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Alone side Rei

実写8話の頃はまこ美奈全開やったよなぁ~





 ガタンゴトンと電車の行き交う音に混じって、アナウンスが乱れ飛ぶ駅のホーム。
 レイは学校帰りのため制服のままだったけれど、買い物を頼まれていたので久しぶりに電車に乗ろうと目的のホームへ向かっていた。
 階段を降りて行くと、ふっと前方の人ごみにまぎれて一瞬見知った顔が見えた気がした。
 女の子にしては背が高いのでいつも仲間達から目印にされている彼女。
「まこと?」
 まことは前方をジっと見つめて立ち尽くしている。
 そこだけ時間が静止しているかのように微動だにしない不思議な空間。
「まこと!」
 レイは階段の途中から呼びかけてみた。
 音にかき消されて全く気づかないので、今度は近づいて同時に行動も起こしてみた。
「まこと!」
 真後ろに立つとポンっと少しだけレイより高い位置にある肩を叩く。
「え?あ、レイ?」
 急に肩を叩かれたことに驚いたのか、ビクっと肩を震わせてゆっくり振り向いたまことはレイを見下ろす。
 そこにいたのがレイであったことに、どこかホっとしたような笑顔を見せる。
「びっくりしたぁ、珍しいね?こんなところで会うなんて」
「そうね、まことも買い物?」
「ん、まぁ」
 そう言うと目を伏せるまこと。
 いつもの元気がないことをレイは不思議に思い、さっきまでのまことの視線の先を追った。
 向かいのホームもたくさんの人で溢れかえっている。
 カップルもいれば学校帰りの女子高生や営業マンと、とにかく色んな人種であふれている。
 一体何を見ていたのかしら?
 まことの興味を引く対象を想像しながら視線を泳がせる。
「どうしたのよ?」
「うん?や、何でもないんだ!ごめんやっぱ帰るわ」
「ちょ、ちょっと!」
 逃げ出すかのように立ち去ろうとするまことに驚いて、レイは思わず手首をつかんでしまった。
 つかまれた勢いで振りかえったまことを見てレイは目を丸くした。
 瞳に大粒の涙がいっぱいたまっていた。
 今にもこぼれ落ちそうなくらいに。
「まこと?」
 ギョっとしたレイは思わずつかんでいた腕を離してしまった。
 が、まことは今度は逃げ出さなかった。
「レイ」
「うん?どうしたのよ?」
「先輩が・・・いたんだ彼女と・・・あたし友達だったんだ、へへ」
 そういえば前に先輩に失恋したんだって話を聞いたことがあったけど・・・。
 あえてくわしくは聞かなかったけど、そんな事情があったんだ。
「まこと・・・まだ忘れてなかったの?」
「忘れてたよ!ここんとこ忙しかったし…忘れようと思ってた、忘れてたと思ってた」
「ん」
「ただ先輩はあたしより彼女を選んだだけなんだ、取られたわけでもなんでもない。けどやっぱキツイじゃん?親友と同じ人好きになって片方が選ばれて片方がフラれる・・・ツラかった・・・あたし逃げだしちゃったんだ、全く弱いよな・・・そんな自分がいたことなんて忘れたかったよ」
 自嘲気味に笑うと俯いたまま頬をぽりぽりと掻く。
「幸せそうに笑ってた…ははっやっぱあんまり見たくなかったかも。彼女さ、何度もあたしに連絡くれようとしたみたいなんだけど、あたし逃げるように引越しちゃったんだよな・・・」
 ずっとガマンしていたのか、涙が堰を切ったように溢れ出すのを必死になって今更ながら隠そうと袖でゴシゴシこする。
 レイはそんなまことの腕を支えるように再び掴むと強引に引っ張る。
 ほっといたら壊れるんじゃないかと、なぜかそう思ったから・・・。
 向かいのホームにいたカップル、確かに幸せそうに笑ってた2人…あれがそうだったんだ。
 あれがまことの「先輩」と「友達」だったんだ。
 ここが駅のホームだということも忘れしまうくらい実は動揺していたのか、まことがレイに抱きついてくる。
 10cmほどレイの方が小さいので覆い被さるようになっていたが、レイにはまことが小さく感じられた。
「わかった・・・わかったから、もういいからまこと、行こう」
 ぽんぽんと背中に合図を送ると、体を離してまことを見上げる。
 コクンとうなづくまこと。
 素直に従うまことの手をレイは離れないようにしっかりと握っったまま歩き出した。
 まことの腕を引っ張ったままレイは今来たばかりの階段をドンドンのぼって行く。
 買い物は別に急ぐものでもないから明日でもいいけど、今のまことはほっとけない。
 彼女はいつも人のことを守るために必死で、すごくイイヤツなんだけど自分の弱いところは絶対見せないように強がってばかりいる。
 あたしに言わせたらそんなのただの『わがまま』よね。
 自分のことはともかくっていう考え方、あたしは少しだけ納得できないって思ってた。
 もう少し自分のこと大事にしてもいいのに、って。
 自分ばっかりガマンして人に頼らないくせに、人にはもっと頼れと言うまことはやっぱりわがままだ。
 そんなまことへの文句がレイの頭の中をぐるぐる回っていた。
 と、階段を上りきったところで突然体が引っ張られる。
 重心が傾く。
 階段を踏み外しそうになる。
「え?ちょっ?」
 何とか踏みとどまると引っ張った本人を振りかえる。
 まことが呆然とレイの視線を素通りしてぼんやりと前を見つめていた。
 まことの視線を追ってもう一度前を見る。
 そこには全力で走ってきたのか、女の子が息を切らせて立っていた。
 向かいのホームにいた『先輩』の『彼女』だった。

  ☆

「まこちゃん!」
 うさぎや亜美ちゃんと同じ呼び方をする彼女。
「あ、えと・・・」
 ギュっとまことの汗ばんだ手がレイの手を強く握る。
 まさか気づかれるとは思ってなかったのか、突然のことでどう反応していいのかわからないのか、とにかく動揺しているらしい。
 あたしたちと同じように、やっぱりまことは彼女にとっても目印になっていたのか、とにかく見つけられてしまったのだ。
「探したんだよ?ずっと探してたんだからね」
 一段一段階段を呼吸を整えながら降りて行くと、あたしのことはサラっと無視してまことに近づく。
「あ、ごめん」
 まぁた俯くぅ。まこと悪くないのに!下向く必要ないじゃない!
「まこと!行こう!」
 あたしは強引にまことの手を引く。
 重い。まことの足に根が生えたのか、全く動かない。
 まことの意思を感じる。
「まこと?」
「今どこにいるの?この近く?先輩も心配してたんだよ?ずっと謝りたかったんだよ?」
 彼女がチラリと横目であたしを「この人ダレ?」とでも言うように見る。
 いい度胸じゃない。
「彼女」はどうもあたしのことがお気に召さないらしい。
 レイの中でプチンっと何かが弾ける音が聞こえた。
「まこと!行くわよ!」
 有無を言わせずあたしはいつもなら絶対勝てるはずのない力勝負に出た。
 アッサリ勝利。
 まことは顔を伏せて素直にあたしに手を引かれたまま残りの階段を一歩一歩上り始める。
「まこちゃん?まこちゃん!」
 背後でまことの名前を大声で呼びつづける彼女を尻目に、あたしたちはさっさと駅を飛び出した。
 『先輩』が彼女の肩を支えるように抱くのが視線の端に入ったが、あたしは見て見ぬふりをした。

  ☆

 結局2人はお互いに目的の買い物をしないまま、火川神社に帰ってきた。
 レイの部屋には行かず、何となく神社の片隅の石段に2人して腰かける。
 めったに人が来ないところだということをレイはよく知っていた。
「はぁ~疲れた」
 別に何したわけでもないんだけど、妙に疲れた。
 精神的なものだろうが・・・。
「ごめん、レイ」
 膝に顔を埋めて謝るまことに、レイは少しイラついていた。
 疲れが増す。
 謝られることなんてまことには何ひとつされてない。
「何がよ?」
「え?・・・と、買い物の邪魔したし、みっともないとこ見せちゃった」
 ごめんともう一度呟く。
 イラっ
「男なんかにうつつをぬかしてるからこんなことになるのよ」
 思わずキツイことを言ってしまったことに、少しだけ後悔したがもう遅かった。
「そうだね」
 いつもなら真っ向から言い返してくるハズなのに、えらく素直に同意する。
 それがまたレイのカンにさわった。
 イライラっ
 レイの胃がきしむ。
「それにもう少し友達選びなさいよ」
 あ、ヒドイこと言っちゃった。
「うん」
 イライライラっ・・・プチっ
「まこと!」
 いい加減あたしのガマンにも限界が来た。
 ガクガクっとまことの肩をゆすぶる。
「いい加減にしなさいよ!確かにツラかったかもしれない、忘れることなんて出来なかったかもしれない、見たくなかったかもしれない!でもね、忘れられないものはしょうがないじゃない!会っちゃったものは仕方ないじゃない!泣きたかったら泣いていいのよ、逃げたかったら逃げてもいいじゃない!逃げるトコなかったら仲間の所に・・・あたしのトコロに来ればいいわよ!どうしていっつも自分ばっかりガマンするのよ?」
「レイ?」
 立ちあがって仁王立ちで睨み、見下ろすレイをまことは見上げる。
 まことの目に涙が浮かぶ。
 こぼれ、流れ落ちる。
 あたしはそれを見ると、頭の中が真っ白になって益々歯止めがきかなくなってしまった。
「人のことばっかり考えて、頼られて、抱え込んで、がまんして。もう一人じゃないんだからっていつも言ってるのはまことじゃない!」
 レイはゆっくりとまことの正面に回ると、しゃがみこむ。
「ねぇ?あたし彼女・・・確かに彼女は小柄で結構かわいい子だったと思うわよ?男の人が守りたいって思っちゃう子だと思う。でもだからってまことが俯くことなんてないじゃない?身長がそんなにコンプレックス?そんなの関係ない、まことのことちゃんと見てくれる人いるんだからね。まことの良いところ知ってる人、いっぱいいるんだから。」
 レイはキュっとまことの首に腕を回すと、強い言葉とは裏腹に優しく抱きしめる。
「まことのこと好きな子はいっぱいいるんだからね」
 まことはおそるおそるレイの背中に手を回す。
 キュっとレイの制服をつかむ。
 レイの肩に顔を埋めると、まことの体が小刻みに震え出した。
 声には出さないが泣いているのだろう、レイは自分の肩が濡れているのを感じていた。
 ぽんぽんと子供をあやすように髪を優しく何度もなでる。
「シャンとしなさい」
「あたしのこと・・・好き?レイ」
「うん」
「ホントに?」
「うそ言ってどうするのよ、バカね」
「自信ないもん・・・あたしドコ行っても何にもしてないのに、デカくてケンカが強いってだけで怖がられて・・・あたし自分のためにケンカなんかしたことないのに、さ」

 制服をつかむ手に力がこもる。
「先輩もそうだった・・・彼女を守ってあげたいんだって…あたしは強いから大丈夫だろって」
 あたしはそんなに強くないのにっと呟く。
 まことの手が悔しさからか、寂しさからか、震えているのが背中越しに伝わってくる。
「うん、知ってる」
「一人に慣れてるなんて…うそに決まってるじゃん」
「うん、そうね」
 独りでいることに慣れることなんかない。
 慣れてると言い聞かせることは出来ても・・・だ。
「ヤだよ、寂しいよ。怖いよ。もう一人はイヤだよ・・・レイ」
 あたしだって誰かにそばにいて欲しいよ。
 まことはそこまで吐き出すと、張り詰めていて糸がプツンと切れたのか、堰を切ったように涙を流す。
 子供のように泣きじゃくる。
「レイ・・・レイ・・・レイ・・・」
 何度もソコにレイの存在を確認するかのように名前を呼びつづける。
「大丈夫、ココにいるわ」
 レイはまことの両の頬を両手で挟むと、額に自分の額をコツンと軽く当てる。
「くすっ、ちゃんと泣けるじゃない、泣き言言えるじゃない」
 親指でそっとまことの目元の涙を拭ってやる。
 レイは涙の跡にそっとキスをするともう一度抱きしめる。
「まことはイイ女よ、まことのことわかんないヤツなんてしょせんそれだけの男なんだからさ、とっとと忘れたほうがいいわ」
「そう・・・かな?」
「そうよ」
 コクンとうなづくまことに、レイは続けた。
「大体そんなヒドイこと言っといて、先輩も心配してる?謝りたかった?そんなことよく彼女も言えたわよね」
 どうもレイには彼女の態度が気にくわなかった。
 無視された上に値踏みされるように見られたことが腹立たしかったのか何なのかわからないが、とにかく気にくわなかった。
 しかしまことは、レイの腕の中でぶんぶんと首をふる。
「ん?」
「いいんだ、レイ。悪気があるワケじゃないんだ、彼女」
「悪気がないからって言っていいことと、悪いことあるでしょう?実際まことが傷ついてるんだから!」
 どこまでお人好しなのよ、まことってば!
 今度はわかる、この感情が何なのか・・・どうやら嫉妬らしい。
 過去のまことを知る彼女、先輩に選ばれた彼女、それでもまことにかばわれる彼女。あたしはそんな彼女に嫉妬しているみたいだ。
「ホント、人がいいんだからまことは!まぁ?それがまことのイイ所なんだけど・・・」
「ごめん、レイ」
 上目遣いであたしを見上げるまことの顔を見た瞬間、あたしは白旗を上げるしかなかった。
「もういいわよ、そーんな顔されちゃあたしの負けだもん」
「え?」
「捨てられそうになってる子犬みたいよ」
 眉がハの字になっているまことの眉間を人差し指でつつく。
 瞳が置いていかないで…一人にしないでと訴えていた。
「レイ・・・」
「バっ、ばかっ!す、捨てないわよ!ちゃんと最後まで面倒見るわよ!あたし責任感ちゃんとある方なんだからね、一応」
「責任感?それだけ?」
 もう何だかこんなまことの弱い部分を見せられると、過去のこととか彼女のこととか、ましてや先輩の存在なんかだんだんどうでもよくなってきたわ。
 今、まことに頼られているのは自分だと思うと、嫉妬するのがバカらしい。
 はぁ~っとため息をひとつつくと、子犬をなでるかのようにまことの頭をなでる。
「そうじゃない、ごめん。言葉足りなかったわ」
 不安げな表情のまことの唇にレイは自分の唇でそっと触れる。
 それが今一番早くあたしの気持ちを伝えられる方法だと思ったから。
 まことはちゃんと言葉と態度で示されないと不安になるみたいだから。
「好きだから、だからずっといてあげる。まことが寂しくなくなるまでずっとよ」
 まことの顔が真っ赤に染まっている。
 ヤバかったかな?と思うが、もう遅い。
 まことはレイの胸に顔を埋めると、ゼンマイが切れたロボットのように動かなくなってしまった。
「まこと?」
 動かない。
「まこと??」
 返事もナイ。
 うーん、どうしたもんかしら。
「レイ・・・ありがと」
「え?」
「うれしかったよ、あたし」
 あぁそうか、照れてるんだまこと。
 きっとこんな風に言ってくれる人が、こうやって抱きしめてくれる人が・・・優しく触れてくれる人が、両親が亡くなってからいなかったのかもしれない。
 あたしもだけど、さ。
 だから意地張って、一人でも大丈夫って自分に言い聞かせて・・・。
 何時も一人だったのに、珍しく出来た友達ともうまくいかなくて、人を好きになるのも、頼るのも、信用するのも怖くなっちゃってたんだ。
 だからまず自分を信頼してもらおうとスッゴクがんばっちゃうのね。
 だから『わがまま』言うんだ。
 でも・・・少しだけわかる気がする。
 人に頼られると、自分は必要なんだと思えるから。
 ココにいてもいいんだと思えるから。
 自分の居場所を作ろうと必死だったんだ。
「ばかね」
「うん、ばかだねあたし」
「もう忘れなさいよね、あたしだって嫉妬するわ」
「・・・彼女に?・・・先輩に?」
「まことの心をまだ2人が占めてるんなら・・・両方よ」
 レイはもう一度まことの柔らかい唇にそっと触れるだけのキスを送る。
 目を閉じて受け入れるまことを、やはりかわいいとレイは思う。
 この瞬間、『彼女』の存在も『先輩』の存在もあたしの中からは消えた。
「ん」
「まだ自信持てない?信じられない?」
 ゆっくり首を横に振るまことは、顔を上げると泣き笑いの表情でレイを見つめる。
「ううん・・・レイ、ありがとう」

  ☆

 きっとまことは忘れないだろう、『彼女』のことも『先輩』のことも。
 でもあたしはそんなまこと全部をひっくるめて受け止める自信がある。
 彼女よりも先輩よりもたくさんまことの心を占める存在になりたいとレイは思う。
 なれると信じている。
 なぜなら、すでにレイの心をまことの存在が占め始めていたから・・・。


 もう「寂しい」なんて2度と言わせない。
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Date:2008/08/29
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