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□ 美奈×レイ □

一番欲しいもの

レイちゃんお誕生日企画
実写設定です




「誕生日プレゼントは何がいい?マーズ」 

 一瞬夢かしら?と呆然と受話器を見つめ、彼女の声に聞き入ってしまう。 
 随分と久しぶりに聞く彼女の声。 
 正確に言えばブラウン管から聞こえる声ではなく、間違いなくレイだけに話しかける声を・・・だ。
「マーズ?」  
 黙り込んでしまったレイに聞いてるの?とそこにいるのを確認するかのように話しかけてくる。 
 "マーズ"――彼女だけがレイのことをそう呼ぶ。 
「え?あ、うん、何よ?よく覚えてたわね、何かくれるの?」 
「――だから聞いてるんじゃない」 
「何でも・・・いいの?」 
 レイは今一番欲しいものを、心の片隅にそっと想い描いた。 
 それを知ってか知らずか、彼女がいつものように少しイジ悪い口調で言う。 
「あたしを誰だと思ってるの?」 
「――愛野・・・美奈子」 
「ふふっ、何でも言ってみなさいよ、何が欲しいの?」 
 あたしに出来ないことはないわよ、といわんばかりに不敵な笑いを浮かべている――姿が想像できる。 
「うん・・・」 
 レイにはたった1つだけ望んでいるものがあった…けどどうしてもそれを口に出すことが出来ずにいた。 
「へぇ?何?何?」 
 レイの反応が意外だったのか、興味深々で尋ねる彼女にレイは一言。 
「言わない」 
「はぁぁ?何ソレ?」 
「言いたくないから」 
「ちょっと、あたしにどうしろって言うのよ???」 
「知らないわよ自分で考えてよ、大体今どこにいるのよ?」 
「ロンドン」 
 はぁ~またそんな遠くから国際電話なんだ。 
 あたしの誕生日は明後日なのに、どうするつもりだったのかしら?とレイはため息をつく。 
「もう、電話代かかるでしょ?切るわよ?」 
「え、ちょ、マーズ!?」 
「何?」 
「ううん、何でも無い、おやすみ」 
 あきらめたように日本時間での挨拶を言うと、ガチャリと電話の切れる音。 
 と同時に、ツーっツーっとただひたすら機械的な音のみがレイの耳に響いた。 
 
  ☆ 
 
「明日レイ誕生日だよね?みんなでクラウン集まろって言ってるんだ♪あたしごちそう作るからね!絶対おいでよね!」 
 料理好きのまことが、ウキウキと弾んだ声でレイの顔をのぞき込む。 
「みんなって?」 
 レイの頭にチラっと昨日会話を交わしたばかりの彼女の顔がよぎる。 
「あたしと亜美ちゃんとうさぎにルナ…ヴィーナスには今連絡取ってるみたいなんだけど、つかまんないんだよね」 
 そりゃそうでしょ、ロンドンだもの。 
「レイ・・・まさかもう予定があったりする?」 
 今更のように眉をひそめたまことが不安そうに尋ねた。 
「――別に」 
 瞬間、まことの顔にぱぁっと笑顔が広がる――素直よね全く。 
「ならいいよね♪何か食べたいものある?何でも言ってよね」 
「ん、任せるわ、まことの料理なら何でも美味しいもの」 
「わかった!任せといてよ」 
 腕まくりをしてガッツポーズをするまことに、レイはクスっと笑う。 
 その時だ。ふっと街頭の有線放送から、彼女のついこの間発売された新曲が流れてきた。
「あ、美奈子の新曲だ」 
 いち早くまことが気付く――彼女が仲間になる前からうさぎと共に大騒ぎしていただけのことはある。 
 もちろんレイもすぐに気付いてはいた…たぶん誰よりも一番早く聞かせてもらった曲だったから。 
 ふと、昔うさぎに言われた…今思えば予言のような言葉を思い出した。 
 
 ――絶対好きになるから!―― 
 
 亜美やうさぎと買出しに行くんだと言うまことの背中を見送ると、レイはふっとため息を1つつく。 
「明日――か」 
 
  ☆ 
 
 柱時計が、ボォーンボォーンと鳴り、11時を告げた。  
 あと一時間。  
 レイの頭の中では、色々な言葉や映像がぐるぐると回る。 
 
 ――誕生日プレゼントは何がいい?マーズ―― 

「ばか・・・」 
 ゴロリとベッドに寝転がると、誰もいない天井に向かってポツリと呟く。 
「会いにもこれないくせに、さ」 
 両腕を目の前で交差させて電灯の光をシャットアウトすると、はぁーっと大きなため息をつく。 
 産まれてから何度となく迎えてきた誕生日。 
 ほとんど、いや全くと言っていいほど誕生日が嬉しかったという記憶はない。 
 今年は仲間がいるだけまだマシかもしれないが――。 
 それでも一番いて欲しい人にはいてもらえない・・・寂しい誕生日を迎えるのかもしれない。
「慣れてるけどね――」 
 ぽつりと自分に言い聞かすように――呟く。 
 
  ☆ 
 
 ガタガタっ 
 
 突然、縁側の方から不振な物音が聞こえた。  
 部屋が離れにあるので、実は結構無用心だったりする――ので驚いて体を起こす。  
「な、何?誰かいるの?」  
「マーズ?いるんでしょ?」  
 えっ?まさかね、こんな時間にこんな所に――  
「マーズ!」 
 
 ――いるような人だったわ! 

 今にも蹴破りそうな勢いで名前を呼ぶ声。 
 レイはあわてて障子を開けると、そこにいたのはまぎれもなく鍵のかかった引き戸をムリヤリ開けようとする彼女――愛野美奈子だった。 
「ヴィーナス?」 
 
  ☆ 
 
「――で?こんな時間にこんな所で何してるのかしら?スーパーアイドル様が?」 
 柱時計を見上げると、時間はすでに夜中の12時5分前を指していた。 
 確かに”こんな時間に”と言われても仕方のない時間だ。 
「何って?考えてもわからなかったから直接聞きにきたのよ」 
「何を?」 
「だから!誕生日プレゼントよ!あれからいくら考えてもわからなかったのよ!」 
 彼女はものっすごく不満そうに頬をふくらます。
 負けず嫌いの彼女らしくて、こう言ってはなんだが微笑ましかった。 
「――もういいわよ」 
「よくない!」 
 ドンっとテーブルを思いっきり叩く。 
「わざわざ仕事切り上げて帰って来たんだから!」 
「わざわざ?」 
「わざわざよ!まぁどっちにしろこの日だけは何が何でも休むつもりではいたけどね!」 
 そんな話は初耳だった。 
「――そうなの?」 
「疑うんなら社長に聞いてみる?」 
 レイの脳裏に、一時期とあることでお世話になった斉藤社長の顔が浮かぶ。 
「ううん、いいわ」 
「はぁぁぁぁ、全くマーズは何考えてんのかサッパリわからないわね」 
「うるさいわね!あなたの方がよっぽど読めないわよ!行動が!大体今何時だと思ってるの?こんな時間普通の人は寝てるわよ?」 
「あっ!」 
 その時だ、ボォォンと12時の鐘が二人の会話を遮った。
「12時?」 
「うん、12時」 
 
 ――沈黙。 

「おめでとう、マーズ」 
 先に沈黙を破ったのは彼女の方だった。 
「・・・え?」 
「誕生日」 
「――あぁ」 
「あぁって、マーズ…気が抜けるわねぇ」 
 はぁぁぁぁっと大きなため息をつく彼女。 
「ううん、ごめんありがとう・・・ホントに嬉しい」 
「ホントにぃ?」 
「ホント」 
「そっか、んじゃまぁこんな夜中にパーティも何だけど、一応ケーキ買ってきたから食べない?」 
「アイドルがこんな時間に甘いもの食べていいの?太るわよ?」 
 レイはイジ悪くそう返しながらも紅茶の用意をしに立つ。 
「あたしはいいのよ、太らない体質だから」 
「あ、ここのケーキ美味しいって有名じゃない?よく買えたわね」 
 レイは紅茶を入れて戻ると、ケーキの箱を見てそう言うなりガサゴソと開けにかかった。
「うん、まぁね」 
 彼女は一本だけろうそくを取り出すと、三角形のショートケーキの上に差した。 
「気分だけでも必要でしょ?」 
 カシュっとマッチを擦る音。 
「電気消して」 
 レイは黙って電気の紐を引く。 
 真っ暗な中、ボウっと小さな炎がともる。 
「さ、マーズ、いいわよ」 
「え?あ、う、うん」 
 今までこういう経験が全くなかっただけに、レイは戸惑いながらも肺に息を吸い込む。 
 小さな炎がふぅぅっと息を吹きかけられて――消えた。 
「ありがとう」 
 闇の中でポツリとレイが呟いた、心からの言葉だった。 
 
  ☆ 
 
「ね、マーズ?結局さ、何が欲しかったわけ?」 
「何が?」 
「だぁからプレゼント!なんだか全然納得できないわ!あたしのプライドにかけて絶対何かプレゼントしなきゃ気がすまない!」 
「はぁ~しつこいわね」 
「しつこいって何よ!」 
「もういいのよ」 
「何が?」 
 眉間にシワを寄せたままズズイっとレイに詰め寄る。 
「だぁから!もう・・・もらっ・・・から・・・」 
 段々とレイの声がフェードアウトしていく。 
「聞こえないわ!レイ!」 
「もういい!寝る!」 
 ぷいっとレイはベッドにもぐり込んだ。 
「え?ちょっとあたしは?」 
「着替えいつものとこ!」 
「え?」 
「泊まってくんでしょう?」 
「ん、まぁね・・・何かごまかされてる気がするけど、まぁいいわ」 
 
  ☆ 
 
 隣でスヤスヤと寝息を立てるヴィーナスを見ていると、彼女がアイドルだと言うことを忘れてしまいそうになる。 
 まさかこんなところにいるとは誰も思ってないだろうし、ましてやセーラーVやセーラー戦士だったなんてきっと誰も信じないだろう。 
「ヴィーナス、今日はありがとう・・・あたしが一番欲しかったのはあなたと過ごす時間だったのよ。忙しいあなたには一番難しい注文だと思ってた」 
 眠っている彼女にポツリポツリと囁きかける。 
「会いたかったわ」 
「ふーん、なぁんだ!そんなものが欲しかったんだ、マーズは」 
「え?」 
 その声に驚いたレイは隣で眠っていたと思っていた彼女の顔を見る。 
 まさか起きてるとは思ってなかったから言ってみたのに、全部聞かれてたんだ―― 
「確かにあたしにはちょっと大変な注文ね、それは」 
 レイは黙って彼女の言葉に耳を傾けた。 
「でも、あたしも同じことを望んでたから、だから今ここにこうしているのよ。最近あまり連絡が取れなかったのは、明日どうしても休むためにちょっとだけ無理してたから――あたしがんばったのよ?これでも」 
「そうなんだ」 
「そうなのよ、あたしだって会いたかったんだから」 
 ガバっとレイの上にのしかかると、彼女がの視線が真っ直ぐにレイを射抜く。
「ん」 
 ゆっくり目を閉じたレイの唇に、やわらかな――久しぶりに感じる彼女の唇が触れた。
「会いたかったわ、レイ」 
「ん」 
「さ、明日は貴重な休みなんだから思いっきり遊ぶわよ!早く寝ましょ」 
「うん、おやすみ」 
「おやすみ」 
 ありがとう、美奈。 
 
 
 うさぎの予言は当たってたわよね――好きになったのは曲だけじゃなかったけど――。 
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Date:2008/08/30
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