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□ 静留×なつき □

込められた想い

静留お誕生日企画でしたね
続くらしいです
 



 もうすぐやってくる大事な日。 
 なつきは壁に掛かっているカレンダーに視線を向ける。 
「あと一週間…」 
 カレンダーの19の数字の横には小さく、目立たないように☆印がついている。 
「何がいいかな」 
 ぼんやりと数字を見つめたままぽつりと呟く。 
 
  ☆
 
「なーつきっお昼一緒に食べない?」 
「舞衣?」 
「もうすぐ命も来るんだけどね、お昼作り過ぎちゃったしなつきの分もあるよ」 
「ん、あ、あぁ」 
 昼食などいつも適当に済ませるなつきの食生活を心配してか、時々こうして舞衣が誘いに来る。 
 静留が卒業してからは特になつきの昼食生活は乱れがちだった。 
「ちゃんと栄養取らなきゃダメよ?どうせ夜も適当なんでしょう?」 
「いや、夜は静留が…あっ」 
「会長さん?」 
 ニヤリと笑むと、舞衣はうりうりと肘でなつきの胸をつつく。 
「なぁんだ、あたしが心配することないんだぁ?相変わらず仲良くやってんだね~な・つ・きっ」 
「ち、違うぞっ、か、勘違いするな?アイツはその、し、親友としてだなぁそのっ」 
「はぁいはいっ…親友ねぇ」 
「ば、ほ、本当だぞ!」 
「あらぁぁぁ?顔、真っ赤よぉ」 
 人差し指がなつきの頬をつんつんっとつつく。 
「舞衣っっっ」 
「あははははーま、なんにせよなつきの面倒を見てくれる人がちゃーんといて安心だわ、会長さんなら間違いないもんね」 
「あぁ…まぁな」 
 確かに静留がいてくれるとなつきのすさまじく散らかった部屋もきちんと片付くし、ちゃんと栄養のバランスを考えたご飯を作ってくれる。 
 改めて言われると、静留がいないと自分は何も出来ていないことに気づいた。 
 アイツはよくこんなワタシにあきれずにかまってくれるなぁと静留の心の広さ、強さに感心してしまう。 
 やっぱり礼はしないとな。 
「なぁ舞衣?」 
「なぁに?」 
「実は――」 
 
  ☆
 
「なつき?今晩何が食べたいどすか?」 
「そうだなぁ、マヨネーズどんぶ…」 
「却下どす」 
 最後まで言い終わる直前に速攻でキッパリ否定される。 
 どうしてアレの美味さがわからないんだ? 
 アレをタップリかけたラーメンとか、サラダとかごはんとかおいしいのにな。 
「えと…なんでもいい…」 
「そうどすか、ほなあるもんつこて何か作りますわ」 
「あぁ、ありがとう…なぁ静留?」 
「なんどす?」 
 自前のエプロンをかけるとキッチンに立って、なつきに背を向けたまま返事をする。 
「あの…静留はどうしてワタシにそこまでしてくれるんだ?」 
「なんですのん?急に」 
 トントントンと包丁の小刻みな音がまな板の上を気持ち良く叩く。 
「や、しょっちゅうこうしてご飯を作ってくれたり、掃除をしてくれたり、朝起こしてくれたり…いくらワタシのことをそのぉ…好きだからと言ってだなぁ、こんなワタシの面倒を飽きずによく見てくれるなぁと…」 
 トン…と突然音が止まる。 
 くるりっと包丁を持ったまま振り返ると静留は不思議そうに小首をかしげる。 
「なつき?」 
「あ、や、な、なんでもない。忘れてくれ」 
 静留はエプロンの前で濡れた手を拭きながら、ソファの前でギュっと抱きしめたクッションに顔を埋めてしまったなつきのそばに膝をつく。 
「どないしましたん?」 
 ぶんぶんぶんっとイヤイヤをするように首を振る。 
「うちはただなつきのことが好きなだけどすぇ。 
 なつきの食生活はほっといたら病気になりそうやし、部屋かてキレイにした方が衛生上ええ思うからするだけです。 
 なつきにはずっと元気でいて欲しいどすからなぁ」 
 コクン 
「なつきそんなん気にしてたん?気にせんでええのに、うちが好きでやってるだけやさかいね」 
「でも…」 
「かいらしなぁやっぱりなつきは」  
 おそるおそる顔を上げたなつきの目に飛び込んできたのは、いつものニコニコと嬉しそうに笑う静留の笑顔だった。 
「…ありがとう」 
「どういたしまして。ほなご飯用意しまっさかいね。ちょぉ待っててな」 
 
  ☆

 30分後、なつきの前には冷蔵庫の中にあったものだけで作られたとは思えないほどのおかずが並んでいた。 
 ホカホカの白いご飯、かつおダシ風味のワカメの味噌汁に茶碗蒸と鍋焼きうどん…なんだかんだと食卓一杯に広がる。 
「おーこんなに色々あったのか?うちに」 
「こないだ買っておいたのがまだ残ってたんどす、なつき使ってなかったみたいやから」 
「そっか、いただきます」 
 なつきは静留の言葉をサクっとスルーすると、早速箸を伸ばす。 
「うん、美味い。やっぱり静留のごはんは美味いな」 
「そうどすか?なつきが喜んでくれて嬉しいですわ」 
「今日舞衣に言われたんだ、ワタシ一人だと心配だけどワタシの面倒は静留が見てくれるから大丈夫だって」 
「あらぁ、そないなこと言われてるんどすか?」 
「あぁ、でもそれは確かなんだろうな。 
 ワタシは静留がいないと何もできない、情けないとは思うけどれどそれが事実だ」 
「そうどすか?なつきにはなつきのええとこぎょーさんある思いますぇ?」 
「そう…か?」 
「えぇ、なつきはなつきの出来ることで返してくれたらよろしいやん、ね?」 
「ん」 
 
  ☆
 
「ほなうち帰りますけどええ子にしてるんやで?風邪ひかんようにちゃんと温かくしーや?」 
「帰るのか?もう10時だぞ?」 
 いつもならこんな時間になると泊まって行くのが常だったのだが…。 
「明日朝早ぉから用事があるんです。なかったら泊まって行くんどすがなぁ」 
 心底残念そうに眉をハの字にしてふぅっとため息をつく。 
「送る」 
「ええよ、そない遠いとこちゃうし外は寒いから」 
「いいから、送る」 
 なつきはバタバタっと部屋に戻って、ハタっと気づく。 
 ヘルメットが無い。 
 もちろん自分のはあるが、静留の分がない。 
 ノーヘルで乗せるわけにはさすがに行かないし、静留が乗ろうとしないだろう。 
 うーんと悩んだ末、何も持たずに玄関に戻ったなつきは、靴をはくと静留を促した。 
「行こうか」 
「?」 
「駅まで送る」 
「おおきに」  
 ふふっと嬉しそうに微笑む静留の顔を見ていると、なつきも嬉しくなる反面このまま帰られるのが少し寂しいような気もする。 
「歩いて行くん?」 
「あぁ、駅はすぐそこだしな」 
「なつきの方こそ帰り気ぃつけや?」 
「あぁ」 
 
  ☆
 
 夜の風は冷たい。 
 凍えそうだ、ヘルメットがあったところでバイクに乗らないほうがよかったかな。 
 駅までの距離はそれほどないから散歩がてら歩くにはちょうどよかったかもしれない。 
 たまにはこうして静留と肩を並べて歩くのも悪くはないなと、はぁーっと手袋を忘れた両手になつきは白い息を吐きながら静留の少しだけなつきより高い位置にある横顔を見上げて思う。 
「なつき手袋は?」 
 目を丸くした静留の問いに、アッサリと答える。 
「忘れた」 
「あらあら、そら寒いやろうに。うちのん使う?」 
「いい、大丈夫だ」 
「ほな片方だけ」 
 自分の手袋を片方外すとなつきの手にはめさせる。 
「し、静留?いいって!お前が寒いだろう?」 
「ええから、なつきもまたこっから家帰らなあかんねんから」 
「でも…ん、わかった」 
 これ以上言っても聞かないだろうと、なつきは黙ってされるがままになった。 
 静留の手のぬくもりが残っている手袋はとても暖かい。 
「暖かいな」 
「せやろ?ほなここでもうよろしいわ、なつきも気ぃつけて帰りや」 
「あぁ、また…明日」 
「明日?」 
「…ダメなのか?」 
 用事があるから出かけるという静留に、それでも自分の所に帰ってきて欲しいという想いがなつきの顔に出ていたのか、静留がくすくすっと笑む。 
「ほなまた明日」 
 静留は笑顔で小さくなつきと同じ手袋をはめた方の手を振ると、駅のホームに向かって歩き出した。 
 こういう静留の一つ一つの仕草がなつきの鼓動を早める。 
 静留に憧れるヤツは男女問わず数え切れないほどいるのは知っている。 
 が、こんなかわいい静留の笑顔を知っているのはワタシだけだろう…と思いたい。 
 こんな静留を見た後だとやっぱり心配だ。 
 夜道を一人で歩かせるのは…まぁ襲ったところで返り討ちに合うのが関の山だろうが、それでもやっぱり静留はキレイだからな、駅から近いとはいえ歩かせるのは…一緒に行けばよかったかな。 
 なつきは今から夜道を歩いて帰る自分を棚にあげて、静留の背中をジっと見送る。 
 
   ☆
 
 珍しく昼に、今日は行けないと静留から電話があった。 
 当然なつきの目の前には、カップラーメンの器とマヨネーズが放置されていた。 
 ぼんやりとカレンダーを見ながら、今日何度目かのため息をつく。 
 もう☆印まで残りわずかだが、なつきには何もいい案が浮かばない。 
 何を贈ればその笑顔が見られるのか、喜んでもらえるのか…。 
 ほとんど毎日一緒にいるだけに、余計わからなくなってくる。 
 舞衣は、心がこもってれば良いと言う。 
 自分がどういう想いを込めて贈るのかが伝われば良いと。 
 それがきちんと伝われば何をもらっても嬉しいはずだ、と。 
 ――静留の誕生日まであと3日。 
 うーんとひとしきり唸った後、なつきは意を決して立ちあがり受話器を手にした。 
 何度かのコール音の後、出た静留になつきは告げた。 
「静留か?ワタシだ。ちょっと今夜から留守にするからしばらく家には帰らないと思う」 
「え?どないしましたん?急に」 
「ちょっと…な」 
「ほな明日は行くのやめときます」 
「あぁ、その…また連絡するから」 
「わかりましたぇ、寂しいけど待ってます」 
「ん、じゃ」 
「あ、ちゃんと学校は行きなはれや」 
「わ、わかってるっ」 
 学校のことなどスッカリ頭から消えていたのを読まれていたのか、シッカリと釘を刺された。 
 それでも一応心配させないように適当に返事だけはして受話器を置いた。 
 そしてなつきはいつものようにライダースーツを着用すると、ヘルメットを片手にマンションを後にする。 
 ドゥルンっと寒空の下でも一発でかかるエンジン音が、ドゥカティの調子の良さを物語っていた。 
 暖気運転を終え、シートにまたがるとアクセルを数回ドゥルンドゥルンっと回してエンジンを吹かすとゆっくりとバイクを発進させた。    
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Date:2008/08/22
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