Planetarium SS置き場

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優しい空間3

これでオシマイっと




「えぇ?一緒に寝るの?この暑いのに?」 
 ものっすごくイヤそうに顔をしかめるレイ。 
「エアコンは?」 
「キライなの、扇風機しか使わない」 
「ホント、マーズって変わってる!」 
「自然のままに生きてるのよ、夏は暑くて当たり前!」 
 さっさと布団にゴロリと横になるレイ。 
 美奈子が泊まるというので、ベッドをやめて畳に布団を並べていた。 
 はじめは美奈子一人を布団かベッドで寝かすつもりだったレイだが、そーんなこと納得できるわけないじゃない!?と言い、ムリヤリ布団並べて敷かせた。 
 いつも高級ホテル等で暮らしてる美奈子にしたら、このクソ暑いのにエアコンなしの生活を送るなんてことは考えられなかったが、布団で寝るというのは新鮮だった。 
 布団は1枚でいいとか言ってレイの布団にもぐり込もうとしたのだが、先のセリフを浴びせられたのだった。 
 渋々と自分の布団に戻るが、何でわざわざ背中向けるかなぁ?と美奈子はレイの背中をジーっと見つめてボソリと呟いた。 
「マーズ・・・こっち向きなさいよ」 
 美奈子の言葉を予想してたかのように、声をかけられるのとほぼ同時にゴロリと寝返りを打つレイは、全くしょうがないわねぇ、というように優しい瞳で美奈子をまっすぐ見つめる。 
 彼女のこういう・・・いつもまっすぐ前を見つめる、でもどこか優しい瞳に美奈子は惹かれる。 
 一瞬言葉を忘れる程に見惚れてしまう。 
「ヴィーナス?」 
「え?」 
「どうしたのよ?ボーっとして」 
「やっぱり・・・そっち行く」 
 ゴソゴソと移動を開始する美奈子にレイはもう何も言わなかった。 
 ただ無言で少しだけスペースを空けてくれる。 
 レイの手がゴソゴソと動く。 
「マーズ?」 
 キュっと美奈子の手を探し当てると握り締めた。 
「早く寝ないと。明日仕事でしょ?」 
「ん、でもまだ12時じゃない、あなたは明日も休みでしょ?いいなぁ」 
「ま、ね、アイドルも大変よねぇ、でも・・・」 
 レイはナゼかくすくすっと突然笑い出す。 
「何よ?」 
「せっかくの休みをストーカー行為で終らせるアイドルってあんまりいないわよね」 
 ストーカー行為って失礼な! 
 ぷんっとふてくされながらも事実を否定できないのが悔しい。 
「そんなこと!!あ、で、でもマーズってまことの前ではあんな笑顔するのね?」 
 マンションの部屋に入る時のレイの笑顔を思い出しながら、美奈子は強引に話題を変えようと試みた。 
「何?どういうこと?」 
 何の話よ?と眉をしかめるレイ。 
「すごくいい顔で笑うなぁって、ちょっと思ったからさ」 
「あぁ、彼女とは誤解が生じてケンカになったこともあるし、意見なんていつもぶつかってばかりだけど・・・優しいのよね、ホントにおせっかいなぐらいに…尊敬してるわ」 
「ふーん」 
 あたしに会う前の話・・・か。 
 まことの話をする時のレイの顔にも、優しい笑顔が浮かんでいた。 
 ちょっと妬ける。 
 他の人の前であたしの話をする時、彼女は一体どんな顔をしてるのか…少しだけ気になった。 
「ねぇ?マーズ」 
「ん?」 
「あたしはマーズの何?」 
 よほど思いがけない質問だったのか、今まで笑っていたレイの表情がスっと凍りついた。
「ねぇ?何?」 
 もう一度問う。 
 沈黙が流れる。 
 
 ――怖い。 
 
 聞きたくない・・・かも。 
 握る手が汗ばんでくる。 
「ヴィー・・・美奈は」 
 途中で呼び方を変える。 
 あたしの、現世での名前を呼ぶ。 
「大切な・・・人?」 
 ガクっと美奈子は肩透かしをくらった。 
「どーして疑問文なのよ?まことたちのことはキッパリ言いきったのに!」 
「だって・・・わかんないのよ、あたしにも」 
「どうして?」 
「うん、何でかな」 
「じゃぁさ、こうしてあたしと一緒にいるの・・・イヤ?」 
「イヤだったらとっくに追い出してるわ」 
「だよね、あたしは…さ、マーズと一緒にいたい」 
「うん」 
「あなたに興味津々なのよ」 
「うん」 
「ストーカーにだってなるわ」 
「うん」 
「好きだわ、あたしは」 
「そう」 
 
 一瞬の沈黙。

「そうね、そうかも。あたし、あなた見てると飽きないし、キライじゃないと思うわ」 
 天井を見つめたままで、レイにしては素直に少しづつ気持ちを吐き出して行く。 
「なぁんかまだちょっと引っかかる言い方ね」 
「そう?」 
「うん、でも・・・もういいわ」 
 美奈子はキュっとレイの手を握り返す。 
 少なくとも大事な人だと思ってくれてるらしいのは確認できたから・・・さ。 
「寝るわ」 
「うん」 
 2人は肩を寄せ合って目を閉じた。 
 つないだ手だけは決して離さないようにシッカリと握ったままで。 
 
  ☆ 
 
 ね、眠れない! 
 背中をあやしていたはずの手は、いつしか背中を抱き寄せていた。 
 夜中3時、丑三つ時をとっくに越えたこの時間になっても、まことの目はどんどん冴えていく一方だった。 
 柵を飛び越える羊なんて、とっくの昔に3万匹を越えていた。 
 その一方でまことの腕の中でスヤスヤと安らかな寝息を立てる亜美。 
「亜美ちゃん・・・あたし眠れないよ」 
 耳元で囁いてみるが、起きる気配は全くない。 
 どうしても眠れなかったので、すでにまことは眠るという行為をあきらめていた。 
 徹夜覚悟で亜美の寝顔を見つめ続けるのもいいかな、と。 
「ねぇ、亜美ちゃん」 
 しかし無邪気な顔で眠る亜美をこれだけ長い間見ていると、さすがのまことにもガマンの限界は訪れる。 
 まことは思いきった行動に出た。 
 亜美の額に、頬に、鼻の頭に、そして唇に、そっとキスを送る。 
 起きている間には決して踏みきることが出来なかった行為。 
 拒否されるのが怖かったから。 
 亜美ちゃんならきっと受け入れてくれるだろうと思う反面、もしかしたら…という不安もつきまとう。 
 そんな時、どんな顔して会えばいいのか・・・と。 
 いつもそばにいるからこそ踏み出せない一歩。 
 亜美ちゃんがこうしてあたしに抱きついて眠るのは、それはただ寂しいからなのか、それとも友達として心を許してるからなのか?それとも・・・悩まされる。 
 罪な子だな、と思う。 
 ただ、心底愛しいとも・・・想う。 
「好きなんだよ、亜美ちゃん」 
 もう一度唇に軽くキスをすると、まことは自嘲気味に笑う。 
「何やってんだかな、あたしは」 
 その時だ。 
「う、ううん・・・まこ・・・ちゃん」 
 ビクっ! 
 お、起こしちゃったか? 
 腕の中の亜美を見るが、ムニャムニャと少し動くだけで起きたわけではないようだ。 
「あ、何だ寝言か」 
 急上昇する心拍数をむりやり押さえ込むと、とりあえずホっと胸をなでおろす。 
「まこちゃん?」 
 と、途端にハッキリとまことを呼ぶ声。 
 ビクン! 
 再び心臓の跳ねあがる音。 
 腕の中の亜美が、ハッキリしない焦点でキョトンとまことを見上げていた。 
「あ、あ、亜美ちゃん?」 
 声が裏返る。 
「ご、ごめん、起こしちゃった?」 
「ううん、あのね、夢、見てた」 
「夢?」 
 寝ぼけてるのかな、亜美ちゃん。 
「何かね、気持ちいい夢」 
「へ???」 
「まこちゃんがね・・・いるの」 
「いるじゃん」 
「んっとね、たくさんキス・・・してくれて・・・ギュってしてくれて・・・気持ちよかったの」 
 ・・・それって夢じゃないよ、亜美ちゃん・・・。 
「きっとまこちゃんがそばにいるからこんな夢・・・見たんだわ」 
 それだけ言うと、亜美は再び眠りの世界に落ちて行った。 
 ちょ、ちょ、ちょっと亜美ちゃん!それはないよぉ~。 
 
 ――完敗 
 
 まことの脳裏に浮かぶ2文字。 
 亜美の天然にはかなわないことを痛感した夜だった・・・。 
 
  ☆ 
 
 カーテンの外が明るくなり始めたころ、美奈子は目を覚ました。 
 今朝は実は5時起きで仕事に行かなければならなかった。 
 レイも普段はそれくらいに起きるのだが、疲れているのかまだ起きている気配はない。 
「さてと、行かなきゃ」 
 休みの日はただの女子中学生でも、ひとたび仕事が始まるとみんなのアイドルである愛野美奈子にならなければならない。 
 朝までつないでいた手をそっと離すと、スルリっとお気に入りの浴衣を脱ぎ捨てる。 
「行くの?」 
 突然美奈子の背中に問う声。 
「え?起きてたんだ?」 
「ま、ね」 
 寝転んだままで気だるそうに美奈子を見上げる。 
 美奈子の半裸を見つめ、キレイだなっとハッキリしない頭でぼんやり思う。 
「今日、ドラマのロケなんだ」 
「そう・・・」 
「マーズ?」 
「うん?」 
 着替え終わった美奈子がレイのそばにかがみ込む。 
「行ってくる」 
 そう言うなり、レイの唇におはようのキスと行ってきますのキスを2度繰り返す。 
「ヴィ!?」 
「いいじゃない、キスくらい」 
 くすくすっと微笑む美奈子に、レイの目が完全に覚醒した。 
「ばかっ!・・・気をつけて行きなさいよ」 
 照れ隠しのようにプイっとそっぽを向きながらも 
 顔を真っ赤に染めたレイの口から出た言葉は優しかった。 
「わぁかってるって!ねぇマーズ?ありがたいと思いなさいよね?」 
「何を?」 
「ストーカーされるぐらい愛されてるんだからね!この天下のアイドル・愛野美奈子に!」
「ばかじゃないの」 
「ばかで結構!!また来るわ」 
「うん、いってらっしゃい」 
 その言葉に満足したのか、ニヤっと笑うと美奈子はくるりと踵を返す。 
 背筋をピンっと伸ばし、颯爽と部屋を出て行く。 
 一人残されたレイの隣には、さっきまでいた彼女のぬくもりがまだ少しだけ残っていた。 
 ――広い。 
 
 この布団…こんなに広かったっけ? 
 朝まで彼女とシッカリつながれていた手を見つめる。 
 その手でそっと彼女の存在が夢ではなかったことを確認するように、その場所をそっとなでる。 
「美奈・・・バカ・・・次はいつ・・・来るのよ」 
 もう少し眠ろうかな、と目を閉じたレイ。 
「あぁ・・・今日もクラウンに行かなきゃ・・・でも眠い・・・」 
 ストンっとレイの記憶が途切れた。 
 お互い意地っ張りながらも優しい気持ちでいっぱいになったレイの部屋には、いつしかスーっと安らかな寝息だけしか聞こえなくなっていた。 
 
  ☆ 

「ん、朝・・・?」 
 亜美は一瞬今現在、自分の置かれている状況が把握できすにいた。 
 ただ、いつもと違う天井だなぁとぼんやりと見つめる。 
 ふっと手が何かを握り締めていることに気づく。 
 何かしら?と、手を持ち上げて見る。 
 視線が追う。 
 柔らかい・・・手? 
「ん」 
「あ・・・まこちゃん!?」 
 その声でやっと思い出した亜美は、ふっとまことの寝顔を見上げる。 
 まことは眉間にシワを寄せて眠っていた。 
 どうしてそんな疲れた顔してるのかしら? 
 亜美はそっとまことの目元に触れる。 
 手はそのまま頬に、首筋にと優しくつたう。 
「亜美・・・ちゃん?」 
「あ、ご、ごめんなさい!起こしちゃった?」 
「あ、あたし寝ちゃったんだ」 
「え?」 
「や、5時頃までは覚えてんだけどさ、さすがに徹夜はムリだったか・・・」 
 よく見ると、まことの目の下には黒いクマがクッキリと浮かんでいた。 
「5時?どうしてそんな時間まで?ずっと起きてたの?」 
 亜美はベッドに入ってすぐに記憶がなくなったので、まことが何をしていてそんな時間まで寝なかったのか全くわからなかった。 
 ただ、夢を見ていたような気はする。 
 
 ――優しい夢。 
 
「あー、や、なんか眠れなくて・・・さ」 
 歯切れの悪い返事を返すまこと。 
「あたしの・・・せい?あたしがいたから眠れなかった?」 
 亜美は責任を感じたのか、心配そうにまことを見る。 
「まぁ、ある意味亜美ちゃんのせい・・・かな?」 
「え?」 
 思いがけないまことの言葉に戸惑う亜美。 
「亜美ちゃんがさぁ・・・かわいくって、見惚れてたら眠れなくなっちゃったんだよ」 
 ふふっと目を細めて笑うまことの手が亜美の蒼い髪をゆっくりと梳く。 
 亜美の心臓がドクンっと跳ねる。 
「・・・え?」 
「ごめんね、亜美ちゃん」 
 一体何を謝ってるのかしら?謝るのはわたしの方だと思うんだけど。 
「ごめん」 
 もう一度繰り返すと、まことの手に力がこもる。 
 離された手が亜美の首の下を通ると、キュっと頭を掻き抱く。 
 そのまま髪にそっとキスをすると、まことは亜美の方に体を向けてもう片方の手で亜美の背中を抱いた。 
 亜美を両腕で包み込んだかと思うと、まことは亜美の肩に顔を擦り寄せて埋めた。 
「え?ちょ、まこちゃん?」 
「zzz」 
「・・・寝てる?」 
 まことの行動と言動の意味が全くわからない。 
 亜美はとりあえずまことの背中をぽんぽんとたたいてあやすことしかできなかった。 
「何だかわからないけれど、ゆっくり眠ってね、まこちゃん」 
「ん、好きだよぉ・・・亜美ちゃん」 
 そんなまことの告白に目を丸くする亜美は、次の瞬間、フワリと微笑んだ。 
「あたしもよ、まこちゃん」 
 
  ☆ 
 
 クラウンの時計はすでに昼の12時を指していた。  
「おっそーーーーーーい!10時って言ったじゃん」  
 ルナとうさぎがポップコーンをむさぼり食いながらブーブーと文句を垂れる。 
 
「「「ゴメン!」」」 

 3人が深々と頭を下げている。 
 まこと、亜美、レイの3人だ。 
 こんなことは珍しい。 
「もうお昼だよ?いつもいつもあたしに文句言うのに、しかも亜美ちゃんまで遅刻って、一体どうしたの?」 
「あの・・・」 
「や、」 
「だから・・・」 
 3人がそれぞれ遅刻の理由を述べようとするのだが、全員が寝坊というていたらくなので、しどろもどろになってしまう。 
「全くぅ。ま、いーや!ね、それはそうと今晩美奈子ちゃんのライブがあるんだけど行こうよ!ね?チケットもらっちゃったんだ!」 
 もう機嫌が直ったのか、ニッコリ笑うともらったチケットをひらひら振りまわすうさぎ。
 こういうところは全くありがたいと、全員が胸をなでおろす。 
 結局、まことはあれから亜美を抱きしめたまま11時まで眠りこけてしまい、亜美は当然まことの力にかなうはずもなく、起こすこともできずに結局一緒に眠ってしまったのだ。 
 レイも実はあまり眠っていなかった…のであれからやはり一人で眠ってしまい、気づいたらこんな時間になっていた。 
「美奈子のライブ?だって彼女は今日ドラマの・・・」 
『えっ?』 
 3人ともがレイの何気なく発したその言葉に振り返る。 
「何でレイちゃんがそんなこと知ってるのよぉ?」 
「え、あ、や、そ、それは…うん、聞いたのよさっき、アルテミスから!」 
「うそぉ~そんなこと言ってなかったよぉ?」 
「でも聞いたのよ!」 
 まことは何となくレイが寝坊した理由がわかった気がした。たぶん自分と似たような理由なんだろうな、と。 
 ・・・大当たりだった。 
「まぁまぁ、そんなことどうでもいいじゃん、行くよあたし!ね、亜美ちゃん?」 
「え?えぇ、わたしも行くわ、うさぎちゃん」 
「レイちゃんはぁ?」 
「い、行くわよ!」 
 助け船を出してくれたまことに、レイは目でお礼を言う。 
「ヤッター!じゃ、カラオケやろう!カラオケ!」 
 今日のうさぎには文句を言えない3人は、結局作戦会議のために集まったはずのクラウンでカラオケ大会をすることになってしまったのだった。 
 
 
「もっちろん!愛野美奈子オンリーでね!」 
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Date:2008/08/29
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