Planetarium SS置き場

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優しい空間1

実写ネタで総出演やったからコチラに入れました。




「あれ?今日まことは?」 
 いつものように放課後クラウンに集合したメンバーの中にまことの姿がないことに気づいたレイは、当然の疑問を口にする。 
「あーまこちゃんは寝てるんじゃん?」  
 うさぎがポップコーンをほおばりながらサラっと思い当たる理由を告げた。 
 
『寝てる?』 

 レイと亜美の声がハモる。 
 壁にかかっている時計を見上げると、針はまだ夕方の5時を指していた。 
「うん、だってさ、おとついまこちゃんココに泊まって寝てたでしょ?さすがにソファじゃよく眠れなかったとおもうよぉ~。でもって、昨日は昨日で戦ってたりなんだかんだで夜遅くなちゃったじゃない?今日なんて授業中居眠りしちゃってたらしいし、で、さすがに帰るってふらふら先帰っちゃったもん」 
「ココに?」 
 亜美が不思議そうに首をかしげる。 
「どうして?ココには・・・」 
 おとつい父親とケンカをして家出をしてきたレイと、母親とうまくコミュニケーションが取れないことで悩んだ末に家出をしてきた亜美が2人で泊まり込んで大騒ぎをしていた。 
 まことはその場にはいなかった。 
「あぁ、まこちゃんね2人のことが心配だからって元基くんに頼んで仮眠室借りてたみたいなんだ。まこちゃんの優しさってさりげないよねぇ~女の子にしとくのもったいないよ!男の子だったら絶対女の子にモテてるって」 
 相変わらずまことが聞いたら機嫌を損ねそうなことを言うと、ズズズーっと赤色のジュースにささっているストローを無邪気に吸い込むうさぎ。 
 レイと亜美はうさぎのみるみる減って行くジュースをただ呆然と眺めていた。 
 
  ☆ 
 
 途中まで帰り道が同じであるレイと亜美は、ただ黙って並んで歩いていた。 
 沈黙を先に破ったのはレイだった。 
「知ってた?亜美ちゃん」 
「ううん」 
「まことってさ・・・」
「優しい・・・よね」 
「かなわないわね、あーいうトコロ」 
「うん」 
 再び黙々と歩く二人は、何時の間にか別れる場所に来ていた。 
 レイは右へ、亜美は左へ。 
「じゃぁね」 
「うん、またね」 
 手を少しだけ上げていつものように挨拶を交わすと、それぞれ家路についた。 
 
  ☆ 
 
 土曜日、愛野美奈子は久々の休みを満喫するべく街に繰り出していた。 
「あぁあ、久々の休みはいいけど、ドコに行こうかなぁ…仕事ばっかりしてるのも考えモノよね」 
 アイドルという特殊な仕事をしている以上、中々学校にも行けないのでこんな時に誘う友達なんて全くと言っていいほどいなかった。 
 今日はアルテミスも用事があるとかで出かけていたので、結局一人で出歩くハメになったのだ。 
 ブツブツと独り言を呟きながらブラリとショウウインドウを覗いて歩く。 
 フっとガラス越しに見覚えのある人の姿を捉える。 
「マーズ?」 
 レイは美奈子に全く気づく様子もなくスタスタと歩いていく。 
 美奈子の視線はガラス越しに右から左へとマーズの行方を追う。 
 手には何やらプレゼント用の包装にリボンのかかった箱を持っていた。 
 ニヤリ 
 美奈子にムラムラとイタズラ心が芽生えた…初めは確かに興味だけだった・・・はず。  レイの後10Mくらいの距離を置いて帽子を深くかぶると見失わないようについていく。 
 人はそれを一般的に『尾行』と呼ぶ…。 
 
  ☆ 
 
 亜美はマンションを見上げて佇んでいた。 
「どうしよう?いるかな?まこちゃん」 
 亜美は一度足元に視線を落とすと、生じた迷いを吹っ切るかのようにぷるぷると首を振る。 
 意を決したように再び2階のとある部屋を見上げる。 
 さっきから何度も繰り返される行為。 
 手に持っていた箱を握る手に力を込めると、ヨシっとマンションの中に足を進めた。 
 2階に上がるとドアの前に立つ。 
 やっとそこまで来たのに、またしても生じる迷い。 
 インターフォンを押そうかどうしようか。 
 何度も上げ下ろしされる指。  
 と、その時だ。 
 
 ガチャリ 

「え?」 
「あれ?」 
 亜美の指はインターフォン手前3ミリ地点で止まっていた。 
 なのに自動で開くドア。 
 熱感知装置搭載なのかしら? 
 うさぎやレイあたりに言ったら、そんなわけないじゃんとツッコまれそうなことを思わず考えてしまう亜美。 
「亜美ちゃん???」 
 開いたドアから目を丸くしたまことの顔が覗く。 
「まこちゃん?まだ押してないのに?」 
「あぁ、や、ちょっと買い物にでも行こうかなって、どうしたんだい?」 
「あ、ごめんなさい、ジャマしちゃ悪いわよね、あの!コレ、この間のことうさぎちゃんに聞いたの」 
 亜美が差し出したのは、前からまことが一度食べてみたいと言っていたケーキ屋さんの箱だった。 
「この間のこと?何だっけ♪」 
 わーいと何が何だかわかんないけどラッキーという顔で、箱を受け取りながら問う。 
「わたしたちのこと心配して…クラウンの仮眠室に泊まったって」 
 そのことかぁっとやっとこの箱をいただく理由に思い当たったのか、ニッコリと微笑むまこと。 
「あぁ!うん!元基くんに無理言っちゃった」 
「えっと、だからお礼っていうか・・・知らなかったからうさぎちゃんに聞いてビックリしちゃって・・・ありがとう、ごめんね」 
 ペコリと頭を下げる亜美に、まことはあわてる。 
「や、亜美ちゃんそんな!気にしないでよ、あたしが勝手にやったことなんだからさ!とりあえずこんなところで立ち話もなんだし、入んない?」 
「え?でも買い物・・・」 
「後でいいよ、お茶しようよ!」 
 亜美が渡した箱を、少しだけ持ち上げると中へと促した。 
「うん!」 
 
  ☆ 
 
 腕に巻かれた時計をチラチラ気にしながらスタスタと迷いも無く歩き続けるレイの背中を、美奈子はまだ何とか見失わずにいた。 
「ウィンドウショッピングには全く興味示さないで一体ドコに行くのかしら?まさか…デートとか言わないわよね?」 
 ブツブツ独り言を言いながらレイに離されないように早足でついていく。 
「しっかし早いわね!歩くの」 
 美奈子は回れ右して背中に張りついた汗を流したい衝動に駆られるが、結局レイへの興味が勝ってしまい、一瞬で迷いを振りきると尾行続行を決意した。 
 レイは街中から段々と入り組んだ住宅街に入っていく。 
「この先って、住宅街よね?」 
 人気がなくなったことによってバレる確率の高くなった美奈子は、慎重に電柱や看板に身を隠しながらつける。 
 ハッキリ言って不信人物以外の何者でもなかった。 
 ふと、とある賃貸マンションの前で足を止めると、日差しを避けるように額に手を当てて眩しそうに見上げるレイ。 
「誰の家よ!?家まで来るってことは相当親密な関係?信じらんない!」 
 マンションに入って行くレイが階段を上がるのを確認する。 
 階段使われたらドコに用があるのかわかんないじゃない! 
 バカマーズ! 
 美奈子は集合ポストに目を向ける。 
 知らない名前や、名前のないポストが並ぶ。 
「誰?ドコ?」 
 美奈子はダっと外に出て上を見上げる。 
 2階の廊下にレイの姿を見つける。 
 レイはとある部屋の開けられたドアから中に入るところだった。 
 ドアを開けたのがどんなヤツかは影になってて見えなかった・・・けどレイの笑顔はしっかりと捉えた。 
「あんな笑顔見せる相手って誰よ??」 
 美奈子の心に湧き上がる、疑問と嫉妬の渦は確実にふくらみつつあった。 
 キリリっと歯軋り、プルプルっと震える拳。 
「待ってやる」 
 この瞬間、初夏の太陽が照りつける中、美奈子の休日はレイへのストーカー行為に費やされることが決定した。 
 
  ☆ 
 
「おじゃまします、あ?亜美ちゃんも来てるんだ?」 
 玄関に並ぶ、まことのより少し小さめの靴が目に止まった。 
「あ、うん、2人ともそんな気を使わなくてもいいのにさ!わざわざありがとね」 
 初めて入るまことの部屋。 
 一人暮しのワリには広めの部屋だなと思いながらリビングに入る。 
 ふと、手に持っていた箱を渡すのを忘れていたレイは、紅茶を淹れに台所に向かうまことの後を追う。 
「まこと、コレ」 
「え?何だい?」 
 コポコポとカップに紅茶を注ぎながら振り返るまことに箱を差し出す。 
「栄養剤」 
「あたしに?」 
「植物のよ!観葉植物いっぱいあるって聞いたから」 
「あ、そっかありがとね!レイ」 
 まことは紅茶を淹れ終わると、レイを伴ってリビングに戻る。 
「亜美ちゃんがケーキ持ってきてくれたんだ、食べようよ!」 
「ん、いただくわ」
 まことは2人が紅茶を飲んでいる間に、ガサゴソとレイにもらった包みを開けてフンフン♪と機嫌良く栄養剤を植物たちに分け与える。 
「よかったね、元気に育てよ~」 
 植物には話しかけながら育てると元気に育つと聞いたので、まことは毎日きっちり実践していた。 
 一人暮しなので話し相手がいないというのも理由の一つだろう。 
「まこちゃんよっぽど好きなんだね」 
「ん?植物?好きだね、キレイに咲いたりするとスッゴイ嬉しいしさ!落ち着くんだよね」
「まことらしいわね、あたしなんかより全然女らしいわ」 
「そう?」 
 鼻歌混じりに植物たちの間を右往左往するまことはホントに楽しそうだった。 
 
  ☆ 
 
 小一時間も経った頃、レイがふっと腕時計に目を落とす。 
「あたしそろそろ帰るわ」 
「え?もう?」 
「うん、下で人待たせてるから」 
「は?人?もうかれこれ1時間経ってるけど?それとも誰か迎えに来るの?」 
「ふふったぶんね。まだいるわきっと」 
 まことと亜美は不思議そうに顔を見合わせる。 
 レイはここにくる間ずっと感じていた視線の主にすでに気づいていた。 
 この日差しの下じゃそろそろ限界かな?と思う。 
 玄関まで見送るよ、と言ってパタパタとついてくるとまことは外廊下から下を見下ろしてレイが待たせているという相手を探す。 
「くすくす、やっぱりね」 
「え?ドコ?」 
「あそこ」 
 マンションの前でジッと座り込んでいる女の子の後姿に視線を送る。 
「ヴィ、ヴィーナスぅ?」 
「そ、どこからかはわからないけど、ずっとついてきてたみたい」 
 アイドルのやるこっちゃないだろ!とかツッコまれそうだ。 
 事実あたしがツッコミたいと思ってるくらいだし。 
「ふ、ふーん、気づいてたんなら連れてきたらよかったのに」 
 ツッコもうかどうしようか迷っているらしいまことの額に汗が浮かぶ。 
「ほっとけばいいのよ、じゃね」 
「う、うん、じゃ」 
 
  ☆ 
 
 レイの後姿を見送ると、まことはもう一度視線を下ろす。 
 レイがマンションの玄関から出てくる気配を察知したのか、あわてて身を隠そうとするヴィーナスがまことの位置からはよく見えた。 
 思わず吹き出してしまう、バレバレだってば。 
 アイドルなのにあーいうちょっとヌケてる所見ちゃうと親近感がわくなぁ。 
 でもそんなにレイが気になるのかな? 
 厳しいんじゃないかなぁ?レイだからなぁ。 
「あの、まこちゃんあたしもそろそろ・・・」 
「うわっ!ビックリした!」 
 突然背後からそう声をかけられてビクっと振り返る。 
 いつのまにか亜美がスッカリ帰り支度を整えて玄関に立っていた。 
 ビックリしたまことの様子に驚いた亜美は、不思議そうな顔でまことを見上げる。 
「えぇぇぇっつ?亜美ちゃん帰っちゃうの?」 
「え?あ、うん・・・」 
「なんか用事あるのかい?」 
 ガックリとその場にしゃがみ込むと、しょぼんと亜美を下からのぞき込む。 
 塾でもあるのかな?と予定を確認してみる。 
 だが、亜美の返事は思いがけなく・・・。 
「ううん、別にないけど、いつまでもいちゃお邪魔かなって思ったから・・・」 
「そんなこと!ね、亜美ちゃん一緒にごはん食べて行かない?」 
 まことは亜美の服のソデをチョンチョンと引っ張ると、眉をハの字にして捨てられた子犬のような瞳で亜美を見上げる。 
 亜美に一瞬ためらいが見えた。 
 強引だったかなぁ? 
 流れる沈黙に、少しアセるまこと。 
 沈黙を破ったのは亜美だった。 
「あの・・・いいの?」 
 半分あきらめかけていたまことは、思いがけない亜美の返事に耳を疑った。 
「え?い、いいに決まってるじゃないか!何言ってんだよ!」 
 ブンブンと激しく首をふるまこと。 
「それじゃ・・・ごちそうになろうかしら」 
「うんうんうんうん!ごちそうしちゃう!」 
「今日はママ夜勤だから、わたしも一人だったんだ」 
「そっか!よーっし、それならとりあえず買い物に行こう!」 
 まことはガバっと立ちあがると、ニコニコと亜美の手を握った。 
 
  ☆ 
 
 マンションを出たレイは、美奈子の隠れている方角とは違う方角に歩き出す。 
「アレ?こっちだっけ?帰り道」 
 来た方とは逆の方なので、美奈子は不信に思うがとりあえず離されないようについていく。 
 しばらくの間グルグル歩くと、住宅街を抜けて街に出る。 
 何だ、こっちからも出れるんだ。 
 相変わらずスタスタと早歩きのレイに、うんざりしながらも美奈子はついていく。 
「はぁ~もうドコまで行くのよ~」 
 ちょっと目を離した瞬間だった。 
 フっと突然路地を曲がるレイ。 
「え?あ、ちょっと!」 
 ここまで来て見失ってはたまらないわ!と小走りでレイを追って路地を曲がる。 
「で?こーんなトコロで何してるのかしら?ヴィーナス」 
「げっ!」 
 完全に油断していた。 
 曲がった瞬間の美奈子を待ちうけていたのは、両手を腰に当てて、ジっと睨んで立ちはだかっていたレイだった。 
「げっ!じゃないでしょ?ずーーーっとついてきてたわよね?何が目的?」 
「別にぃ~あたしが歩いてる前をあなたが歩いてただけでしょう?」 
「アイドルがあんなとこうろうろしてたら目立ってしょうがないわよ」 
「え?一体いつから?」 
 絶対バレてないって自信があったのに?さすがマーズだわ。 
「マンションに向かって歩いてたら妙に視線を感じたのよね。誰かつけてきてるなぁと思ってたけど、2階から見てすぐわかったわ、ストーカーの正体」  
「アラ、結構すぐだったんだ・・・ってストーカーって失礼な!」 
「事実でしょ?それで?あたしがマンションにいた1時間ずーっと待ってたわけ?」 
「そうよ、だって気になったんだもん、マーズがプレゼントなんか持って誰かのマンションに入って行くなんて。しかもあんな極上の笑顔なんて浮かべちゃって!一体誰だろうって思うじゃない?だから待ってたのよ」 
「ふーーーん」 
 事情が理解できたレイはニヤリと笑う。 
「あたしのこと、そーーーんなに気になってたんだ?もしかして男でもいるんじゃないかって思った?」 
「うっ」 
 人差し指で鼻の頭をツンっと突かれ、図星を指された美奈子は思わずあとずさる。 
「ふーーーん、まぁいいわ、で?これからどうするの?」 
「え?これからって?」 
「休みなんでしょ?誰かさんヒマみたいだし?まだ後ついてくる?それとも・・・?」 
 チョイチョイっと自分の横を指差して選択権を与える。 
「・・・」 
 美奈子は無言でツカツカと歩を進めると、シッカリとレイの横に並ぶ。 
「ホラ、行くわよ」 
 くるりときびすを返すレイ。 
「わかってるわよ!」 
 と、ぷくっと頬をふくらませてレイを追いぬく負けずキライの美奈子の横に、レイはくすくすと笑いながら並ぶ。 


続く
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Date:2008/08/29
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