Planetarium SS置き場

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□ 美奈×レイ □

うそつき

たまにゃいいやろ、レイ美奈も(笑)



「うわっ最悪!何?コイツ!」 
 楽屋で台本を読んでいた美奈子が突然大声を上げた。 
 『新曲争奪!愛野美奈子VSマーズレイ子・バトル大会』騒動からコッチ 
 斎藤社長公認で楽屋に出入りできるようになったレイは撮影現場に遊びに来ていた。 
 一体何事?とレイは美奈子の台本をのぞき込む。 
「コレ、コイツよこの男!」 
 美奈子が指でさすところを目で追ううちに、眉間にみるみるシワが寄る。 
「最っ低!」 
「でしょ?」 
「あたし嘘つきって許せない!」 
「くすっマーズらしいわ」 
「で?あんたはこんな男の相手役なわけ?」 
「まっさかでしょ?」 
 美奈子は台本を放り投げると、ははんっと鼻で笑う。 
「アタシはこの男にだまされる主人公の妹役」 
 レイは台本を拾うと役名のところを確認する。 
「ホントだ。でもあんたの役も結構ヤな役ね、姉の恋人を誘惑する女子高生?何コレ」 
 美奈子の顔が戸途端にゲッソリする。 
「言わないでよ、でもまぁこういう役やることもこれからのためだって社長が言うからさ」 
「ふーん、楽しみね」 
 レイはニヤリと笑みを浮かべると、熱心に台本を読み始める。 
 そんなレイを横目に、美奈子は深いため息をついた。 
 
  ☆ 
 
 秘密基地のドアを開けると、すでに亜美とまことが来ていた。 
 亜美は相変わらず参考書を広げていたが、まことも本来ならばそういう状況でなければいけないハズなのに、教科書すら広げていなかった。 
 そのくせに退屈そうに足をブラブラさせて時折亜美の顔をのぞき込んだり、チョッカイ出してみたりしている。 
 一体何やってんだか。 
「来てたんだ2人とも」 
「あぁ、レイ」 
 ガタンっとまことが話し相手が出来たーっとばかりに勢いよく立ちあがる。 
「どこ行ってたのさ?」 
「ヴィーナスのところ」 
 そう行うとレイはポケットに入れたまま持ってきてしまった台本の存在を思い出したのか、ポンっとテーブルの上に放り投げる。 
「何コレ?ミナコが出るの?」 
 まことは台本をめくると熱心に読み始める。 
「うん、サイッテーな役でね」 
 ふっと亜美も興味を示したのか顔を上げる。 
「ねぇ、うそつきってどう思う?」 
 レイは何気なしにさっきまで美奈子と話ていた話題を、台本に夢中になってるまことは置いといて、亜美にふってみた。 
「うそつき?」 
 亜美は少し首をかしげてレイを見る。 
「うん、うそつき」 
「あたしは・・・イヤかな」 
 少しだけ眉をしかめて答える亜美。 
「そうよね、やっぱり!あたしもイヤ!って話をね、ヴィーナスと話してたの」 
「そうなんだ、あたしも・・・」 
 亜美はチラっと台本を読みふけっているまことを見る。 
 亜美の視線をレイも追う。 
「まことは?」 
 レイは視線の先の主にも同じ質問を繰り返す。 
「ん?んー」 
 まことは台本から顔を上げると、んーーっと考える。 
「必要な嘘って、あると思うけどねあたしは」 
「えっ?」 
 レイも亜美もこの答えにはさすがに驚いた。 
「まぁ確かにこの台本の男は最悪だけどね、嘘ってさそれだけじゃないじゃん」 
「他に何があるっていうのよ?」 
「んー、まぁたとえば…残り少ない命だとしようか?んーいや、ただの病気でもいっか。大切な人に苦しんでる姿とか、病気でボロボロになった姿とか見られたくないからがんばっちゃう、それもまぁ嘘だよね?」 
 ドクン! 
 レイの鼓動が早くなる。 
 まことはアノこと知らないハズなのに・・・。 
「でも・・・」 
「ホントは泣きたいのに、心配かけたくないからって平気な顔しちゃったりね・・・確かにつかれた方はイヤかもしんないけど…そういうのってナイかな?」 
 黙り込んでしまう。 
「まぁ基本的にはダメなんだけどね、でもあたしは全部の嘘を否定は出来ないかな」 
 レイがチラリと視線を横にやると、亜美と目が合う。 
 まことは再び台本に目を落とすとつぶやいた。 
「しかし、この男はサイテーだな」 
 
  ☆ 
 
 夕方、基地からの帰り道を亜美はまことと肩を並べて歩いていた。 
「ねぇまこちゃん?」 
「ん?」 
 まことはふわりと優しい笑顔で振り向く。 
「さっきの話・・・」 
「何だっけ?」 
 キョトンと目を丸くして亜美を見つめる。 
「嘘の話」 
「あぁ、どうしたの?」 
 亜美は一瞬迷った末、思いきって切り出した。 
「まこちゃんも、うそつきだよね」 
 亜美の言葉に更に目を丸くするまこと。 
「はぁ?」 
「まこちゃん前に言ったよね、一人でいいんだって」 
「あぁ、うん、言ったねぇ」 
「一人でいいわけないじゃない」 
「え?」 
 まことは足を止めると、じっと亜美を見下ろす。 
 亜美も足を止めると10cmほど上にあるまことの顔を見上げる。 
「わたしは・・・寂しいわ。寂しかった、ひとりぼっちになった時は・・・」 
「え?」 
「初めて会った時もそうだったけど、まこちゃんホントは寂しいのに・・・誰かにそばにいて欲しいのにすぐ、らしくないよな!っとかって強がってみたり、元基くんがあんなにまこちゃんのこと好きなのに、一人でいいんだとかって逃げてばかり、そんなのおかしいよ!」 
 驚いてこわばっていたまことの表情が少しづつ柔らかくなる。 
「亜美ちゃん、ありがとう」 
「え?」 
 今度は亜美が驚く番だった。 
 嫌われちゃうって覚悟してたのに。 
「わかってたんだ?」 
 まことはうーんっと伸びをすると、へへっと笑う。 
 ドキン 
 コクンとうなづく。 
「ん、確かにあたしはうそつきだよ、でもねそれはあたし自身に必要なうそだったんだよね」 
「?」 
 まことは亜美の視線にまで降りてくると、ごめんねっと笑う。 
「そうでも思わなきゃ、やってらんなかったっていうかねぇ…両親があたしを置いて死んじゃった時とか、センパイにフラレタ時とか、どうしてあたしばっかり?って泣いてばっかりだったんだ。でもさ、それじゃぁダメだって思ったんだよ、それで自分に言い聞かせるようになってさ、でも・・・」 
 わたしは・・・まこちゃんの気持ちをわかってなかった・・・傷つけた・・・なのにどうしてこの人はこんなに優しいんだろう? 
 自分の吐いた言葉を後悔して、まことの顔を見ることができなかった。 
 
 ――泣きそう。 
 
「ありがとね、亜美ちゃん」 
 トドメだった。 
 目の前がぼやける。 
 コンタクトがズレたわけでも、落としたわけでもなかった。 
 ううんっと黙って首を横に振る。 
 まことの優しい声。 
 大好きな笑顔。 
 やっぱりこの人には笑顔でいて欲しいと、心からそう思う。 
 でも、思えば思うほど顔が上げられなくなる。 
 肩が震える。 
「えっ?ちょっ、あ、亜美ちゃん?」 
 まことの声が慌てる。 
 しゃがんで亜美の顔をのぞきこむと、オロオロする。 
「ごめん、ごめんねまこちゃん・・・ごめんなさい」 
 何度も何度も同じ言葉を吐き出す亜美の体を、突然柔らかな腕が包む。 
「亜美ちゃん、もういいからさ・・・そんなに謝らないでよ」 
 まことの優しい声が体の中から心地よく響く。 
「まこちゃんもう・・・うそ、つかなくていいから・・・」 
 まことの服をギュっと握ると、少しづつ言葉をつむぐ。 
「亜美ちゃん?」 
「わたし、ずっとそばにいるから…泣きたいって思ったら・・・わたしなんかじゃ役に立たないかもしれないけど…いるから、だからもう・・・」
 
 ――ひとりでいいなんて思わないで。 

 最後の方はもうかすれて声にならない。 
 そんな亜美の背中を、まことの大きな手がよしよしとなでる。 
「あのさ、亜美ちゃん?えっと、ありがとね。あたしバカだからさ~亜美ちゃんがそんな風に思ってくれてたなんて全然気付かなくてさ、ごめん!」 
 まことの腕に力がこもる。 
「あたし、さ、ホントに元基君のことはそんな風に見てないんだ。いい人だと思うけど、でも違うんだ亜美ちゃん・・・逃げてるわけじゃないんだよ」 
「うん」 
「亜美ちゃん・・・ホントにそばにいてくれる?」 
「うん」 
 あたりまえじゃない、ずっと。 
「じゃぁ、もうウソツキとか言われなくてすむね」 
 えへへっと笑うまこと。 
 ドキン! 
 コクコクコクとそれに答えるように何度も何度も首を縦にふる。 
 まことはやっとのことで亜美を解放すると、ニッコリ笑って 
「じゃぁ帰ろう」 
 と、右手を差し出す。 
「うん」 
 亜美はそっとその手にそっと手を重ねた。 
 もう2人の間にうそは無かった・・・。 
 
  ☆ 
 
 夜、中学生が出歩くには少しだけ遅い時間。 
 レイは美奈子が泊まり歩く有名シティホテルの前にいた。 
 敵から身を隠すためか、ただ仕事に行くのに便利からなのか、最近の彼女はよくホテルを転々としていた。 
 一応その都度場所は聞いてはいたが、アイドルも大変だなと感心する。 
 ナゼこんな時間にこんなところにいるかというと、実はレイにもよくわからなかった。 
 なんとなく昼間のまことたちとの会話が妙に頭にこびりついて離れなかったから、確認というか何というか、気になって仕方なかった。 
「えっと、2527ね」 
 部屋を確認すると、エレベーターに乗り込む。 
 しかしこんな子供がこんな時間に一人で乗っててよく怪しまれないもんだと思う。 
「まぁ、あたしには好都合か」 
 と呟いたとき、ポーンと25階到着の合図が鳴った。 
 部屋の前まで来ると、一瞬さすがに躊躇したが思いきってベルを鳴らす。 
「はい?・・・誰?」 
 と、中からぶっきらぼうな返事が聞こえた。 
「あたし」 
 それだけの簡単な言葉で、アッサリと天の岩戸が開く。 
「マーズ?どうしたの?こんな時間に」 
「入っていい?」 
 美奈子は無言で体を寄せると、中に入るように促す。 
 
  ☆ 
 
「・・・で?睡眠不足はお肌の大敵よ、アイドルの睡眠時間奪うからには、くっだらない用事だったら怒るから」 
「まだ10時よ」 
 無言で促されたソファに座る。 
「ねぇ、今日の収録、どうだった?」 
 その横にドサっと座ると、キョトンと見つめる美奈子。 
「まさか…それだけ?それが聞きたかったの?」 
 レイはどう言っていいかわからず、思わずコクンと首を縦にふってしまった。 
「ちょっとぉ~ホントにくだらない用事ね!」 
 黙って俯く。 
「順調・快調!全開でヤな女の子演じてるわよ!」 
 アタシを誰だと思ってるの?といわんばかりにふんぞりかえる。 
 レイは横目でそっとそんな美奈子を観察する。 
 見たところ、病気だなんてそぶりが全く見られない。 
 ホントは苦しいのかしら…ガマンしてるのかしら? 
 昼間のまことの言葉が再び脳裏によみがえる。 
 ついていいウソ?必要なウソ?この人がウソを? 
 わからない・・・。 
 知らず知らずのうちに、レイはジっと美奈子を見つめていたらしい。 
 美奈子がニヤリと笑みを浮かべる。 
「何よ?マーズったら、そんなに見つめられたらテレるじゃない~」 
 美奈子の言葉に我に返ったレイはあわてて視線を逸らす。 
 その先に素早く回りこんでは、レイの顔をニヤニヤとのぞき込む。 
「何、何、何ぃ?フフフっマ・-・ズ?」 
「や、やだっ何よ!ばかっ」 
 ふーっとため息をつくと、美奈子はドサっとソファに沈み込む。 
「あのねぇ、ヤダって…ばかって、それはないでしょぉ?あなたホントに一体何しに来たの?まさかアタシに押し倒されにでも来たの?」 
「え?あっそれは・・・」 
「それは何?」 
 美奈子がぷくっと頬を膨らますと、ずいっと詰め寄ってくる。 
 体が熱い。 
 鼓動が早い。 
「・・・うそつき」 
 やっとのことで絞り出した言葉はそれだった。 
 驚いた顔。 
「はぁ???」 
「あ、えっと、その・・・」 
「全くぅ、こんな時間に来て何を言い出すかと思えばうそつき?失礼ねぇ」 
「だって・・・」 
「だって何?ハッキリ言いなさいよ!マーズらしくないわ!」 
 真っ直ぐレイを射抜く瞳。 
 その瞳から逃げ出すように、視線を逸らしながら吐き捨てる。 
「苦しいなら苦しいって言いなさいよ!」 
 ピキーンと凍りつく空気。 
 たっぷりと5秒は静寂に包まれていただろう。 
「何?」 
「寂しいなら…寂しいって言いなさいよ…一人で病気と闘おうとしなくていいじゃない」 
 言ってて泣きそうになる。 
「マーズ?」 
 「まことに言われたわ、必要なうそもあるって。ツライのにツラくないふりすることもあるって・・・でもやっぱりあたしは、うそつきはキライよ」 
「それがアタシだって?」 
 ゆっくり立ちあがる。 
 レイはおそるおそる美奈子に視線を戻す。 
 怒ったのか、真っ直ぐこっちを睨んでいた。 
 そして、握った拳がかすかに震えていた。 
「泣き言を言ったところでどうにかしてくれるわけ?あなた・・・が?」 
 声がかすれている。 
「言ったところでどうにもならないから言わないだけよ・・・」 
 2人の間に流れる冷たい空気。 
 いたたまれない。 
 一刻も早く逃げ出したい。 
 レイは立ちあがるときびすを返す。 
 無責任なことを言ってしまったと後悔しても、もう遅い。 
 美奈子の視線が、涙が心に突き刺さる。
 耐えられない、痛い。 
「逃げるんだ?」 
「・・・」 
「サイテーよね?ずっとガマンしてたのに…人の心乱すようなこと言うだけ言って逃げるんだ?」 
 ゆっくりと振りかえる。 
 中途半端にかまわないでよ!、と力無くつぶやくと美奈子はソファに崩れ落ちる。 
 レイは、いつのまにかそんな美奈子を力いっぱい抱きしめていた。 
「やだ、離しなさいよ!もう帰って!」 
 腕の中で精一杯暴れる美奈子だったが、あたしの覚悟を感じ取ったのか次第に大人しくなっていった。 
 美奈子の体から力が抜けていくのを両腕がしっかり感じる。 
 もう逃げない。 
 逃げちゃいけない。 
 この人を全力で受け入れなきゃいけない。 
「ごめん、美奈。でもやっぱりあたしは・・・うそつきはキライなの」  
「ウソなんか・・・」 
「あたし相手にうそつく必要…ないでしょ?」 
「だから・・・!」 
 これ以上この人の言い訳を聞く気はなかった。 
 いつも美奈子がレイを黙らそうとする時にするように、強引に唇を塞ぐ。 
「ん・・・!」 
 突然のことに息苦しそうに一瞬うめく美奈子。 
 彼女の全てを包み込むように、飲みこむようにレイはひたすら貪る。 
 行き場の無くした美奈子の手がレイの背中に回されると、服をギュっとつかむ。 
 ゆっくりと体を離す。 
「今度ウソついたら、ホントにキライになるから・・・」 
「じゃぁ・・・今はあたしのこと、好きなんだ?」 
 精一杯の美奈子の抵抗。 
 レイはさらに反撃に出る。 
「悪い?」 
 もう・・・いっぱいいっぱいだわ、これ以上はムリね。 
「悪くない・・・わよ」 
 あたしの勝ち。 
 
  ☆ 
 
「・・・で?じゃぁそばにいてくれるのよね?」  
「まぁね、いるだけよ」  
「何しても文句言わないわよね?」  
「言うわよ、何する気よ?」  
「あーんなことや、こーんなこと」  
 ニヤリと笑みを浮かべる。  
「やだ。ヘンなことしたら帰る」  
「マーズのうそつき」  
 はぁ~何よもう・・・復活早すぎでしょう?全くぅ、とりあえず・・・ゴソゴソとベッドに潜り込む。 
「・・・何?」 
「もう眠いから寝るわ、帰るの面倒だから泊めて。あ、明日は7時に起こしてよね」 
「どっ、どーしてアタシが?ちょっとマーズ!」 
「あーもう、うるさいわね、とっとと寝ないと肌荒れるんじゃなかったの?」 
「信っじらんないっ!全くぅ」 
 ゴソゴソと隣に潜り込むと、レイの背中に背中を向けて寝る。 
 そっけない態度のレイだけど、布団の中はいつもより一人多いだけで温度が全然違う。 
 人の・・・愛しい人の体温が心地良い。 
 ここ数ヶ月か全然まともに眠れなかった体だったが、一気に睡魔が訪れたかと思うと、突如スッパリと記憶が途切れた。  
 最後の記憶は、後ろを向きながらもアタシの手をそっと握るマーズの体温だった。  
「うそつきね、マーズ」 
 あたしはその日、久しぶりに夢も見ないで眠った。 
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Date:2008/08/31
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