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□ まこ×亜美 □

かけがえのないもの

亜美ちゃんにとっての水とまこちゃんは同じようなものなんだろうなぁ
安心感与えてくれるといいますか、ね。




「プールに行かない?まこちゃん」 
「プール?またえらく突然だね」 
「うん。今晩ね、母がスポーツジムのプールを借り切ってるの」 
「どうして?」 
「自分が誰にも気兼ねなく泳ぎたいからって、たまに借りてるの。でも今日は都合が悪くなったんだけど、もうキャンセルできないから、好きに使いなさいって」 
「そっか、うん!行こう行こう」 
 確か亜美ちゃんの通うジムって特別会員専用の超高級ジムだったよなぁ。みちるさんも通ってるってくらいだから――相当な。 
 こういう話聞くと、やっぱ住む世界違うのかも――とか思っちゃうよな。 
 
  ☆ 
 
 水着に着替えると、あたしたちは人気のない廊下を進む。 
 ペタペタという二人分の足音だけが冷たく響く。 
「へぇーすっごいな!広いんだね!」 
「ん、こんなところ借り切るなんて、母も贅沢よね」 
「はは、こんなところに通う高校生もあんまりいないって。まぁお母さん、いつも忙しいからたまには一人になりたいんだろ?」 
「ん、そうみたい」 
 あたしたちは軽く体操をすると、そっとプールに足をつける。 
 室温とほとんど変わらない温度の温水なので、この寒い冬に水を冷たいと感じることはなかった。 
 チャポン 
「気持ちいいな、あたし久しぶりだよプールなんて」 
「そうなの?」 
「うん、夏に区民プールに行くくらいかな」 
「そっか」 
 亜美はゆっくりと体を水に沈めたかと思うと、トンっと壁を軽く蹴る。 
 しなやかな体が水の中をスィーっと進む。 
 キレイだ、と思わず見惚れてしまう。 
 すごく生き生きしてて、魚――ううん、人魚みたい。 
「まこちゃん?」 
 いつのまにか50mを行って帰ってきていた亜美ちゃんが、亜美ちゃんに見惚れてボーっとしていたらしいあたしの顔を不思議そうに見上げていた。
 蒼みがかった髪から水が滴り落ちていて、何だか妙に色っぽく見える。 
 ドキドキしちゃうな――ってあたし何考えてんだ! 
「まこちゃん?泳がないの?」 
 再び名を呼ばれて我に返る。 
 亜美ちゃんがあたしの目の前でふるふると手の平を振っている。 
「え?あ、うん、泳ぐ泳ぐ」 
 妄想を見透かされたような気がしてちょっとあわてたあたしは、それをごまかすかのように、チャポンと顔を半分ほど水面に沈める。 
 あたしも夏しか泳がないとはいえ、泳ぐことは結構好きだ。 
 スイっとゆっくり水を掻く。 
 気持ちいいな。 
 ふっと横を見ると、いつのまにか亜美ちゃんがあたしに追いついてきたいた。
 あたしも運動神経はいい方だけど、水泳だけはきっと亜美ちゃんにはかなわないだろうな。なんてったって水の属性を持つ戦士だもんな。 
「ぷはっ」 
 あたしは反対側の壁に到着すると、ぷはぁっと顔を上げた。 
「亜美ちゃん早いねー、さすが」 
「そうかしら?」 
 チャプチャプと壁に手をついて立つ亜美ちゃんの息は全く乱れていない。 
「そういえば亜美ちゃん、前にみちるさんと競争したって言ってたよね?」 
「ん、引き分けだったんだけどね」 
「あたしと競争しようか」 
「まこちゃんと?」 
 亜美ちゃんの目が少し丸く見開かれる。 
「うん!片道でいいからさ、ね?」 
「ん、いいわ、じゃぁあっちまでね」 
「うん、手ぇ抜くのはナシだよ?」 
「わかってるわ」 
 にっこりと微笑むと、亜美ちゃんがプールから上がって飛び込み台に立つ。 
 あたしも習って隣のコースの台に立つ。 
「行くよ、亜美ちゃん」 
「うん、よーい・・・どん!」 
 バシャンっと合図と共に、二人は水しぶきを上げて飛び込む。 
 あたしは必死に、ただひたすら水を掻く。 
 前へ前へと進むために――いくら亜美ちゃんが相手でも負けたくない。 
 隣を見る余裕もあたしにはなかった。 
 
  ☆ 
 
「やっぱかなわないや、亜美ちゃんには」 
「そんなこと――まこちゃんも早かったわ、あたし思わずムキになっちゃったもの」 
「そう?えへへ」 
 ニコリと微笑む亜美ちゃんは、おもむろにフワリと水に体を預けた。 
 ぷかぷかと、ラッコのように浮かぶ亜美ちゃんはゆっくりと目を閉じる。 
「亜美ちゃん?」 
「こうしてるとね、気持ちいいの。優しく抱きすくめられてるみたいで」 
「・・・ふーん」 
 チャプチャプという水の音と、あたし達の呼吸の音だけが広い空間に響き渡る。 
「静かね」 
「うん」 
 本当に気持ちよさそうだな、亜美ちゃん。 
 心の底からリラックスしてるみたい――でも何だかちょっと・・・複雑。 
 ヘンな、気持ち悪い感情があたしのなかで渦巻いてる。 
「まこちゃん?」 
「うん?」 
 妄想の世界に片足を突っ込みかけていたあたしの意識が 
 名を呼ばれたことによって再び現実に引き戻された。 
「好きよ」
「――へ?」 
「まこちゃんが好き、こんなこと改めて言うのも変かしら」 
 水に浮かんだまま、クスリと亜美ちゃんが笑う。 
 あたしはすぐに返す言葉が思い浮かばなかった。 
 亜美ちゃんはスッと体を起こすと、コースの仕切りをくぐってあたしの方に歩み寄る。 
「まこちゃん」 
 亜美ちゃんの両手がスっとあたしの腰に回る、と同時に体が密着する。 
「・・・へ?あ、あ、あ、亜美ちゃん?」 
 水着という薄布一枚しかつけていないせいか、亜美ちゃんのボディラインがいつも以上にハッキリと感じられる。 
「生物ってね、海から産まれたっていうでしょう?」 
 突然の亜美ちゃんの話の飛躍に、あたしの妄想だらけの脳が一瞬ついて行けず、黙って耳を傾ける。 
「人間にとって水ってかけがえのないものじゃない?胎児が母親の体内にいる時も”羊水”って言ってやっぱり”水”に包まれてるの。それにあたし水の戦士だからっていうのもあると思うんだけど、本当に水に触れてると落ち着くの。いつでもあたしを優しく包み込んでくれる水が――好きなの」 
「うん」 
「まこちゃん」 
「――何?」 
「まこちゃんに抱きしめられてる時ってね、すごく心臓がドキドキするんだけど、でもすごく気持ちが落ち着くの――」 
「亜美ちゃん?」 
「好きよ…大好き、まこちゃん、まこちゃんもあたしにとってはかけがえのない存在なの」
 その言葉であたしの中のスイッチがバチンと入った。 
 あたしは亜美ちゃんの腰に手を回すと、抱きしめる手に思いっきり力をこめた。 
「あたし…さ、嫉妬してた」 
「え?」 
「水に浮かんでるときに、"優しく抱かれてるみたいで気持ちいい"って亜美ちゃん言っただろ?その時の亜美ちゃんすごくキレイだった」 
「まこちゃん?」 
「亜美ちゃんをそんな風にしちゃう、"水"に嫉妬した。バカみたいって思われるかもしんないけど、でも亜美ちゃんを抱きしめるのはあたしだけでいたかった――ホントバカだよね、あたし」 
 あたしは亜美ちゃんの濡れた髪に、そっと唇で触れると呟いた。 
「好きだよ」 
「うん」 
「亜美ちゃん――大好きだよ」 
「あたしもよ、まこちゃん」 
 あたしは、亜美ちゃんのまっすぐな瞳に吸い込まれそうになる。 
 気がついたらあたしは亜美ちゃんの唇に、自分の唇を重ねていた。 
 誰もいない広い空間に二人っきり。 
 誰も来ないとわかっててもドキドキする。 
 響くのは相変わらず水の音と、唇の触れ合う音だけだった
 
 ―――亜美ちゃん、大好きだよ――― 
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Date:2008/08/27
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