Planetarium SS置き場

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□ 美奈×レイ □

一人にしないで

美奈子絶好調!(笑)




「9時間・・・か」 
「え?何か言った?レイ」 
 いつもの秘密基地で亜美やまことといつものように勉強したり、本を読んだりしていた。
 そしてふっとレイは教科書を置くとつぶやいたのだった。 
 置いた教科書は地理…世界地図のページがめくれる。 
「レイちゃん、ロンドンに行きたいの?」 
 亜美がきょとんと見つめる。 
「え?な、どうして?」 
 心を見透かされた気がして少し動揺する。 
「だってその教科書…ロンドンのところに印ついてるし、さっきの9時間ってロンドンとの時差じゃなかったかな?」 
 さすが天才少女・・・あなどれない。 
 っていうかあたし、いつのまにこんな印つけたんだろ? 
「まぁ別に特にってわけじゃないけど・・・」 
 ムリヤリごまかしてみる。 
「そういやさ、ヴィーナス…愛野美奈子も今ロンドンだったよな~」 
 ドクンっ 
 まことも亜美ちゃんもヘンにスルドイところをついてくる。 
 たぶん、少なくともまことは全く気付いてないみたいだけど・・・まことの言葉に亜美ちゃんが何か言いたげにもう一度あたしを見つめる。 
 
 ――亜美ちゃんはあなどれないわ。 

「な~んでもないわよ!たまたまよ」 
「は?何が?」 
 これはまこと。やっぱり何も気づいてない。 
「そう」 
 亜美がうなずく。 
 まことはあいかわらずキョトンとあたしたち2人を見比べるが、さっぱりわかってないようだった。 
 
  ☆ 
 
 はぁ~っとウチに帰るなり、畳にゴロンと寝転がる。 
 何もする気が起きない。 
 美奈子からの電話は無かった…というか連絡が途絶えてもうかれこれ一週間になる。 
「バカ・・・」 
 雑誌の表紙を飾る彼女に向かってつぶやく。 
 
  ☆ 
 
 ――翌日―― 
 
 朝刊を見たレイは目を丸くする。 
「愛野美奈子引退か?」 
 デカデカと一面を飾る見出しに驚いて、玄関で立ち尽くしたまま記事を1文字も逃さず読みふける。 
 ロンドンでの仕事が終ると休養しようとしてるらしいことが半分憶測でだが書かれていた。 
 しかし病気のことはどこにも書かれてはいなかった。 
 確かめたい!本人の口から真実を聞きたい! 
 ここ一週間連絡がなかった理由も、体調だって気になるし。 
 
 ――何してんのよ、ばか。 
 
  ☆ 
 
 RRRRR 
 
 ビクンっ 
 握り締めていた携帯電話がいきなり鳴る…まぁ最も電話は突然鳴るものなのだが。 
「はい」 
「マーズ?」 
 ドキンっと心臓が高鳴り、体温が上昇する。 
 聞こえてきたのは、少し鼻にかかった甘い声・・・ずっと待ち焦がれていた人の声。 
「ヴィーナス?」 
「うん」 
「や、うんじゃなくってさ、何よあの新聞記事?」 
「あぁ、ホントひまよねぇマスコミも、他にネタないのかしらね?」 
「国民的アイドルの引退とあっちゃ、騒ぐのも当然でしょ?」 
 ちょっとイヤミも含めてみた。 
「まぁね」 
「・・・」 
「マーズ?」 
 彼女に名前を呼ばれるたびに、少しずつ体が火照る気がする。 
「はぁ~それで?今ドコで何してんのよ?」 
「ふふっ今?知りたい?」 
 イライラする、相変わらずあたしの気持ちを振りまわそうとする。 
 「言いたくなきゃ、いいけど!」 
 思わず声を荒げる。 
「くすくす、ごめんごめん…ねぇ、中に入れてくれない?」 
「は?」 
「あ・け・て」 
 まさか!っとレイはバタバタと立ち上がると障子を勢いよくパシンっと開ける。 
「ヴィ・・・」 
 名前を呼ぶどころか、目の前にいる人の顔を確認するヒマも全く与えられず 
 いきなり唇を塞がれる。 
 久しぶりに感じる唇の感触。 
 相変わらず少し冷たい唇。 
 あぁ、ずっと待ち焦がれた人の・・・って??? 
「ヴィーナス!」 
 ムリヤリ思考を正気に戻すと、ガバっと引き剥がす。 
「へへぇ、ただいま」 
 今の行為のことをちっとも悪びれず、ニッコリ笑うとあたしの鼻の頭をひとさし指で突く。 
「ただいまって・・・あなたなんでこんなところに?」 
「ん?会いたかったからに決まってるじゃない?」 
「一週間も連絡してこなかったじゃない、いつ帰ってきてたのよ?」 
「さっきよ、空港から直行!ねぇ、それはそうと入れてくれないの?」 
 レイは無言で体を横にずらすと、中に入るように促す。 
「おじゃまします、へぇ~ホント純和風ってカンジね」 
「まぁね、何か飲む?お茶・コーヒー・紅茶」 
「麦茶」 
 少し驚く。 
 アイドルが飲むイメージじゃないなと思いながら麦茶をグラスに注ぐ。 
 カランと氷の崩れる音。 
「おいし、ノド渇いてたのよね」 
「で?何か言うことないの?」 
「何から聞きたい?」 
 イジワルな笑み。 
 こんなところは全然変わってない。 
「体調は?」 
「平気、マーズの顔見れたから」 
 サラっと人の体温が上がるようなことを平気で言う。 
「新聞記事のことは?」 
「半分ホント、あたしも驚いたわ」 
 半分? 
「連絡が途絶えたことは?」 
「忙しかったの、それに電話の調子が悪かったし」 
 質問があまりにもスラスラっと答えられてしまったせいで 
 すぐには次の質問が思い浮かばずに黙り込んでしまった。 
「他には?」 
「――!」 
「じゃぁ、あたしから質問」 
「え?」 
「マーズ・・・寂しかった?」 
「は?」 
「寂しかった?」 
 彼女のまっすぐ真剣な目があたしの全身を凍りつかせる。 
 あ、また体が熱くなる。 
 声が出ない。 
 思わずコクンと首を縦にふってしまう。 
「そっか、ごめんね」 
 細くてしなやかな指があたしの髪をゆっくり何度も梳く。 
「気にはなってたんだけど・・・だから空港からマスコミと社長振りきって逃げて来ちゃったんだよね、今ごろ大騒ぎかも」 
 くすくすっとそのサマを想像したのか、あたしの髪をもてあそびながら楽しそうに笑う。
「・・・大丈夫なの?」 
「だ~いじょうぶよ!ちょっとくらい」 
 レイは心配そうに眉をひそめる。 
 美奈子は髪からそっと手を離すと、レイの眉間を人差し指でつつく。 
「マーズ、眉間にシワ寄せるのやめなさいよ、美人が台無しよ?」 
「う、うるっさいわね~大きなお世話よ!」 
 くすくす 
 雑誌やテレビでは決して見せない笑顔。 
 この人はあたしにイジワルしてるときが一番楽しいんじゃないかと思ってしまう。 
 この人の命があと数ヶ月というのが、イマイチ信じられない。 
 あたしはイヤな想像を振り払おうと、立ち上がってお茶のお代わりを注ぎに行く。 
「で?どうするの?泊まってく?」 
 そんな言葉をサラっと吐く自分に自分で驚いていた。 
「ううん、すぐ帰るわ」 
「ふーん」 
 沈黙が流れる。 
 コポコポとお茶が注がれる音だけが響く。 
「マーズ?」  
 彼女の視線を痛いほど背中に感じる。  
 沈黙が怖い、耳を塞ぎたい、次の言葉は聞きたくない。 
 
 逃げ出したい――。 

 カタカタっとお茶を注ぐ手が少し震える。 
 フっとすぐ真後ろに彼女の気配を感じた瞬間 
 後ろから伸びてきた手があたしの右手に重なると、震えを止めてくれた。 
「どうしたのマーズ?こぼれてるわ」 
 首筋にかかる吐息 
 背中に感じる体温 
 汗ばむ手の平 
 クラクラする 
 体が言うこと聞かない 
 頭、オカシクなりそう 
 ギュっと目を閉じる 
「マーズ?」 
 すぐ耳元で囁かれる声。 
 彼女の左手が回されてる腰のあたりが熱を持ってるのを感じる。 
「ごめん、わかったから」 
 その言葉にハッと我に返る。 
「え?」 
「今日は一緒にいるから・・・」 
 その言葉にあたしの体温は一気に沸点に到達した。 
「え?何?何がよ?」 
「だって帰ってほしくないんでしょ?」 
「そ、そんなこと言って・・・」 
「顔がそう言ってるわよ?」 
 彼女はあたしの耳元でそう囁くと、フゥっと息を吹きかける。 
 ピクン 
 あ・・・ダメだ、ひざに力が・・・。 
 カクンとひざが折れる。 
「精神(こころ)も・・・体もね」  
 意識の遠くでささやく彼女の声があたしの心に侵入してくる。 

 ――限界。 

 ズルズルと机に手をかけたままその場に座り込むと、何度も何度も荒い呼吸を繰り返す。
「ハァ、ハァ、ハァ」 
「マーズ?」  
 顔を上げる余裕もない…けど絶対笑ってる! 
 でも・・・悔しいけど、立ち上がることも出来ない。 
「大丈夫?」 
 なんとかゆっくり顔を上げると、そこには意外な表情が待っていた。 
 ものすごく心配そうな表情の彼女。 
「ヴィ・・・ナ?」 
 ドクンっと鼓動が跳ね上がる。 
 ガシっとレイは両手で美奈子の胸倉をつかむと、胸元にしがみつく。 
「マーズ?」 
「・・・カ」 
 声がかすれる 
 言葉にならない。 
 くすくすっ 
「ごめんね、あなたが敏感だってこと忘れてたわ」 
 スーーっと人差し指で背中をなぞる。 
 ビクン! 
「やっ」 
 背中がのけぞる。 
 顔が跳ね上がった瞬間を狙いすましたかのように、塞がれる唇。 
 彼女の舌が侵入を試みようと、あたしの唇をこじあけにかかる。 
「ん、ふ・・・ぅ」 
 息苦しい。
 声にならない 
 脳がしびれる 
 体が自然に反応する 
 おそるおそる舌を絡めに行くと、待ってましたとばかりに一気に侵入を許してしまった」
「んんっ」 
 レイの手はいつのまにか胸倉から美奈子の首へと回されていた。 
 そしてまわされた手に力がこもると、ギュっと引き寄せる。 
 このままじゃ窒息死するかもしれない、と思えるほど長い間呼吸もままならないキス。 
 でも離れたくない…心地よい感覚。 
 そう感じた途端、突然ふわりとぬくもりが離れた。 
「え?」 
 目を開けるとそこにはせつなげな瞳の彼女。 
 めったに見られない表情(かお)だな、と思う。 
 この後どうするべきか、迷っている、そんなカンジだ。 
 あたしも惑う・・・覚悟はしてるつもりだったけど 
 でもこの一線を踏み越えてしまっていいのかと再び生じる迷い。 
 頭の中に次々と浮かぶうさぎや亜美、まこと達仲間の顔。 
 2人の間に流れる沈黙。 
 その沈黙を先に破ったのは美奈子だった。 
「ねぇ・・・どうして欲しい?」 
 ズルイ人 
「どうしたいの?」 
 いつもいつもあたしの言うことなんか聞いてくれないくせにこんな時ばかり・・・ズルイ。 
 彼女の手がゆっくりとあたしの肩を押すと、背中が畳を敷く。 
 ニヤリと笑みを浮かべる。 
 あ、またこの顔。 
 一瞬彼女に答えをゆだねたことをあたしは後悔した。 
「そうね、ひとりじめ・・・したいかな?」 
 そう言うと、何か吹っ切れたかのようにゴソゴソとあたしのTシャツを探る。 
「ん・・・!」 
 スソを探り当てると、直接手のひらが侵入してくる。 
「はっ・・・あ・・・」 
 熱い、彼女の手が触れるところが次々と熱を帯びる。 
 目の前がぼやける。 
「や、ヴィ・・・熱っ」 
 頬を紅潮させて押しのけようとする…が力が入っていないのが自分でもわかる。 
「マーズってば…そんな顔されたら・・・」 
 何度も何度も脇腹をなで上げる手が、次第に形のいい胸を包み込みはじめる。 
 ピクンっと震える体。
 頭の中が真っ白になる。
「やぁっ、ダメ・・・よ」  
「何が?」 
「ダメ・・・」 
 くすくすっ 
 唇が首筋に移動する。 
 指先はキュっとふくらみの先端をもてあそぶ。 
「ん!」 
 彼女の手が、舌が、イタズラでもするかのように全身のあちこちを這う。 
 あたしのTシャツが剥ぎ取られる。 
「やっ、あ・・・」 
 短い悲鳴にならないような声を何度も何度もあげてしまう。 
 言葉に出来ない感覚が次々に襲ってくる。 
 次第に大きくなる声。 
「マーズ、あまり大きな声出すと・・・聞こえちゃうわ」 
 そう言うと彼女は再びあたしの唇を塞ぐ。 
 体からグッタリと力が抜けると同時に、そっと唇は解放される。 
 あたしの腕は彼女の首に巻きつけたまましがみついて離さなかった…離れられなかった。
「マーズ?」 
 離したくない。 
「大丈夫?」 
 離れないで。 
 あたしを一人にしないで。 
 もう、一人はイヤ。 
「マーズ?」 
 もう一度優しく名前が呼ばれる。 
「バカ、ヴィナ」 
 やっと口から出た言葉は、想いとは正反対の言葉。 
「え?」 
 驚いて目を丸くする彼女。 
「戦いなさいよ・・・最後まで・・・」 
 バカ、ともう一度呟くと、フっと意識が途切れた。 
 首からスルっと腕が落ちる。 
「え?ちょっ?」 
 
  ☆ 
 
 呆然とレイの寝顔を見つめる。 
 聞こえてくるのは規則正しい呼吸音。 
 くすくすっ 
「ホントに敏感なんだから、これからだったのに・・・」 
 ゆっくり体を起こすと、スヤスヤと寝息を立てるレイを見下ろす。 
 目の下に黒っぽいアザが見える。 
 寝不足なのかしら? 
 まさか、アタシの電話を待ってた・・・とか? 
 まさかね。 
「ん、んん」 
 眉間にシワが寄る。 
「こんなところに・・・寝かせてらんないわよねぇ」 
 
  ☆ 
 
 カーテンの隙間からもれる朝陽が顔にあたる。 
「ん?」 
 まぶし・・・夕べカーテン閉め忘れたっけ? 
 まだ完全に目覚めない頭で記憶をたぐる。 
「起きなきゃ」 
 体がダルイ。 
 記憶が戻らないままゆっくり体を起こす。 
 時計を見ると、いつもどおり6時だ。 
「ん・・・何時ぃ?」 
 ビクン!誰!? 
「なっ?」 
 記憶のフラッシュバック。 
 と同時にボンっと顔が上気する。 
 思い出した! 
「ヴィーナス!?」 
 ガバっとタオルケットを剥ぎ取る。 
「やぁだ、何すんのよマーズ?」 
 ムニャムニャと目をこすりながら体を起こす彼女。 
「なっ?何でここで寝てるの?」 
「・・・覚えてないんだ」  
「え?」 
「病人に力仕事させないでよね~」 
 美奈子はふわぁ~と大きく伸びをしながらあくびをする。 
 いくら思い出そうとしても、アノ後の記憶は全く・・・ナイ。 
 どうやらあそこで眠ってしまったあたしをここまで運んでくれたらしい。 
「だ、だからってどうして隣で?」 
「あなたが離してくれなかったんじゃない、全く起きないし」 
「う、うそ!」 
 ニヤリと浮かべる笑み。 
「ね、マーズ、昨日の続き・・・しよっか?」 
「バっ、なっ、ヴィ、?」 
 言葉が出てこない。 
 あたしが目を白黒させているのを見て、 
「冗談よ」 
 とサラっと流すと彼女はくすくす笑う。 
 ヤラレタ。 
「さってと」 
 彼女はベッドから起き上がると、イスに掛けっぱなしになっていた上着を羽織る。 
「あーあ、しわくちゃになっちゃったわ、だ~れかさんのせいでぇ」 
「うっ」 
「いいわよね~誰かさんは、しわくちゃになる服を着てないんだから」 
 ニヤニヤと美奈子の視線があたしの体を上から下まで眺める。 
「?」 
 あたしもつられて視線を落とす。 
「!!!」 
 声にならない叫び。 
 と、同時にそばにあったタオルケットをつかみとる。 
 しわくちゃにならない服どころか、服を着ていなかった。 
「な?」 
「ごめん、服着せようかな?とは思ったんだけど、あなたを運ぶので精一杯だったのよ」 
 悪びれずに笑いをこらえる美奈子。 
「ば、ばかーーーっ!」 
 あたしは思いっきり枕を投げつけたが、それをアッサリかわすと 
 彼女はハイハイと昨晩あたしが来ていたTシャツを投げ返す。 
「じゃぁ、あたしそろそろ行くわ」
「・・・そう」 
 
 Tシャツを頭からかぶりながらぽつりと返す。 
「昨日は楽しかったわ、じゃ・あ・ね」
 と言うが早いか、チュっと額にキスをする。 
「あっ、ヴィ、ヴィーナス」 
「何?ヤだったの?」 
「ちがっ、けど・・・やっぱり手術・・・受ける気ないの?」 
「あぁ、その話」 
 途端にマジメな顔に戻る。 
 マジメな顔というよりは、怒ってるような・・・。 
「戦う気はないの?」 
「まずは目の前の敵・・・クインベリルでしょう?」 
 美奈子は深いため息をひとつつくと、くるっときびすを返す。 
「帰るわ」 
 背中を向けたまま、バイバイと手をひらひらと振る。 
「ちょ、ヴィナ」 
 あわてて後を追うと、障子を開けようとする腕をつかむ。 
 引っ張られたせいでくるりと振りかえった彼女が、目の前にせまっていたあたしの唇に軽くキスをする。 
「じゃ・あ・ね」 
 あたしは呆然とサンダルを履く彼女の背中を見つめる。 
 彼女が立ち上がると同時にハっと我に返る。 
「あ、美奈!」 
「え?」 
 驚いて振りかえる美奈子の目が丸く見開かれている。 
 見つめ合う2人の間に流れる沈黙はたっぷり5秒。 
「もしも!」  
「何?」 
「手術受けないでこのままいなくなるつもりなんだったら・・・もうここの敷居はまたがせないから」 
「マーズ」 
 眉間にシワを寄せて、悲しそうな、寂しそうな表情を見せる彼女。 
 でもこれくらい言わなきゃこの人は絶対・・・。
「考えとくわ」 
「あなたのことを、全国のファンが待ってるのよ。それに・・・」 
「それに?」 
 ――あたしもね、という言葉を思わず飲み込む。 
「とにかく!可能性がナイからって逃げるなんて弱虫のすることよ」 
「・・・帰るわ」 
「ヴィーナス!!」 
「じゃあね」 
 今度はもう彼女が振り返ることはなかった。 
 彼女に触れられれば触れられるほど、愛しさが募る。 
 彼女が万が一、あたしの前からいなくなった時…あたしは耐えれるだろうか。 
 耐えられないかもしれない。 
 生きてて欲しい。 
 戦って欲しい。 
 出来ることなら一緒に戦いたい。 
「待ってるから」 
 はるか遠くに消えて行く彼女の背中に向かってあたしが言えたのは、結局これだけだった。 
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Date:2008/08/30
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