Planetarium SS置き場

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□ まこ×亜美 □

嫁の家に挨拶に行くオトコの心境のまこちゃん(笑)
 
 キキキィィィーーーーーっ 
 
「危ない!!!」  
「まこちゃん???」  
 耳をつんざくようなイヤな音が鳴り響いたかと思うと、隣を歩いていたはずのまこちゃんの姿が消えた。  
 反射的に音のした方を振り返ると、彼女が急ブレーキをかけて突っ込んで来る車の前に飛び出していた。  
「まこちゃん!!!」  
「うわぁっ」 
「きゃぁぁぁっ」 
 
 ――悲鳴。 
 
 飛び出したまこちゃんを避けそこなった車が、ガードレールをガリガリとイヤな音を立ててこすった。 
「まこちゃん!」  
 わたしは事故のせいで通行がストップしてしまった車道を真っ直ぐ横切って、彼女のそばに駆け寄る。  
 状況が全く把握できてないままだ。 
 
 ――ナゼ?どうしてこんなことに?何が起こったの?―― 

 疑問符がぐるぐると頭を駆け巡る。 
 まこちゃんの体を抱き起こそうとするが、グッタリと力の抜けた体は想像以上に重かった。 
 スルっ――わたしの脇をまこちゃんの腕の中から飛び出してきた物体が通りぬける。 
「きゃっ!子・・・猫?」 
 にゃぁおーんと何事もなかったかのようにノンキに鳴く子猫が、気を失っているまこちゃん頬をぺろぺろと舐める。 
「ん」 
「まこちゃん?大丈夫?まこちゃん!」 
「あ・・・みちゃ、子猫・・・は?」 
「大丈夫よ、無事だから」 
「そか、よか・・・」 
「まこちゃん!しっかりしてまこちゃん!」 
 クタリとそれだけ言って再び気を失う彼女の名を呼ぶ、わたしの叫びがこだました。  
 ピーポーピーポーと誰かが通報してくれたのか、救急車のサイレンが聞こえはじめた。 
 
  ☆ 
 
「まこちゃん?」 
 カチャリとあたしが入院させられた部屋のドアが遠慮がちに開く。 
「あ、亜美ちゃん!」 
 ぱぁっと顔を輝かせて亜美ちゃんを迎える。 
 しっかしこの足!あたしの足はシッカリとギプスで固定されて、吊られていた。 
 救急車で運ばれたあたしに下された診断は、『右足骨折』だった。 
「退屈だよぉぉ~もう大丈夫だから退院する!」 
「あのね!無茶言わないの!丸一日寝てたんだからね!頭打ってるかもしれないから検査しなきゃいけないのよ?」 
「大丈夫だってば!ほらっピンピンしてる!」 
 ピシっ 
 ガッツポーズをして見せたあたしの額に亜美ちゃんの手の平が飛んできた。 
「イテっ亜美ちゃぁぁぁん?」 
「とにかくっ!ちょっと大人しくしてて!」 
「・・・はい」 
 亜美ちゃん怒らせたら怖いもんなぁ。 
 あたしはまるでお母さんに叱られた子供のような気分だよ。 
「心配・・・したんだからね」 
 眉間にシワを寄せてあたしの顔をのぞき込む。 
「はい、ゴメンナサイ」 
 更に縮こまるあたしの肩。 
「ホントに心配したんだからね!」 
 メっと子供を戒めるように眉間にシワを寄せて亜美ちゃんは見つめる。 
「ん、ゴメン」 
 更に更に小さくなる肩。 
 そんなあたしの額をちょんっと人差し指で亜美ちゃんがつつくと 
「ちょっとわたし出かけてくるから、まこちゃんは大人しくしてること。ママが後で様子見に来るって言ってたから」 
「亜美ちゃんのママが勤める病院ここなんだ?」 
 自分が運ばれた病院がドコかも、そういえばあたし知らなかったや。 
「ん」 
「そか、わかった」 
「もうすぐレイちゃんたちも来るって」 
「げ?」 
「げ?どうして?」 
「や、何言われるかわかんないよなぁ~特に美奈子ちゃんには」 
 げんなりと自分の吊られた右足を恨めしそうに睨む。 
 この状態じゃ何されても抵抗できないのは明らかだ。 
 美奈子ちゃんののことだ、何もしないワケがない! 
「ふふっ、まぁとにかくちょっと行ってくるから」 
「わかった、いってらっしゃい」  
 諦めたあたしはガックリと肩を落として、それでも素直に亜美ちゃんの背中を見送った。 
  ☆ 
 
「やっほーーーっまっこちゃん!」 
「来たっ」 
 甲高い声で元気よく先頭きって入ってきたのは、やっぱり美奈子ちゃんだった。 
 個室だから許されるものを。 
「まこちゃん大丈夫ぅ?」 
 うさぎちゃんが心配そうにあたしの顔を覗き込む。 
 こういう可愛げが、美奈子ちゃんには欠けてるんだよなぁ 
「あぁ、うん、ただの骨折だから大丈夫だよ、早く帰りたいんだけどねぇ」 
 なでなでとあたしはうさぎちゃんの頭をなでる。 
「検査とかあるんでしょう?」 
 レイちゃんの問いにコクンとうなづきながら、 
「っっっって美奈子ちゃん!何やってんだよ!」 
 カキカキと早速ギプスにマッキーで落書きを始める美奈子ちゃんにツッコんだ。 
「励ましの寄せ書きよ」 
 と、あたしのツッコミをサクっと無視すると、平然と落書きを続ける。 
「まぁたわけのわかんないことを!そんなもんわざわざ持って来たのか?」 
「そうよぉ~へへっはいレイちゃん」 
 次々と回されるマジック。 
 次々と増えて行く寄せ書き。 
 白いギプスが黒く染まるのもこりゃ時間の問題だな。 
「ところでさ」 
 とすっかり諦めたあたしに、美奈子ちゃんに付き合って落書きを終えたレイちゃんが問う。 
「何?」 
「亜美ちゃんのママが勤める病院なんでしょ?ここ」 
「ん、そうみたいだね」 
「へっえええええっ、んじゃ初対面するの?」 
 面白そうな話題をキャッチするやいなや、落書きの手を止めた美奈子ちゃんが加わる。 
「そうだね、あたし写真でしか見たことないから」 
「まこちゃん!!!チャンスよ!」 
「な、何が?」 
 ギュっと手を握られたかと思うと、キラキラと瞳を輝かせた美奈子ちゃんが次の瞬間、とんでもないことを言い出した。 
「アイサツよアイサツ!お嬢さんを下さいとかなんとか!」 
「ば、ば、ば、ばか!!!」 
 あたしの全身の血液が、瞬間沸騰した。 
 隣ではぁ~っとため息をつくレイちゃんは彼女の襟首を掴むと、あたしから引き剥がしてくれる。 
「ねぇ?まこちゃん亜美ちゃんが欲しいの?」 
 キョトンっと落書きの手を止めたうさぎちゃんが、あたしたち3人を見上げてとんでもない発言をする。 
「そうだよねぇ?あたしらには切実な問題だもんねぇ~今度の期末テスト」 
 うんうんと自分の成績が亜美の家庭教師によって何とか落第をまぬがれている自分を思い出してか一人うなづく。 
「ま、ま、まぁね!ちょっと学校行けないしね!あ、あははーーーっ」 
 何も知らないうさぎちゃんを渇いた笑いでムリヤリごまかすと、あたしは見えないところで美奈子ちゃんに、ガスっとボディブローを入れた。 
「――っつ」 
 体をくの字に曲げた美奈子ちゃんを立たすと
「まぁとにかく、早く退院できるといいわね、お大事に」 
 うまく話をまとめたのはレイちゃんだった。 
 レイちゃんがいてくれてよかったよ、全く。 
「うん、がんばるよ」 
「じゃね」 
 と、2人を引きずるようにして病室を後にした。 
 ――全く何言い出すんだよ、美奈子ちゃんは…。 
 
  ☆ 
 
「木野さん?どう調子は?」 
 ドッキン! 
  病室に入って来たのは、どう見ても亜美ちゃんのママだよな!としか見えない白衣を着た先生だった。 
 びっじーんっ!亜美ちゃんも大人になったらこんなカンジになるのかなぁ? 
 ほわーんと見惚れていると、再び名前を呼ばれる。 
「木野さん?」 
「あ、はい、すいません」 
「くすっどうして謝るの?」 
「あ、すいません」 
 うぁぁぁあたしのバカバカバカ! 
 でも緊張するっ!美人女医さんってだけでも緊張するのに、亜美ちゃんのママだと思うと益々緊張する! 
 亜美ちゃぁぁぁん早く帰ってきてぇぇぇ! 
「ね、木野さん?」 
「あ、はい」 
「いつも亜美と仲良くしてくれてありがとう」 
「え?」 
 ニッコリと亜美ちゃんとソックリな笑い方をすると、ベッドの横にある、さっきまで美奈子ちゃんが座っていた丸イスに座る。 
「わたしはこんな仕事してるし、家の事情が事情だからあの子にはいつも寂しい思いばかりさせてきたの。でもね、最近のあの子は何だかイキイキしてるのよね。で、そんなあの子の口から一番多く名前が出るのが・・・」 
「あたし・・・ですか?」 
 コクンと相づちを打つように黙ってうなづく。 
「すごく楽しそうなの、よく泊まりに来てくれたり、行かせてもらったりしてるみたいね。ごめんね。迷惑じゃないかしら?」 
「と、とんでもない!・・・です。あたし一人暮しだからホント亜美ちゃんが来てくれるとありがたいんです。」 
「そう?それならよかったわ」 
「はい!」 
 ニコリと微笑むとじゃぁまた来るから、と告げて亜美ちゃんのママは次の患者の所へと回っていった。 
 
  ☆ 
 
 夜遅くになって、亜美ちゃんは病室に戻って来た。 
「おかえり、遅かったね」 
「ん、どう?まこちゃん検査終わった?」 
 亜美ちゃんは真っ黒に染まったギプスの惨状を目にすると目を丸くした。 
 何があったのかがすぐに想像できたのか、くすっと微笑む。 
「うん、まぁね。明日の結果待ちだよ…あ、それ、美奈子ちゃんの仕業」 
「ん」 
「ホントとんでもないよ!全くさぁ」 
 昼間の美奈子ちゃんのセリフを思い出して、あたしはぶつぶつ文句を言う。 
 そんなあたしの手を、亜美ちゃんの手がそっと優しく包み込んだ。 
「よかった、まこちゃんの手、あったかい・・・ちゃんと生きてる」 
「ははっそりゃ生きてるよ」 
「目を覚まさない時はホントにどうしようかと思ったのよ」 
「ごめん、ホントにごめん」 
 イスに座る亜美ちゃんの頭を、あたしは掻き抱く。 
 改めて、すごく反省させられた。 
 好きな子をこんなに不安にさせてたこと。 
 ぽすっと亜美ちゃんの頭があたしの胸におさまると、うんっとうなづく。 
 だが、次の瞬間聞こえてきたのは、スースーっという亜美の寝息だった。 
「嘘?亜美ちゃぁぁん?」 
「昨日・・・寝てない・・・の」 
「おーい、あーみちゃぁん。そんなところで寝ちゃったら風邪ひくよぉ~」 
「ん、いい・・・そしたら一緒に・・・入院する・・・」 
「わけわかんないよぉっ」 
 足が動かないので、ただジタバタするしか出来ないあたしの呼びかけに、亜美ちゃんがかすかに反応する。 
「亜美ちゃん?」 
 次の瞬間の亜美ちゃんの行動に、あたしの目が点になった。 
 ガサゴソとあたしのベッドにもぐり込む亜美ちゃん。 
「へ?あ、ちょっと亜美ちゃん?こ、こ、こんなところで?」 
 突然の行動にすっかり動揺したあたしの頬が紅潮する。 
「おやすみ」 
 そんなあたしをよそに、隣で再び聞こえる亜美ちゃんの寝息。 
「は、はは。お、おやすみ亜美ちゃん」 
 ちゅっと亜美ちゃんの頬にキスを送ると、あたしは何度も何度も彼女の髪をなでた。 
 ――心配かけてごめんね、亜美ちゃん。 
 
  ☆ 
 
 散々眠っていたせいか眠りが浅く、朝がた見まわりに来た人の気配で目を覚ます。 
「あら?亜美?こんなところにいたのね?」 
 亜美ちゃんのママだ。 
「あ、すいません」 
「起こしちゃった?ごめんね」 
「いえ、なんだか寝つけなくって。でも亜美ちゃんはあたしのせいで徹夜だったみたいでイスで寝そうになってたから、風邪ひくよ?って言ったら・・・」 
 隣でスヤスヤと眠る亜美ちゃんを見下ろす。 
「この子のこんな安心しきった寝顔、久しぶりに見たかも」 
 亜美ちゃんの頭を真っ白でキレイな手がそっとなでる。 
 ――優しそうな手。 
「そう…ですか?」 
「ん、それにこの子の取り乱した姿も・・・ね」 
「え?」 
「あなたと一緒に救急車に乗ってきたのにも驚いたけれど、その時の亜美の取り乱し方は…初めて見たわ」 
「す、すいません」 
「ううん、この子ね、私達が離婚するって言ったときも、何も言わず従ったわ。最後まで黙ってた。言いたいこともたくさんあったと思うけれど、ホントにこの子には我慢ばかりさせてるわ」 
「そうなんですか?」 
 コクンとうなづくと 
「そんな亜美が、あんなに取り乱していたのに驚いたの」 
「そっか、悪いことしちゃったな」 
 ぽりぽりと頬を掻くと、再び亜美ちゃんを心配させたんだなぁと反省せざるをえない。 
 ふっと亜美ちゃんのママは亜美ちゃんの寝顔を覗く。 
「ねぇ?この子寝起き悪いでしょ?」 
「え?あ、はい」 
 突然フられた話題に、思わずコクリとうなづいてしまった。 
 だってそれは事実なんだもん。 
「しっかりしてるんだけど、なぜか昔っから寝起きだけは良くないのよね。眠りが浅いのか、いつもぼんやりしてるから何話してるのかよくわからないのよ」 
 ふふっと思い出し笑いをすると、そっと亜美ちゃんの頭をなでる。 
「そうなんですよ!初めて見た時はホンといつもの亜美ちゃんからは想像できなかったです」 
 ははっと、あたしも亜美ちゃんの寝起きを思い出して笑う。 
「出会った頃の亜美ちゃんは、いつも眉間にシワ寄せて歩いてて、何でもすぐ自分一人で抱え込んじゃって、そんなのダメだよって言ってもそれでも中々治らなかったんですよ」 
「そう、やっぱり私達のせいかしらね?」 
 あたしはううんっと首を振ってそれを否定する。 
「亜美ちゃん見てるとすごく愛されて育ってきたのがよくわかるんです。亜美ちゃんはお母さんのこともお父さんのこともすごく尊敬してるし、大好きなんですよね。ただ自分がどれだけ歩み寄っても、周りが離れて行くんじゃないかって怖いみたいです。誰も離れて行ったりしないのに…みんな亜美ちゃんのこと大好きなのに・・・」 
「この子には言葉が必要だったのねきっと、愛してるって言葉が」 
「はい」 
 ふと思い出したように亜美ちゃんのママがあたしに向き直って尋ねる。 
「そういえば木野さんはご両親を亡くしてるって聞いたけど」 
「あ、はい、子供の頃飛行機事故で」 
 亜美ちゃんのママは、そっとあたしの頭や頬をその優しい手でなでてくれると
「そう・・・でもね木野さん、あなたも確かに短い間だったかもしれないけれど、とても愛されて育ってきたのね。話してみてやっぱりそう感じたわ。亜美が心を開くのもわかる気がするわ。この子人を見る目はあるから、ていうのは親の欲目かしら?」 
 ぶんぶん!とあたしは思いっきり首を振る。 
「ありがとうございます!すごく・・・すごく嬉しいです」 
 両親のいない寂しさや悲しさにはもう慣れた!と強がっては見るものの、あたしだってやっぱり寂しい時はある。 
 こんな風に言われると弱い。 
 瞳に浮かぶ涙が視界を妨げる。 
「泣かせちゃってごめんね、私はダメな親だけど…木野さんがいてくれてよかった、ありがとう」 
 亜美ちゃんのママの優しい手の感触に、あたしはただただぶんぶんと黙って首をふった。
 その時 
「う、うーん・・・なぁに?まこちゃん…起きたのぉ?」 
 ぎゅっと亜美ちゃんがあたしのパジャマの裾を握る。 
 いつものクセだった。 
 あたしたちはキョトンっと顔を見合わせると、くすっと笑う。 
「こぉら亜ぁ美!いつまでこんなところで寝てるの?」 
 ツンっと亜美ちゃんの頬をつつく。 
「ん・・・もう少し」 
 ―――――!! 
 何十秒にも思えた、一瞬の沈黙、そして…。 
「えぇぇぇ???マ、マ、ママ???」 
 ガバっと体を起こすと、キョロキョロと見まわす。 
 一体"ここはどこ?わたしは誰?"な状態のようだ。 
『あはははっ』 
 そんな亜美ちゃんを見て、笑っちゃ悪いとは思いつつもついあたしたちは笑い声をあげてしまった。 
 亜美ちゃんは呆然と、焦点の定まらない目であたしたちを見比べる。 
「ねぇ亜美?」 
「あ、は、はい!」 
 寝ぼけながらもぴんっと背筋を伸ばす。 
 こういうところ・・・らしいよなぁ。 
「愛してるわ、亜美」 
「え?」 
「あたしも大好きだよ、亜美ちゃん」 
「えぇぇぇっ??」 
 あたしたちは2人して亜美ちゃんに向かって笑顔を送った。 
 亜美ちゃんの顔がみるみる熟れたりんごのように赤くなっていく。 
「な、な、な、何?2人とも?え?」 
 ただひたすら呆然と2人を交互に見やる。 
 にこにこにこにこ 
 亜美ちゃんのそんな様子が、あたしたちは面白くてかわいくってしょうがなかった。 
「か、か、顔洗ってきます」 
 慌ててスリッパを履くと、亜美ちゃんはバタバタバタっと病室を飛び出した。 
 スリッパの左右の色が違うことにも気付いてないみたいだな、こりゃ。 
「うっわぁぁぁ、亜美ちゃんすっごい照れてる」 
「くすくす、寝起きで言われたから混乱してるわあの子。あ、ごめんね長居して、あの子が落ち着いたら下に来るように言ってくれないかしら?」
「あ、は、はいわかりました」 
 ――くすくす 
 思い出し笑いをするママに、あたしもつられて笑う。 
「楽しかったわ、またね」 
「はい」 
 
  ☆ 
 
 亜美ちゃんのママが去ったあとしばらくして、ゆっくり病室のドアが開くと亜美ちゃんがちょこんっと覗き込む。 
「あーみちゃん♪おいで」 
 顔を真っ赤にしたまま、俯き気味に入ってくる。 
「ほら、おいで」 
 キョロキョロと誰もいないことを確認すると、亜美ちゃんはトコトコトコっと近寄ってくる。 
 とすんっとイスに腰かけると、そのままぽすっとあたしのベッドにつっぷする。 
「どうしたの?」 
「わけわかんない、ママも・・・まこちゃんも」 
「何でさ?」 
 くすくすっとあたしはわかっていながらもあえて尋ねる。 
「だって2人ともあんなこと・・・」
「ホントのことじゃん、亜美ちゃんのママ、いいお母さんだね」 
「え?うん」 
 一度は顔を上げた亜美ちゃんだったが、再びぽすんっと顔を伏せる。 
「すごく亜美ちゃんのこと大事にしてるし、愛してるよ」 
 あたしはぽんぽんっと亜美ちゃんの頭をなでる。 
「そう・・・かな?」 
「うん、あたしもさ、亜美ちゃんのこと愛してるよ、亜美ちゃんのそばにいる。心配かけてごめんね」 
 ぶんぶんっと布団の上で頭をふる。 
 亜美ちゃんは黙って目を閉じる。 
 あたしの手がそんなに気持ちいいのかな? 
「亜美ちゃん」 
 あたしはそっと亜美ちゃんの顎を持ち上げると 
「ごめん、届かないんだ、こっち寄ってよ」 
 そっと亜美ちゃんはあたしの要望に答えるように立ち上がる。 
 あたしの目の前に、亜美ちゃんの形のいい胸元が迫る。 
 亜美ちゃんを見上げる形になると、そっと抱き寄せて唇に触れる。 
「好きだよ、大好きだよ亜美ちゃん」 
「ん」 
 
  ☆ 
 
「ねぇまこちゃん?ママと何話してたの?」 
 わたしは寝ていた間に交わされた2人の会話が気になって、おそるおそる尋ねてみた。 
「ん?へへぇ~ナイショ」 
「え?ヤダっずるい!」 
「なぁにが?へへっ」 
 たまに見せる、まこちゃんのイジワルな笑顔。 
「だって」 
「亜美ちゃんのことかわいいって、自慢の娘だって。寂しい想いさせてすまないって。いいね、ちゃんと絆つながってる」 
「わかってる、大丈夫だもん・・・でもすごく嬉しい」 
 それは今のわたしの正直な気持ち。 
「そか」 
 キュっとわたしを抱きしめると、まこちゃんはよしよしっと背中を優しくなでてくれる。
「まこちゃぁん」 
 その優しい手に、わたしの我慢もとうとう限界を超えた。 
 ふっと唇から嗚咽が洩れる。 
「どした?」 
「大好き・・・まこちゃんも・・・ママも」 
「ありがとう」 
 長い長い時間、わたしたちは貪るようにお互いの唇を求め合った。 
「あ、そうだ、お母さんが下に来てだって」 
「ん、わかった検査のことかしら?行ってくる」 
 名残惜しそうにわたしを見つめるまこちゃんに、もう一度ちゅっと触れるだけのキスを送る。 
「行ってくる」 
 くるりと踵を返す。 
「いってらっしゃい」 
 
  ☆ 
 
 しばらくして戻った亜美の言葉に、まことは狂喜乱舞した。 
「異常ナシ、松葉杖持って退院、自宅療養OK!」 
「よっしゃーーー!これで思う存分亜美ちゃんとイチャイチャできる~!」 
「まこちゃんのバカぁっっっ」  
 こうしてまことの短い入院生活は終わりを遂げた。 
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Date:2008/08/28
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