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□ 夏実×美幸 □

約束

夏実×美幸です
DVD見ててあたしもめっちゃ歯がゆかったんですよ!
や、ストーリー展開的にはあそこで中嶋は確かにしゃーない!
しゃーないけど・・夏実も悔しかったんちゃうかなという話。




「いつもいつもあたしに無茶するなとか、怪我するなとか文句言うの誰?」
 夏実は怒っていた。
 珍しく本気で頭に来ていた、しかも美幸に。
「このくらいの怪我で済んだから笑ってられるけど、あんなとこから落ちてこれじゃホントに運が良かったとしか言えないよ!」
「ごめん」
「大体ね~相棒のあたしを置いていくなんて・・・」
 そのことが一番悔しかった。
 どうして自分を連れて行かなかったのか、そんなに信用なかったのかと。
 車が落ちる瞬間を目の当たりにした時のショックは今でも忘れられない。
 しかもその美幸を救ったのは他でもない中嶋だったのも、夏実の怒りに拍車をかけていた。
 最も、それは美幸を救えなかった自分自身への怒りだったのだが・・・。
「ごめんね、夏実」
 もう一度謝ると、ベッドの脇で拳を悔しそうに握りしめている夏実に向かって手を差し出した。届きそうで届かないその手に、夏実の方から歩み寄る。
 しゃがんでその手を両手で優しく包みこんだ。
「心配・・・したんだからね」
「ごめんね」
 少しだけ体を起こすと、空いた左手で愛おしそうに夏実の髪を撫でた。

  ☆

 退院当日、職場に挨拶をしに顔を出し、夕食を外で済ませ、帰ったのはもう8時を少し回っていた。
「あ~久しぶりの我が家」
「そりゃ一週間も入院してりゃね」
「うん、ごめんね?仕事大丈夫だった?ご飯ちゃんと食べてた?」
「あーーーっわかった!わぁかったから!」
 矢継ぎ早に質問攻めにする美幸を早々に止めた。
「あのね毎日顔出してたんだから、わかってるでしょうに」
「そ、そうね」
 ふふっと自分の失態を笑う。
「とりあえずシャワーでも浴びてきたら?コーヒーでも煎れとくから」
「いいの?」
「いいもなにも、コーヒー煎れるくらいで何よ?」
 あははっと夏実は笑う。
 いつもは朝起きたら美幸がコーヒーを煎れていて、リビングに漂うその香りに誘われて夏実が起きて来るというパターンが多く、夏実が煎れることは滅多にない。だが、たまたま美幸が煎れることが多いだけで、夏実が出来ないわけではなかった。
「じゃあお願いしようかしら?」
「りょーかい」

  ☆

 自分の煎れたコーヒーを口に運びつつ、朝読み損ねていた新聞に目を通す。
 そこへ
「あ、いい香り」
 と、美幸が戻って来た。
 タオルで長い髪を拭きながら、いつものパジャマに着替えていた。
「おかえり~」
 立ち上がる夏実に、手で座ってていいと合図をすると、コーヒーメーカーに入っているコーヒーを自分で注いだ。
 ソファに座っている夏実の隣に腰かけると、口をつける。
「美味しい」
「そ?よかった」
 新聞を脇に置くと、夏実も一口含む。
「んーーーやっぱりこの家に一人は落ち着かなかったけど、美幸がいると落ち着くね~」
 ニカっと満面の笑顔でそう言うと、コーヒーで乾杯というようにカチンとカップを軽く鳴らした。
「そう?ガミガミうるさい姑がいなくてせいせいしてたんじゃない?」
「まったまたぁ・・・バレた?」
 それが嘘だということは二人ともわかっていた。
 あははっと声を上げて笑う。
 夏実はコトリっとカップをテーブルに置くと、まだカップを手にしたままの美幸の顔を覗き込む。
「どうかした?」
 見幸もカップを置いて夏実を見つめ返す。
 と、突然夏実の手が伸びて来ると、そっと美幸の前髪をかきあげた。
 ドクンっと美幸の心臓が跳ね上がる。
「な、なに?」
 険しい目で睨む夏実に、今度は別の意味で心臓が早鐘を打ち始めた。
「傷」
「え?」
「傷が残ってる」
 思いもかけない言葉に驚いた。自分でも気づいていた。額に少しだけうっすらと傷跡が残ってしまったことを。
 でもそれはホントによく見ないとわからないくらいで、前髪を下ろしていると全く隠れてしまうからあまり気にしてはいなかったのだが・・・まさか夏実が気づくとは思ってもいなかった。
「どうして・・・?」
 美幸は恥ずかしそうに、前髪を上げている夏実の手から逃れようと体を捻る。
「あのねー、あたしは美幸よりもずっと美幸の顔見てる時間長いのよ?気づかないわけないでしょ?」
 そんなことくらいで気づくわけない、絶対頼子も葵ちゃんも、中嶋くんでさえ気づかないと思う。
「でも・・・」
「誰よりも・・・美幸のこと見てるんだよ?」
 泣きそうな顔で見つめてくる夏実が愛おしくて仕方がない。
 美幸も泣きそうになる。
「あ・・・ありがとう」
 顔を上げることが出来ず、俯いたままそう言うと、ぽすんと夏実の胸に体を預けた。
「美幸?」
「ごめんね・・・ごめんなさい」
「無茶したこと?」
「色々」
「色々、ねぇ」
 美幸の風呂上がりで下ろしてある長い髪を優しく梳く。
 その流れで俯いたままの顔を上げさせると、もう一度前髪を上げ、傷跡に唇を寄せた。
 触れられた傷が熱を持ったように熱くなる。
 ドクンドクンと暴れる心臓を押さえるように、胸の前で自分の手を握りしめる。
 夏実の唇はそのまま目頭、鼻の頭と辿り、唇に辿り着くのにそう時間はかからなかった。
「ん・・・んっ?」
 予想はしていてもやはり驚き、どうしようもなく緊張する。
「美幸・・・」
 ぎゅっと固く握りしめている手をゆっくり解いてやり、自分の指を絡めて握りしめると、ニッコリと優しい笑顔を浮かべ、耳元で囁いた。
「そんなに緊張しなくてもさ、退院したばっかの人にこれ以上無茶しないから安心してよ」
「え?」
「今日はこれくらいにしといてあげる」
「夏実!!!」
 カァっと頬を真っ赤に染める美幸。
 心の中を見透かされたような気がして少し悔しかった。
「あははっか~わいい!」
「夏実のばかっ」
 ふんっと拗ねたように体ごとそっぽを向く。
 そんな美幸の背中に、夏実はぽつぽつと話し出した。
「あたしね・・・悔しかったんだ・・・」
「夏実?」
 振り返ろうとする美幸の背中にコツンと夏実の額が凭れて来た。
 そのせいで振り返ることが出来ず、背中で話を聞いた。
「あの時・・・中嶋くんは何の迷いもなく崖を降りていった・・・あたしは応援を呼ぶしか出来なかった・・・ほんとはあたしだってすぐに飛び降りて美幸を探しに行きたかったのに・・・」
「ん」
「誰よりも先に美幸を見つけたかったのに・・・」
 きゅっとパジャマを握りしめる手が震えているのが背中ごしに伝わって来る。
「美幸は・・・ホントにあたしなんかでいいの?」
 ゆっくり振り返ると、今まで拗ねていたのが嘘のような笑顔で美幸は答えた。
「あたしの相棒なんて、あなた以外に誰にも務まらないわ・・・夏実」
「・・・ホントに?」
「夏実と出会ってからは、夏実以外考えたこともないわ」
 今まで幾度となくお互いの仕事の事情で離れたことはあったが、それでもいつも心の中にいたのは夏実だった。
 夏実以外考えられなかった。
 そしてそれは夏実も同じだった・・・。
「じゃあさ、約束してよ」
「ん?」
「今度無茶する時はあたしも連れてくこと!ぜ~ったいだからね!」
「ふふっ、了解」
 


 二人は指切りをするように小指を絡めたまま、肩を寄せ合って眠った・・・。
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Date:2008/09/04
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