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□ 美奈×レイ □

今年も・・・

実写・・・好きやったんやなぁ・・・




「クリスマスも終わったし、もう年末ね~今年も一年早かったわ」
「何をババくさい事言ってるのよ、あなたいくつよ?」
 言って苦笑するレイ。
 久しぶりにレイの家に転がり込んだ美奈子はコタツに足を突っ込んだまま、まだ10代だとは思えない言葉をしみじみと吐き出していた。
 最も、レイの家に転がり込んだのが久しぶりなだけで、つい先日のクリスマスは一緒に過ごしたばかりだったのだが・・・。
「あなたは大晦日どうするの?」
 コポコポと湯飲みにお茶を注ぎながらレイが尋ねる。
 美奈子の好みの温度になるように加減して入れてやる。
「大晦日?」
「そう」
 湯飲みを受け取り、一度だけふぅ~っと湯気を吹くとコクリと一口含んだ。
「あたしはカウントダウンライブなのよねぇ、見に来る?」
「バカね行けるわけないじゃない」
 レイもいつものように美奈子の左90度の位置に足を突っ込むと呆れたようにため息をつく。
「どうしてよ?」
 バカと言われてむっとしたのか、美奈子は頬を膨らませる。
「どうしてって・・・あなたココがどこだかわかってるの?」
「火川神社」
「あたしは?」
「美人の巫女さん」
 湯飲みに両手を添えてニッコリ微笑んで答える美奈子。
「び、美人は余計よ!」
 顔を真っ赤に染めながらもまんざらでもないのか、ずずっとお茶をすする。
「とにかく!そういうことだから三ヶ日は忙しいのよね」
「そっか~あたしはライブが終わったらヒマなのよね、珍しく元旦は休みだし」
「ふーん」
「それだけ?」
「それだけ?」
 キョトンと聞き返すレイ。
「せっかくの休みなのよ?このあたしが」
「諦めてちょうだい」
 アッサリと流すレイの言葉に、美奈子はコトンとコタツにつっぷすると頬をさっきよりもぷくっと膨らませた。
「レイはあたしと過ごしたくないのねっ」
「ばっかじゃないの?そんなわけないでしょう?」
「え?」
「あたしだって出来ることなら年の初めくらいは・・・」
「お互い・・・忙しい身だもんねぇ」
 はぁ~っと二人は同時に深いため息をついた。

  ☆

 除夜の鐘が鳴り響く中、レイは寒い中汗をかきながらお守りを渡したりおみくじを引かせたり、絵馬や破魔矢の準備をしたりと大忙しだった。
「良いお年を」
 お守りを買いに来た女の子に渡すと、笑顔でそう声をかける。
 決まり文句だ。
 人の幸せを願うばかりで自分が共に過ごしたい相手とは過ごせないという矛盾に疑問を持つ・・・ヒマもなかった。
 やっとひと段落した時、レイはふぅっと自分の肩をもみながら空を見上げた。
 星が瞬いていた。
 明日も晴れそうね、そう思いながら心の中でぽつりと呟いてみた。

 ――あけましておめでとう――

 今頃大勢の観客相手にカウントダウンライブの最中である彼女に向かって・・・。

  ☆

「3・2・1!みんなーーーーあけましておめでとーーーーっ」
 12時を回ると同時にそう叫んだ彼女。
 再びわぁぁぁぁぁっとうねりを上げる大波のように盛り上がる大勢の観客たち。
 真冬だというのに人の熱気が全く寒さを感じさせようとしない。
「みんなー今年もよろしくねーーーーっじゃあ年も変わったし一曲目行くよーーーっ」
 うおぉぉぉぉーーーーーーーっ
 男女問わず人気のある彼女への声援が怒号のように鳴り響く。
 ペンライトが振り回され、拳が振り上げられ、流れ出した音楽と共に一緒に歌いだす観客。
 彼女の声がそれに負けないように声を張り上げ、歌い始めた。

  ☆

 ライブの熱気と興奮が冷めないまま美奈子は迎えの車に乗り込むと、行き先を告げた。
「火川神社」
 黒塗りの車は黙って滑り出した。
 わずか数十分後、美奈子は火川神社の階段を見上げていた。
 まだ日の出には早い時間だったが、それも時間の問題だろう。
 お参りを済ませた人たちが、初日の出を求めてぼちぼち移動を始めていた。
「さてと、どこにいるのかしらねぇ」
 美奈子はその人々の流れに逆らって、お守りなどを売っている場所に向かう。
「あ、いた!レイ!」
 大きく手を振りながら近づく美奈子に、レイはギョっと目を丸くする。
「え?美っ・・・」
 呼びかけて口をつぐむ。
 気を使ったのだろう、この人の多さの中で見つかったらエライことだ。
 自分の立場を思い出した美奈子はおみくじを引くふりをして小声で話しかける。
「あけましておめでとう、レイ」
 かしゃかしゃかしゃとおみくじの棒が入った箱を振る。
「もう終わったの?」
「うん、まぁね。終わってすぐに飛んできた・・・あ、1番」
「よかったの?アルテミスは?」
 今日何度も繰り返してきた行為、1番の棚からおみくじの用紙を取ると美奈子に渡す。
 がさごそと紙を開きながら
「置いてきたよ、あ、大吉!」
 よほど嬉しかったのか、再び大きな声を上げる。
「ちょ、美奈っ人が多いんだからっ」
 小声で注意を促すと、美奈子はぺろりと舌を出すとかぶっていた帽子を目深にかぶりなおす。
「ごめんごめん、まだ落ち着きそうにない?」
「ん?そうでもないわね。そろそろ少し落ち着くかな?っていうか休憩させてくんないとあたしも持たないわ」
 うーんっと大きく両腕を伸ばして伸びをすると、サっと後ろで開いた障子を振り返る。
 おじいちゃんが休憩を終えて奥から出てくると、美奈子をチラリと見て言う。
「レイ、少し休憩してもよいぞ。これだけ人が減ったらワシ一人でも大丈夫じゃ」
「ホント?ありがとおじいちゃん」
「そのかわり、一時間したら帰ってきておくれ」
「わかったわ」
 レイは立ち上がると横の勝手口の方から出てくる。
「さて、休憩もらったけど?」
「どこか行けるってほど時間もないみたいね・・・っていうかあたしも疲れたわさすがに」
「部屋行く?」
「ん、寝る」
 美奈子はレイの後にくっついて行くといつものように縁側から部屋に入った。

  ☆

「さて、大吉だってさおみくじ」
 さっきは表しか見てなかったのか、ガサゴソと中身をじっくり読み始めた。
「火川神社のおみくじは当たるわよ」
「らっきーっ何なに?仕事は努力が報われる・失せ物は待てば出る・旅行は東南がよい・恋愛は叶う・・・だって」
 ふふっとその対象である彼女を見ると、その視線の意味を理解しているのかレイの頬が少し染まる。
「叶うんだってーレーイっ?」
「な、何よ?」
「レイは?引いた?おみくじ」
「・・・」
「レイ?」
「・・・同じ」
「え?」
「1番」
「え?・・・大吉?」
 コクンとうなづくと、袖口から同じ紙取り出して広げて見せた。
 美奈子のものと全く同じ『大吉』いう文字の書かれた紙だった。
「へぇ?偶然ねー」
「まぁね」
「お互い想いは同じってことで・・・レイ、今年もよろしくね」
「ん、こちらこそ」
 隣でベッドにもたれて座るレイの唇に、チュっと自分の唇で触れる。
「なっっ美っ?」
「新年初キスゲットー!」
 えへへっと小悪魔のような笑顔でブイサインを出す。
 気のせいか背後に黒いしっぽが小躍りしているように見えるのはレイの気のせいだろうか?
 そんな小悪魔のイタズラのようなキスに、かぁぁぁっと一気に頬を上気させたレイは、文句を言おうと口を開きかけるが、美奈子の嬉しそうな笑顔を見ると口を噤むしか出来なかった。
「去年も好きだったけど、今年ももっと好きになるわ、レイ」
「・・・ばか」
「失礼ね!新年のアイサツじゃない!」
「そんなアイサツ・・・聞いたことないわ」
「じゃぁこれから毎年言ってあげるわ、どうせこれからもずっと一緒だもん。飽きるまで言ってあげる」
「わかったわよ!もうっ」
「ふふっレイは?言ってくれないの?」
「い、言わないわよっ」
「どうして?言ってくれてもいいじゃない?」
「イ・ヤ」
「ふんっまぁいーけどね」
「美奈?・・・怒ったの?」
「べーつーにーーーーっ」
 ぷいっと顔を背ける美奈子。
 はぁぁーーーーっとため息をつき、何度か深呼吸を繰り返すとレイは意を決したように呼吸を止めた。
 隣から前に移動する。
「美奈」
「何よ・・・むっんっ?」
 美奈子の唇が温かいものに塞がれる。
 一瞬の後、それが何かを頭が理解した時、美奈子の手はレイの服のスソをつかんでそっと瞳を閉じていた。
 レイの唇は柔らかいが、寒いところにいたせいか少しだけ冷たい。
「レイ?」
「い、言わないわよっ言わないけど・・・」
「ん、わかったから」
「あの、あけましておめでとう・・・今年もよろし・・・くっ?」
 言い終わらないうちに、レイの体は美奈子の両腕に引き寄せられていた。
「美奈?」
「レイ・・・好きよ・・・」
「うん」
「あなたが言わなくてもあたしは何度でも言うわ、好きよ」
「うん」
「おやすみ」
「うん・・・って、え?」
「や、さすがにキツイわぁ紅白に出て、そのまま徹夜でライブ・・・疲れた」
 レイを抱きしめたままカクンっと美奈子の首が後ろに折れた。
「ちょ、え?」
「眠い~」
 全身の力が抜けた体は突然重みを増した。
「ちょっとぉあたしまだ仕事あるんだけど?」
「うん」
「離してくんないと行けないんですけど?」
「うん」
「美ぃ奈ぁぁぁぁ?」
「いってらっしゃい~」
 やっとのことでレイを解放した美奈子は、ガサゴソとベッドにもぐりこむ。
「はぁぁぁっまぁいいけどね、じゃぁいってきます」
 答えたのは美奈子の安らかな寝息だけだった。
「いいけどね」
 少しだけ肩をすくめる。
 ふふっ美奈・・・おつかれさま。
「さて、もう少し頑張ってこようかな!」
 自分に気合を入れたレイは、コタツの上に放置された美奈子のおみくじと自分のおみくじを手にそっと部屋を出た。
 レイはそっと境内の裏手に回る。

  ☆

「あれ?あたしの大吉はぁ?」
 目を覚ました美奈子が大吉の紛失を騒いでいたが、レイはくすりと笑うだけで何も言わなかった。

  ☆

 境内の裏手、目立たない場所に結ばれた二つのおみくじは、誓われた言葉通りに仲良く並んでいた・・・今年も一緒にいようという誓いのように離れることのないようにしっかりと結ばれて・・・。


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Date:2008/08/31
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