Planetarium SS置き場

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□ まこ×亜美 □

体温

うやむや(笑)








「だぁぁぁぁっ寒い寒い寒い!!!亜美ちゃん大丈夫?」
「えぇ、まこちゃんこそ大丈夫?」
「ん、何とかね」

  ☆

 ちくしょーっ何でよりによって真冬のプールかなぁ?
 ポニーテールにしていた髪のゴムを外すと、バサバサっと玄関で濡れた髪を拭きながらあたしは隣で丁寧に髪を拭く亜美ちゃんをチラリと見下ろす。
「亜美ちゃん攻撃受けたトコは大丈夫かい?」
「大丈夫よ、まこちゃんがかばってくれたし」
 大きなバスタオルを頭にかぶせたまま、ニッコリとあたしを見上げる。
「でも一緒に落ちてりゃ世話なかったね、ははっ」
「そんな、ありがとうまこちゃん。プールだったから大きなケガしなくて済んだんだし」
「そうだね」
 もう夜も遅かったし、びしょぬれで家に帰ったら亜美ちゃんのママを心配させちゃうだろうからって、とりあえずあたしは亜美ちゃんを半ば無理矢理マンションに連れてきた。
「えーっと、まず服乾かさないとね、あと体も!ちょっと待ってて、お風呂沸かすから」
 びしょぬれの靴下を脱ぎ捨てると、部屋のストーブのスイッチを入れ、タンスからパジャマを二人分引っ張り出して浴室に飛び込んだ。
「亜美ちゃんこっちおいで!」
 さっさと服を着替えると亜美ちゃんを呼んだ。
 もう裸で長時間いらんないって!寒すぎ!
「うん」
 亜美ちゃんも同じように靴下を脱ぐと、雫をなるべく落とさないように小走りで浴室へ飛び込んできた。
「今お風呂ためてるから、とりあえずこれに着替えてよ。洗濯するからそれ」
「ん、ありがとう」
「早く早く!」
「は、早くってまこちゃん?」
「どうしたの?」
「あの・・・脱ぐから・・・」
 顔を真っ赤に染めて俯く亜美ちゃん。
「?」
「えっとそのぉ・・・」
「あっ・・・ご、ごめん!」
 あたしは慌てて後ろを向く。
 恥ずかしかったんだね・・・亜美ちゃん。
 まだ慣れないのかな?
 ごそごそと服を着替える衣擦れの音が、あたしの妄想を掻き立てる。
 邪な想像を振り払うように意味もなくぷるぷると頭を振ってみたり。
「あの、もういい?」
「うん」
 振り返ると、亜美ちゃんから濡れて少し重みを増した洋服を受け取る。
 洗濯機に二人分の洋服を放り込むと、ぽちっと洗濯開始のボタンを押した。

  ☆

「亜美ちゃんお風呂たまったから入んな!」
「あの、まこちゃんは?」
「あたしは亜美ちゃんの後でいいから、早く体温めないと風邪ひくよ?」
「その・・・まこちゃん・・・」
「え?何?」
「一緒に・・・ろう」
「ん?どしたの?」
「まこちゃんも風邪・・・ひくから」
「え?でも、あ、亜美ちゃ・・・ん?」
 うっそだろぉぉ?あ、亜美ちゃんがっ?
 消え入りそうな声で一生懸命伝えようとする亜美ちゃんがイジらしくって!
 やっと亜美ちゃんの言いたいことが理解できたのはいいけど、理解した瞬間あたしはあまりの動揺に舌が回らなくなっちゃった!
 だってさっきあたしの前で着替えるのも恥ずかしがってた亜美ちゃんがさ、真っ赤になっちゃってあたしと、そのぉ一緒に風呂って・・・ねぇ?
 びっくりしちゃったよ。
 そういえば一緒に寝たりはするようになったけど、お風呂はまだ一緒に入ったことなかった・・・よねぇ?
 まぁでもせっかくだし、ねぇ?断ったら亜美ちゃんお風呂入ってくんなさそうだし、このままだと二人とも風邪ひいちゃうし・・・いいよね?
 あたしは亜美ちゃんの手を引っ張ると、浴室に向かった。

  ☆

「ふぅ~極楽極楽♪」
 あたしは狭い浴室にざばっと浸かると、膝を立てて亜美ちゃんを足の間に座らせた。
 亜美ちゃんちみたいに広い浴槽じゃないからしょうがないんだよねー。
「亜美ちゃん狭くない?」
「えぇ、大丈夫よ」
「凭れていいよ」
「え、でも・・・まこちゃん重いでしょう?」
「ははっこーんな細い体で何言ってるかなぁ?ちゃんと食べてる?亜美ちゃん」
 あたしはするっと後ろから細い腰を両手で挟み込んだ。
「きゃっ、まこちゃんくすぐったいっ」
「あはっごめんごめん♪」
 言いながらあたしはそっと背後から亜美ちゃんの細い肩を抱き寄せた。
「あったかいな、亜美ちゃん」
「そう?」
「雪山で遭難したら人肌で暖めるて言うくらいだから、人の体温ってすごく高いんだね」
「そうね」
「遭難したいな・・・亜美ちゃんとなら」
「・・・まこちゃんったら」
「へへっ」
 後ろ向いてるから亜美ちゃんの顔見えないけど、きっと真っ赤になっちゃってんだろうなぁ、あたし何やってんだか・・・ヤバっ歯止め効かなくなりそう。
「ま、ま、まこちゃん?」
 上ずった声。
「ん?」
「えっとその・・・」
「何?」
「まこちゃんいつも・・・ありがとう」
「え?何?急に」
「さっきね、見ちゃったの・・・まこちゃんの体、うっすらだけど傷・・・残ってたから」
「あぁ、まぁ戦ってばっかりだもんねーあ、でも格闘技やってるとどうしてもつくんだよ?
青タンなんかしょっちゅうだよ!ははっ」
「でも、あたしをかばって出来た傷もたくさんあるわ!」
「どうしたんだい?」
「女の子の体なのに」
 亜美ちゃん・・・。
 あたしのこんなうっすら残ってるだけの傷のことでこんなに落ち込んじゃって・・・ホントに優しい子なんだなぁ。
 やっぱり・・・好きだな。
 あたしはそっと亜美ちゃんのむき出しになったうなじにそっと唇を押し当てた。
 ピクンっ
 そのまま言葉を紡ぐ。
「あたしは・・・ん、亜美ちゃんの為だったら、命なんて惜しくないよ・・・ううん、そんなこと言ったら怒られそうだな。でも亜美ちゃん護るためだったら傷のひとつやふたつ問題ないよ・・・そのかわり亜美ちゃんに責任取ってもらうしね」
「責任?」
「ん、嫁にもらってもらう」
 耳元に近づけた唇でボソリっとそう告げると、そっと耳たぶの裏にキスをする。
「お、お、お嫁さん???」
「ダメなら婿でもいいよ」
「あ、あのっ・・・」
「何でもいいからとにかくあたしは亜美ちゃんのそばにいる、だからいいんだよ」
「うん」
「好きだから・・・」
「ありがとう」
「ん」

  ☆

「くしゅん」
 脱衣所で着替えながら派手なくしゃみをひとつしたあたしを、亜美ちゃんが心配そうに眉を寄せて覗き込む。
「ははっ大丈夫!温かいココアでも入れるよ」
「ありがとう、まこちゃん」
「あ、洗濯物乾燥機に入れちゃおうか!ホントはちゃんと乾かした方がいいんだけど、亜美ちゃん帰れなくなっちゃうもんね!」
「そうね」
 少しだけ寂しそうな表情を浮かべて亜美ちゃんが微笑む。
 寂しいの・・・かな?
 そう想ってくれてるのかな?
「あの・・・よかったら泊まってかない?そしたら服もゆっくり乾かせるしさっ!あ、でもどうしても帰らなきゃって言うんなら無理強いはしないけど・・・」
「・・・いいの?」
「え?」
「迷惑じゃないの?」
 えぇっ?まさかの反応?
「ぜんっぜんっ!」
 あたしはぶんぶんっと首がもげるかと思うくらい思いっきり振って全力で否定した。
「それじゃぁ、ママは夜勤でいないしまこちゃんがよければ」
「あ、そうなの?」
 それじゃぁ服がびしょぬれで帰っても問題なかったんだよ・・・なぁ?
 どうして言わなかったんだ?
 まぁいいかっ結果オーライだよな!
「じゃぁ決まり!あったかいココア入れてくるから部屋で待っててね!」

  ☆

「ねぇ亜美ちゃん?」
「なぁに?」
 あたしたちは並んでベッドにもたれる格好で座っていた。
 ココアの入ったマグカップを両手で包み込みながら、湯気をぼんやりと見つめる。
「ホントによかったの?」
「え?何が?」
 キョトンとあたしを見上げる亜美ちゃん。
 ホントに何のことかわかってない顔。
「泊まりに来てさ。あたし何だか有無を言わせずないうちに引っ張ってきちゃったような気がしてさ」
 くすっ
 目を細めて口元に手を当てて小さく笑う。

 ――かわいいな。

「いいの、あたしもホントはそうしたかったんだもの。一人でおうちにいても寂しいだけだし・・・心のどこかでまこちゃんが誘ってくれるの期待してたのかも」
「ホント?ホントにホント?」
「ホントっ」
 かわいいっ!もうこの笑顔が見られるんならあたし何でもやっちゃうよ!
 っつか何でも出来るって!
「へへっうれしいな」
 こうやって一緒にいたいって想ってくれる人がいるのっていいな。
 一緒にいたいって想える相手がいるのもいいな。
 あたし幸せかも。
 すっごいすっごい幸せかも!
 飲みかけのココアをコトンとテーブルに置くと、あたしはそっと亜美ちゃんの肩に手を伸ばした。
 ――あったかい。
 亜美ちゃんの体、温かいよ。
「まこちゃんあったかいね」
「え?」
「人の体温を感じてると安心するわ」
「亜美ちゃん・・・あたしも今同じこと考えてた!」
 亜美ちゃんはあたしと同じようにマグカップをテーブルに置いてあたしを見上げたかと思うと、ココアのおかげですっかり温もった両手であたしの両頬を包み込んだ。
「まこちゃんの体も心も温かくなればいいな・・・」
「もうなってるよ」
 その両手にあたしも手を添える。
 離したくない!
 このままずっとそばにいて欲しい!
 もう朝なんて来なくていい!
 時間止まっちゃえ!
「ごめんね、亜美ちゃん。あたしやましい事考えちゃってるよ」
「え?」
「ごめんね」
 あたしは亜美ちゃんの白い喉に唇を押し当てた。
 緊張して硬くなった体に手を這わす。
 ボタンをひとつずつ丁寧に外していく。
「ま・・・こちゃ・・・」
「ん」
「ベッドで・・・寒いわ」
「うん」
 あたしは亜美ちゃんのパジャマを剥ぎ取り、あたしも脱いだ。
 そのまま亜美ちゃんを抱えてベッドに寝かすと、あたしは亜美ちゃんの細くて真っ白な体をギュっと抱きしめた。
 力いっぱい抱きしめたいけど、そんなことしちゃったら亜美ちゃん壊れちゃうから・・・。
「やっぱりこっちの方があったかいよ・・・パジャマ越しよりずっとさ」
「そうね」
 クスリっと恥ずかしそうに笑うと、そっとあたしの肩にしがみつくように額を押し付けた。
「でも恥ずかしいわ、やっぱり」
「大丈夫だよ、あたししか見てない」
「うん、でもそれが恥ずかしいわ」
「じゃぁ電気消す。それならいいだろ?」
「ん」
「ははっ・・・何もしないよ、亜美ちゃん」
「え?」
「ただ抱きしめて眠りたい・・・亜美ちゃんの体温感じてたいんだ」
 あたしのうそつき。
 そんなこと思ってないくせに!
 亜美ちゃんのこと抱きたいって思ってるくせに!
 あたしたち確かに初めてじゃぁないけど・・・でも、だけど!!
「まこちゃん?ムリしなくていいのに。くすっ」
「え?」
「まこちゃんに抱きしめられるの・・・気持ちいいもの」
「亜美ちゃん?」
「大好きよ、まこちゃん」
 あたしの緊張と理性の糸の最後の一本が・・・切れた。
『愛してる』
 お互いが発したその言葉が最後の記憶だった。

  ☆

 眩しいなぁ。
 カーテンの隙間から洩れる光が、朝を迎えたことを知らせる。
 何時だろ?
 目線が部屋の中をぐるりと彷徨い、壁にかかっているはずの時計を探す。
「7時か・・・早いな」
 休みの日に起きるにはまだ早い時間だ。
 あたしは腕の中にすっぽり納まっている亜美ちゃんの体を抱きしめる手に少しだけ力を加えた。
「ん」
 一瞬言葉を発した後、すりすりっとあたしの胸に顔をうずめて再び寝息を立て始めた。
 くすぐったいな。
 でも、あったかい。
 一人だったら間違いなく風邪をひいてたであろう格好でも、二人だといつもより全然温かい。
 両親を亡くしてからのあたしには、こうやって抱きしめてくれる人もいなかった。
 誰かの体温を感じることなんてなかった。
 人ってこんなにあったかいんだってこと・・・随分長いこと忘れてた。
「ありがとう、亜美ちゃん」
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Date:2008/08/28
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