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□ まこ×亜美 □

チョコレート

バレンタインネタ



 
 パタン 
 
 はぁぁぁぁ~ 
「今年は2個か――」 
 あたしは最近毎年この日になると同じセリフを繰り返している気がする。 
 最も、個数は毎年違うのだが――。 
「まーこちゃん!どうしたの?ため息なんかついちゃって!」 
 突然、背後から肩を叩かれてあたしは心臓が飛び出すかと思うくらいびっくりした。 
「げっ?み、み、美奈子ちゃん?」 
「ねぇねぇ美奈子ちゃん、見て見て!まこちゃんの下駄箱!チョコレートが入ってるよ」 
 いつのまにかまことの背後にいたうさぎが、あたしの下駄箱を開けていた。 
「げーーーっう、うさぎちゃんまで?いつも遅刻常習犯の二人が、どうしてこんな時間に学校にいるんだよ!」 
「しっつれいね!"いつも"じゃないわよ!たまによ、たまに!うさぎちゃんはどうだか知らないけどね」 
「ひっどーい美奈子ちゃん!あたしだって早く来るときあるもん!」 
「どーせ!衛さんにチョコあげに行くために早起きしたんでしょ?あーあっついわね!」 
「うっ・・・その通りだけどさぁ」 
「そんなことより!まこちゃん?」 
 スッカリ二人の勢いに押されて、呆然としていたあたしは呼ばれて我に帰った。 
「チョコレートってどういうこと?」 
「え?あ、いや」 
「美奈子ちゃん、まこちゃんにはね実はファンがいるんだよ?」 
「え?」 
「中学の時もいたもん、あたしまこちゃんのこといっぱい聞かれたもん」 
「そ、そうなんだ?やだ、まこちゃんもスミに置けないわね!」 
 うさぎちゃん…あたしそんな話今初めて聞いたよぉ~。 
 や、実は確かに告白されたこともあったんだよね、女の子にさ! 
 あたしってば男にはモテないのに、何でか女の子が寄ってくるんだよね。 
 で、毎年この日…バレンタインデーには必ずいくつかチョコレートをもらってる。 
 あたし、一応初めは受け取ってはいたし、ちゃんとお返しもしてたんだけど、去年からは全部断わることにしたんだ。 
 ってか断ったハズなのに、まだ入ってる。 
 これされちゃうと、誰だかわかんないから断るに断れないんだよなぁ。 
 はぁ~困ったなぁ、たぶん初めての子なんだろうなぁ。 
 あたしは再び大きなため息をついた。 
 うさぎちゃんが友達に呼ばれて去ったのをいいことに、美奈子ちゃんがニヤリと悪魔の笑みを浮かべてあたしの耳元で囁く。 
「ねぇ、まこちゃん?」 
「んーー?」 
 気のない返事をしたあたしに、美奈子ちゃんが尋ねる。 
「亜美ちゃんは知ってるの?このこと」 
 ビクン! 
「あ、あ、亜美ちゃん?や、し、知らないと…思うけど?」 
「ふーん」 
 気のせいか美奈子ちゃんの目がキラーンと光ったような気がする・・・ヤな予感。 
 頼むから余計なこと言わないでよ~美奈子ちゃん。 
「で?亜美ちゃんは?」 
「週番だからって、もう来てると思う」 
「そう」 
「余計なこと言ったら怒るからね」 
「わぁかってるわよ!やぁねぇまこちゃんったら心配性なんだから」 
 と、その時だ。 
「アレ?二人ともどうしたの?こんなところで」 
 玄関先でわいわい騒いでいたあたしたちの姿を見かけた彼女が、声をかけてくる。 
『亜美ちゃん???』 
 二人の声が、音のトーンは違えどキッチリハモる。 
「や、な、なんでも――」 
「亜美ちゃん聞いて!まこちゃんったらね、女の子からチョコレートもらってるのよ!下駄箱に入ってたんだって!」 
「み、み、美奈子ちゃん???」 
 今言ったところなのに!!! 
「へぇ、まこちゃんモテるものね」 
「へ?あ、うん、まぁ、そうみたい、ね」 
 意外なほど素で返されて拍子抜けしたのか、逆に美奈子ちゃんが狼狽している。 
 でもって亜美ちゃんの顔に浮かんでいるのは、極上の笑顔だったりする。 
「亜美ちゃん?ヤキモチとか…焼かないの?」 
 不思議そうに美奈子ちゃんが尋ねる。
 もうカンベンして欲しいっと心の底からあたしは願うが、言葉が出ない。 
「どうして?」 
「や、どうしてって…」 
「あたしがヤキモチを焼く理由が見当たらないわ」 
 あたしの背中をツツーっと冷たい汗が流れる。 
 ――亜美ちゃん怒ってる!絶対怒ってる! 
「そうなの?つまんなーい!チェっ」 
 美奈子ちゃんはクルっとあたし達に背を向けると、さっさと教室に向かった。 
 チェって何だよチェって! 
 で、フォローナシ?勘弁してよぉ~。 
「あ、あの・・・亜美ちゃん?」 
「なぁに?まこちゃん」 
 あーーーっこの笑顔が今は怖いよ! 
「えっと、これはそのぉ――あたしは断ったんだけど、こんなの勝手に入れられちゃあたしにもどうしようもないんだよぉ」 
「わかってる、はいコレ」 
 ポンっとあたしの掌に置かれたのは、かわいらしいピンクのラッピングのチョコレートだった。 
「え?何コレ?くれんの?」 
 あたしはキョトンとその物体に視線を落とす。 
「渡してくださいだって!去年は直接渡そうとして断られたから、今年は仲の良いあたしに"木野さんに渡してくださいお願いします"って」 
「げっ!」 
「まこちゃんって、ホントにモテるのね」 
「そ、そんなんじゃ・・・」
「じゃぁ、あたし当番があるから」 
 えぇーーーーっそ、そんなぁ。 
 あたしはほとんど言い訳もできないまま、ただ亜美ちゃんの後姿を呆然と見送ることしかできなかった。 
 3個・・・か。 
 
  ☆ 
 
 結局一日中避けられ続けて、気がついたら放課後だよもう! 
 で、亜美ちゃんの教室に飛んでいったんだけど、ウチのバカ担任のHRが長引いたせいで、教室に行ったころにはほとんど人は残ってなかった
 モチロン亜美ちゃんも。 
 あたしはとにかく亜美ちゃんを捕まえようと、いつもの塾に向かった。 
 絶対行ってるハズだ!待ってればきっと出てくる! 
 あたしはスっ飛んで行った。 
 だけど・・・塾が終っても待てども待てども出てこない。 
 あたしは諦めようかどうしようか悩んでいた時だ、時々亜美ちゃんといるのを見かける女の子が丁度出てきたから速攻で声をかけた。 
「水野さん?そういえば今日はいなかったわよ?休みみたい」 
「えぇ?」 
 あたしはそんな答えを全く予想してなかっただけに混乱した。 
「―――亜美ちゃん…一体どこにいるんだ?」 
 とりあえずあたしの足は自然と亜美ちゃんちのマンションに向かっていた。 
 インターフォンを押す。 
 あーーオートロックがもどかしい!!! 
「ん?」 
 反応ナシ――まさか居留守ってことは…ないよね? 
 もう一度押してみるがやはり反応はない。 
「はぁぁぁぁっ、亜美ちゃん、どこにいるんだよぉぉ」 
 ここで待ってようかと座り込もうとしたけど、さすがにこの格好じゃ寒い! 
 一旦帰って防寒してこよう! 
 思いなおしたあたしはダッシュで家に向かった。 
 
  ☆ 
 
 意外なところで、あたしは目的の人を見つけた。 
「あ、亜美ちゃん???」 
 あたしの部屋の前で亜美ちゃんがボンヤリと佇んでいた。 
 よっぽど寒いのか、手をこすり合わせながら白い息を吐いている。 
「ど、どうして?」 
「――会いたくて」
「え?あ、や、と、とりあえず入って入って!寒かったよね!ごめんね遅くなって」 
「ううん、何も言わずに突然来たあたしが悪いんだもの」 
「ごめん!」 
 あたしは亜美ちゃんのかじかむ手を両手でギュっと包み込む。 
「あったかい、まこちゃん」 
「走って帰って来たからさ」 
「走って?どうして?」 
「亜美ちゃんちの前で、亜美ちゃんのこと待ってようと思ってたんだけどさ、あんまり寒いから上着取りに来たんだ」 
「そう、ごめんね」 
「探したよ、亜美ちゃん」 
 あたしは思い出したようにあわてて鍵を開けると、亜美ちゃんを招き入れた。 
 あたしの後ろから亜美ちゃんがついて入る――入った瞬間、ドンっとあたしは背中に衝撃を受けた。 
 腰に回される腕。 
「あ、亜美ちゃん???」 
「ごめんね」 
「へ?何が?」 
「ごめんね、朝」 
「あぁ、うん、あたしこそごめん、去年から全部断るようにしてたんだけどね」 
「わかってる」 
「しかし亜美ちゃんに頼む子がいたってのは盲点だった」 
「うん」 
「ヤな想いさせてごめんね?」 
 ううんっと一生懸命あたしの背中に向かってプルプルと首をふる亜美ちゃん。 
「ホントはね、ヤキモチ焼いてたの、美奈子ちゃんに言われたときはドキっとした」 
「あぁ、ホント彼女は何言い出すかわっかんないよ、全くぅ」 
 あたしはそっと腰にまわされた亜美ちゃんの手をほどくと、クルリと体を反転させて、キュっと亜美ちゃんを抱きしめた。 
「亜美ちゃんのこと好きになってからは、他の子のは絶対受け取らないって決めたのに」 
「うん」 
「ホントーにごめん!あたしハッキリ断ったつもりだったのに、好きな人がいるからもらえないよってさ。相手が亜美ちゃんだとは言ってないけど・・・」 
「ん、でもそれでもあきらめられないくらい、まこちゃんのことが好きなのね」 
「――かな」 
 あたしは亜美ちゃんの蒼みがかったふわふわの髪に顔を埋めると、うーんと唸った。 
「あたしはさ、亜美ちゃんだけが好きだよ、ホントにホントに大好きだよ」 
 まっすぐ亜美ちゃんの瞳を見つめてそう告白すると、ポムっと亜美ちゃんの頬が真っ赤に染まる。 
「あの・・・まこちゃん?」 
「うん?なんだい?」 
「これ・・・」 
「何?」 
 体を離したあたしの手には、ピンクのかわいい箱に入れられてりぼんをかけられた包みがポンっと乗せられた。 
「あたしに?こ、今度は・・・誰?」 
 あたしの背中にタラリと再び冷たい汗が流れる。 
「あたし・・・なんだけど・・・」 
「え?あ、亜美ちゃん?亜美ちゃんがくれるの?あたしに?ホントに?」 
 コクンと・・・俯き気味なので表情はわからなかったけれどたぶんすっごい照れてんだろうな!かわいーな! 
「ありがと、亜美ちゃん」 
 あたしはもうすっごくすっごく嬉しくて、ついついまたまた亜美ちゃんの体をさっきよりもずっと強く抱きしめちゃった。 
「開けていい?」 
 こくん 
「えっへへ~嬉しい~♪」 
 カサカサと包みを開けると、中からはキチンとハートの形にかたどられたチョコレートがたくさん入っていた。 
「わぁ、亜美ちゃん上手じゃん!へへっ」 
 あたしはパクンっと1つ口に入れた。 
「美味しいよ、亜美ちゃんありがとう」 
「ホント?」 
「うん、ホント」 
「一個食べる?」 
「え?いいわよ、まこちゃんのために作ったんだもん、まこちゃん食べて」 
「まぁそう言わずに、ね?はい」 
 あたしはチョコをひとつつまむと、あーんっと亜美ちゃんの口を開けさせる。 
「ま、ま、まこちゃん???」 
「何?いいから、はいあーん」 
「で、でも・・・まこちゃんのために作ったのに」 
「あーん」 
 あたしのしつこさにあきれたのか、亜美ちゃんはため息をつくと観念して小さく口をあーんとあけた。 
「はい」 
 あたしはチョコの半分を亜美ちゃんにくわえさせると、素早く残りの半分を自分でくわえた。 
 亜美ちゃんの目が驚きで丸くなる。 
「んん???」 
 あたしは一気にチョコごと亜美ちゃんの中に押し入ると、甘い唇を存分に味わう。 
 あたしの背中に回った亜美ちゃんの手に、心なしか力がこもる。 
 長い長い、キス。 
 チョコレート味のキス。 
 
  ☆ 
 
 やっとのことで解放したあたしを、亜美ちゃんが上目遣いで見上げて言う。 
「チョコ・・・溶けちゃった」 
「ご、ごめんなさい」 
「残りはちゃんと溶かさないで食べてね」 
「――はい」 
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Date:2008/08/26
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