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□ まこ×亜美 □

いいこと

まだ付き合う前の話。 
出会って間もないってほどでもないけど、そこまで踏み込めてない頃の話。 





「まこちゃんまこちゃんまこちゃんまこちゃんまこちゃん!!!」 
 そう何度も連呼しなくても・・・。 
「何だよ、うさぎちゃん?」 
 あたしは振り返ると、廊下をバタバタと駆けて来るおだんご頭の女の子を見下ろした。 
 少し腰を曲げて目線を調節すると、うさぎちゃんが興奮気味に瞳をキラキラさせて手を降りまわしている。 
「聞いた?聞いた?」 
「何を?あたし今来たばっかなんだけど?」 
「亜美ちゃんったらねぇ・・・んぐっむーーっ」 
 最後は言葉にならなかった。 
「亜美ちゃん?」 
 何時の間にいたのか、後からその『彼女』がうさぎちゃんの口を小さな両手で一生懸命塞いでいる。 
「ふんぐーー!んんっ」 
 うさぎちゃんの顔が、みるみる息苦しさで真っ赤になる。 
「亜美ちゃん、亜美ちゃん!それヤバイって」 
 あたしはあわてて彼女の手をうさぎちゃんからひきはがす。 
「ぷっはぁぁぁぁっ!亜美ちゃんヒドイよぉ」 
「ヒドイのはうさぎちゃんでしょう?」 
 ナゼか彼女の顔も、酸欠でもないのに紅潮していた。 
「えーーー?だってだってぇ」 
 ――は、話が見えないんですけど??? 
「あの~さ、何なんだよさっきから?」 
 あたしの下でどんどん勝手に進行している話について行けずふてくされた。 
「あのねあのね!亜美ちゃんがね!」 
 うさぎちゃんが彼女の手を振り解いて再びあたしに詰め寄る。 
「うさぎちゃん!」 
「いいじゃん、いいことなんだからさ!」 
「いいこと?」 
「亜美ちゃんたらね、男の子にラブレターもらったんだよ?しかも結構カッコイイ子」 
「ラブレター?」 
 うさぎちゃんから聞かされた言葉は、確かに「いいこと」かもしれない。 
 彼女は結構・・・や、かなりカワイイ部類に入ると同じ女から見てもそう思えちゃうんだけど、そういえばナゼか今までそんな浮いた話聞いたことが無かったよな。 
 って言ってもまだ出会ってそれほど長くないからあたしが知らないだけかもしんないけどさ。 
「ラ、ラブレターだなんて!」 
 カァーーーっと顔を熟れたトマト並に真っ赤に染めて彼女が俯く。 
「へぇ?よかったじゃん、うらやましいねぇ~亜美ちゃん、で?どんな子?」 
 ホントにあたしはその時はそう思ったから、そう言っただけなんだ。 
 他に何の意図もなかったんだよね。 
「生徒会の人だよ!まこちゃん」 
 代わりにうさぎちゃんが答える・・・って何でうさぎちゃんが知ってるんだろう? 
「へぇ?すごいじゃん」 
 彼女に視線を戻す。 
「そんなこと・・・」 
 照れくさそうに、そして少し寂しそうに微笑んでいる。 
 あたしの心臓がドクンと1つ、大きく跳ねる。 
「あ痛っ・・・あれ?」  
「へ?どうしたの?まこちゃん」  
 制服の胸の部分をキュっと握っていると、うさぎちゃんが不思議そうにのぞき込む。  
「ん?あ、いや何でもないよ」 

 ――今の何だったんだろう? 

 頭の片隅に?が飛び交った。 
 
  ☆ 
 
「まこちゃん」 
 終わりのHRが終わって帰ろうかと荷物をまとめていると、入り口であたしを呼ぶ声が聞こえた。 
「ん?あれ?亜美ちゃんじゃん、どうしたの?」 
「あのね・・・一緒に帰らない?」 
「え?あ、うんいいよ、ちょっと待ってて、あ、うさぎちゃんは?」 
「掃除当番みたい」 
「そっか」 
 あたしはかばんに残りの荷物を放り込むと、人の出入りの邪魔にならないように少し避けて待つ彼女の元に駆け寄った。 
「今日は塾ないの?」 
「ん、あのね・・・ちょっと寄り道してもいいかしら?」 
「あぁ、うんいいよ」 
 彼女の背中に導かれるままについて行くと、どんどんと校内を門とは逆の方向に向かって歩いていく。 
 中庭の入り口まで来たところで、ふと歩みを止める。 
「ちょっとここで待っててもらっていいかしら?」  
 くるりと振り返ると、彼女はおずおずとあたしの顔色をうかがうように見上げる。  
「へ?あぁ、いいよ」  
 あたしはうなづくと、心無しか重い足取りの背中を見送った。 

 ――あぁ、今朝の・・・かな? 

 なんでそんなに憂鬱になるんだろうなぁ。 
 自分が相手のことをどう思ってるかはともかく、誰かに好きになってもらえるのがそんなに憂鬱になることなのかな?  
 あたしは悪いとは思いながらも、少し離れてからそっと彼女の後をついていってしまった。 
 
 ――どんな人だろう? 

 好奇心と言えば言葉は悪いかもしれないけど、でも無性に気になってしまう。  
 彼女に告白した男がどんな男の子なのか。  
 木の影に隠れてそぉっとのぞく。  
 丁度彼女がぺこりと頭を下げていたところだった。 
 
 ――亜美ちゃん? 

 男の子が――うさぎの言った通り、世間一般で言う男前の部類に入るであろう男の子が、彼女の肩に手を置いてしきりにすまなそうに何か言っているが、声はここまでは届かなかった。 
 
 ――ちくん―― 
 
「あ痛っ、またぁ?」 
 かすかな胸の痛みに困惑する。 
 あたしは2人の様子を見ながら、知らず知らず制服の胸元をギュっと握り締めていた。 
 やっとのことで頭を上げた彼女が、もう一度小さく頭を下げるとこちらに向かって歩いてくる。 
 ――見なかったことにしよう 
 あたしは慌てて、みつからないように元の場所に逃げ戻った。 
 
  ☆ 
 
「待たせてごめんね、まこちゃん」 
「ん?あ、もういいのかい?」 
「うん」 
「そっか、じゃ帰ろう」 
 あたしはなんとなく微笑むと、くしゃっと彼女の髪を撫でて歩き出した。 
 今日の授業のこととか、昨日作ったオヤツの話のこととか、そういうたわいもない会話をしながら歩いていたんだけど、やっぱりどこかでお互い今のことを意識してたんだろうな。
 ふっと会話が途切れた。 
「まこちゃん」 
「んーーー?」 
「聞かないの?」 
「聞いて欲しいのかい?」 
「・・・」 
「断ったんだね」 
「うん」 
「どうして・・・って聞いてもいいのかな?」 
 言葉を模索しているのか無言で俯く彼女に、悪いこと聞いちゃったかなっとちょびっとだけ後悔した。 
「わたしは・・・あの人のことよく知らないし・・・」 
 やっとのことで搾り出すようなか細い声で話しはじめる。 
「今はそれどころじゃないから敵もいつ現れるかわからないし、受験も近いし、誰かとつきあうなんてそんな・・・それにわたしなんかのどこがいいのかわからないもの、きっと退屈すると思うわ」
 もしかしたら最後の部分が彼女の本音かもしれないな――でも  
「そんなこと言っちゃ、亜美ちゃんのこと好きになってくれた彼に悪いだろ?敵なんか来てもやっつけちゃったらいいじゃん!うさぎちゃんやレイちゃんだってそうしてるよ!」 
 つい語気が荒くなる。 
 そんな気はなかったんだけど、なんだかちょっとイライラしちゃってたのかな。 
「そりゃさ、亜美ちゃんが彼のこと好きじゃないとか、他に好きな人がいるって言うなら話は別だけどね。今はよく知らなくてもつきあっていくうちに見えてくることもあるんじゃない?」 
 ――あたし何言ってんだろ?彼女が黙り込んじゃったじゃないかぁ。 
「あ、ご、ごめん!亜美ちゃん!説教なんてしちゃって!ホントごめん」 
「ううん、いいの、まこちゃんの言う通りだから・・・」 
 ゆるりと首を振ると、あたしの目を真っ直ぐ見上げる。 
 ――げっっ 
 瞳が涙で潤んでいた。 
 ――うそっ!?泣かせちゃった? 
「でもね・・・やっぱりわたしダメなの、彼じゃ・・・」 
「そっか、うん、じゃぁしょうがないよね」 
 コクン 
 小さくうなづく。 
 これだけ頑なにダメだと言い張るからには、彼女にも何か思うところがあるんだろうな。
 コレ以上あたしは何も言えないよね。 
 ――でも 
「ひとつだけいいかな?亜美ちゃん」 
「えぇ」 
 あたしは腰をかがめて彼女と同じ目線に自分の目線を持って行くと、よしよしと頭をなでた。 
「亜美ちゃんはかわいいよ、同じ女のあたしから見てもそう思う。"あたしなんか"っていう言葉はよくないよ。」 
 彼女の頬が朱色に染まったように見えるのは、夕陽のせいかな。 
「――ありがとう、まこちゃん」 
「うん」 
 
  ☆ 

 この時彼女が彼を断った本当の理由をあたしが知るのは――まだもう少しあとになってからだった 
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Date:2008/08/28
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