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□ まこ×亜美 □

ずっと一緒に

七夕ネタですな



 
「うーーーーんっ」 
「どうかしたの?まこちゃん」 
 ベランダから空を見上げて唸り声をあげるまことに驚いて、亜美は教科書から顔を上げた。 
「や、だってさーもうすぐ七夕なのにこの調子じゃまぁた天気悪そうじゃん?梅雨とはいえねぇ」 
「そうねぇ、でもこの空のずっと上はお天気だから2人はきっと会えるわ」 
 そっとまことの隣に並んで立つと、一緒にどんよりと曇った空を見上げる。 
 今にも泣き出しそうな空だ。 
「織姫と彦星?」 
 亜美を見下ろす。 
「織女と牽牛とも言うわね」 
「亜美ちゃん意外にロマンチストなんだね」 
「意外にはヒドイわ、まこちゃん」 
 ぷくっと小さく膨らませた亜美の頬をちょこんと突っつくと、 
「あはは、ごめんごめん。あたしさぁ」 
 まことはもう一度空を見上げるとぽつりと呟いた。 
「天の川って見たことないんだよなぁ」 
「そうなの?」 
「亜美ちゃんはあるの?」 
「ええ、子供の頃別荘に連れて行ってもらったときにね」 
「べ、べ、べ、別荘???」 
 まことは自分とは全くと言っていいほど縁のない言葉に、思わず目を丸くして動揺する。
「え?あ、ん、父が所有しててね。3人で一緒に行ったことがあったの」 
「へぇ~そうなんだぁいいなぁ~ね、キレイだった?」 
「え?えぇとっても」 
「いいなぁいいなぁ~毎年見たいって思ってるんだけどさ、いっつもこんな天気なんだよな!全くぅぅ~」 
 まことは悔しそうに拳を震わせる。 
「七夕にしか見えないってワケじゃないんだけどね」 
「ん、でもやっぱ七夕に見たいじゃん?」 
「そうね、ね、今年の七夕、行ってみる?」 
「は?どこに?」 
「別荘」 
「亜美ちゃんの?平日だよ?学校は?」 
「それは・・・」 
 思い出したのか、その瞳に一瞬生じる惑い。 
 まことはこれ以上亜美の気が変わらないように、あわててその嬉しい誘いに乗った。 
「あーっオッケー!あたしは全然オッケーなんだよ?でも珍しいね、亜美ちゃんが学校サボろうなんてさ!」 
「まこちゃんと一緒に見たいなぁと思って、天の川」 
「ホントに?すっごい嬉しい!めちゃくちゃ嬉しい!」 
 亜美はそっとかかとを上げると、興奮しているまことを静めるかのように耳元に唇を寄せて囁く。 
  その行為が余計にまことを興奮させるということも知らないで。
「晴れたらいいね」 
 チュっと音を立てて、亜美は頬にキスをする。 
 そして 
「そのかわり、サボった分は後できっちりお勉強だからね、まこちゃん」 
「はうっっ・・・はい」 

 ――天国から地獄。 
 
  ☆ 
 
 ――七夕の日―― 
 
 2人は亜美の別荘にやってきていた。 
「美奈子ちゃんもレイちゃんも怒ってるかなぁ?こーんなステキな別荘に、あたし一人ご招待だなんてさ」 
「黙って来ちゃったものね」 
「2人で学校休んでたら絶対怪しむよなぁ…特に美奈子ちゃん」 
 まことの脳裏に、コレがバレた時の美奈子のキャンキャン吼える顔が浮かぶ。 
 くすくす笑う亜美に、まことの頬が緩む。 
 一瞬でレイや美奈子の顔が、はるかかなたにすっ飛んだ。 
 ――ま、いっかぁ。 
「ね、飾り付けしようよ亜美ちゃん!」 
「ん、お天気になりますようにってお願いしなきゃね」 
「あはは、叶うといいな♪」 
 空は相変わらずどんよりと灰色の雲が広がっていた。 
 
  ☆ 
 
「ねぇハサミ取って、亜美ちゃん」 
「はい、何するの?」 
「すいか」 
「じゃぁわたしは…輪っかつなぎ」 
「ちょうちんも作る」 
「短冊書いた?まこちゃん」 
「あ、まだだよ、最後でいいや」 
「そうね、じゃぁわたしもそうしようかな」 
 会話をしながらも、二人の意識は目の前の折り紙たちに集中していた。 
「でもさぁ、こんな風に飾り付けするのなんて、何年ぶりだろ。小さい頃はよくやったんだけどなぁ」 
 ふと、まことが折り紙を切り貼りしていた手を止めると、天井を見上げて呟いた。
「そうね、前にここに来た時も作ったわ、3人で」 
 父親と母親と3人で来た時のことを思い出したのか、少し寂しげな表情を浮かべると、亜美も手を止めた。 
「ね、亜美ちゃん!」 
 バンっと音を立ててテーブルに手をつくと、勢いよく立ちあがる。 
「え?な、何?まこちゃん」 
「これから毎年2人で飾り付けしようよ!ここに来れなくてもさ、ウチで飾り付けしよう!ね?」
 まことは隣に座って目を丸くする亜美の顔にズイっと迫るとニンっと微笑む。 
「えへへっそれならもう寂しくないだろ?」 
 一瞬キョトンとまことを見上げていた亜美だったが、次の瞬間目を細めて笑む。 
 くすくすっ 
 ――か、かわいいっっっ抱きしめたいっっ!ダメかなぁ・・・。
「そうね、うん、そうしましょう。まこちゃんと一緒だったらわたし全然寂しくないわ」 
「だろ?えへへ」 
 自分の言葉に改めて照れくさくなったのか、まことは頭をぽりぽりと掻きながら席に戻る。 
「ありがとう、まこちゃん」 
 
  ☆ 
 
「笹、バルコニーでいいよね?」 
「うん、そうね」 
 2人は夢中になってたっぷり飾り付けした笹を、わさわさとバルコニーに運ぶ。 
「わぁっ亜美ちゃん亜美ちゃん!」 
「え?」 
「晴れてる!空晴れてるよ!」 
「ホント?あ、ホントだ!まこちゃんのお願いが叶ったのね」 
 何時の間にか薄暗くなりつつある空は、夕陽のせいかキレイな赤紫色のグラデーションに染まっていた。 
「天の川・・・見られそうね」 
「うん!」 
 わくわくした表情でまことは笑む。 
 まことのこの極上の笑顔をこんなに近くで見られるのは特権だな、と思うと亜美も嬉しくて思わず微笑みがこぼれてしまう。 
「ね、ここで空見ながらごはん食べようよ、亜美ちゃん」 
「ん」 
「ちょっと仕上げてくるから待ってて!」 
 ダーーーーっとキッチンに走るまことの後を亜美はゆっくり追う。 
 
  ☆ 
 
「えっへへー、ん、オイシイ!」 
「まーこちゃん♪」 
 まことの服の腰の部分をキュっと掴んだかと思うと、背後からちょこんと顔を覗かせる。
「わっ?どしたの?」 
「ふふふっおいしそう」 
 おねだりしてるのか、それともしたいのか、亜美はまことを上目遣いで見上げる。 
 まことの頭の中は目の前のカレーと同じく、一瞬で沸騰状態に達した。 
 ぷるぷる震える手でカレーのルゥをおたまに少しだけ掬う。 
「はい、あーん」 
「あーん」 
 小さな口に含ませる。 
「おいしい!やっぱりまこちゃんの料理はおいしいわ」 
「そう?やった!じゃ行こうか!」 
「うん」 
 手の離された腰のあたりが妙に寂しく感じたまことだった。 
 
  ☆ 
 
「わぁぁぁぁっ」 
「・・・すごいわね」 
 空を見上げて歓声を上げるまことの横で、亜美はゴクリと息を呑んだ。 
 あまりのスゴさに2人とも声を出すのも忘れていた。 
 まさに天空を流れる川だ。 
 無数の星たちが集まって、真っ暗な空に1つの大きな川を作っていた。 
 どこまでも、どこまでも――。
 こんなにすばらしいものが、織姫と彦星の2人の距離を妨げているのが信じられない。 
「こんなキレイな川が2人を妨げてるなんて、不思議だよね」 
 まことがポツリと呟く。 
 横で目をキラキラさせて空を見上げるまことを、亜美は見上げた。 
 同じことを考えてたんだと思うと、何だか少し嬉しかった。 
「そうよね・・・でもきっと会えたわ」 
  再び空に目を向ける。 
「だよね、亜美ちゃん」 
「ん?」 
「切ないよなぁ~一年にいっぺんなんてヤだよねぇ?」 
「そうね」 
「亜美ちゃん、あたしたちはずっと一緒にいたいね」 
 まことは亜美を見下ろすと、へへっと笑う。 
 亜美の体が火照る。 
 夏の暑さだけが原因ではないだろう。 
 まことの笑顔が愛しい――。 
 鼓動が速くなる――。 
 この笑顔を見ていられるのなら、出来る限りのことはしたい――。 
 見ていられるくらいそばにずっといたい――。 
 ――もしかしたらいつか、お互いの夢のために離れなきゃいけない時が来るかもしれない。けれど、それでもきっと心が離れることはないと信じたい。 
「そうね」 
 ありったけの想いを込めて、それだけ呟くとまことの唇に届くようにかかとを少しだけ上げた。 
「大好きよ、まこちゃん…ありがとう」 
 2人の体温の高さとはうらはらに、お盆の上のカレーはもうとっくに冷めきっていた。 
 
  ☆ 
 
「ところでさ、亜美ちゃんは願い事何て書いたの?」 
「まこちゃんは?」 
「へへっ」 
「ふふっ」 
 2人は顔を見合わせると、同時に唇を開いた。 
「ナイショっ」 
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Date:2008/08/28
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