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□ まこ×亜美 □

15cm

理想の身長差
 



 暑い日差しの中を暇つぶしに街に出た二人だったが、夏休みのせいか、そこかしこでやっているサマーバーゲンのせいか思いのほか人が多かった。
 二人ははぐれないようにと常にお互いの位置を確認しながら歩くが、まことの身長が頭ひとつ飛び出ているので亜美にとっては目印に困らなかったけれど、まことにとってはやっかいな状況だった。
 本当は手をつないで歩きたかったけど、人前ではそうも行かず・・・。
 何とか人並みを掻き分けて少しだけ広い空間に脱出すると、大きなため息をついた。
 バーゲン大好きなまことでも、この暑さの中をこの人ごみで戦う気にはとてもじゃないけどなれなかった。
 と、その時だ。
 ちょんちょんと手首をひっぱられる感触に我に帰った。
「まこちゃん」
「ん?何だい亜美ちゃん?」
「あのね○×△☆」
「え?聞こえない、何?」
 ただでさえ控えめな亜美の声が、雑踏のざわめきにかき消されてしまう。
 まことは思いっきり腰をかがめると、亜美の口元に耳を寄せた。
 今にも唇が触れそうな距離に自分から近づいておいて一人でドキドキする。
「あのね、公園行かない?」
 吐息と共に耳に届く声がくすぐったかった。
「うん、だね」
 腰を元の位置に戻すとまことはニッコリと笑い、そっと手を差し出した。
「はぐれないようにさ、ね?」
 その手をうなづきながらそっと取る亜美も、まんざらでもないようだった。
 よかった。断られたら手のやり場なかったよなぁ。
 心の中で安堵の息をつくと、再びよしっと気合を入れなおして再び人ごみからの脱出を試みた。

  ☆

「は~やっぱり緑はいいなぁ、ホっとするよ」
 大きな伸びをしてまことは解放感を全身で感じているようだ。
「そうね、わたしもあまり人ごみは得意じゃないから」
「だね、公園散歩でもしてる方がよっぽどいいや」

  ☆

 散歩の途中で見つけた、自転車でいつもアイスを売りに来ているおじさんからアイスを買って、木陰に避難した二人はぼんやりと木漏れ日を眺めていた。
「おいし、これ」
「ほんと?」
「食べてみるかい?」
 はいっとまだ7割方残っているアイスの棒を差し出した。
 亜美が受け取ろうとする寸前で、まことは何を思ったのかひょいっと向きを変えた。
「え?」
 差し出されていたのはアイスの少しかじった後のある先端だった。
「どうぞ」
 へらっと頬を緩ませているまことが何をしたいのか察した亜美は
 少しだけ頬を赤らめると何も言わずにその先端を少しだけかじった。
「あ、ホントだ、おいしいわ」
 頬を綻ばせて笑う亜美のアイスが無防備になっているのをまことは見逃さなかった。
「あたしも一口」
 亜美がまことの口元に届くように手を伸ばそうとする前に、まことはサっとかがんで無防備になった亜美のアイスにぱくっとかじりついた。
「ま、まこちゃん?」
「へへっこれもおいしいね」
 この暑い夏のさなか、見ている周りが益々暑くなるような二人の熱はとどまることを知らなかった。
 その時だ。
「あーーーーーっついわね!」
 と、二人の世界に乱入する聞き覚えのある声に二人は我に帰った。
「み、美奈子ちゃん?どうしたのさ?」
「レイちゃんもどうしたの?」
 美奈子は、あーヤダヤダっとでも言うように腰に手を当ててイヤイヤと首を振っていた。
「散歩してたらさ、二人を見かけたから追いかけてきたのよねぇ、そしたら、あぁ暑い・・・熱い!」
 と、暑いのがまるで二人のせいとでも言うように苛立ちをぶつけてくる美奈子に、レイは諦めてくれと言うように二人に視線を送ると、無言で首を振るだけだった。
「ところでさぁまこちゃん?」
「なんだい?」
「腰、痛くないの?」
「へ?」
 イキナリの発言に一体何を言っているのか、何が言いたいのかさっぱりわからないまことはキョトンと聞き返した。
「毎日毎日よくやるわ」
「はぁぁ?」
 言いたいことはサッパリわからないが、なぜかサっと頬を紅潮させるまことに美奈子がニヤリと笑う。
「亜美ちゃんとの身長差が大変そうだな~って思ったんだけど?いつもいつもまこちゃん亜美ちゃんに合わせてしゃがんでるじゃない?腰痛くなんないのかなぁ~ってさ・・・何?それとも他に何か腰痛くなるようなことでもヤってるっていうのぉぉぉ?いや~ん」
 自分の頬を両手で挟むと、クネっと体をくねらせながら二人をからかう。
「バっ、な、何言ってるんだよ!そんな毎日するわけ・・・あっ・・・」
 慌てて自分のウカツな口を両手で塞ぐが、気づいた時にはすでに遅かった。
 ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべる美奈子と、後ろで顔を真っ赤にしながら怒りのオーラを発揮している亜美に挟まれて、まことは凍りついた。
「・・・ばか」
 呆れたように呟くレイ。
 まんまと罠にハマったまことをねぎらう人はいなく、身もフタもない言われようなだけだった。

  ☆

 やっとのことで二人から逃げ出したまことと亜美は、とりあえず涼を求めて結局まことのマンションに戻ることにした。
「あぁ~参ったよ全く美奈子ちゃんにはさ」
 ドサっとベッドにダイブをするとまことはゴロリと仰向けに体勢を変えた。
「まこちゃんたらすぐ引っかかるんだから」
「あぅ~ゴメンってば、ホンッッットごめん!」
 起き上がってぱんっと顔の前で両手を合わせて謝る。
「でも、言われてみればそうよね、まこちゃんいつもわたしに合わせてくれてるもの」
「ん?あぁ、でも気にしてないよ。むしろ嬉しいもん」
「嬉しい?」
「だってさ、亜美ちゃんに近づく口実が出来るじゃないか。聞こえない、届かない、だから亜美ちゃんの近くに寄る亜美ちゃんの顔がよく見えるし、亜美ちゃんの声や吐息が耳に届く、あたしだけのトクベツな位置じゃない?」
 へへっと子供のように無邪気に笑うまことの言葉に、クーラーが効き始めた室温と反比例するかのように上がりはじめる亜美の体温。
「ん?どうかした?」
 心配そうに覗き込むまことの視線から逃れようと立ち上がる亜美。
 それを追うようにまことも立ち上がると、俯く亜美を腰をかがめて覗き込む。
「亜美ちゃん?あたし何か悪いこと言っちゃった?ごめん、謝るよ、だからそんな怒らないでよ~」
 ちょっと情けない声で呼びかけるまことの眉は、捨てられそうになった子犬のように寂しそうにハの字に寄っていた。
 ぷるぷると浴びた水を振り払うかのように強く首を振ると亜美は、違うの・・・と呟いた。
「え?」
「嬉しくて・・・わたし背が高くてかっこいいまこちゃんに憧れてたの。でも何をするにも届かないし、まこちゃんの顔も見上げなきゃ見えないから・・・でもこの位置から見るまこちゃんが好きだし、高いところから微笑んでくれるのが嬉しかった。でも、声は中々届かないからいつもかがんでもらっちゃってたから悪いかなって思ってたのに嬉しいって言ってくれたから・・・わたしも嬉しかった」
 亜美はまことの手を取って立ち上がらせるとゆっくり顔を上げた。
 まだ真っ赤に染まったままの頬。
「え?」
 きゅっとまことのTシャツの胸の辺りを縋るように掴むと、亜美はそっと踵を上げた。
 瞬間、まことの唇が柔らかい感触に支配された。
 甘い、アイスの味がするなぁ・・・。
 ぼんやりとした頭で一瞬の出来事なのに何となくそんな風に冷静に今のキスを分析してみたり。
「届いたわ」
「へ?」
「まこちゃんがしゃがまなくてもいいように、努力してみようと思ったの」
「・・・ばか」
 天才少女に向かって言う言葉じゃない、失礼な言葉を吐きつつも
 嬉しさ全開で抱きつくまことの容赦のないパワーから逃れることも出来ず・・・。
「ばかじゃないもん」
 と、拗ねたように言い返すのが精一杯だった。
「あはは、ごめんごめん。あたし亜美ちゃん好きになってよかったなぁ」
「え?」
「亜美ちゃんのそばにいられて幸せだなぁ」
「うん」
「亜美ちゃんとだったら身長差なんて気にならない!15cmなんて大した距離じゃないね!」
 ドサっと再びベッドに腰かけると、亜美を抱き寄せた。
「ほらね、こうしてると近い近い!」
 耳たぶにそっとキスをするとコッソリと囁いた。
「亜美ちゃん大好きだよ」
 くすぐったそうに首を竦めて笑う亜美との15cmの距離は限りなくゼロに近づいていた・・・。 
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Date:2008/08/28
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