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□ まこ×亜美 □

短いです



 
「6組の木野がケンカしてるぞーーーーーっ」  
「まこちゃん?」 
 廊下に響き渡る男子生徒の声が、仲間…の名前を大声で叫ぶ。 
 読んでいた本から視線を上げると、わたしはガタンっとイスを蹴り上げて駆け出していた。
 先生にこってり油を絞られたのか、ふてくされた顔で職員室の中に向かってお辞儀をして出てくるまこちゃんをわたしはやっと捕まえた。 
「どうしたの?何があったの?まこちゃん」 
「何でもないよ」
「でもまこちゃんが理由もなくケンカなんて・・・」 
 わたしはまこちゃんの手を取ると、めいっぱい背伸びをして詰め寄る。 
「何でもないって言ってるだろ!」 
 思いがけず強い力で振り払われた手を呆然と見つめ、それ以上の言葉を失うわたしにまこちゃんは 
「あ、ご、ごめん」
 と、自分の非礼をすぐさま詫びる。 
「ホントごめんね、亜美ちゃん。なんでもないからさ、気にしないでよ」
 笑んで、ナデナデと今度は一転して頭を優しく撫でてくれる。 
 その手は、まこちゃんのいつも通りのあたたかな手の平だった。 
 この手が人を殴ったとは信じられない、優しい手。  
「じゃね」
「亜美ちゃん!まこちゃんは?」 
 やはり心配したうさぎちゃんが息を切らせて駆けよって来るが、わたしはただ黙って首を振る。
「そっかぁ。実はさぁ」 
「なぁに?うさぎちゃん」 
「どうも相手の男の子たちがね、その・・・亜美ちゃんの成績がいいのを妬んでね。何か陰口みたいなことを言ったらしいの。それでまこちゃん怒っちゃって…って亜美ちゃん?」 
 わたしは何時の間にかまこちゃんの姿を追い求めて、駆け出していた。 
 「ここにいたのね」
 多分ここだろうなと見当をつけた場所、屋上に彼女はいた。 
「あぁ、亜美ちゃん」
 ベンチに腰掛けてぼんやりと空に向けていた視線を、ゆっくりとわたしに向ける。
 そんな呑気なまこちゃんを見ると、なんだか無性に腹が立ってきた。 
 で、出た言葉が
「ばかっ」
「はぁ?なんだよイキナリ!?」
 少し浮かべる不快な表情。  
 それでももう一度繰り返し、何度も言う。
「ばかばかばかばかっばかっ!」 
 わたしはまこちゃんのそばに駆け寄ると、少しだけ下にあるまこちゃんの目を見つめてトドメをさすようにもう一度言う。
「まこちゃんのばかっ」
「や、え、な、何?」 
「わたしの悪口言われたからって、どうしてまこちゃんがケンカするの?」 
 あぁっとそれっきり口をつぐもうとするまことだったが、ぽつりと 
「何かムカついたからさ。だってあいつら!!亜美ちゃんがどれだけ頑張ってるか知りもしないで」 
 ふいっとまことはそれだけ言うと顔をそむける。 
「そんなの!慣れてるから大丈夫なのに」
「慣れちゃダメだよ!そんなの」
 ガバっとまことは勢いよく立ち上がると、わたしの身体を力一杯抱きしめた。
「あたしは亜美ちゃんのことカンチガイされるのは・・・ヤダ!」 
 わたしはふっと力を抜くと甘んじてまことの胸に顔を埋めた。 
「でも、まこちゃんが理由を言わないと、今度はまこちゃんがカンチガイされちゃうわ」 
「いいよ、慣れてるから」
「くすっ、まこちゃん、慣れちゃダメなんでしょ?」 
 まことの矛盾した答えに思わず笑いがこみ上げた。
「あ、はは、そだね」
 ぽんぽんっと優しく背中をなでてくれる手がやっぱり優しい。
「先生、注意で済んだの?」
「ん」
「おいっ木野!こんな所にいやがったのか!さっきはよくもやったな!」
「んだよ、まーだヤル気なのかよ!」
 わたしを庇うように立ちふさがると視線を妨げる。 
「水野、お前こんっな狂暴なヤツとツルんでっと色々マズイんじゃねーのー?優等生のお嬢様としては」 
 ニヤリっと唇の端を持ち上げてイヤな笑いを浮かべる。 
 どうしてそんなこと言われなきゃいけないんだろう? 
 その瞬間、プチンっとわたしの中で何かがハジけ、頭の中が真っ白に染まった。 
 ツカツカツカ 
 わたしは今にも相手に飛びかかりそうなまことの身体をを押しのけると、彼に歩み寄った。 
 パシンっと渇いた音が屋上に響き渡る。 
「え?」
「え?ちょ、亜美…ちゃん?」 
 シーンと静まり返る空気。
 叩かれた方も、そしてまこちゃんも呆然とわたしを見つめていた。 
「まこちゃんのことよく知りもしないで、まこちゃんの悪口を言うことは、わたしが許さないわ!」
「亜美ちゃん?」
「このやろーーーーっ」
 わたしに叩かれたことをやっと認識できたのか、認識した途端我を忘れてわたしにつかみかかろうとする腕を、まことが寸前で掴む。
「もうやめろよ、あんたは亜美ちゃんには勝てないさ。あたしにも・・・な」 
 ギロリっと睨みつけると
「くっ・・・ちっ」  
 舌打ちをすると腕を振り解き、彼は背を向けた。  
「はぁーーーーっ」
 緊張の糸が切れたのか、わたしはへたりっとその場にしゃがみこんでしまった。 
「あ、亜美ちゃん?大丈夫かい?」
 慌てて支えてくれるまことの腕。
「ん」
 わたしはジーっと自分の手の平を見つめる。
 この手が初めて人を叩いた手。
 叩いた方も痛いんだ。
「痛いかい?」  
 コクンとうなづくと
「初めてなの」
「うん?」 
「人、叩いたの、わたしどうしても許せなくて。まこちゃんこんなに優しいのにまこちゃんのことよく知りもしないで悪口言うなんて、どうしても許せなくって。頭の中真っ白になっちゃって・・・気づいたら叩いちゃってたの」  
「ありがとね、亜美ちゃん」  
「ん?」  
「守ってくれて」
 ニッコリ微笑むまことの笑顔に、思わず涙が溢れ出す。
「まこちゃんがケンカしちゃった理由が少しわかった気がする。ううん、やっぱりイケナイことだとは思うんだけど、でもね・・・」  
 ふわり  
 もうそれ以上言葉は必要ないよっと言うように優しく抱きしめてくれる。  
「あたしも同じだったよ」  
「まこちゃん」
「ありがとう」
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Date:2008/08/28
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