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□ 美奈×レイ □

夏の終わり

あぁ・・・夏も終わりやなぁ




「たぁまやぁ~」 
 ドドーンと言う音とともに、夜空に描かれた大輪の花に向かって掛け声をかける。 
「ほらっレイも言いなさいよ、かぁぎやぁっでしょ?」 
「やぁよ、恥ずかしい」 
 と頬を染めて文句を言うのは、赤い浴衣を身に纏ったレイだ。 
 いつもは腰まで垂らしているキレイな黒髪を、浴衣に合わせてアップにしてあるのが、とても高校生とは思えない色気を発揮している。 
 アップにした髪のすそから覗く”うなじ”がアタシの視線をくぎづけにする。 
 全くこの子は自分の魅力がどれほどのもんかわかってないからタチが悪いというか何というか・・・
「もう、せっかくの花火大会なのにさ」 
「美奈こそ、こんなに堂々としてていいの?バレるんじゃない?」 
 アタシの職業柄、確かにあまり人の目に触れるのは何かと問題がありそうだけど・・・"国民的アイドル"という職業柄、ね。 
「大丈夫よ!まさかアイドルがこんな田舎でノンキに花火見てるなんて誰も思わないわよ」
 と、パタパタっと団扇を扇ぐ。 
「失礼な人ね!もう連れてこないわよっ」 
「えっ?ヤダっ」 
 でもさ、ホントにこんな山奥の別荘地に『愛野美奈子』がいるとは誰も思わないと思うのよね。 
「それにしても…レイってばこんないいトコに別荘持ってるなんて、ホントにお金持ちのお嬢サマなのね!」 
「パパが持ってるだけよ、ママが死んでからは一度も来たことなかったわ」 
 ふと昔、ここで家族と過ごした頃を思い出したのか、寂しそうに空を見上げるレイ。 
 その視線を追って、静寂が訪れていた夜空にアタシも目を向けた。 
「そっか、ごめん。でも偶然よね、遊びに来た今晩が花火大会なんてさ!ラッキー!」 
 アタシはレイの寂しそうな表情なんて見たくないのに…だから話題変えようとしたんだけど・・・
「知ってたわよ」 
「へ?」 
「美奈、忙しくて花火なんかゆっくり見るヒマないんじゃないかと思ってね。 
 無理に休み取らせちゃったのよ」 
「え?そうなの?」 
 意外な心遣いにアタシは驚いてレイの横顔を見つめた。 
 レイはこちらを振り向くこともせず、ひたすら夜空を見上げたままぽつりと呟く。 
「たまにはいいでしょ」 
「じゃぁ、これもそのため?」 
 と浴衣の両袖を軽く持ち上げながら、改めて自分とレイの浴衣を見比べる。 
 先日、仕事の空き時間に2人でショッピングに出かけた際、浴衣を買おうと言い出したレイに、アタシは同じ柄の色違いを選んだ。 
 アタシのはオレンジ、レイは赤とそれぞれのセーラーカラーを。 
「そうよ」 
「ふーん」 
 心なしかレイの頬が赤く染まっているのは、花火の灯りのせいだけではなさそうね。 
 言葉は素直じゃないけれど、イマドキこれほど素直な子は中々いないわよねぇ。 
 普段芸能界という特殊な世界で生活しているだけに、余計にそう感じてしまうのかもしれない。 
 
 ドーーン! 
 
「たぁまやぁ~」 
「かぁぎやぁ~」 
 今度は少し小声だったけれど素直にアタシの掛け声に合わせるレイの表情は、少し照れくさそうにはにかんでいた。 
 こーいうトコがかわいいんだってば! 
 ちょっとホント、たまに妬けちゃうわっ 
「ねぇ、レイ」 
「何?」 
「・・・」 
「何よ?美奈・・・んっ!!!?」 
 無言のアタシにシビレを切らせて、やっと振り向いたレイの唇を瞬間ふさぐ。 
 
 ――ドドーーン!ドン!ドン!ぱらぱらぱらっ―― 
 
 2人の唇が重なったはるか上空で、今宵最後の花火がこれでもかっと鳴り続けていた。 
 全てが終わり、火の粉が消え、真っ暗な夜空が戻ってくるまでの長い間、二人の唇はお互いを離すことなく求め合った。 
 
  ☆ 
 
「終わっちゃったね」 
「ん、そうね」 
「あーぁまた今年も仕事三昧でのまま夏が終わるのね、つまんなーい」 
「また、来年も夏は来るわ。再来年も、これからずっとね」 
「そりゃそうだけど・・・」 
「来年も、パパに頼んどくから」 
「えっ?」 
「また来ればいいわ」 
 団扇で顔を隠すようにして立ちあがるレイの手首を 
 思わずアタシはつかんでしまった。 
 グイっとバランスを崩して、もたれかかってくるレイの体を 
 しっかりと抱きとめるとへへっと顔をのぞき込む。 
「そうよね、ずーーっと一緒だもんねレ・イ!」 
「ばか」 
 顔を真っ赤に染めて言いながらもアタシの手を振りほどくことはしなかった。 
「ふふっ帰ろっか」 
 アタシはしっかりとレイの指に自分の指を絡めると、レイの手を引いて歩きだした。 
「美奈・・・まことや亜美ちゃんや、うさぎにはナイショだから」 
 ぽつりと呟くレイに、アタシの頬が緩んだ。 
「とぉっぜん!」 
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Date:2008/08/31
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