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□ 美奈×レイ □

おつかれさま

美奈がんばりやさんです




 カタカタっ

 なめらかに動く細い指先を後ろからぼんやりと見つめる。
 指の動きと同時にディスプレイに文字が並ぶ。
「美奈」
「・・・」
 呼びかけても返事はない。
 食い入るように画面に集中している。
 どうやらHPの更新をしているらしいが、パソコンなどさっぱり使えないレイにはちんぷんかんぷんだった。
 ギシっと音を立てて座っていたベッドからレイは立ち上がる。
 それでも振り向かない美奈子にいい加減腹が立って来た。
「帰る」
 言い捨てて部屋を出て行こうと、美奈子の横を通る。
 と、その時だ。
 ガシっと手首を掴まれた。
「痛っ」
 痛みに顔をしかめて振り向いたレイは目を疑った。
 美奈子の顔はまだディスプレイに釘付けのまま、右手はしっかりとレイの手を離さなかった。
「何よ?」
「ダメ」
「はぁ?」
「もう終わるから帰っちゃダメ」
「ちょ、何自分勝手なこと言ってるの?あたしが来てからずっとそればっかりじゃない!忙しいなら呼ばないでよ」
 そもそも美奈子が時間が出来たからホテルに来ないかと誘って来たのだ。
 なのにこの仕打ちはレイじゃなくとも怒るだろう。
 それとも一般人はアイドルの美奈子のそばにいられるなら、見てるだけで満足だとでも言うのだろうか?
「バカみたい」
 思わず唇から漏れる声。
 カタンっと1つ大きな音が鳴り響いたと思うと、やっとのことで美奈子が顔を上げた。
「ごめん、レイ」
「え?」
 美奈子の口から謝罪の言葉が出るなんて驚きだった。
 普段はどれだけ自分が悪くても滅多に謝ったりしないクセに。
「急に社長に言われてさ、せっかくゆっくり休めると思ってたのにさ」
 ふぅ~っと大きく息を吐くと、椅子の背もたれに背中を預けて伸びをする。
 ぼんやりとそんな美奈子を見下ろす。
「何?」
「あ、いや、大変なんだなと思って・・・」
「ま、ね」
 カタンと椅子を蹴ると立ち上がり、先ほどレイが座っていたベッドにドサっと背中から倒れ込んだ。
 ベッドの淵にレイも再び腰をかける。
「あれ?帰るんじゃないの?」
 ごろんと寝返りを打ち、頬づえをついて美奈子はイタズラっぽく笑うとレイのシャツの裾をツンツンと引っ張った。
「そんなこと言ってないわよ」
「そぉだっけぇ?」
 ゴロンと転がる時にレイの腰に両手を回し、引っ張って一緒に転がした。
「きゃっ、ちょ、何?」
 ドサっと美奈子の上にのしかかるようにひっくり返ると、手足をジタバタと動かしてバランスを取ろうとするが、うまく行かずに益々墓穴を掘っただけだった。
 気がついたらいつの間にかレイは美奈子に組敷かれていた。
 どこで覚えて来るんだろうといつも思う。
「何よ?」
「何よって、この体勢でしりとりでもするの?」
「ばっかじゃないの?」
「失礼ね」
 言って唇を近づける。
 が、レイはふいっと顔を背けた。
「ん?」
 不思議そうに首を傾げる美奈子。
 ふと視線を戻すと、レイは美奈子の頬に手を伸ばした。
「何?」
「目の下にクマが出来てる」
 親指の腹で目の下を撫でる。
「え?ちょ、ホントに?」
 慌てて自分の頬に手を当てると、サイドテーブルに置いてある小さな鏡を覗き込む。
「ホントだ、ショック」
 もうすっかりレイを押し倒していたことなど忘れたかのようにとほほと肩を落とす。
「くすくすっ」
「何よ?」
「夜更かしは身体に毒よ」
「うっ」
「あたしが居たら身体に毒みたいだし、帰ろうかなと思うんだけど・・・どう?」
 ニヤリと、してやったりという笑みを浮かべる。
 いつもいつも言い負かされるので、ささやかな仕返しのつもりだった。
「帰すわけないじゃない」
「え?」
 だが、思いがけない反撃にレイは一瞬たじろいだ。
「何の為に昨日頑張ったと思ってるのよ」
「ん?」
「今日時間作るために仕事頑張ったのに!レイのばかっ」
 ふんっとすっかり拗ねてしまった美奈子は、布団に潜り込むとすっぽりと頭まで隠れてしまった。
 言い過ぎたかしら?
 レイは少し反省すると、ちらっと布団をめくる。
「美奈?」
「・・・」
「ごめん美奈」
「・・・」
「美奈が頑張ってるの知ってるからさ、ごめん」
 本当に彼女が努力をしていることは、レイもちゃんと認めていた。
 少しだけ布団から顔を出す美奈子。
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ許す」
「そ?よかった」
「キスしていい?」
「はい?」
「押し倒していい?」
「何でそうなるのよっ」
「なんとなく」
 言って美奈子は再びあっという間にレイを布団の中に引っ張り込んだ。
「せめてさぁ、抱き枕にくらいなってくれてもバチは当たらないでしょ?」
 もぞもぞとレイの身体に腕を回すと、きゅうっと抱きしめた。
「美奈?」
「おやすみ」
「おやすみって・・・えぇ?」
レイは抱きつかれたまま身動きも取れず、ただ美奈子の寝顔を覗き込むしか出来なくなってしまった。
「まぁ・・・いいけど」
 そっと美奈子の髪をあやすように撫でながら、レイはそっと唇を寄せた。
「ごくろうさま」
 美奈子の無防備にさらされた頬にキスをする。
 本当は疲れているのだろう。
 たまの休みなんだからゆっくりすればいいのに・・・というか休みも無理矢理取ったのだろう。
 その為に無理に仕事を終わらせようと夜更かしをしたんだろうということは想像出来る。
 それでも弱音を吐かない美奈子を強いと思う。
 そしてそんな彼女だから自分は惹かれたのだと思う。
「無理しすぎよ、美奈・・・のばか」
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Date:2008/08/31
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