憶を呼び覚ます。
どうしようと、ケットの下で内心うろたえていると、軽いノックと遠慮勝ちな声と共に、夏実が室に入って来て。
 近付いて来る足音に、どきどきと鼓動が高まって行く。
「美幸ぃ、そろそろ起きない?」
 もう十時になるよ。今日、何かやりたい事あるって言ってたっしょ?
 ケットの上から、ぽんぽんと軽く背中を叩かれ、優しく端を捲られる。
 ゆるゆると瞼を開けると、見慣れた向日葵の笑顔があって。
「おはよ」
 何時もと変わりない態度にほっとしながら、同時に少し寂しく思う。
「おはよ…」
「ん、どしたの?」
 美幸の戸惑いを感じ取ったのか、ひょいと覗き込んで来る夏実に、美幸はふるふると首を横に振っていた。
「…何か拗ねてる?」
「別に」
「お、何時もの美幸だー」
「あれはっ…」
 昨夜の事を揶揄われている事を悟り、思わずがばりと起き上がり掛け、へたりと再びベッドに懐く。
 大きな声が頭に響いたのと、自身が何も身に付けていない事に、今更ながらに気付いたからだ。
「…二日酔い?それとも、身体の何処かが痛かったりする?」
「…二日酔い」
身体の方は…まだ、眼が醒めたばかりで、良く解らないわ。
「そっか」
 いや、昨夜の美幸、あんまり可愛かったもんだから、つい理性が飛んじゃって…何処か負担になってたら不味いなって。
 そう言う夏実の首筋にも、確り鬱血の跡が残されているのだから、その辺はお互い様という所だろう。
「まあ、昨日は大分酔ってたみたいだからね」
 あの分じゃ相当飲んだんだろうから、当然といえば当然だけど…昨夜(ゆうべ)の事、覚えてる?
 ベッドの端に腰を下ろし、すいと伸ばされた大きな掌が、乱れた前髪をかき上げ、ゆったりとした動作で梳いてくれる。
 触れた手は、彼女の低体温の所為か、はたまた水仕事でもしていたのか、ひんやりとしていて、美幸は気持ち良さげに眼を細めた。
「…覚えてる」
 多分、だけど。
「そっか」
 …私が美幸のモノで、美幸は私のモノ。
 取り敢えず、それだけ覚えててくれれば、それでいーよ。
「ん」
「ま、昨日みたいな美幸も悪くないけどね」
「……」
 付け加えられた一言にほんの少しだけむっとして、それ迄甘受していた手を止めさせ、意外な程ほっそりとした手首を掴む。
 きょとんとした様子で、美幸?と眼を見開いているその人のそれを、ぐいと横に引けば、実にあっさりと彼女は美幸の上に転がった。
「ちょ、美幸、一体何を…」
 唐突な行動に彼女は大分驚いたようだが、自分も彼女が倒れ込んで来た衝撃を、身体と頭、両方に受けているのだから、プラスマイナスゼロだろうと美幸は勝手に結論付ける。
「だって、夏実が悪いんだもの」
「~~だから何が?」
「さっきから、昨日の私の方が、可愛いって」
「方が、なんて言ってないって」
 珍しく積極的な美幸も可愛いかったとは言ったけど。
 至近距離にある地球色の瞳が、吃驚したように大きく見開かれ、けれど、二日酔いを気遣ってだろう、声量は抑えつつも焦った声で夏実が反論する。
「…夏実は、そういう方が好きなの?」
「そういうって?」
「だから…」
 ゆうべのわたしみたいな、と、か細い声で続けた美幸に、きょとりと瞬きを一つした夏実は、しかし、一瞬遅れて意味を理解すると、そうじゃないよ、と苦笑した。
「好きなヒトの、知らなかった一面とか、普段あんまり見ないトコとか、触れられたらすっごく嬉しくならない?」
 でもそれは好きなヒトの、だからであって、誰でも良い訳じゃないの。一緒に居て、って言ってくれた時、嬉しかったのは確かだけどね。
 解ってくれる?、と酷く近い場所から見詰めて来るヒトに、こくりと小さく頷いてみせる。
 だが、それでも掴まえた手首は離そうとしないのを如何取ったのか。
 よいしょ、と、空いた右腕だけで、彼女が倒れこんでいた半身を持ち上げると、掛かっていた重みがなくなり、自然、覆い被さる形になった。
 漸く焦点が結べるような、そんな近い距離で暫し見詰めあい、やがてその距離が次第に短くなっていって。
 瞼を閉じ、軽く唇が触れ合った後は、何時もならば夏実の独断場であるのだが、今日はそう簡単にはいかせるつもりはなかった。
 此の年齢になって性格はなかなか変えられないけれど、それでも、嬉しかったという彼女の為なら、もう少しだけ、気持ちを表に出す努力をしてみるのも悪くない。
 尤もそれには、彼女の協力が必要不可欠ではあるけれど。
 次第に深くなる接吻けに、思考が溶け出すのを感じながらも、美幸は空いていた手で彼女の前身ごろのボタンを外しに掛かる。
 
────頭痛なんか忘れる位、私を夢中にさせてよね、夏実
 
 彼女が聞けば、苦笑して、仰せのままに、とでも言いそうな台詞を心に抱いて。

 
 二人の穏やかな朝の時間は、まだ暫くは訪れそうにはない。

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Date:2008/12/04
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