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□ まこ×亜美 □

浴衣と彼女

花火大会前の二人



 
「花火大会行こうよ!」 
 突然の彼女からの誘いにわたしは首をかしげる。 
「いつ?」 
「今晩!ほら!浴衣縫ったんだ♪亜美ちゃんのもあるよ」 
「え?」 
 そういえば花火大会に衛さんと行くんだってうさぎちゃんが騒いでたわね、今晩だったのね。 
 それでこの大きな紙袋を両手に下げている理由が理解できたわ。 
 彼女がゴソゴソと紙袋から取り出したのは、緑地の浴衣に紅の帯と水色地の浴衣に赤の帯だった。 
「これ、まこちゃんが?」 
「そだよー!ね?だから花火行こう?今日あったよね?」 
「ん」 
「やったーーーー!あたし亜美ちゃんと浴衣着て散歩したかったんだよね!」 
 嬉々として浴衣を広げる彼女がかわいらしくて…思わずくすりと笑い声を立ててしまった。 
「何?」 
「ううん、ごめんね、ねぇまこちゃん?」 
「ん?」 
「ありがと、これ、すごく嬉しいわ。こんなの縫っちゃうなんてやっぱりまこちゃんってスゴイわ」 
 わたしは浴衣を手に取ってそっと広げると、素直な感想を述べた。 
 家庭科全般得意なのは知っていたけれど、ここまで見事に縫えるとは正直驚きだった。 
「これ、本当にもらっちゃっていいの?」 
「いいよ!そのために縫ったんだもん、それにそっちはあたしにはサイズ合わないよ。あ、そうそう亜美ちゃんのサイズあたしの勘ではこんなもんだと思うってカンジで作っちゃったんだけど、合ってる自信は一応あるんだよね、着てみてよ」 
 彼女はわたしを立たすと、着ている服を脱ぐように促す。 
「え?ここで?わたし自分で出来るから・・・」 
 彼女の大胆な発言にボムっと頬が紅潮すると、つい出来るわけのないことを口走ってしまう。 
「いーから!ほら早く!」 
 わたしの言葉に聞く耳を持たずに早くっとせかされる。 
「でも・・・」 
「手伝おっか?」 
 こ、こ、こんな明るいうちから何言うの?まこちゃん! 
 彼女の言葉にわたしの脳内をよからぬ想像がダーっと駆け巡り、急激に体温が上がり出した。 
 それでも彼女はキョトンとわたしを見つめている。 
 自分が何を言ったのか全然意識してないみたい、まこちゃんったら。 
 わたしは諦めてゆっくりとシャツのボタンを外し、スカートを下ろす。 
「よし!んじゃこれ袖通してね」 
 わたしこんなに緊張してるのに、まこちゃんったら平気なのかしら? 
 拍子抜けした体は、急速に熱を冷ましていった。 
 彼女の頭には、今は――わたしに浴衣を着せる――ということしか頭にないみたい。 
 ふぅっとため息をついたその時 
「あいかわらず亜美ちゃん細っっ!ちゃんと食べてる?」 
 彼女が浴衣の前を合わせながら、わたしを見上げて問う。 
「え?えぇあ、でも最近少し食欲が落ちてて・・・」  
「ダメだよぉちゃんと食べなきゃ夏バテしちゃうからね!あたしが栄養あるもの作ってあげるからちゃんと食べな」 
「ん」 
「よし!大丈夫だね!」 
 自分の作った浴衣の出来に、彼女はうんうんと満足そうにうなづく。 
「んじゃ帯巻くからね~あ、亜美ちゃんって着付けできる?」 
 帯をしっかりと締めながら彼女が問う。 
「ん、一応」 
「そか、ならあたしの頼むね!」 
「え?えぇ」 
「よっしこれで終わりっと」 
 最後の仕上げを終えるとポンっとお腹のあたりを軽く叩くと立ちあがった彼女は、一歩下がってわたしの体を上から下まで何度も何度も見直す。 
「あの、まこちゃん?」 
 あんまり見られたら照れるんだけど。 
 冷めていた熱が再び上昇を始める。 
「うーん!最高!あたしってばスゴイ!ホメてあげたいよ自分を!」 
 と、すでに自分で自分を賞賛していた。 
 そんな彼女がかわいくって微笑みながら見つめていると、突如わたしの体がぐらりと揺れた。 
 自分の状況が一瞬つかめなかったが、理解した時はすでにかわたしの体は彼女の腕の中にすっぽりと収まっていた。 
 そ、そんな力一杯抱きしめられたらせっかくの浴衣がっ!まこちゃん!嬉しいけど。 
「ま、ま、まこちゃん?」 
「すっごい似合ってる!亜美ちゃんかわいい!えへへへへーーーーーっ」 
 すりすりと頬擦りをされる。 
 恥ずかしさのあまり、わたしは彼女の頬擦りをかいくぐるように避け、胸に顔を埋めた。
「まこちゃん、ありがとう」 
 わたしはそっと踵を浮かすと、彼女の頬にチュっとキスをする。 
「わっ、あ、亜美ちゃん?へへっ」 
 何が起こったのか理解した瞬間、彼女の頬がへへーっと緩みきってしまう。 
「あ、あのっまこちゃんも着せてあげるわ」 
 わたしは緑の浴衣を手に取ると、彼女がしてくれたのと同じように着付けをはじめた。 
 まこちゃんって相変わらずスタイルいいわ。 
 背が高いのなんてそんなに気にしなくていいのにね。
 わたしに言わせたらそういうところもステキなんだけどな。 
 背は高いし、胸も・・・高校生にしてはあるわよね。 
 腰も細いし、足も長いし・・・見惚れちゃうわ。 
 こんな人がわたしの大事な人・・・なのよね。 
 まこちゃんは今まで体が大きなことで男の人にふられたんだって言ってたけど…そんなの絶対おかしいわ! 
 今までにまこちゃんのことをふった男の人たちは、本当のまこちゃんの良さをきっとわからなかったのね。 
 わたしはそんなことを漠然と考えながら彼女に浴衣を着せていく。 
「ホントにピッタリね」 
「そりゃそうだよ、自分のだもん」 
 あははと笑い声をあげるとわたしを見下ろす。 
 ほらっまこちゃんの笑顔、こんなにかわいいのにっ。 
 わたしの体がかぁっと熱を持ち始めると、視線が彼女の笑顔に釘づけになってしまった。
「おーーーい、亜美ちゃん?」 
 一点凝視のわたしの意識の有無を確かめるように、ひらひら~とわたしの目の前で手の平を振る。 
「え?あ、ご、ごめんなさい、お、帯締めるね」 
「ん、うんお願い」 
「まこちゃん?」 
「何だい?」 
「まこちゃんが、ううん、その・・・まこちゃんのそばにいさせてね」 
「は?」 
「あの・・・ね、怒られるかもしれないけど、わたしまこちゃんが今まで男の子にふられてくれてよかったなって思っちゃって・・・ごめんね。でもそのおかげで今、わたしがまこちゃんのそばにいられるから・・・でもねまこちゃんのこと体が大きいからとか、ケンカばっかりしてるとか、ホントの理由も知らないでそんなこと言う人だったらそんな人、まこちゃんのためにならないと思うから・・・ごめんね、本当にごめんなさい」 
 最後の方の言葉がどんどんフェイドアウトしていく。 
 もうまこちゃんの顔、まともに見られないわ。 
 どうしよう、帯途中なのに。 
「へへ、ありがとね亜美ちゃん」 
 ふわりと大きな手の平がわたしの頭を優しくなでると、頬に舞い降りる柔らかな唇。 
「え?」 
「ちょっとびっくりしちゃった」 
「ご、ごめんなさい」 
「いや、そうなんだよなぁ今までの男どもは一体あたしの何見てたんだろうなぁ?」 
「・・・」 
「亜美ちゃんはさ、あたしの全部受け入れてくれてるじゃん?わかってくれた上でその・・・あたしのこと好きになってくれたんだよね?」 
 コクリと無言でうなづく。 
 それはまぎれもない事実だからだ。 
「それがすごく嬉しいよ、だって無理しなくていいんだもん。素の自分でいられるしね」 
「まこちゃん」 
「謝る必要なんてないよ、あたしだって同じ気持ちだからね。あたしは亜美ちゃんが好きだよ、大好きだ」 
 ニコっと歯を見せて笑う彼女が眩しい。 
 この人を好きになってよかった。 
 心底そう思う。 
「あの・・・えっと、あ、つ、続きやらなきゃ、帯締めるわね」 
「あはは」 
 締めやすくするために両手をバンザイすると、くすくす笑う。 
「亜美ちゃんってば照れちゃって」 
「まこちゃんの・・・ばか」 
 わたしも大好きっと聞こえないくらい小さな声で呟いた。 
 
  ☆ 

「そういえばまこちゃん?わたしのサイズよくこんなにピッタリ作れたのね?どうして?」
「そりゃぁその・・・ねぇ?こぉんなカンジで」  
 言うなり彼女はわたしの体をぐいっと抱き寄せると、ぎゅうっと抱きしめた。  
「ちょ、ま、まこちゃん???」  
「計ってみた」 
 悪びれもせず言い切る彼女に、思わずわたしも笑い声を上げてしまったわ。 
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Date:2008/08/28
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