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□ 静留×なつき □

これは甥っ子と妹の間に起こった実話をベースに書いてみました。
教習所に通うため、少しの時間とはいえ託児所に預けられ、離ればなれになるのが耐えられなかったのか、まだしゃべれん甥っ子は熱出して抵抗してました。
結局妹が入校を先に伸ばすという電話そかけて断った、その10分後に熱下がってましたからね!

ようするに・・・好きすぎ!(笑)



「来週からしばらく実家帰ろうと思ってますねん」

 その一言になつきの脳は凍り付いた。
「なつき?どないしはったん、なつき?」
 目の前でひらひら~っとなつきの意識を確かめるように手の平を振る。
「あ、いや、何でもない、うん」
「変ななつきやなぁ」
「で?どうしたんだ急に?しばらくってどれくらいだ?」
「あぁ、なんやお父はんに呼ばれましてなぁ、いつも急で困りますわぁ」
 はぁ~っと溜息をつく静留。
「何だ?気乗りしないみたいだな、たまには父親に顔見せに帰るのも親孝行だろう?それとも何か?お見合いでもさせられるとか?」
 なんとはなしに発した自分の言葉に笑う。まさかそれが思いっきり核心をついていたとは思ってもいなかった。
 ピキーンと凍り付く空気。さすがのなつきもその異様な空気に自分が言った言葉が地雷を踏んだようだと気づいた。
「へ?・・・・まさか・・・?」
「その・・・まさかどす」
「な・・・?」
 ぱくぱくと死にかけの金魚のように口をあんぐり開けたまま言葉を続けられず、再び脳がフリーズを起こした。
「もちろんちゃんとお断りしてきます!うちはなつきしか好きやないもん。せやけどおとうはんの知り合いやさかい顔立てとかんとあかんのよ。堪忍なぁ」
 なつきの様子に静留は慌ててフォローを入れた。
 オトナの事情だ。
 よくよく考えたら静留ももう19だ。年齢的には全然結婚出来る年だし、どうやら静留は京都でも指折りの名家の出らしいから、いつこんな話が出て来てもおかしくなかった。
 でもいつもの静留があまりにもひょうひょうとしてるし、なつきのそばにくっついているし、好きや好きや言ってくるし・・・そんなこと考えたこともなかった。
「怒ってはる?」
 捨てられそうな子猫のように眉を寄せて、今にも泣きそうな顔で覗き込む。
「え?あ、いや、なんでもない。うん、まぁとにかくえっと・・・がんばれ」
 よしよしと静留の頭を撫でる。
「堪忍なぁ」
 静留は甘えるようにきゅうっとなつきの腕にしがみついた。

  ☆

「ん・・・んんっ、はぁっ」
「なつき?どないしたん、大丈夫?」
 結局泊まって帰ることにした静留は夜中、なつきの苦しむ声で目を覚ました。
 上半身を起こし、なつきの顔を覗き込むと、なつきの顔には玉のような汗が浮き出ていた。尋常じゃない様子のなつきの額に手を伸ばした。
 ペタリ
「何やのん?えらい熱やわ」
 自分の額にも手を当て、その明らかな温度差に驚いた。さすがの静留も服を着ていないことを忘れるくらい慌ててベッドから飛び出してキッチンに行くと、冷凍庫からアイスノンを引っ張り出し、洗面器とタオルを用意してなつきの元に戻った。
 そこで初めて自分の姿に気づき、服を羽織るともう一度なつきの額に手を当てた。
「まさか・・・これのせいやない・・・ですよなぁ?」
 さっきまでの自分と同じ姿のなつきを見下ろす。
 最近風邪が流行ってるとは聞かないし、そんな季節でもない。部屋の温度もこんな姿だからって風邪をひくような室温じゃない。しかも夕方までそんな調子の悪そうな様子も全く見えなかった。
「なんでやろ」

  ☆

「なつき?まだ熱あるんやから無理したらあきまへん」
 いつものように制服を着始めるなつきを、静留は慌てて制止する。
 いつもなら言われなくてもサボるくせに、こんな時だけまじめに行こうとするのはどうしたものか。
「大丈夫だ、なんともない」
 ニッコリと、でもどこか弱々しい微笑みを浮かべる。
「あきまへん、寝てへんと下がるもんも下がりまへん」
「でも単位が・・・」
「うちがちゃんと先生にゆーたげます!ネタも色々握ってますさかい・・・」
 キラーンと怪しく光る瞳。
「ネタって何だネタって!」
 一瞬見えた、黒い静留を全力で制止する。
 その途端、グラリと足下が揺らいだ。
 天井と床がぐるぐる回る。
 世界が暗転した。

  ☆

 目を覚ますと、心配そうな静留の顔が覗き込んでいた。
「あ・・・れ?」
「だから言うたやないの、無理したあきませんって!ちゃんと学校には電話しといたさかいに今日はもうゆっくり寝とき」
「ん・・・情けないな・・・いつも静留に世話になってばかりだ」
「アホなこと言いな」
「ん」
 両腕を交差させて目を覆う。
「せやけどなんでやろうねぇ、うちは全然大丈夫やのに・・・あないな格好させてたんがあかんかったんかな」
 あないな格好・・・昨夜の事を思い出してなつきの顔がぼむっと赤く染まる。
 少しだけまた熱が上がる。
「ば、ばかっ」
「うふふ、ほな邪魔したらあかんから向こうで用事しとりますんで、何かあったら呼んでな」
 そう言って立ち去ろうとする静留の手を、不意になつきの手が掴んだ。
「ん?」
「・・・くな」
「え?」
「そばにいろ」
 びっくりして静留は固まった。
 目をぱちくりさせて掴まれた手となつきの顔を交互に見比べる。
「そばにいろ」
 もう一度繰り返す。
 その言葉に我に返った静留は、ふわりと微笑んでベッドの脇に座った。
「なつきのそばにやったら何時間でも居れますえ」 
 よしよしと頭を撫で、少しぬるくなったタオルを取り替え、もう一度なつきの手を取った。
「ほら、もう寝んとまたしんどなりますさかいにな」
「ん・・・」
 言った瞬間、なつきの意識はストンっと落ちた。
「ホンマに・・・この子には時々びっくりさせられますなぁ」
 チュっと自らの唇でなつきのそれに触れる。
「これで風邪、移してもらえるやろか?」

  ☆

 次に目を覚ました時にはすでに窓の外は暗くなっていた。
「ん・・・何時だ?喉・・・かわいたな」
 ふと自分の手が何かを握っていることに気づいた。
「し、静留?」
「あ・・・起きました?なつき」
「え?あ、す、すまない!ずっとそこにいてくれたのか?」
「だってなつき手ぇ離してくれはらへんのやもん」
 嬉しそうにしっかり繋がれた手を持ち上げる。
「ご、ごめん」
「えぇんよ、どないしたん?」
「や、喉かわいたから」
「ほなお水持って来ますわ」
 静留が用意した水が、なつきの喉を潤した。
「まだ熱下がりまへんなぁ」
 コツンと自分の額でなつきの熱を計る。
 いきなり至近距離に現れた静留の顔に、なつきの心臓が跳ね上がる。
「な、何?」
「いや、せやから熱・・・」
「う、うん・・・大丈夫・・・えと、また寝る・・・」
「ん、おやすみ」

  ☆

 しかしどうしたものか。
 キッチンで片付けものをしながら静留は思案した。
 テーブルの上には新幹線の切符。日付は明日になっていた。
「あのままなつきを放って行けまへんしなぁ」
 キュッキュっと蛇口を締めると静留はエプロンのポケットから携帯を取り出した。
 
 何度目かのコールの後で相手が出た。
「おとうはん?堪忍、明日うち行けそうにありまへん」
 受話器越しに聞こえる驚きの声。何故だと問いつめられる。
「堪忍なぁ、うちの大事な人がえらい熱出して寝込んでしもたんどす」
 あまりにしつこい父親に思わず言ってしまった。
「お見合いかてどうせお断りするつもりでしたし、お父はんには申し訳ないんやけど放って行けまへんのや」
 まだ何だかんだと問いつめようとする父親の言葉を遮るように
「ほなそういうことですから、切りますぇ。また落ち着いたら帰ります」
 言って静留はさっさと電話を切った。
 ふぅっと溜息をつく。
――これでええんよね、どうせ断るつもりやったんやし。
 その時だ。
「ん・・・どうしたんだ静留?」
 ぼんやりしたなつきが眩しさに目をこすりながら現れた。
「なつき?どないしたん?」
「なんか・・・話し声が聞こえたから」
「あぁ堪忍、起こしてしもた?」
「大丈夫・・・」
 ふとテーブルに視線が落ちる。
「あ・・・」
 静留が実家に帰る為の切符。
 その瞬間、色んなことを思い出してふらりと足下が揺らぐ。
「なつき?」
 慌てて支えようと駆け寄る。
「大丈夫だ、そういえば明日だたよな?実家に帰るの」
「あぁ、それやったらさっき電話でお断りしました」
「え?」
「こないななつき、放って行けまへんさかいにな」
「・・・ホントか?」
「えぇ、ホンマどす」
「そっか・・・そっか・・・」
 へなへなとその場にしゃがみこむ。
「なつき?」
「静留・・・」
「え?」
「お腹空いた」
「・・・はい?」
 思いがけない言葉に静留の目がテンになった。
 いや、ここでそれどすか?
 いくら何でもそれはまた・・・なつきらしいっちゅーか何ちゅーか。
 あまりにもなつきらしい言葉に小さな溜息をつくと、静留はご飯の用意に向かおうと背を向けた。
「はいはい、ほなすぐ何か作りますわ」
「静留・・・ありがとう」
「え?」
「ありがとう」
 きゅっと背中から静留にしがみつくと、聞こえるか聞こえないかの小声でそう呟いた。
 そんなかわいらしいなつきを抱きしめ返したい・・・何やったらそのまま押し倒したいくらいの衝動を、理性を総動員して制止すると、静留は振り返ってよしよしとなつきの頭をナデナデしてテーブルに座らせた。

  ☆

 そして10分後

「おかわり!」
「はい?」
「これも!」
「はいはい」
 静留が作った料理がみるみるうちに減って行く。
 この2日分を取り戻すような勢いで食べるなつきを呆然と見つめる。
「なぁなつき?」
「ん?」
 頬にご飯粒をつけたなつきが顔を上げる。
「熱は?」
「ん?あぁ、下がった」
「何で?」
「何でって言われてもなぁ」
 んーーーっと考えこむ。
 なつきの頬についてるご飯粒をつまむと、ひょいっと自分の口に放り込む。
「静留が行かないって言ってくれたからかな」
 あっけらかんとそう言って、またガツガツとご飯をかき込んだ。
 サラっと口に出した言葉だったが、静留の心を鷲掴みにしたことは確かだった。
 そんな幸せ全開で頬を緩ませっぱなしの静留になつきは言った。

「静留・・・おかわり!」

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Date:2008/09/14
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