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□ まこ×亜美 □

大切な時間

何か時間越えてオトナになっちゃってます




「もうすぐ誕生日ね、まこちゃん」 
「んーーー?あぁ、そっか、もうそんな時期か?」 
「また忘れてたの?もしかして」 
「ははっ、12月は師走ってだけあって忙しいじゃない?だからついさぁ」 
 ぽりぽりとアタシは照れ隠しのように頬を掻く。 
 毎年同じ会話を繰り返してる気がしてしょうがない。 
 特にここ数年は。 
「でもそうね、確かに色々忙しいわよねお仕事大変なんじゃない?すぐクリスマスだもんね」 
 街中クリスマス用のイルミネーションが溢れていた。 
 ピカピカのツリーに、リースやサンタ、トナカイなどが飛び交っている。 
「そうなんだよねぇやっぱり年末に向けてみんな慌しいよ。そうだよ!クリスマスなんだよ!そういえばさ、あたし子供の頃よく誕生日とクリスマスのプレゼントを一緒にされたりしてスネたことあったんだよね。やっぱさぁ誕生日とクリスマスは別物だと思うんだけどなぁねぇ?亜美ちゃん」 
「くすくすっ大丈夫よまこちゃん、今年も一緒にお祝いしましょ。クリスマスも、もちろんお誕生日もね」 
「へへっあーみちゃんとふったっりでデートっデートっ♪」 
 亜美ちゃんの言葉が嬉しくて嬉しくて、作詞作曲木野まこと・・・な歌を歌いながらアタシは亜美ちゃんの数歩先に進む。 
「ま、まこちゃん?」 
「なんだい?」 
 くるりと体ごと振り返ると後歩きをはじめた。 
「えっとその、何か欲しいものある?」 
「プレゼント?誕生日の?」 
「ん、何かある?」 
「うーんそうだなぁ」 
 毎年のことながら困る質問だなと思う。 
 立ち止まってうーんと腕を組んで考えてみるが、やはり毎年のことながら何も浮かばないんだよな。 
「考えさせて」 
 ん、っと組んでいた腕を解いて手を差し出すと、亜美ちゃんは素直にきゅっと手をつないでくれる。 
「ところで亜美ちゃん大学はどう?忙しい?」 
「えぇ、ずっと憧れていた教授のいるゼミに参加したり、好きな研究も出来るし充実してるわ」 
「そっか、相変わらず頑張ってるね亜美ちゃん」 
「みんなバラバラになっちゃったけど、でもいつかはそれぞれの道を歩む時が来るのは仕方ないわよね」 
「だね、ずっと仲間なことに変わりはないけどそれでもね」 
 アタシは高校時代までずっと一緒に過ごした仲間を思い浮かべる。 
 もちろん今でもちょこちょこ会ってはいるけれど、みんなそれぞれ忙しくて、昔ほど頻繁でなくなってるのは事実だった。 
 亜美ちゃんともあれだけ毎日一緒にいた頃からは考えられないくらい会う時間が減った。
 お互い忙しいせいもあるけれど、やはり学校が違うとどうしようもない。 
 なるべく休みには会うようにはしてるけど、それでも。 
「明日講義?」 
「休みだけれど、でもゼミに顔を出さなきゃならないの。お昼からだけど」 
「そっかぁ、残念だなぁ」 
「そうね、中々最近お休み合わないものね。まこちゃんは休み?」 
「うん、休み・・・あ、あたし欲しいものあった」 
 思いついたことをぽつりと呟く。 
「え?」 
「時間が欲しい」 
「時間?」 
 キョトンとアタシを見上げる亜美ちゃん。 
「うん、時間・・・亜美ちゃんと過ごす時間。亜美ちゃんの時間を一日でいいから、あたしにくれないかな?無理?」 
「くすっううん、無理じゃないわ。わかった約束する。ずっと一緒にいるわ。まこちゃんのお誕生日を迎える瞬間も、終わる瞬間も」 
「ホント?」 
「うん」 
「ホントにホント?」 
「約束」 
 言ってつないだ手とは反対の右手の小指を差し出す。 
 あたしはそっとその指に左手の小指を絡ませた。 
「「ユビキリゲンマン」」 
 声がシンクロする。 
 指切りを終え、すっかりその手が冷えきっていることに気づいたアタシはぐっと掴むと、そのまま亜美ちゃんの体を引き寄せた。 
「まこちゃん?」 
「誕生日、楽しみにしてるから」 
 耳元で囁く。 
「わかった」 
 相変わらずあたしの肩くらいまでしかない頭を抱きしめると、亜美ちゃんはあたしの肩に向かってつぶやいた。 
 
  ☆ 
 
12月5日 
「まこちゃん、お誕生日おめでとう」 
「ありがとう、亜美ちゃん」 
 亜美ちゃん手作りのケーキに、年の数だけろうそくを立てて灯してくれる。 
 灯りはろうそくの火のみだ。 
「今年もまこちゃんの誕生日を祝えてよかった」 
「来年も、再来年も、ずっと亜美ちゃんには祝って欲しいよ。 
 プレゼントは毎年同じものでいい。亜美ちゃんがいてくれたらそれでいいよ」 
 アタシはろうそくを灯し終えた亜美をそっと自分の元に引き寄せる。 
 ソファに凭れたアタシの足の間に後向きに座らせると、アタシは背後から亜美ちゃんを抱きしめた。 
 会えなかった時間を取り戻すかのように、ギュっと力を込めて。 
「会いたかった、抱きしめたかった、キスしたかった・・・亜美ちゃん」 
 アタシはそっと亜美ちゃんの首筋に唇を這わしたまま囁く。 
「ん」 
「亜美ちゃんと過ごせて幸せだよ」 
「うん、まこちゃん火・・・消して?」 
「ん」 
 あたしは抱きしめたまま、目一杯息を吸い込み、亜美ちゃん越しに一気に吐き出した。 
 瞬間、訪れる暗闇に聞こえるのはお互いの息遣いのみ。 
「まこ・・・ちゃん?」 
「ん?」 
「愛してるわ」 
「亜美ちゃん?」 
「誰よりも、何よりも、あなたを愛してるわ」 
「何よりのプレゼントじゃん…」 
 
  ☆ 

 ――部屋の隅には二人の邪魔をしないようにと 
 2つ並んだお揃いの携帯電話が電源を切られたままぽつんと置かれていた――  
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Date:2008/08/28
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